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422.来たるべき決別。北白川サナの遺族で、正義が勝たないデスゲームに参加した北白川サナの姿を最後まで視聴したのは一人。
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「金剛くんが、私の妻の最期の話を聞きたいのなら、別の機会を設けよう。
人が殺されて死ぬ一部始終をちゃんと見たことがあるのは、俺だけだ。」
と北白川サナの父方の祖父。
俺は、北白川サナの父方の祖父の言葉にハッとした。
「サナさんのお祖父さんは、正義が勝たないデスゲームをご視聴されていたのですか?」
「見ろと言われて見ていたのは、俺だ。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父の発言に間髪入れず反応した人がいた。
「あんなもの、とても見ていられません。人が見ていいものではありませんでした。」
と北白川サナの母。
見たくないから見なかった、か。
見るのが仕事でないのなら、投げ出せばいい。
俺は、正義が勝たないデスゲームを視聴してコメント入力する仕事を投げ出す前に、仕事を辞める連絡をしたが。
「サナは、あんなものに参加させるために育ててきたわけではない。」
と北白川サナの父。
北白川サナの父の目の前にいる俺が、正義が勝たないデスゲームに参加して脱出してきた経歴の持ち主だと忘れたか?
北白川サナの父に育てられていない俺が、北白川サナの父の言動を不満に思うのはお門違いか。
俺は、反射的にイラッとした感情を抑えた。
「あの場にいるサナちゃんがあまりにも可哀想で見ていられませんでした。」
と北白川サナの母方の祖母。
北白川サナは、正義が勝たないデスゲームの中で、家族については何も話さなかった。
正義が勝たないデスゲームに参加している北白川サナを見て、応援するのではなく、参加を相応しくないと不満を述べる父と、参加して可哀想だと哀れむ祖母。
北白川サナが、正義が勝たないデスゲームを脱出出来ていたとしても。
北白川サナの家族は、正義が勝たないデスゲームを脱出してきた北白川サナの奮闘を称えなかったのではないか。
「お祖父さんが正義が勝たないデスゲームを視聴されていたのは、支援団体の指示があったからですか?」
「サナが正義が勝たないデスゲームに参加する前に、サナが参加する正義が勝たないデスゲームを一回も見逃すな、とサナを通じて伝えてきた。」
と北白川の父方の祖父。
北白川サナの遺族のうち、父方祖父とそれ以外の三人との間に違うものがある。
俺は、確認することにした。
「お祖父さんは、サナさんが参加された正義が勝たないデスゲームを最初から最後までご視聴されましたか?
サナさんが亡くなる日の分まで。」
「サナが映っている正義が勝たないデスゲームは全部見た。」
と北白川サナの父方の祖父。
「俺が参加した正義が勝たないデスゲームも視聴されていましたか?」
俺と北白川サナが始めて顔を合わせた新人歓迎会。
俺だけが参加したアスレチック。
俺と北白川サナが再会したサバイバルゲーム。
「サナの参加した日に、金剛くんが出ている分は見ている。」
と北白川サナの父方の祖父。
新人歓迎会とサバイバルゲームを視聴していたか。
「俺とサナさんが正義が勝たないデスゲームの中で、どういう出会い方をして、どういう別れ方をしたかもご視聴済みですか?」
「一部始終を見ていた。」
と北白川サナの父方の祖父。
正義が勝たないデスゲームの参加者だった俺には、正義が勝たないデスゲームのどのカメラが映した場面を視聴者に見せていたかを知らない。
俺が、北白川サナに死ねと告げた場面や、北白川サナを助けようとはしなかった場面を北白川サナの父方の祖父が見ている可能性は高い。
俺は、密かに腹をくくった。
「これまでの話をしてくださったのは、俺に聞かせようとして、ですか?」
北白川サナの父方の祖父からすれば、俺は孫娘に助けられた分際で、孫娘に死ねと言い放ち、助けようとしなかった男だ。
北白川サナの遺族のうち、正義が勝たないデスゲームを視聴しなかったご両親と母方の祖母の俺に対する態度から類推するに。
父方の祖父は、途中で正義が勝たないデスゲームの視聴を離脱した三人には、正義が勝たないデスゲームで起きたことを話していない。
北白川サナの遺族からは、愛娘を助けないことで生還した男と詰られる覚悟で来たが、これまでの会話中に、そういった言葉はかけられていない。
北白川サナのご両親と母方の祖母は。
北白川サナが亡くなるまでの経緯の中で、俺が何をして、何をしなかったかを知らないがゆえに、今の態度になっている、か?
北白川サナの遺族の中では、孫娘の最期を見届けた父方の祖父だけが全てを飲み込み、一人で抱えているのではないか。
「妻がいなくなっても、俺だけはサナの頼みに耳を傾け、サナの望む人生を歩ませてやると決めて、ここまでやってきた。」
と北白川サナの父方の祖父。
「今日、お祖父さんが声をあげたのは、黙っている時間が終わったからですか?」
「そうだ。俺がこの家に同居すると決めたのは、男が日中もいる家なら、誰も悪さをしにこないのではないかという息子夫婦の目論見のためではない。
この家に一緒にいて欲しいとサナが俺に頼んだからだ。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナと父方の祖父のやりとりが思い浮かぶ。
「サナさんの父方のお祖父さんが同居されたのは、母方のお祖母さんより後だった、とのことでしたが。」
「俺一人になった家に、俺に会いに来ようとしたサナを息子夫婦は止めたからな。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父は、息子夫婦をじろりと睨む。
「お前達は、サナに何と言った?」
と北白川サナの父方の祖父。
「お祖母ちゃんを家に一人にしないようにして、と娘夫婦はサナちゃんに言ってくれていました。
私がいることで、娘だけでなく、サナちゃんにも心配をかけてしまって。」
と北白川サナの母方の祖母。
娘夫婦よりも先に母方の祖母が口を開いたということは。
北白川サナのご両親は、もっと直接的な言葉を愛娘に向かって放っていたのではないか。
「呼び寄せた母親が心配なら、サナを使って俺を呼び寄せるのではなく、世話になった自分達が側にいることを考えたら良かったんだ。
お前達は、自分達の生活だけは頑なに変えようとしなかったな。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父の顔は険しく、声は冷徹に聞こえた。
「サナはほとんど出かけていて。家にいる時間は、決して多くはなかった。」
と北白川サナの父。
北白川サナの父方の祖父は深呼吸をした。
「十代や二十代のサナに、お祖母ちゃんのために家にいろと言っておきながら、お前達はどこにいたんだ?」
と北白川サナの父方の祖父。
「当然、仕事に行っていました。」
と北白川サナの母。
北白川サナの父方の祖父の嫁を見る目に、感情の波立ちはない。
「その仕事を選んだから、お前達の人生は順風満帆だった。
サナの人生をお前達の仕事の歯車にしてきたから。」
と北白川サナの父方の祖父。
「お義父さん、今のは言い過ぎです。」
と北白川サナの母。
「北白川くんとサナがいなかったら、お前達は今の生活を送れていない。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父は言葉を重ねる。
「父はそうですが、サナは。」
と北白川サナの母。
「うちに来なくなった理由を尋ねたら、サナは、サナの大事な人と出かけて、大事な人が自分より先に死ぬことが、何よりも怖いと言ったんだ。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナが、親元から出ていかなかったのは、家族に対する情があったからか?
それとも、大事に思っている父方の祖母の亡き後、父方の祖父までも失いたくなかったからか?
「サナは、大事な人がいなくなった世界に一人で取り残されたくないと怯えていた。
二十代の娘の怖がることではないだろうが。」
と北白川サナの父方の祖父。
「サナちゃんの年頃は、お洒落に恋にお友達に趣味、と人生を楽しむ時間ですもの。」
と北白川サナの母方の祖母。
北白川サナの悩みは、健康に問題ない働き盛りの両親がいる家庭に生まれた二十代の成人女性なら、杞憂で済むはずの悩みだった。
「俺は、サナに、サナの大事な人を数えさせた。
サナには、片手で数えるほどしかいなかった。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナが大事だと話していたのが、北白川サナのご両親と母方の祖母、父方の祖父だけなら、四人。
北白川サナ自身を含めたなら、五人か。
北白川サナの父方の祖父は、俺達を見回す。
「俺は、サナに言ってやった。
俺がサナと暮らしている間だけは、サナの大事な人を減らさせない。」
と北白川サナの父方の祖父。
家の中のことをしないと嫁に詰られていた父方の祖父は、外部との立ち回りをしていた、か?
「お父さんは、俺達以上に何もしていなかった。この家に住んでいただけだ。」
と北白川サナの父。
北白川サナの父は、実父に対し、何を言っているんだ、と言外に言っている。
「俺にそれを望んだのは、誰だ?
サナと二人で暮らすという俺とサナの提案に聞く耳を持たなかったのは、お前達だ。
サナのためなら、自分の家で死体で発見されることになろうが俺は構わんと伝えただろうが。」
と北白川サナの父方の祖父。
「サナちゃんは、この家のたった一人の娘ですから。家族が別々に暮らすことは現実的ではありませんでした。」
と北白川サナの母方の祖母。
「同居のお誘いのとき、お義父さんが家に住んでくれるだけで安心だとは言いましたけれど。
本当に家に住むだけだとは思いませんでした。」
と北白川サナの母。
「それ以上は言ってはいけません。」
と北白川サナの母方の祖母。
「お母さん、これは言わないと駄目。ここは私達の家なんだから。お義父さん、私の母は、家のことを色々としてくれていました。」
と北白川サナの母。
「サナが亡くなり、支援団体から公安に鞍替えして嫌がらせをされる心配がなくなった途端に、これか?」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父の声に嘲りが混じる。
「すみません。娘にはよく言って聞かせますから。」
と北白川サナの母方の祖母。
「お母さん、もう、そんな風にお義父さんに気を使わなくていいから。」
と北白川サナの母。
「お父さん、今日の態度は酷すぎた。謝ってくれ。」
と北白川サナの父。
「今さら謝られても、聞かされた言葉の数々はなくならない。」
と北白川サナの母。
北白川サナの母は義父を睨見つけている。
息子夫婦や嫁の母親が何を言おうが動じなかった北白川サナの父方の祖父は。
ここで、腹の底から声を出した。
「サナが亡くなり、俺とサナとの約束も終わった。
俺は、俺の家へ帰る。」
と北白川サナの父方の祖父。
人が殺されて死ぬ一部始終をちゃんと見たことがあるのは、俺だけだ。」
と北白川サナの父方の祖父。
俺は、北白川サナの父方の祖父の言葉にハッとした。
「サナさんのお祖父さんは、正義が勝たないデスゲームをご視聴されていたのですか?」
「見ろと言われて見ていたのは、俺だ。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父の発言に間髪入れず反応した人がいた。
「あんなもの、とても見ていられません。人が見ていいものではありませんでした。」
と北白川サナの母。
見たくないから見なかった、か。
見るのが仕事でないのなら、投げ出せばいい。
俺は、正義が勝たないデスゲームを視聴してコメント入力する仕事を投げ出す前に、仕事を辞める連絡をしたが。
「サナは、あんなものに参加させるために育ててきたわけではない。」
と北白川サナの父。
北白川サナの父の目の前にいる俺が、正義が勝たないデスゲームに参加して脱出してきた経歴の持ち主だと忘れたか?
北白川サナの父に育てられていない俺が、北白川サナの父の言動を不満に思うのはお門違いか。
俺は、反射的にイラッとした感情を抑えた。
「あの場にいるサナちゃんがあまりにも可哀想で見ていられませんでした。」
と北白川サナの母方の祖母。
北白川サナは、正義が勝たないデスゲームの中で、家族については何も話さなかった。
正義が勝たないデスゲームに参加している北白川サナを見て、応援するのではなく、参加を相応しくないと不満を述べる父と、参加して可哀想だと哀れむ祖母。
北白川サナが、正義が勝たないデスゲームを脱出出来ていたとしても。
北白川サナの家族は、正義が勝たないデスゲームを脱出してきた北白川サナの奮闘を称えなかったのではないか。
「お祖父さんが正義が勝たないデスゲームを視聴されていたのは、支援団体の指示があったからですか?」
「サナが正義が勝たないデスゲームに参加する前に、サナが参加する正義が勝たないデスゲームを一回も見逃すな、とサナを通じて伝えてきた。」
と北白川の父方の祖父。
北白川サナの遺族のうち、父方祖父とそれ以外の三人との間に違うものがある。
俺は、確認することにした。
「お祖父さんは、サナさんが参加された正義が勝たないデスゲームを最初から最後までご視聴されましたか?
サナさんが亡くなる日の分まで。」
「サナが映っている正義が勝たないデスゲームは全部見た。」
と北白川サナの父方の祖父。
「俺が参加した正義が勝たないデスゲームも視聴されていましたか?」
俺と北白川サナが始めて顔を合わせた新人歓迎会。
俺だけが参加したアスレチック。
俺と北白川サナが再会したサバイバルゲーム。
「サナの参加した日に、金剛くんが出ている分は見ている。」
と北白川サナの父方の祖父。
新人歓迎会とサバイバルゲームを視聴していたか。
「俺とサナさんが正義が勝たないデスゲームの中で、どういう出会い方をして、どういう別れ方をしたかもご視聴済みですか?」
「一部始終を見ていた。」
と北白川サナの父方の祖父。
正義が勝たないデスゲームの参加者だった俺には、正義が勝たないデスゲームのどのカメラが映した場面を視聴者に見せていたかを知らない。
俺が、北白川サナに死ねと告げた場面や、北白川サナを助けようとはしなかった場面を北白川サナの父方の祖父が見ている可能性は高い。
俺は、密かに腹をくくった。
「これまでの話をしてくださったのは、俺に聞かせようとして、ですか?」
北白川サナの父方の祖父からすれば、俺は孫娘に助けられた分際で、孫娘に死ねと言い放ち、助けようとしなかった男だ。
北白川サナの遺族のうち、正義が勝たないデスゲームを視聴しなかったご両親と母方の祖母の俺に対する態度から類推するに。
父方の祖父は、途中で正義が勝たないデスゲームの視聴を離脱した三人には、正義が勝たないデスゲームで起きたことを話していない。
北白川サナの遺族からは、愛娘を助けないことで生還した男と詰られる覚悟で来たが、これまでの会話中に、そういった言葉はかけられていない。
北白川サナのご両親と母方の祖母は。
北白川サナが亡くなるまでの経緯の中で、俺が何をして、何をしなかったかを知らないがゆえに、今の態度になっている、か?
北白川サナの遺族の中では、孫娘の最期を見届けた父方の祖父だけが全てを飲み込み、一人で抱えているのではないか。
「妻がいなくなっても、俺だけはサナの頼みに耳を傾け、サナの望む人生を歩ませてやると決めて、ここまでやってきた。」
と北白川サナの父方の祖父。
「今日、お祖父さんが声をあげたのは、黙っている時間が終わったからですか?」
「そうだ。俺がこの家に同居すると決めたのは、男が日中もいる家なら、誰も悪さをしにこないのではないかという息子夫婦の目論見のためではない。
この家に一緒にいて欲しいとサナが俺に頼んだからだ。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナと父方の祖父のやりとりが思い浮かぶ。
「サナさんの父方のお祖父さんが同居されたのは、母方のお祖母さんより後だった、とのことでしたが。」
「俺一人になった家に、俺に会いに来ようとしたサナを息子夫婦は止めたからな。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父は、息子夫婦をじろりと睨む。
「お前達は、サナに何と言った?」
と北白川サナの父方の祖父。
「お祖母ちゃんを家に一人にしないようにして、と娘夫婦はサナちゃんに言ってくれていました。
私がいることで、娘だけでなく、サナちゃんにも心配をかけてしまって。」
と北白川サナの母方の祖母。
娘夫婦よりも先に母方の祖母が口を開いたということは。
北白川サナのご両親は、もっと直接的な言葉を愛娘に向かって放っていたのではないか。
「呼び寄せた母親が心配なら、サナを使って俺を呼び寄せるのではなく、世話になった自分達が側にいることを考えたら良かったんだ。
お前達は、自分達の生活だけは頑なに変えようとしなかったな。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父の顔は険しく、声は冷徹に聞こえた。
「サナはほとんど出かけていて。家にいる時間は、決して多くはなかった。」
と北白川サナの父。
北白川サナの父方の祖父は深呼吸をした。
「十代や二十代のサナに、お祖母ちゃんのために家にいろと言っておきながら、お前達はどこにいたんだ?」
と北白川サナの父方の祖父。
「当然、仕事に行っていました。」
と北白川サナの母。
北白川サナの父方の祖父の嫁を見る目に、感情の波立ちはない。
「その仕事を選んだから、お前達の人生は順風満帆だった。
サナの人生をお前達の仕事の歯車にしてきたから。」
と北白川サナの父方の祖父。
「お義父さん、今のは言い過ぎです。」
と北白川サナの母。
「北白川くんとサナがいなかったら、お前達は今の生活を送れていない。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父は言葉を重ねる。
「父はそうですが、サナは。」
と北白川サナの母。
「うちに来なくなった理由を尋ねたら、サナは、サナの大事な人と出かけて、大事な人が自分より先に死ぬことが、何よりも怖いと言ったんだ。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナが、親元から出ていかなかったのは、家族に対する情があったからか?
それとも、大事に思っている父方の祖母の亡き後、父方の祖父までも失いたくなかったからか?
「サナは、大事な人がいなくなった世界に一人で取り残されたくないと怯えていた。
二十代の娘の怖がることではないだろうが。」
と北白川サナの父方の祖父。
「サナちゃんの年頃は、お洒落に恋にお友達に趣味、と人生を楽しむ時間ですもの。」
と北白川サナの母方の祖母。
北白川サナの悩みは、健康に問題ない働き盛りの両親がいる家庭に生まれた二十代の成人女性なら、杞憂で済むはずの悩みだった。
「俺は、サナに、サナの大事な人を数えさせた。
サナには、片手で数えるほどしかいなかった。」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナが大事だと話していたのが、北白川サナのご両親と母方の祖母、父方の祖父だけなら、四人。
北白川サナ自身を含めたなら、五人か。
北白川サナの父方の祖父は、俺達を見回す。
「俺は、サナに言ってやった。
俺がサナと暮らしている間だけは、サナの大事な人を減らさせない。」
と北白川サナの父方の祖父。
家の中のことをしないと嫁に詰られていた父方の祖父は、外部との立ち回りをしていた、か?
「お父さんは、俺達以上に何もしていなかった。この家に住んでいただけだ。」
と北白川サナの父。
北白川サナの父は、実父に対し、何を言っているんだ、と言外に言っている。
「俺にそれを望んだのは、誰だ?
サナと二人で暮らすという俺とサナの提案に聞く耳を持たなかったのは、お前達だ。
サナのためなら、自分の家で死体で発見されることになろうが俺は構わんと伝えただろうが。」
と北白川サナの父方の祖父。
「サナちゃんは、この家のたった一人の娘ですから。家族が別々に暮らすことは現実的ではありませんでした。」
と北白川サナの母方の祖母。
「同居のお誘いのとき、お義父さんが家に住んでくれるだけで安心だとは言いましたけれど。
本当に家に住むだけだとは思いませんでした。」
と北白川サナの母。
「それ以上は言ってはいけません。」
と北白川サナの母方の祖母。
「お母さん、これは言わないと駄目。ここは私達の家なんだから。お義父さん、私の母は、家のことを色々としてくれていました。」
と北白川サナの母。
「サナが亡くなり、支援団体から公安に鞍替えして嫌がらせをされる心配がなくなった途端に、これか?」
と北白川サナの父方の祖父。
北白川サナの父方の祖父の声に嘲りが混じる。
「すみません。娘にはよく言って聞かせますから。」
と北白川サナの母方の祖母。
「お母さん、もう、そんな風にお義父さんに気を使わなくていいから。」
と北白川サナの母。
「お父さん、今日の態度は酷すぎた。謝ってくれ。」
と北白川サナの父。
「今さら謝られても、聞かされた言葉の数々はなくならない。」
と北白川サナの母。
北白川サナの母は義父を睨見つけている。
息子夫婦や嫁の母親が何を言おうが動じなかった北白川サナの父方の祖父は。
ここで、腹の底から声を出した。
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俺は、俺の家へ帰る。」
と北白川サナの父方の祖父。
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