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378.ラキちゃんとメグたんの共通点。佐竹ハヤトを永遠に喪ったモエカには、新しい愛の供給がなく?
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「メグを逮捕したハコと組みたがるのは、支援団体のみならず内通者ばかり。
感情で動くハコを一人にしておけば、支援団体に限らず、あらゆる組織に取り込まれる可能性があった。」
とケンゴ。
「ハコには、ハコを取り込ませないための誰かが必要だった。
その誰かとして抜擢されたのが、ラキちゃん。」
とメグたん。
「ラキちゃんが抜擢された理由は、どこの内通者でもないからか?」
「どこの内通者でもないだけでは抜擢していないよ。」
とケンゴ。
「ハコはメグたんのようなタイプには反発するんだよね。」
とツカサ。
「メグたんに似ていないタイプのラキちゃんをハコさんの側につけた、と言いたいのか?
刑事としてのラキちゃんしか知らないが、メグたんと似ても似つかない、ということはなかったのではないか。」
「メグとラキは、似ていたかい?」
とケンゴ。
「ラキちゃんは、刑事らしく振る舞い続けた。
自由気ままに見えるメグたんも、タケハヤプロジェクトの参加者としての振る舞いから外れたことはしていない。」
「ラキちゃんもメグたんも、仕事には真摯に取り組むタイプだよね。」
とツカサ。
「ラキちゃんは、気配り上手で、責任感が強く、几帳面だった。
潜入捜査中であるという職業意識の高さが、生来の気質に輪をかけて、そういう風に見える振る舞いをさせたのかもしれないが。」
「メグたんについては、どう思った?」
とツカサ。
「一方のメグたんは、サバイバルゲームでも、サバイバルゲームの前のアスレチックでも、人に対する好悪をはっきり出している。」
「ショウタは、アスレチックとサバイバルゲームの両方でメグと一緒だったね。」
とツカサ。
「アスレチックでのメグたんは、仕事を遂行するため、計算通りに動いているように見えた。」
「具体的には、どれのことだい?」
とケンゴ。
「メグたんに懐いているように見えたモエカを死なせたとき。
メグたんは、何もしていない。」
「ショウタは、モエカに助けられたわね。」
とメグたん。
「メグたんは、他の参加者であるタケハヤプロジェクトの学生を意のままに動かして、モエカに集中的な暴力をふるわせている。
アスレチックにモエカと参加し、アスレチック中にモエカを死なせること。
これは、アスレチックに参加するタケハヤプロジェクトの参加者であるメグたんに課せられた仕事だったか?
メグたんを慕うモエカを死なせることが、メグたんの仕事だったなら。
メグたんは、仕事に対して誠実であると言っていい。」
「タケハヤプロジェクトの参加者と言えども、正義が勝たないデスゲームでの仕事の達成率が悪ければ、今日まで生き延びていない。」
とメグたん。
「サバイバルゲームにおけるメグたんについて話す前に、なぜ、モエカが死ななくてはならなかったのかの説明が聞きたい。」
「モエカは、誰かのために頑張って、底力を発揮するタイプだった。」
とメグたん。
「モエカにとっての頑張りたくなる誰かは、佐竹ハヤトだ。」
「佐竹ハヤトくんが亡くなってからの時間。
佐竹ハヤトくんとモエカが過ごした時間。
アスレチックの時点では、佐竹ハヤトくんとモエカが過ごした時間の方が長かった。」
とメグたん。
「佐竹ハヤトとの思い出と思いが、正義が勝たないデスゲームで生き延びるモエカの原動力になっていた、か。」
「モエカの原動力は、日に日に窄んでいったわ。」
とメグたん。
「モエカと佐竹ハヤトの仲でも、か?」
モエカと佐竹ハヤトの関係性は永遠に続くのだと俺は思っていた。
「佐竹ハヤトくんが亡くなっている以上、モエカには、佐竹ハヤトくんとの新しい思い出が増えることなどない。
その上、亡くなった人を相手に共に過ごす未来など。
夢でしか見れない。」
とメグたん。
「両思いでも、相手の佐竹ハヤトくんが亡くなった後のモエカの恋に未来があるとショウタは思う?
正義が勝たないデスゲームから出られないのに。」
とツカサ。
「正義が勝たないデスゲームから脱出することもままならないモエカは、新しい恋にも踏み出せずにいたわ。」
とメグたん。
「モエカが新しい恋を始める?」
モエカが、俺でもない、佐竹ハヤト以外の男に思いを寄せることなど、あってたまるか。
「亡くなった人を思い続ける恋人の姿は。
亡くなった人を知る人の目に、美しく映るわ。」
とメグたん。
「佐竹ハヤトとモエカの関係だ。
終わることはない。」
「そう思いたかった?」
とメグたん。
「俺を見ていないモエカは、俺の友達だけを見ていた。
俺の友達とモエカの関係が終わりのある関係だと考えたことはなかった。」
「新しい愛の供給がなされないまま、変わらぬ愛を捧げ続ける。
そんな生活が出来るのは、生前の恋人と築いてきた関係性と、恋人が亡くなってからの環境次第。」
とメグたん。
「モエカの正義が勝たないデスゲームでの生活には、新しい恋が必要だったということか?」
「モエカが必要としていたのは、恋ではなかったね。」
とツカサ。
「恋ではなく、恋人を求めたということか?」
「モエカが求めていたのは、恋人と言い切るにはあやふやなものだった。」
とツカサ。
「供給されない愛を思い出に求めているうちは、まだ思い続けていられる。」
とメグたん。
「モエカの愛は佐竹ハヤトに向いていても、亡くなっている佐竹ハヤトからモエカへの愛が届くことはない、か。」
「愛される日々を経験しているモエカは、愛された日々を恋しく思うようになっていったわ。」
とメグたん。
感情で動くハコを一人にしておけば、支援団体に限らず、あらゆる組織に取り込まれる可能性があった。」
とケンゴ。
「ハコには、ハコを取り込ませないための誰かが必要だった。
その誰かとして抜擢されたのが、ラキちゃん。」
とメグたん。
「ラキちゃんが抜擢された理由は、どこの内通者でもないからか?」
「どこの内通者でもないだけでは抜擢していないよ。」
とケンゴ。
「ハコはメグたんのようなタイプには反発するんだよね。」
とツカサ。
「メグたんに似ていないタイプのラキちゃんをハコさんの側につけた、と言いたいのか?
刑事としてのラキちゃんしか知らないが、メグたんと似ても似つかない、ということはなかったのではないか。」
「メグとラキは、似ていたかい?」
とケンゴ。
「ラキちゃんは、刑事らしく振る舞い続けた。
自由気ままに見えるメグたんも、タケハヤプロジェクトの参加者としての振る舞いから外れたことはしていない。」
「ラキちゃんもメグたんも、仕事には真摯に取り組むタイプだよね。」
とツカサ。
「ラキちゃんは、気配り上手で、責任感が強く、几帳面だった。
潜入捜査中であるという職業意識の高さが、生来の気質に輪をかけて、そういう風に見える振る舞いをさせたのかもしれないが。」
「メグたんについては、どう思った?」
とツカサ。
「一方のメグたんは、サバイバルゲームでも、サバイバルゲームの前のアスレチックでも、人に対する好悪をはっきり出している。」
「ショウタは、アスレチックとサバイバルゲームの両方でメグと一緒だったね。」
とツカサ。
「アスレチックでのメグたんは、仕事を遂行するため、計算通りに動いているように見えた。」
「具体的には、どれのことだい?」
とケンゴ。
「メグたんに懐いているように見えたモエカを死なせたとき。
メグたんは、何もしていない。」
「ショウタは、モエカに助けられたわね。」
とメグたん。
「メグたんは、他の参加者であるタケハヤプロジェクトの学生を意のままに動かして、モエカに集中的な暴力をふるわせている。
アスレチックにモエカと参加し、アスレチック中にモエカを死なせること。
これは、アスレチックに参加するタケハヤプロジェクトの参加者であるメグたんに課せられた仕事だったか?
メグたんを慕うモエカを死なせることが、メグたんの仕事だったなら。
メグたんは、仕事に対して誠実であると言っていい。」
「タケハヤプロジェクトの参加者と言えども、正義が勝たないデスゲームでの仕事の達成率が悪ければ、今日まで生き延びていない。」
とメグたん。
「サバイバルゲームにおけるメグたんについて話す前に、なぜ、モエカが死ななくてはならなかったのかの説明が聞きたい。」
「モエカは、誰かのために頑張って、底力を発揮するタイプだった。」
とメグたん。
「モエカにとっての頑張りたくなる誰かは、佐竹ハヤトだ。」
「佐竹ハヤトくんが亡くなってからの時間。
佐竹ハヤトくんとモエカが過ごした時間。
アスレチックの時点では、佐竹ハヤトくんとモエカが過ごした時間の方が長かった。」
とメグたん。
「佐竹ハヤトとの思い出と思いが、正義が勝たないデスゲームで生き延びるモエカの原動力になっていた、か。」
「モエカの原動力は、日に日に窄んでいったわ。」
とメグたん。
「モエカと佐竹ハヤトの仲でも、か?」
モエカと佐竹ハヤトの関係性は永遠に続くのだと俺は思っていた。
「佐竹ハヤトくんが亡くなっている以上、モエカには、佐竹ハヤトくんとの新しい思い出が増えることなどない。
その上、亡くなった人を相手に共に過ごす未来など。
夢でしか見れない。」
とメグたん。
「両思いでも、相手の佐竹ハヤトくんが亡くなった後のモエカの恋に未来があるとショウタは思う?
正義が勝たないデスゲームから出られないのに。」
とツカサ。
「正義が勝たないデスゲームから脱出することもままならないモエカは、新しい恋にも踏み出せずにいたわ。」
とメグたん。
「モエカが新しい恋を始める?」
モエカが、俺でもない、佐竹ハヤト以外の男に思いを寄せることなど、あってたまるか。
「亡くなった人を思い続ける恋人の姿は。
亡くなった人を知る人の目に、美しく映るわ。」
とメグたん。
「佐竹ハヤトとモエカの関係だ。
終わることはない。」
「そう思いたかった?」
とメグたん。
「俺を見ていないモエカは、俺の友達だけを見ていた。
俺の友達とモエカの関係が終わりのある関係だと考えたことはなかった。」
「新しい愛の供給がなされないまま、変わらぬ愛を捧げ続ける。
そんな生活が出来るのは、生前の恋人と築いてきた関係性と、恋人が亡くなってからの環境次第。」
とメグたん。
「モエカの正義が勝たないデスゲームでの生活には、新しい恋が必要だったということか?」
「モエカが必要としていたのは、恋ではなかったね。」
とツカサ。
「恋ではなく、恋人を求めたということか?」
「モエカが求めていたのは、恋人と言い切るにはあやふやなものだった。」
とツカサ。
「供給されない愛を思い出に求めているうちは、まだ思い続けていられる。」
とメグたん。
「モエカの愛は佐竹ハヤトに向いていても、亡くなっている佐竹ハヤトからモエカへの愛が届くことはない、か。」
「愛される日々を経験しているモエカは、愛された日々を恋しく思うようになっていったわ。」
とメグたん。
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