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第3章 少女のSOSは、依頼となり、探偵を動かす。
54.君下が甥姪に話していない君下自身の話12。両親は、義兄のお嫁さんになった姉の再教育を遠回しに提案されたものの?否定しない両親。
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君下が思案する姿を前に、宇佐見兎氏はゆっくりと話す。
『大蔵さんにだけではなく、私にも確認がきた。
ネットで買えるのに、と後払いやカード払いでネットで買おうとし始めた芙蓉の娘さんを止めたときには、問題行動がありすぎる芙蓉の娘さんが、一人にならないように、常に何人かで見守るようにしていた。』
姉がそうまでして、買い物をしたかった理由は、今あるものに不満があったからなのだろうか。
家に既にあるなら、今のままで十分だと思ってしまう君下とは感覚が異なるのかもしれない。
『芙蓉さんの娘さんと芙蓉さんを交えて話し合いの場をもうけても。
娘さんはお父さんとお母さんには会いたくないと参加しようとしない。』
君下は、ぎょっとした。
両親がいる前で、両親に会いたくない理由を宇佐見兎氏から話させてしまった。
『姉が両親に会いたくないと言って、宇佐見兎さんは、両親にそのまま伝えたんですか?』
両親と宇佐見兎氏の三人に視線を走らせる。
『両親に会わない理由があるなら、両親に自身で伝えるように促すと。
会いたくないのは、両親が私のことを大事にしないからだと娘さん本人が伝えていた。』
君下は、姉に拒絶された両親の物悲しい気持ちと、仲人だからと姉の更生に努める宇佐見兎氏の苦労に胸が痛んだ。
君下といるときの姉は、そんな傍若無人な性格ではなかったのに。
君下の知らないうちに、姉は、買い物依存症にでもなったのだろうか。
『私から芙蓉さんに、娘さんの人間性と、散財と娘さん自身に対する投資への執着についてお話をした。』
宇佐見兎氏は、冷え冷えとした声を出した。
『芙蓉さんは、ご夫婦揃って同じことをお願いしてきた。
若い娘と結婚したんだから、一回り年下の娘のお願いくらい聞いてくれてもいいのでは、と。
成長を見守ってほしい、と。』
君下は、内心頭を抱える。
宇佐見兎氏と義兄は、両親に姉の再教育をさせたくて、両親に話したのだろう。
それなのに、両親ときたら。
『やんちゃな子どもが大人になったら、まともになるから、大人になるまで見守ってほしいというのと似ていますか?』
君下は控えめに認識の確認をした。
宇佐見兎氏は、瞼をわずかに動かす。
『大蔵家の資産を減らそうとする娘さんの育て方を反省されたり、大蔵さんと仲人の私に謝罪するお考えが、芙蓉さんには一切ない。
私と大蔵さんは、このときなって、芙蓉さんのお考えをはっきりと理解した。』
宇佐見兎氏の話す両親の様子を聞いて、君下は穴に入りたいと思った。
両親が宇佐見兎氏の発言にうんともすんとも言わずにいるのは、宇佐見兎氏の発言を肯定しているからだろうか?
それとも、逆らわずにいるだけだろうか。
両親が否定する様子も抗議する様子もなく静かにしている以上、君下が宇佐見兎氏の発言を嘘だと断じることもしにくい。
『両親がそのようだと分かってから、宇佐見兎さんと義兄は、どうされたんですか?』
確認しないわけにはいかない。
『芙蓉さんが、芙蓉さんの娘の教育をした結果が芙蓉さんの娘さんの現状なら、芙蓉さんに娘さんの教育に携わらせては悪化することは明白。』
君下は、グッと膝に置いた手を握った。
両親は、姉という子育てに失敗した、という烙印を押されたのだ。
義兄と仲人の宇佐見兎氏から。
『芙蓉さんの娘さんは、仲人を務めた私が一族の人手を使い継続。
大蔵さんのお子さんの教育は、大蔵さんが手配した。』
『義兄は姉に、子育てをさせなかったのですか?』
『大蔵さんのお嫁さんになる教育されていない娘さんが、子どもを育てたら、芙蓉の娘さんの要素を凝縮した子どもに育つ。
娘さん本人が、できる子育ては本人に携わらせてきた。』
ここは、お礼を述べるところだろうか?
『芙蓉の娘さんには、子どもを育てる頃になっても、大蔵一族の核となる部分を我が子に教育できるほどのものが備えられなかった。』
『確かに、知らないことは、教えられません。』
『芙蓉さんの娘さんでは、大蔵さんのお子さんを大蔵一族の子どもとして育てられない。』
奥歯に物が挟まったような言い方だと君下は思った。
『我が子の教育で、姉はしてはいけないことをしましたか?』
君下の脳裏に、虐待の二文字がチラつく。
しっかりはしている甥姪の情緒や健康に難があるようには、見えなかったが、もしや。
『大蔵のお子さんのための予算を母の機嫌は子どものためだと主張して、流用した形跡があり。
大蔵さんが、流用を指摘した以降、芙蓉の娘さんによる子どものための予算の流用は不可能になった。』
子育ての予算と聞いて思い浮かんだのは、オムツ代。
今日の帰り道、たまたまオムツを持ち帰っている人を見かけたから、オムツ代かな、と閃いただけで、子育てにかかる費用の内訳など君下には分からない。
義兄は、オムツを買うお金ではなく、オムツを姉に渡すようにしたということだろうか?
宇佐見兎氏の奥歯に物が挟まる言い方から、買い物に執着した姉の行状を推測すると。
義兄が用意した誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントをあげずに転売して現金化した、ということではないことを君下は祈りたい。
『大蔵さんにだけではなく、私にも確認がきた。
ネットで買えるのに、と後払いやカード払いでネットで買おうとし始めた芙蓉の娘さんを止めたときには、問題行動がありすぎる芙蓉の娘さんが、一人にならないように、常に何人かで見守るようにしていた。』
姉がそうまでして、買い物をしたかった理由は、今あるものに不満があったからなのだろうか。
家に既にあるなら、今のままで十分だと思ってしまう君下とは感覚が異なるのかもしれない。
『芙蓉さんの娘さんと芙蓉さんを交えて話し合いの場をもうけても。
娘さんはお父さんとお母さんには会いたくないと参加しようとしない。』
君下は、ぎょっとした。
両親がいる前で、両親に会いたくない理由を宇佐見兎氏から話させてしまった。
『姉が両親に会いたくないと言って、宇佐見兎さんは、両親にそのまま伝えたんですか?』
両親と宇佐見兎氏の三人に視線を走らせる。
『両親に会わない理由があるなら、両親に自身で伝えるように促すと。
会いたくないのは、両親が私のことを大事にしないからだと娘さん本人が伝えていた。』
君下は、姉に拒絶された両親の物悲しい気持ちと、仲人だからと姉の更生に努める宇佐見兎氏の苦労に胸が痛んだ。
君下といるときの姉は、そんな傍若無人な性格ではなかったのに。
君下の知らないうちに、姉は、買い物依存症にでもなったのだろうか。
『私から芙蓉さんに、娘さんの人間性と、散財と娘さん自身に対する投資への執着についてお話をした。』
宇佐見兎氏は、冷え冷えとした声を出した。
『芙蓉さんは、ご夫婦揃って同じことをお願いしてきた。
若い娘と結婚したんだから、一回り年下の娘のお願いくらい聞いてくれてもいいのでは、と。
成長を見守ってほしい、と。』
君下は、内心頭を抱える。
宇佐見兎氏と義兄は、両親に姉の再教育をさせたくて、両親に話したのだろう。
それなのに、両親ときたら。
『やんちゃな子どもが大人になったら、まともになるから、大人になるまで見守ってほしいというのと似ていますか?』
君下は控えめに認識の確認をした。
宇佐見兎氏は、瞼をわずかに動かす。
『大蔵家の資産を減らそうとする娘さんの育て方を反省されたり、大蔵さんと仲人の私に謝罪するお考えが、芙蓉さんには一切ない。
私と大蔵さんは、このときなって、芙蓉さんのお考えをはっきりと理解した。』
宇佐見兎氏の話す両親の様子を聞いて、君下は穴に入りたいと思った。
両親が宇佐見兎氏の発言にうんともすんとも言わずにいるのは、宇佐見兎氏の発言を肯定しているからだろうか?
それとも、逆らわずにいるだけだろうか。
両親が否定する様子も抗議する様子もなく静かにしている以上、君下が宇佐見兎氏の発言を嘘だと断じることもしにくい。
『両親がそのようだと分かってから、宇佐見兎さんと義兄は、どうされたんですか?』
確認しないわけにはいかない。
『芙蓉さんが、芙蓉さんの娘の教育をした結果が芙蓉さんの娘さんの現状なら、芙蓉さんに娘さんの教育に携わらせては悪化することは明白。』
君下は、グッと膝に置いた手を握った。
両親は、姉という子育てに失敗した、という烙印を押されたのだ。
義兄と仲人の宇佐見兎氏から。
『芙蓉さんの娘さんは、仲人を務めた私が一族の人手を使い継続。
大蔵さんのお子さんの教育は、大蔵さんが手配した。』
『義兄は姉に、子育てをさせなかったのですか?』
『大蔵さんのお嫁さんになる教育されていない娘さんが、子どもを育てたら、芙蓉の娘さんの要素を凝縮した子どもに育つ。
娘さん本人が、できる子育ては本人に携わらせてきた。』
ここは、お礼を述べるところだろうか?
『芙蓉の娘さんには、子どもを育てる頃になっても、大蔵一族の核となる部分を我が子に教育できるほどのものが備えられなかった。』
『確かに、知らないことは、教えられません。』
『芙蓉さんの娘さんでは、大蔵さんのお子さんを大蔵一族の子どもとして育てられない。』
奥歯に物が挟まったような言い方だと君下は思った。
『我が子の教育で、姉はしてはいけないことをしましたか?』
君下の脳裏に、虐待の二文字がチラつく。
しっかりはしている甥姪の情緒や健康に難があるようには、見えなかったが、もしや。
『大蔵のお子さんのための予算を母の機嫌は子どものためだと主張して、流用した形跡があり。
大蔵さんが、流用を指摘した以降、芙蓉の娘さんによる子どものための予算の流用は不可能になった。』
子育ての予算と聞いて思い浮かんだのは、オムツ代。
今日の帰り道、たまたまオムツを持ち帰っている人を見かけたから、オムツ代かな、と閃いただけで、子育てにかかる費用の内訳など君下には分からない。
義兄は、オムツを買うお金ではなく、オムツを姉に渡すようにしたということだろうか?
宇佐見兎氏の奥歯に物が挟まる言い方から、買い物に執着した姉の行状を推測すると。
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