言霊の手記

かざみはら まなか

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第2章 憶測で語らない。可能性は否定しない。

35.牡丹の庭小学校への近隣住民による積極的な干渉を推し進めたのは?教員の働き方改革を掲げ、小学校をモデルスクール化した意図は?

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「牡丹の庭小学校の児童は、牡丹の庭中学校の生徒になる。

流出させないという囲い込みから、牡丹の庭中学校の生徒としての早期教育へと方針転換した。」
と奈美。

「小学校を通じて管理していなかった児童を牡丹の庭中学校に進学させるより、管理してきた児童を牡丹の庭中学校の生徒にした方が、牡丹の庭中学校には都合が良くなる。」
と萃。

牡丹の庭中学校に進学した生徒は、全員が従順なわけではない。

手記を便箋にしたためることを思いついて実行した女子中学生のように、虎視眈々と機会を狙っている生徒もいる。

「牡丹の庭小学校の六年生を制服の受け取り日に逆らえなくするだけでは、管理が足りないという結論に達した?」
と透雲。

「牡丹の庭中学校の生徒に、手こずった経験から、中学生になる前に逆らえなくしようとしている?」
と奈美。

「牡丹の庭中学校を蟻地獄に変えた市は。

牡丹の庭中学校の校区の団地の空室状況を改善するために。

市から補助を出して、市外から子持ち家庭を集めてきた。

牡丹の庭中学校の校区の人口微増は、市の成功経験じゃないのに、同じことを繰り返すか。

地獄の釜を閉めて、煮詰まらせただけなのに。」
と透雲。

透雲の中で、大人への怒りがぐるぐるととぐろを巻いていく。

「教育現場の働き方改革。

教員の負担を減らすという名目で。

小学校という子どものために用意された安全であった箱を安全でなくした。」
と奈美。

「牡丹の庭小学校がモデルスクールに指定されて。

近隣住民は、小学校の児童と小学校に我が物顔で振る舞えるようになっている。」
と指摘する萃。

「モデルスクール化した牡丹の庭小学校は、児童が行きたい学校だと言える?」
と透雲。

「牡丹の庭中学校のように、牡丹の庭小学校も学校の中が混乱していない?」
と奈美。

「牡丹の庭中学校の女子生徒は、手記をしたためてから、手記を外に出すタイミングを見計らっていた。

女子生徒は、いつ、どのようにして、決行するタイミングを決めた?」
と透雲。

「手記を市外へ出すことを成功させるには。

牡丹の庭中学校の女子生徒を監視する包囲網の隙をつく必要がある。」
萃。

「女子生徒が隙をつけたのは、牡丹の庭中学校だけでなく、牡丹の庭小学校の情勢も、女子生徒の元に入ってきていた。

手記をしたためた女子生徒は、近隣住民の動きを校区全体の流れで把握できる立ち位置にいた。」
奈美。

「手記をしたためた牡丹の庭中学校の女子生徒には、牡丹の庭小学校に通う小学生の妹がいる。」
萃。

「近隣住民が、牡丹の庭中学校にあがる児童の管理という仕事を請け負う。

これを先に提唱した市は、牡丹の庭中学校のときよりも、狡猾になった。」
と透雲。

「市は、市の決定に反発することは、教員にも学校にも良くないことであるかのような印象操作に成功している。」
と萃。

「小学校と教員が近隣住民に協力することに対する心理的な抵抗や反発を表に出すことを牽制した市は、反抗したい人達の気勢を先にそぐことに成功。」
と奈美。

「牡丹の庭中学校を支配したときに、上手な支配の仕方を考えた?」
と透雲。

奈美は、学年裁判というものについて詳しく把握する必要があると判断した。

「学年裁判は、たまたま始まったものではないんじゃない?

学年裁判というのは、いつから始まった?」
と奈美。

「市の施策で、市の補助で団地に入居している家庭の児童が、牡丹の庭小学校の全児童の過半数を超えた年に、多数決で。」
と萃。

「いくら多数決でも、裁判の皮をかぶったリンチを小学校が公認する?」
と透雲。

「児童会の会長選挙に立候補した児童が、会長になったら牡丹の庭小学校らしさを前面に出すと約束します、と選挙目標に掲げて、会長に当選。

牡丹の庭小学校に学年裁判を導入すると発表。」
と萃。

「児童会選挙で公約にしたからといって。

児童会の力で、小学校に新しい風を吹かせたい大人なんて存在する?

児童の代表という顔をさせる以外で、大人が児童会に求める姿があるとは驚く。」
と透雲。

「牡丹の庭小学校は、教員の負担を減らすためのモデルスクール。

牡丹の庭小学校の教員負担を減らすという名目で、通った。

児童のことは児童に任せる。

教師が児童の指導を抱え込むのではなく。

児童が互いに切磋琢磨する環境の小学校へ。

教員が見守りに徹することで、児童自らが、学校を変えたいという思いを力に変えて実現させるまでに成長した、と。」
と萃。

「先生が見守りに徹するというのは。

小学校内での児童同士での揉め事に、先生は介入しないということを意味しない?」
と奈美。

「牡丹の庭小学校の児童が声を上げることで始まった学年裁判は、児童の自主性を重んじるものである。

個人としての独立性と。

集団に調和する重要性。

児童が小学校教育を通して、積極的に学ぶ姿勢を自ら身につけることを目的として、学年裁判が始まったことを応援する。

この応援文は、学年裁判の開廷の都度、読み上げられる。」
と萃。

「応援されている裁判だから、と従え、と言いたい?」
奈美。

「学年裁判を応援しているのは、誰?」
と透雲。

「個人名はなし。市の名前だけ。」
と萃。

「偽造していない?」
と透雲。

「偽造されていても、本物を知らないから。」
と萃。

「学年裁判は、裁判の形式に則った嫌がらせ?」
と奈美。

「入場門が壊れたときに実際にふざけていたのは、当該中学受験を希望する児童の後ろにいた児童。」
と萃。

「入場門にぶつかった児童は、後ろに並んでいた児童によってぶつからされた?」
と透雲。

「後ろの児童がぶつかったは、そよ風くらいの勢いだった。

中学受験を希望する当該児童は、自ら入場門にぶつかりにいった、というように事実を認定されている。」
と萃。

「うわあ。」
と透雲。
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