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第2章 憶測で語らない。可能性は否定しない。
36.牡丹の庭小学校の児童と牡丹の庭中学校の生徒のどん詰まり。最初に開発されたままの土地で再開発できるものがあるなら、それは?
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「牡丹の庭中学校以外の中学校へ進学しようとする意思を失わせるまで、嫌がらせは続く。」
と萃。
「中学受験を希望した当該児童は、中学受験して牡丹の庭中学校以外の中学校へ行った?」
と奈美。
「牡丹の庭中学校へ進学し、一度も登校せずに、通信制高校へ進んだ。」
と萃。
「小学校の同級生が敵ばかりとなれば。
小学校の同級生が持ち上がる中学校には、登校しない方が生存率が上がる。」
と透雲。
「このときに、牡丹の庭中学校へ進学しても制服も買わない、一日も登校しないことで、写真を撮られないことに成功するという事例が出来た。」
と萃。
「同じ方法は、もう使えなくされている?」
と奈美。
「次の年からは、中学校の制服の採寸と受け渡しが、小学校の行事に組み込まれた。
採寸は、クラス単位。
制服の受け取りは、家からではなく、小学校から中学校へとなっている。」
と萃。
透雲は、失明した三人の保護者が、小学校卒期前の女子児童三人が、中学校で中学校の制服を受け取る日に、子ども達とは別行動をしていて、中学校に押し入ろうとした意味を理解した。
「小六への中学校の制服受け渡し日に、保護者が、中学校の中へ押し入ろうとして捕まったという理由が分かった。
中学校の制服の受け渡しが小学校の学校行事に組み込まれていたからか。
行事を中断させる部外者は、業者ではなく、保護者の方になる。」
と透雲。
萃は、軽く頷く。
「抜け出そうとする児童や、抜け出させたり、休ませようとさせる保護者はいなかった?」
と奈美。
「児童の付き添い、お手伝いとして、採寸と引き渡しの二日間は、児童が逃げ出したりしないように、大人が張り付く。」
と萃。
「小学校のPTAの方々?」
と透雲。
「牡丹の庭小学校の児童の成長を見守る地域の有志の方々。」
と萃。
「有志は、市の施策で団地に入居した人達?」
と透雲。
「そう。有志の方々には、二日間の日当と昼食代が支払われている。」
と萃。
「児童がスーパーから逃げようとすると、どうなる?」
と奈美。
「客に紛れ込んだ有志の方々に捕まり、採寸後は、小学校に戻って学年裁判。」
と萃。
「牡丹の庭小学校の女子児童を牡丹の庭中学校以外に行かせないように、地域住民の有志が有償で協力?」
と奈美。
「有償協力した地域の有志の方々へ渡った金の出処は、どこだ?」
と透雲。
お金について親から念を押されている透雲は、お金の流れと大人には厳しい目を向ける。
「団地の自治会と小学校のPTA会費から。」
と萃。
「市の施策で、市の補助をもらって団地に入居した家庭は、自治会費の支払いを拒否して団地の自治会に入らなかったんじゃなかった?」
と透雲。
「入っていない。」
と萃。
「他人の出した金で、日当と昼食代を受け取り、他所の子どもを地獄に送り込む獄卒をやるのか。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校を狩り場にするための市の施策だったのか?
市の施策を利用して、牡丹の庭中学校を狩り場にしたのか?」
と奈美。
「牡丹の庭中学校の校区は、最初の開発計画に、校区の土地全ての開発が盛り込まれて実現されている。
団地からの転居者が相次いだとき。
近隣に代わりの建物を用意するから仮住まいで、団地の建て替えを待って再入居するという話が持ち上がっている。
牡丹の庭中学校の校区内には土地にあそびの部分がない。
市が提供可能な仮住まいは、牡丹の庭中学校の校区と駅を挟んで反対側、さらに駅からも遠くなるという提案だった。」
と萃。
「小中学生の子どもがいる家庭は、子育てのために住んでいることを理由に引っ越しを拒否した?」
と奈美。
「このときは、子どもが巣立って二人になっている家庭の方が強く転居を拒否した。
再開発は必要かもしれないが、今はまだ必要ない、と。」
と萃。
ああ、人か、人だったか、と透雲は、小さく繰り返した。
「牡丹の庭中学校の校区は、再開発されていないような気がしていたけれど、違ったかも。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校の校区のどこを再開発した?」
と奈美。
「牡丹の庭中学校の校区は、建物を取り壊すことなく再開発が進んだ。
再開発されたのは土地ではなく、土地に住まう人。」
と透雲。
奈美、萃、透雲の三人は、会話を止めて考える。
「牡丹の庭中学校の件。」
と奈美。
「うん。」
と透雲。
萃は、黙って奈美に続きを促す。
「牡丹の庭中学校に通う生徒と保護者は、突然の嵐に見舞われ、右往左往して逃げそびれた。」
と奈美。
「市の施策が始まってすぐから転出者が相次いだ時期に一緒に逃げ出し、団結して集団で攻勢に転じる方法もあったけれど、もうその方法は封じられた。」
と萃。
萃は、牡丹の庭中学校の校区の土地の金額が右肩下がりになっていくグラフを示す。
奈美は、グラフを見ながら発言する。
「市の施策で入居してくる人以外が増えきる前に、牡丹の庭中学校の校区から一気に大量に転出を済ませ。
市の施策で入居してきた家庭の子どもしか、牡丹の庭中学校の校区にいない状態にしてしまえば。
牡丹の庭中学校の校区に住まう少女を狙う目論見は、空振りに終わらせることが出来たんじゃない?」
と奈美。
萃は、うん、と頷いている。
一方、透雲は、奈美の見解に賛成していない。
「牡丹の庭中学校の校区にある持ち家のローンを払いながら、新しい生活のための費用を揃えないといけない、と考えて、転出しなかった人が残ったなら。
さらに状況が悪くなるところまでは、とても考えられなかったんじゃないかな。」
と透雲。
「何も考えたくなかった、ということもかもしれない。」
と萃。
「引っ越しをしたらお金が足りなくなると分かっている。
今、何とかなっているから、と決断を先延ばしにして様子を見ようとしていた?」
と奈美。
「他にも買った土地や建てた家に思い入れがあったから、ということもあるかもしれない。」
と透雲。
と萃。
「中学受験を希望した当該児童は、中学受験して牡丹の庭中学校以外の中学校へ行った?」
と奈美。
「牡丹の庭中学校へ進学し、一度も登校せずに、通信制高校へ進んだ。」
と萃。
「小学校の同級生が敵ばかりとなれば。
小学校の同級生が持ち上がる中学校には、登校しない方が生存率が上がる。」
と透雲。
「このときに、牡丹の庭中学校へ進学しても制服も買わない、一日も登校しないことで、写真を撮られないことに成功するという事例が出来た。」
と萃。
「同じ方法は、もう使えなくされている?」
と奈美。
「次の年からは、中学校の制服の採寸と受け渡しが、小学校の行事に組み込まれた。
採寸は、クラス単位。
制服の受け取りは、家からではなく、小学校から中学校へとなっている。」
と萃。
透雲は、失明した三人の保護者が、小学校卒期前の女子児童三人が、中学校で中学校の制服を受け取る日に、子ども達とは別行動をしていて、中学校に押し入ろうとした意味を理解した。
「小六への中学校の制服受け渡し日に、保護者が、中学校の中へ押し入ろうとして捕まったという理由が分かった。
中学校の制服の受け渡しが小学校の学校行事に組み込まれていたからか。
行事を中断させる部外者は、業者ではなく、保護者の方になる。」
と透雲。
萃は、軽く頷く。
「抜け出そうとする児童や、抜け出させたり、休ませようとさせる保護者はいなかった?」
と奈美。
「児童の付き添い、お手伝いとして、採寸と引き渡しの二日間は、児童が逃げ出したりしないように、大人が張り付く。」
と萃。
「小学校のPTAの方々?」
と透雲。
「牡丹の庭小学校の児童の成長を見守る地域の有志の方々。」
と萃。
「有志は、市の施策で団地に入居した人達?」
と透雲。
「そう。有志の方々には、二日間の日当と昼食代が支払われている。」
と萃。
「児童がスーパーから逃げようとすると、どうなる?」
と奈美。
「客に紛れ込んだ有志の方々に捕まり、採寸後は、小学校に戻って学年裁判。」
と萃。
「牡丹の庭小学校の女子児童を牡丹の庭中学校以外に行かせないように、地域住民の有志が有償で協力?」
と奈美。
「有償協力した地域の有志の方々へ渡った金の出処は、どこだ?」
と透雲。
お金について親から念を押されている透雲は、お金の流れと大人には厳しい目を向ける。
「団地の自治会と小学校のPTA会費から。」
と萃。
「市の施策で、市の補助をもらって団地に入居した家庭は、自治会費の支払いを拒否して団地の自治会に入らなかったんじゃなかった?」
と透雲。
「入っていない。」
と萃。
「他人の出した金で、日当と昼食代を受け取り、他所の子どもを地獄に送り込む獄卒をやるのか。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校を狩り場にするための市の施策だったのか?
市の施策を利用して、牡丹の庭中学校を狩り場にしたのか?」
と奈美。
「牡丹の庭中学校の校区は、最初の開発計画に、校区の土地全ての開発が盛り込まれて実現されている。
団地からの転居者が相次いだとき。
近隣に代わりの建物を用意するから仮住まいで、団地の建て替えを待って再入居するという話が持ち上がっている。
牡丹の庭中学校の校区内には土地にあそびの部分がない。
市が提供可能な仮住まいは、牡丹の庭中学校の校区と駅を挟んで反対側、さらに駅からも遠くなるという提案だった。」
と萃。
「小中学生の子どもがいる家庭は、子育てのために住んでいることを理由に引っ越しを拒否した?」
と奈美。
「このときは、子どもが巣立って二人になっている家庭の方が強く転居を拒否した。
再開発は必要かもしれないが、今はまだ必要ない、と。」
と萃。
ああ、人か、人だったか、と透雲は、小さく繰り返した。
「牡丹の庭中学校の校区は、再開発されていないような気がしていたけれど、違ったかも。」
と透雲。
「牡丹の庭中学校の校区のどこを再開発した?」
と奈美。
「牡丹の庭中学校の校区は、建物を取り壊すことなく再開発が進んだ。
再開発されたのは土地ではなく、土地に住まう人。」
と透雲。
奈美、萃、透雲の三人は、会話を止めて考える。
「牡丹の庭中学校の件。」
と奈美。
「うん。」
と透雲。
萃は、黙って奈美に続きを促す。
「牡丹の庭中学校に通う生徒と保護者は、突然の嵐に見舞われ、右往左往して逃げそびれた。」
と奈美。
「市の施策が始まってすぐから転出者が相次いだ時期に一緒に逃げ出し、団結して集団で攻勢に転じる方法もあったけれど、もうその方法は封じられた。」
と萃。
萃は、牡丹の庭中学校の校区の土地の金額が右肩下がりになっていくグラフを示す。
奈美は、グラフを見ながら発言する。
「市の施策で入居してくる人以外が増えきる前に、牡丹の庭中学校の校区から一気に大量に転出を済ませ。
市の施策で入居してきた家庭の子どもしか、牡丹の庭中学校の校区にいない状態にしてしまえば。
牡丹の庭中学校の校区に住まう少女を狙う目論見は、空振りに終わらせることが出来たんじゃない?」
と奈美。
萃は、うん、と頷いている。
一方、透雲は、奈美の見解に賛成していない。
「牡丹の庭中学校の校区にある持ち家のローンを払いながら、新しい生活のための費用を揃えないといけない、と考えて、転出しなかった人が残ったなら。
さらに状況が悪くなるところまでは、とても考えられなかったんじゃないかな。」
と透雲。
「何も考えたくなかった、ということもかもしれない。」
と萃。
「引っ越しをしたらお金が足りなくなると分かっている。
今、何とかなっているから、と決断を先延ばしにして様子を見ようとしていた?」
と奈美。
「他にも買った土地や建てた家に思い入れがあったから、ということもあるかもしれない。」
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