《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。

60.この世界で、神子様の地位は、国王陛下に並びます。オレは、神子様と公爵がくっつくのを待っているけれど、神子様を警戒しています。

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王都に戻る話をひっくり返せなかったオレは、神子様について、公爵の口から話を聞くことにした。

オレは、神子様を警戒している。

しかし、この世界の人に、オレの警戒心を悟られるわけにはいかない。

神子様への警戒心を敵意だと曲解されたら、オレの命はない。

それぐらい、神子様について問うのは、危うい話題だ。

オレは、リスクも承知の上で、人前で聞くことにした。

公爵だけに聞いても、オレの聞きたい話は聞けない。

オレは、公爵をあてにしていない。

というより、この世界の誰もあてにしていない。

この世界で、公爵家で、暮らしていて、オレが肌で感じたこと。

この世界は、地位が絶対。


公爵は、今も、手探りで仕事を進めている。

魔王により、両親が消失したために、引き継ぎも何もないまま、両親の仕事を引き受けることになった公爵。

引き継ぎがあれば、今のように苦戦しなかったと公爵は話していた。

公爵という立場上、任された仕事を相談する相手が国王陛下しかいない、そうだ。

公爵としての仕事に加え、両親が消失したことに関する仕事も一時的に増えた。


『増大した仕事量を誰かに振り分けては?』

公爵の話を聞いて、オレは軽く提案してみた。

公爵は、仕事を振り分けるという考え方を知らなかった。

公爵に任される仕事は、重要なものが多い。

とはいえ、全部が全部、公爵がしなくても良かった。

『仕事を振り分けることを知らない。
仕事の振り分け方も知らない。

誰に、何を振り分けたらいいのかも、分からない。』

公爵は、そう話した。

公爵の仕事、国の仕事。

渡された仕事をそのまま引き受けて、家に帰れなくなっていたそうだ。

昨日、雑魚寝トークで寝物語に聞いた。

公爵は、爵位を継いだ日から、ずっと王城で寝泊まりしていた。

公爵は、毎日、積み上がっていく仕事を見ながら、何日も前に渡された仕事をしている状態が続いている。

よく、壊れなかったと思う。

思わず、公爵をよしよししていたよ。

「よく頑張ったな。体を壊さなかったのは奇跡だ。」
と声をかけた。

公爵は、王都での仕事の話をするとき、能面みたいになっていたから、ストレスが半端なかったんだろう。

公爵に、公爵が抱える仕事を減らす方向にシフトしていきたい、と声を上げるように助言した。

公爵領で、感情豊かな一面を見せている公爵を知ると、前と同じ環境を継続してはまずいと分かったから。

周りは、公爵が、ヤバそうだと思っていても、公爵より地位が低いと声をかけられない。

公爵の過重労働は、公爵自身が解決していくことになった。



オレが、今、オレに関することで、問題視しているのは、地位が絶対、というこの世界のルール。

オレは、ヤグルマさんに差し支えない範囲で、神子様に関する常識を教えてもらった。

神子様の地位は、国王陛下に並ぶ。

神子様と絶対的に対等な立場でいられるのは、実際に魔王を討伐した英雄のみ。


神子様が、押しかけてきて辟易したはずの公爵家の使用人でさえ、神子様を悪く言わなかった。

オレに対してかけてくる、使用人の労りの言葉は、全て真心がこもっていた。

神子様の来襲にあったオレの心身を心配してくれていたのに。


だから。

この世界では、神子様を悪く言う習慣がないのだと考えた。

推測だけど、神子様を悪く言うことは、この世界の禁忌に近いんじゃないか、と。


神子様の話題を出すには、慎重に話を切り出し、話の運びには細心の注意を払わなくてはならない。

「公爵。オレは、神子様について、知りたい。王都に戻る前に。」

敵前逃亡が出来ないなら、敵に詳しくなって、対策を練らなければ。

オレの生存のために。
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