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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
309.ミーレ長官の焦りは、情報全公開の弊害ですか?ミーレ長官に接触してきたのは、どこのどいつですか?スパイを野放しにした弊害が、今ここに。
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「今回、女神様が顕現されたのは、女神様の英雄を蔑ろにした者への裁定を下すため。
裁定後も顕現されているのは、女神様のお気持ち。」
オレの加護としての顕現だから、多分、女神様として力をふるうことに制約がある。
「ヒサツグ様が、女神様にお聞きくだされば。」
とミーレ長官。
お母さんの最期が知りたいというミーレ長官の思いを粗雑に扱いたくはないけれどなー。
聞く相手が女神様だってこと、忘れていないかな?
女神様の思考自体が、一筋縄ではいかないのもあるけれど。
女神様の住人に対する認識は、しもべの国王陛下とお気に入りの英雄と、それ以外、なんだぞ?
ミーレ長官には、そういう話をしたはずなんだけどなー。
なんでだろうな?
以前は思い込みで突っ走っていたけれど、今回は、追い詰められているような。
追い詰められ?
ミーレ長官を追い詰める人が、今のケレメイン大公国にいるかな?
あー。
いた、いた。
世界各国からの選りすぐりのお客様を野放しにしていたんだった。
情報全公開の弊害だな。
どこのどいつだ?
どのスパイだ?
ミーレ長官に、何をささやいて、動揺させたのかな?
「ミーレ長官は、女神様に聞くことで、失うものの覚悟はしている?
今までと同じではいられない、という覚悟はある?」
「どのような話でも。」
とミーレ長官。
「甘い。
オレが、対等な女神様に話を聞くとなれば、話に見合う対価をミーレ長官が用意しなければならない。
女神様は、気に入ったものは、魔王の消失で、勝手に持っていく。
現在、この世界にあるものは、女神様が持っていかなかったもの。
残されたものの中に、女神様が、新たに気に入って、対価として受け取ってもらえるものがないと、女神様から話は聞けない。」
「そんな。価値がないものしかないとは。」
とミーレ長官。
「女神様にとって価値があるという点と、人が価値を見出す点は、全く同じだとは限らない。」
とクロード。
その通り。
「女神様は、技術のある人を持っていく。技術を生み出す人に価値を見出す。
女神様に確認したわけじゃないけれど、消失でこの世から姿を消した人の共通点から、傾向を調べることはできた。
女神様は、その人自身ではなく、その人にある才能を愛している。
芸術そのものじゃなく、芸術を生み出す才能。
例えば、歌がうまいと評判でも、自分で歌詞や曲を作っていない人は、消失していない。
消失したのは、自分の世界観を作り出せる人の中で、女神様の基準を満たし、女神様の好みに合う人。」
ミーレ長官は、瞬き一つしない。
どんだけ思い詰めているのかが、伝わってくる。
どこのスパイだ!
何を吹き込んだ?
クロードが言おうとした台詞を、オレは止めた。
ミーレ長官は、オレの部下だ。
上司のオレが言わなくちゃならないんだ。
「女神様に願うなら、ミーレ長官は、女神様に差し出す必要がある。
お母さんの死の真相に迫るために、別の命を。
ケレメイン大公国の国民ではない人の命を。」
ミーレ長官は、はっとした様子を見せた。
「ミーレ長官は、ケレメイン大公国の国民だからな?
女神様は、ミーレ長官の命は持っていかないぞ。」
ミーレ長官は、自身の命を賭けて、真相に迫ろうと考えているような気がしていたんだ。
ミーレ長官が、自身の命を賭けようと思うってことは、スパイが接触してきた内容は、ミーレ長官の妻子に関わる情報かな。
「ミーレ長官が、別の命を差し出すと決めているなら、準備が必要だぞ?
外国で才能ある人を見つけてきて、その才能を技術として継承させておかないとな。
女神様に差し出せば、その才能は、永遠に人の世から失われるんだ。
その点、人は、女神様とは違う。
極言すれば、技術を生み出したその人自身でなくても、技術が使えさえしたら、満足だ。
技術が、技法として公開されたら、技術者が誰でも気にならない。
品質が維持できていれば、という前提はあるけどな。」
ミーレ長官の奥様が、心配そうにミーレ長官を見ている。
ミーレ長官の奥様は、ミーレ長官の事情を知らないのかな。
「ミーレ長官は、抱え込んでいるものを、吐き出せ。
ミーレ長官が、抱え込んでいるものをどうにかするのは、ミーレ長官一人じゃ難しいだろ?
オレは、ミーレ長官の上司だぞ?
部下なら、相談しにこい!」
裁定後も顕現されているのは、女神様のお気持ち。」
オレの加護としての顕現だから、多分、女神様として力をふるうことに制約がある。
「ヒサツグ様が、女神様にお聞きくだされば。」
とミーレ長官。
お母さんの最期が知りたいというミーレ長官の思いを粗雑に扱いたくはないけれどなー。
聞く相手が女神様だってこと、忘れていないかな?
女神様の思考自体が、一筋縄ではいかないのもあるけれど。
女神様の住人に対する認識は、しもべの国王陛下とお気に入りの英雄と、それ以外、なんだぞ?
ミーレ長官には、そういう話をしたはずなんだけどなー。
なんでだろうな?
以前は思い込みで突っ走っていたけれど、今回は、追い詰められているような。
追い詰められ?
ミーレ長官を追い詰める人が、今のケレメイン大公国にいるかな?
あー。
いた、いた。
世界各国からの選りすぐりのお客様を野放しにしていたんだった。
情報全公開の弊害だな。
どこのどいつだ?
どのスパイだ?
ミーレ長官に、何をささやいて、動揺させたのかな?
「ミーレ長官は、女神様に聞くことで、失うものの覚悟はしている?
今までと同じではいられない、という覚悟はある?」
「どのような話でも。」
とミーレ長官。
「甘い。
オレが、対等な女神様に話を聞くとなれば、話に見合う対価をミーレ長官が用意しなければならない。
女神様は、気に入ったものは、魔王の消失で、勝手に持っていく。
現在、この世界にあるものは、女神様が持っていかなかったもの。
残されたものの中に、女神様が、新たに気に入って、対価として受け取ってもらえるものがないと、女神様から話は聞けない。」
「そんな。価値がないものしかないとは。」
とミーレ長官。
「女神様にとって価値があるという点と、人が価値を見出す点は、全く同じだとは限らない。」
とクロード。
その通り。
「女神様は、技術のある人を持っていく。技術を生み出す人に価値を見出す。
女神様に確認したわけじゃないけれど、消失でこの世から姿を消した人の共通点から、傾向を調べることはできた。
女神様は、その人自身ではなく、その人にある才能を愛している。
芸術そのものじゃなく、芸術を生み出す才能。
例えば、歌がうまいと評判でも、自分で歌詞や曲を作っていない人は、消失していない。
消失したのは、自分の世界観を作り出せる人の中で、女神様の基準を満たし、女神様の好みに合う人。」
ミーレ長官は、瞬き一つしない。
どんだけ思い詰めているのかが、伝わってくる。
どこのスパイだ!
何を吹き込んだ?
クロードが言おうとした台詞を、オレは止めた。
ミーレ長官は、オレの部下だ。
上司のオレが言わなくちゃならないんだ。
「女神様に願うなら、ミーレ長官は、女神様に差し出す必要がある。
お母さんの死の真相に迫るために、別の命を。
ケレメイン大公国の国民ではない人の命を。」
ミーレ長官は、はっとした様子を見せた。
「ミーレ長官は、ケレメイン大公国の国民だからな?
女神様は、ミーレ長官の命は持っていかないぞ。」
ミーレ長官は、自身の命を賭けて、真相に迫ろうと考えているような気がしていたんだ。
ミーレ長官が、自身の命を賭けようと思うってことは、スパイが接触してきた内容は、ミーレ長官の妻子に関わる情報かな。
「ミーレ長官が、別の命を差し出すと決めているなら、準備が必要だぞ?
外国で才能ある人を見つけてきて、その才能を技術として継承させておかないとな。
女神様に差し出せば、その才能は、永遠に人の世から失われるんだ。
その点、人は、女神様とは違う。
極言すれば、技術を生み出したその人自身でなくても、技術が使えさえしたら、満足だ。
技術が、技法として公開されたら、技術者が誰でも気にならない。
品質が維持できていれば、という前提はあるけどな。」
ミーレ長官の奥様が、心配そうにミーレ長官を見ている。
ミーレ長官の奥様は、ミーレ長官の事情を知らないのかな。
「ミーレ長官は、抱え込んでいるものを、吐き出せ。
ミーレ長官が、抱え込んでいるものをどうにかするのは、ミーレ長官一人じゃ難しいだろ?
オレは、ミーレ長官の上司だぞ?
部下なら、相談しにこい!」
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