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大学生のえみちゃん
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僕が拾われてから数日がたったーー
エミちゃんは大学に通う三年生だということが判った。キャンパスの近くにアパートを借りて一人で暮らしている。美人な女子大生と、まさかの同棲生活。一人と一匹が一つ屋根の下で暮らすとは。ネコに生まれ変わったことは悲しいが、綺麗な女の子の家に住めるだなんて……僕は心を躍らせた。
そして、今朝も布団の上で彼女の寝息に聞き耳をたてている。規則正しい呼吸は実に心地がよい。布団がゆりかごのように、高くなり低くなり。エミちゃんが目を覚まさないよう息をひそめながら、可愛い寝顔を覗き込んだ。
“うっ、うん……”
エミちゃんは眉をひそめた。もしや悪夢でも見ているのだろうか?
僕は「にゃー」と言って、朝だよと知らせてやる。
エミちゃんはうっすらと瞼を開けた。僕はぺろりんと鼻先を舐めてやる。寝ぼけ眼の彼女はくすぐったいと鼻をひくひくさせた。
ややしばらくして「おもい、おもい」と言いながら、目をぱっちり開けた。布団をはねのけ、起き上がる。僕はジャンプしてカーペットの上に降り立った。
「凛太郎、金縛りにあったかと思ったよ……」
困った顔のエミちゃんに、僕はニャーの挨拶をした。
お昼ごろ、サークル仲間の女子大生たちがやってきた。
「かわゆい」
「綺麗なネコちゃん。きみは何が好きなのかな?」
二人の女友達は僕をなでたり、抱っこしたり。エミちゃんはニコニコしながらそれを見ている。
「凛太郎の好物はポテチなんだよね」
「ほんとに?」
キラキラネイルのモモちゃんは目を丸くする。
「この子、ネコが好きそうなエサが嫌いなの」
「なるほど。実は凛太朗のお土産に、高級缶詰を持参してきたんだけど、試しに食べさせてみない?」
ボーイッシュな装いのアズリンが、黒ネコ魔法使がトレードマークの缶詰を床に置いた。
「いろいろ試したんだけど、お魚がキライみたいなんだよね」
「うちの子も他の餌はいまいちだけど、これは好だよ。ものは試し――」
そう言ってアズリンは高級缶詰の欠片を掌に乗せ、僕の口許へ持ってゆく。青臭い匂いはしなかった。ぺろりんと舐めてみる。味はツナ缶みたいだった。腹が鳴った。ネコになって以来、まともな食事にありつけなかった僕は、缶に顔を突っ込みがつがつと食べた。腹が膨れると、すぐに眠けがやってきた。僕はエミちゃんの膝の上で丸くなるのだった。
エミちゃんは大学に通う三年生だということが判った。キャンパスの近くにアパートを借りて一人で暮らしている。美人な女子大生と、まさかの同棲生活。一人と一匹が一つ屋根の下で暮らすとは。ネコに生まれ変わったことは悲しいが、綺麗な女の子の家に住めるだなんて……僕は心を躍らせた。
そして、今朝も布団の上で彼女の寝息に聞き耳をたてている。規則正しい呼吸は実に心地がよい。布団がゆりかごのように、高くなり低くなり。エミちゃんが目を覚まさないよう息をひそめながら、可愛い寝顔を覗き込んだ。
“うっ、うん……”
エミちゃんは眉をひそめた。もしや悪夢でも見ているのだろうか?
僕は「にゃー」と言って、朝だよと知らせてやる。
エミちゃんはうっすらと瞼を開けた。僕はぺろりんと鼻先を舐めてやる。寝ぼけ眼の彼女はくすぐったいと鼻をひくひくさせた。
ややしばらくして「おもい、おもい」と言いながら、目をぱっちり開けた。布団をはねのけ、起き上がる。僕はジャンプしてカーペットの上に降り立った。
「凛太郎、金縛りにあったかと思ったよ……」
困った顔のエミちゃんに、僕はニャーの挨拶をした。
お昼ごろ、サークル仲間の女子大生たちがやってきた。
「かわゆい」
「綺麗なネコちゃん。きみは何が好きなのかな?」
二人の女友達は僕をなでたり、抱っこしたり。エミちゃんはニコニコしながらそれを見ている。
「凛太郎の好物はポテチなんだよね」
「ほんとに?」
キラキラネイルのモモちゃんは目を丸くする。
「この子、ネコが好きそうなエサが嫌いなの」
「なるほど。実は凛太朗のお土産に、高級缶詰を持参してきたんだけど、試しに食べさせてみない?」
ボーイッシュな装いのアズリンが、黒ネコ魔法使がトレードマークの缶詰を床に置いた。
「いろいろ試したんだけど、お魚がキライみたいなんだよね」
「うちの子も他の餌はいまいちだけど、これは好だよ。ものは試し――」
そう言ってアズリンは高級缶詰の欠片を掌に乗せ、僕の口許へ持ってゆく。青臭い匂いはしなかった。ぺろりんと舐めてみる。味はツナ缶みたいだった。腹が鳴った。ネコになって以来、まともな食事にありつけなかった僕は、缶に顔を突っ込みがつがつと食べた。腹が膨れると、すぐに眠けがやってきた。僕はエミちゃんの膝の上で丸くなるのだった。
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