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座談会っぽい何か
ランジェリーパーティー
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「さて! やってまいりました魅惑の場所へ!!」
「みわく? どういう事ですの? ここは私の寝室でしてよ?」
「だからいーんじゃん!」
「最近あんたの言ってる事、わからなくなってきてるわ」
「そこ! わからないとか言うんじゃありません! お姉ちゃんは哀しいわよ!」
「誰が! 誰の! お姉ちゃん!?」
「もう、ちびっ子ったらそんな顔真っ赤にして怒鳴っても可愛いだけなんだから」
「ちょ! ちびっ子言うなって言ってるでしょ!! 第一か、可愛いとか」
「そんな所もかーわーいーいー」
「だ、抱きつくなー」
「あなた方、一体私の所に何しに来たのかしら?」
「私はこの人に引きずられて来ただけだから」
「私? ふっふっふ、それはですね……じゃーん!」
「何ですの? その鞄の中から取りだした物は」
「薄くて小さいけど……上着の一種とか?」
「チッチッチ。違うんだなあ。これはね、上着ではなく下着です」
「「はあ?」」
「やー、この間異世界の服ちびっ子に着せたじゃない?」
「ちびっ子言うな!!」
「あれすっごく似合ってたからさあ、今度は下着もきちんと整えさせよう、と思って」
「人の話聞きなさいよ! ……って、え? まさかまた私に着せるつもり?」
「こら、逃げないの。大丈夫、今回のメインは巨乳ちゃんだから」
「ダイアンか。ならいいや」
「その、巨乳ちゃんとやらは、一体どういう意味なのかしら?」
「もちろん! あんたのそのけしからん乳の事よ!」
「人を指で指さないの」
「な! け! けしからんとはどういうことですの!?」
「大きすぎてけしからんという事ですのよ~」
「んま!」
「あー、確かにでかいわね」
「リ、リンジーまで!! それを言ったらあなたは小さい、になるんですのよ!?」
「小さい言うな!」
「けしからんくらいでかい乳なら、やはりそれに相応しい装いをすべきだよねー」
「……まさかそれでこれ?」
「でもこの服……小さい上にやたらと布地が薄いんですけど」
「服じゃなくて下着。普段は見せないんだから薄くてもいいのよ」
「普段見せないなら装う必要、ないんじゃないの?」
「そうですわよね」
「あ・まーい! 普段見せない部分だからこそ凝るんでしょうが!」
「そういうもん?」
「さあ……」
「まあいいから、ささ、まずは脱いでみようか」
「ちょ! 脱ぐなら侍女を呼ばないと」
「大丈夫大丈夫、手伝いは出来るから。伊達に仕立屋にいる訳じゃないわよ」
「さて、んじゃあまずはこれかな」
「何ですの? この小さいのは」
「ここに足を通して。こっちにもね。んで上まで引きげる」
「足を通して……何だかきついですわ」
「ああ、じゃあ紐を調節するから。……これでどう?」
「ああ、これなら。それでもきつましい気がするんですけど」
「緩くちゃ困るのよ。落ちちゃうじゃん。んじゃあ次はこれね。前は紐で結ぶから」
「……薄くて透けてましてよ?」
「それがいいんじゃない。ほら、向こう向いて。こっちに腕通してね。んでこっちも」
「丈も短いですし。これではコルセットを着けたらずれてしまうのではなくて?」
「あ、これはコルセット付けないから」
「は? 付けずにドレスを着るわけにはいきませんわよ?」
「んー、というか、これ着る時はドレス着る時じゃないからね。どっちかというとこれ、見せる下着だから」
「「見せるって、誰に?」」
「そりゃあ恋人だったり旦那だったり? あ、ラッセル殿下との夜にこれ着てみてよ。悩殺出来るかも」
「で! 殿下と、だ、なんて」
「婚約者でしょうが。まさか結婚して何するか、知らないとか言わないわよね?」
「あ! 当たり前ですわ!!」
「何するか、って……何するの?」
「「え!?」」
「な、何よ、二人してそんな驚いた顔して!」
「いや、普通に驚いたから。まさかそれ、本気で言ってないよね?」
「え? 普通知ってるもんなの?」
「そういえばリンジーは神殿で生まれ育ったんでしたわね……」
「もしかして神殿ってそっちの教育はやらないとか?」
「そっちの教育って何よ!」
「私は下々の通う神殿学校とやらには行っていませんから知りませんわ。あなたの方が知ってるのではなくて?」
「んー。そういや学校で教わるというよりは、あの手の話は上の同性からこそっと教わる感じだったかなあ」
「だから! あの手の話って何なのよ!!」
「……どうする?」
「リンジーは神官ですもの。知る必要はないと思うのだけど」
「でもいざという時困らない?」
「いざという時?」
「いざという時はいざという時よ。知識があるとないとじゃ大違いだと思うんだけど」
「ちょっと! 何二人でこそこそ話してるのよ!!」
「よし、わかった! お姉ちゃんが教えてあげよう!」
「ちょ! いいんですの!? 勝手な事をして」
「神官といえど、やっぱり知っておくべきだと思うからさ」
「その割には目が笑っていましてよ」
「え? いやー、聞いた後どんな反応するか楽しみで」
「それが本音ですわね……。そろそろ何か着てもいいかしら。寒くなってきましたわ」
「ああ、じゃあ暖房いれよう。まだ脱いじゃだめだし上に来てもだめだからね」
「どうしてですの?」
「他にも試してみようと思ったのいくつか持て来てるから」
「は?」
「さて、じゃあちびっ子」
「だから!」
「ああはいはい。さっき私と巨乳ちゃんが話していた事ね、教えるから」
「う、え? あ、ああ、そう」
「んじゃあちょっとこっちに来ようか」
* * * * *
「……リンジーは大丈夫ですの?」
「まあ最初はショックかもね。でも徐々に受け入れられるようになるでしょう」
「そうかしら?」
「ちびっ子ー? そろそろ復活したー? ……だめだ、反応ないよ。意外だなー、ここまでショック受けるなんて」
「あなた一体どういう説明の仕方したんですの?」
「え? 手っ取り早く子作りの方法を」
「ちょ! 何一足飛びに教えてるんですの!? もう少し柔らかく教えるべきでしょう!? リンジーは神殿で清らかに育っているんですのよ!?」
「その割には口悪いよねー。まあそれもちびっ子の魅力の一つになってるけど」
「口の悪さは否定しませんけど。それでも! いきなりそこを教えるのはどうかと思いますわ」
「でもいつかは知る事だし、年も年だから知ってなきゃいけないと思うし、知らないままは危険だよ、色々と」
「それはそうかも知れませんけど……」
「う……」
「あ、ちびっ子が戻ってきた。おーい、大丈夫? うお! 顔色悪いよ?」
「まあ、本当に。真っ青ですわ。……ちょっと、本当に何をどう説明したんですの!?」
「え? いやその、ありのままをこう、だーっと」
「寄るな触るな不潔ー!!」
「ええ? 私達が?」
「普通それは殿方に言う言葉ではありませんの? それでもリンジーの年で言うのはどうかと思いますけど……まあ、見た目的には子供と同じですから問題はありませんわね」
「巨乳ちゃんひでー」
「酷いのはあなたの方でしょう? 見てご覧なさい、リンジーったらあんなに怯えてしまって」
「でもこれはこれでイイ!」
「……本当に何を言ってるのやら。ほら、リンジーも。真実を知って驚くのは仕方ありませんけど、いつまでもそうして逃げていても何も始まりませんわよ?」
「そういやこの手の話、巨乳ちゃんも拒絶反応見せるかと思ってたんだけど?」
「何故? 社交界に出れば嫌でも耳に入ってきますのよ? それこそ自衛の為にはきちんと学ばなくてはなりませんもの。宮廷に出れば、その手の誘惑なんてそこらにいくらでもありますわ。私の家と立場からしても、避けようとしても向こうからやってきますからね」
「すみません、すごい意外です」
「……あなたは一体私を何だと思っているのかしら?」
「えー? けしからん乳の公爵令嬢? あれ? 勇者一行の一人って言った方がいいのか?」
「何だか怒る気も失せる言い方ですわね……。それよりも今はリンジーの方ですわよ」
「ああ、そうね。ほーらほらほら、良い子だからこっちおいでー。怖い事何にもないからねー」
「余計相手の警戒心を煽ってどうするんですの?」
「え? だめ? だって部屋の隅っこで涙目でぷるぷるしてるちびっ子ってば、凶悪なくらいかわいくない?」
「満面の笑みで言うのはやめてちょうだい。ほら、リンジー。誰彼構わずしなければ不潔でも何でもありませんわ」
「嘘だー!! あんた達だって勇者や王子とヤってるんでしょー!!」
「こらちびっ子! ヤるとはなんですかヤるとは。ついさっき真実知ったばかりなのに」
「そこですの!? 引っかかるのはそこ?」
「それと、巨乳ちゃんはともかく私はヤってないからね!」
「私だってまだ清い身ですわ!! ……今なんて言いました?」
「巨乳ちゃんはともかく?」
「そこでなく! その、勇者様とは、まだ?」
「ああ、だって結婚までは手出さないって約束してくれたしー」
「……今一緒に住んでいますわよね?」
「結婚式までは別々に暮らすって言って了承させたよ」
「この間妙に落ち込んでいらっしゃったのは気のせいではなかったのね……」
「それより、王子殿下もまだ手出してないんだー」
「い、いやらしい言い方はやめてちょうだい! 殿下は紳士ですもの。そこらにいるような恋愛を遊戯として楽しむようなエセ紳士ではありませんわ」
「今はそうでもいつかはヤるんでしょー!! 信じらんない!!」
「まさかここまで拒絶反応見せるとはなあ。君も意外だよ、ちびっ子」
「まあ、リンジーは生涯独身なのは決まってますし、問題はないんじゃないかしら」
「へ? 神官でも還俗すれば結婚出来るでしょ?」
「リンジーは高位神官でしょう? この子の地位では還俗は無理ですわ」
「地位と還俗って、関連あるの?」
「ありますわよ。高位の神官が簡単に還俗したら、神殿の名誉が保てませんもの。しかもリンジーは勇者一行でもあった訳ですし。神殿側としてもリンジーを手放すような事はしないと思いますわ。それに下手に還俗なんぞしないほうが本人のためかも知れませんわね」
「「へ?」」
「勇者様に連なるものは、大なり小なり政治に使われる可能性がありますのよ。あなたも! 例外ではありませんからね! ただでさえ聖女という肩書きがあるんですから」
「どうしよう、巨乳ちゃんがまともな事言ってるー」
「どういう事ですの!? それ」
「いやいや、こっちの話。ほら、ちびっ子も。あんたの分もあるんだから、さっさとその法衣脱ぎなさいよね」
「やだー!!」
「脱がないと剥いちゃうぞ」
「ひー! 変態変態変態ー!」
「同性同士で何を言うか! 私も脱ぐんだから観念しなさい!」
「ぎゃー!!」
* * * * *
「よし、これでいいわ。はい、ちびっ子、このぬいぐるみ持って!」
「何これ」
「うさぎの特大ぬいぐるみ。探すの苦労したんだから。見つからなかったら最悪自分で作るしかないかなあと思ってたから、見つかって良かったわー」
「これ持ってどうすんの」
「そこで座ったままでいいから、これをこう両手で抱きつぶす感じで抱きしめて。うん、良い感じ」
「どうしてリンジーの着ている下着は透けていませんの? 私やあなたのはこんなに透けていますのに」
「ちびっ子のは透けないのがいいの! あんたのはそのけしからん乳がほんのり透けて見えるのがいいの!」
「差別ですわ!」
「区別です!」
「もういいから早く帰して……」
「えー? まだまだ試したいのは残ってるから、まだだめー」
「一体いくつ持ってきてるんですの」
「いくつかなあ? 気の赴くままだーっと作ったのを持ってきたから。あ、ベッドに広げていい? 試したいのあったら好きに着ていいよ」
「遠慮しますわ」
「遠慮なんて巨乳ちゃんらしくないって。ほらほら、これなんかどう? 情熱の赤にしてみました」
「ど、毒々しいのではなくて?」
「赤は相手を興奮させる色なのよ」
「ならあなたが着て勇者様を悩殺すればいいではないの」
「えー? 下手に煽るとこっちが被害被りそうでさ」
「確かに……」
「グレアム相手なら、興奮を抑える色を使った方が身のためかなあと思うわけよ」
「納得出来ますわね」
「あんた、こんなものばっかり作ってたわけ?」
「仕事もちゃんとしてるよー。でも今は工房締める時間になったらさっさと追い出されるからさー」
「「何故?」」
「私に見られるのは困るんだって」
「「?」」
「ああ、まあいいや。当日になればわかるよ。さて、私はどれにしようかな? あ、これなんかどうだろう?」
「それは透けていませんのね」
「その分前ががっつり開いてます。色々とやりたい放題です」
「……そのあけすけな言い方はどうにかなりませんの?」
「なりません。今そういう時期なのよ」
「あ、ああ……」
「何? 何二人で納得してんの」
「まあ君も大人になればわかるよ。……もしかして、まだって事、ないよね?」
「な、何が?」
「そりゃもちろん」
「そこまでになさいな! リンジーも! 下手に口を挟むと先程の比ではない程落ち込む事になりかねませんわよ?」
「う」
「えー、ひどいなー」
「ひどくありません! ……あら? これは何かしら?」
「ああ、それはこうしてこの辺りにつけて、靴下を吊る代物よ」
「「吊る?」」
「そう。実際見せた方が早いね」
「それで何故脱ぐ!?」
「えー? 脱がなきゃ見せられないじゃない」
「まあ、私達もこんな格好ですしね。ここは私の寝室ですから、侍女といえども呼ばねば入ってはきませんわ。朝は別ですけど」
「てか脱ぐの早!」
「えっとね、こんな風に……こうつけて、で、はいた靴下をこう……して止める。ね? 吊ってるでしょ?」
「本当ですわね」
「そんな事して意味あるの?」
「これは意味があるないの問題ではないのだよちびっ子」
「だから!」
「はいはい。何度も言ってるけど、今日持ってきたのは見せる下着だからね。見られてなんぼな代物なのだよ。実用性は二の次なのだ」
「大体見せるって誰に……不潔ー!!」
「えー? またそこ戻るの? まあそのうち流せるようになるでしょ。巨乳ちゃんじゃないけど、本来ならそんな事いうのはもっと子供のうちなんだからね」
「子供扱いするなー!!」
「だったら子供っぽい反応しないようにねー」
「ぐ」
「ああもう! その悔しそうな表情がたまらん!!」
「ちょ! ぎゃー!! ダ、ダイアン助けて!!」
「あらあら、仲の良い事」
「さー、じゃあちびっ子も次の試作品、いってみようかー」
「もうやだ帰るー!!」
※座談会ではないけど、形式が同じなのでこちらに。拍手の時とは一部台詞を変更しています。
巨乳ちゃんが脱ぐのに躊躇しないのは、常に侍女が着替えの支度をするので見られる事にある程度慣れてるから。
ちなみに、ルイザと巨乳ちゃんが着ているのはセクシーランジェリーに分類される代物です。多分ジューンの記憶から。てか何故そんなもの知ってるんだジューン。
ちびっ子が着せられたのはロリータ系のシュミーズとドロワーズ。髪はまたツーテールに結われている模様。
「みわく? どういう事ですの? ここは私の寝室でしてよ?」
「だからいーんじゃん!」
「最近あんたの言ってる事、わからなくなってきてるわ」
「そこ! わからないとか言うんじゃありません! お姉ちゃんは哀しいわよ!」
「誰が! 誰の! お姉ちゃん!?」
「もう、ちびっ子ったらそんな顔真っ赤にして怒鳴っても可愛いだけなんだから」
「ちょ! ちびっ子言うなって言ってるでしょ!! 第一か、可愛いとか」
「そんな所もかーわーいーいー」
「だ、抱きつくなー」
「あなた方、一体私の所に何しに来たのかしら?」
「私はこの人に引きずられて来ただけだから」
「私? ふっふっふ、それはですね……じゃーん!」
「何ですの? その鞄の中から取りだした物は」
「薄くて小さいけど……上着の一種とか?」
「チッチッチ。違うんだなあ。これはね、上着ではなく下着です」
「「はあ?」」
「やー、この間異世界の服ちびっ子に着せたじゃない?」
「ちびっ子言うな!!」
「あれすっごく似合ってたからさあ、今度は下着もきちんと整えさせよう、と思って」
「人の話聞きなさいよ! ……って、え? まさかまた私に着せるつもり?」
「こら、逃げないの。大丈夫、今回のメインは巨乳ちゃんだから」
「ダイアンか。ならいいや」
「その、巨乳ちゃんとやらは、一体どういう意味なのかしら?」
「もちろん! あんたのそのけしからん乳の事よ!」
「人を指で指さないの」
「な! け! けしからんとはどういうことですの!?」
「大きすぎてけしからんという事ですのよ~」
「んま!」
「あー、確かにでかいわね」
「リ、リンジーまで!! それを言ったらあなたは小さい、になるんですのよ!?」
「小さい言うな!」
「けしからんくらいでかい乳なら、やはりそれに相応しい装いをすべきだよねー」
「……まさかそれでこれ?」
「でもこの服……小さい上にやたらと布地が薄いんですけど」
「服じゃなくて下着。普段は見せないんだから薄くてもいいのよ」
「普段見せないなら装う必要、ないんじゃないの?」
「そうですわよね」
「あ・まーい! 普段見せない部分だからこそ凝るんでしょうが!」
「そういうもん?」
「さあ……」
「まあいいから、ささ、まずは脱いでみようか」
「ちょ! 脱ぐなら侍女を呼ばないと」
「大丈夫大丈夫、手伝いは出来るから。伊達に仕立屋にいる訳じゃないわよ」
「さて、んじゃあまずはこれかな」
「何ですの? この小さいのは」
「ここに足を通して。こっちにもね。んで上まで引きげる」
「足を通して……何だかきついですわ」
「ああ、じゃあ紐を調節するから。……これでどう?」
「ああ、これなら。それでもきつましい気がするんですけど」
「緩くちゃ困るのよ。落ちちゃうじゃん。んじゃあ次はこれね。前は紐で結ぶから」
「……薄くて透けてましてよ?」
「それがいいんじゃない。ほら、向こう向いて。こっちに腕通してね。んでこっちも」
「丈も短いですし。これではコルセットを着けたらずれてしまうのではなくて?」
「あ、これはコルセット付けないから」
「は? 付けずにドレスを着るわけにはいきませんわよ?」
「んー、というか、これ着る時はドレス着る時じゃないからね。どっちかというとこれ、見せる下着だから」
「「見せるって、誰に?」」
「そりゃあ恋人だったり旦那だったり? あ、ラッセル殿下との夜にこれ着てみてよ。悩殺出来るかも」
「で! 殿下と、だ、なんて」
「婚約者でしょうが。まさか結婚して何するか、知らないとか言わないわよね?」
「あ! 当たり前ですわ!!」
「何するか、って……何するの?」
「「え!?」」
「な、何よ、二人してそんな驚いた顔して!」
「いや、普通に驚いたから。まさかそれ、本気で言ってないよね?」
「え? 普通知ってるもんなの?」
「そういえばリンジーは神殿で生まれ育ったんでしたわね……」
「もしかして神殿ってそっちの教育はやらないとか?」
「そっちの教育って何よ!」
「私は下々の通う神殿学校とやらには行っていませんから知りませんわ。あなたの方が知ってるのではなくて?」
「んー。そういや学校で教わるというよりは、あの手の話は上の同性からこそっと教わる感じだったかなあ」
「だから! あの手の話って何なのよ!!」
「……どうする?」
「リンジーは神官ですもの。知る必要はないと思うのだけど」
「でもいざという時困らない?」
「いざという時?」
「いざという時はいざという時よ。知識があるとないとじゃ大違いだと思うんだけど」
「ちょっと! 何二人でこそこそ話してるのよ!!」
「よし、わかった! お姉ちゃんが教えてあげよう!」
「ちょ! いいんですの!? 勝手な事をして」
「神官といえど、やっぱり知っておくべきだと思うからさ」
「その割には目が笑っていましてよ」
「え? いやー、聞いた後どんな反応するか楽しみで」
「それが本音ですわね……。そろそろ何か着てもいいかしら。寒くなってきましたわ」
「ああ、じゃあ暖房いれよう。まだ脱いじゃだめだし上に来てもだめだからね」
「どうしてですの?」
「他にも試してみようと思ったのいくつか持て来てるから」
「は?」
「さて、じゃあちびっ子」
「だから!」
「ああはいはい。さっき私と巨乳ちゃんが話していた事ね、教えるから」
「う、え? あ、ああ、そう」
「んじゃあちょっとこっちに来ようか」
* * * * *
「……リンジーは大丈夫ですの?」
「まあ最初はショックかもね。でも徐々に受け入れられるようになるでしょう」
「そうかしら?」
「ちびっ子ー? そろそろ復活したー? ……だめだ、反応ないよ。意外だなー、ここまでショック受けるなんて」
「あなた一体どういう説明の仕方したんですの?」
「え? 手っ取り早く子作りの方法を」
「ちょ! 何一足飛びに教えてるんですの!? もう少し柔らかく教えるべきでしょう!? リンジーは神殿で清らかに育っているんですのよ!?」
「その割には口悪いよねー。まあそれもちびっ子の魅力の一つになってるけど」
「口の悪さは否定しませんけど。それでも! いきなりそこを教えるのはどうかと思いますわ」
「でもいつかは知る事だし、年も年だから知ってなきゃいけないと思うし、知らないままは危険だよ、色々と」
「それはそうかも知れませんけど……」
「う……」
「あ、ちびっ子が戻ってきた。おーい、大丈夫? うお! 顔色悪いよ?」
「まあ、本当に。真っ青ですわ。……ちょっと、本当に何をどう説明したんですの!?」
「え? いやその、ありのままをこう、だーっと」
「寄るな触るな不潔ー!!」
「ええ? 私達が?」
「普通それは殿方に言う言葉ではありませんの? それでもリンジーの年で言うのはどうかと思いますけど……まあ、見た目的には子供と同じですから問題はありませんわね」
「巨乳ちゃんひでー」
「酷いのはあなたの方でしょう? 見てご覧なさい、リンジーったらあんなに怯えてしまって」
「でもこれはこれでイイ!」
「……本当に何を言ってるのやら。ほら、リンジーも。真実を知って驚くのは仕方ありませんけど、いつまでもそうして逃げていても何も始まりませんわよ?」
「そういやこの手の話、巨乳ちゃんも拒絶反応見せるかと思ってたんだけど?」
「何故? 社交界に出れば嫌でも耳に入ってきますのよ? それこそ自衛の為にはきちんと学ばなくてはなりませんもの。宮廷に出れば、その手の誘惑なんてそこらにいくらでもありますわ。私の家と立場からしても、避けようとしても向こうからやってきますからね」
「すみません、すごい意外です」
「……あなたは一体私を何だと思っているのかしら?」
「えー? けしからん乳の公爵令嬢? あれ? 勇者一行の一人って言った方がいいのか?」
「何だか怒る気も失せる言い方ですわね……。それよりも今はリンジーの方ですわよ」
「ああ、そうね。ほーらほらほら、良い子だからこっちおいでー。怖い事何にもないからねー」
「余計相手の警戒心を煽ってどうするんですの?」
「え? だめ? だって部屋の隅っこで涙目でぷるぷるしてるちびっ子ってば、凶悪なくらいかわいくない?」
「満面の笑みで言うのはやめてちょうだい。ほら、リンジー。誰彼構わずしなければ不潔でも何でもありませんわ」
「嘘だー!! あんた達だって勇者や王子とヤってるんでしょー!!」
「こらちびっ子! ヤるとはなんですかヤるとは。ついさっき真実知ったばかりなのに」
「そこですの!? 引っかかるのはそこ?」
「それと、巨乳ちゃんはともかく私はヤってないからね!」
「私だってまだ清い身ですわ!! ……今なんて言いました?」
「巨乳ちゃんはともかく?」
「そこでなく! その、勇者様とは、まだ?」
「ああ、だって結婚までは手出さないって約束してくれたしー」
「……今一緒に住んでいますわよね?」
「結婚式までは別々に暮らすって言って了承させたよ」
「この間妙に落ち込んでいらっしゃったのは気のせいではなかったのね……」
「それより、王子殿下もまだ手出してないんだー」
「い、いやらしい言い方はやめてちょうだい! 殿下は紳士ですもの。そこらにいるような恋愛を遊戯として楽しむようなエセ紳士ではありませんわ」
「今はそうでもいつかはヤるんでしょー!! 信じらんない!!」
「まさかここまで拒絶反応見せるとはなあ。君も意外だよ、ちびっ子」
「まあ、リンジーは生涯独身なのは決まってますし、問題はないんじゃないかしら」
「へ? 神官でも還俗すれば結婚出来るでしょ?」
「リンジーは高位神官でしょう? この子の地位では還俗は無理ですわ」
「地位と還俗って、関連あるの?」
「ありますわよ。高位の神官が簡単に還俗したら、神殿の名誉が保てませんもの。しかもリンジーは勇者一行でもあった訳ですし。神殿側としてもリンジーを手放すような事はしないと思いますわ。それに下手に還俗なんぞしないほうが本人のためかも知れませんわね」
「「へ?」」
「勇者様に連なるものは、大なり小なり政治に使われる可能性がありますのよ。あなたも! 例外ではありませんからね! ただでさえ聖女という肩書きがあるんですから」
「どうしよう、巨乳ちゃんがまともな事言ってるー」
「どういう事ですの!? それ」
「いやいや、こっちの話。ほら、ちびっ子も。あんたの分もあるんだから、さっさとその法衣脱ぎなさいよね」
「やだー!!」
「脱がないと剥いちゃうぞ」
「ひー! 変態変態変態ー!」
「同性同士で何を言うか! 私も脱ぐんだから観念しなさい!」
「ぎゃー!!」
* * * * *
「よし、これでいいわ。はい、ちびっ子、このぬいぐるみ持って!」
「何これ」
「うさぎの特大ぬいぐるみ。探すの苦労したんだから。見つからなかったら最悪自分で作るしかないかなあと思ってたから、見つかって良かったわー」
「これ持ってどうすんの」
「そこで座ったままでいいから、これをこう両手で抱きつぶす感じで抱きしめて。うん、良い感じ」
「どうしてリンジーの着ている下着は透けていませんの? 私やあなたのはこんなに透けていますのに」
「ちびっ子のは透けないのがいいの! あんたのはそのけしからん乳がほんのり透けて見えるのがいいの!」
「差別ですわ!」
「区別です!」
「もういいから早く帰して……」
「えー? まだまだ試したいのは残ってるから、まだだめー」
「一体いくつ持ってきてるんですの」
「いくつかなあ? 気の赴くままだーっと作ったのを持ってきたから。あ、ベッドに広げていい? 試したいのあったら好きに着ていいよ」
「遠慮しますわ」
「遠慮なんて巨乳ちゃんらしくないって。ほらほら、これなんかどう? 情熱の赤にしてみました」
「ど、毒々しいのではなくて?」
「赤は相手を興奮させる色なのよ」
「ならあなたが着て勇者様を悩殺すればいいではないの」
「えー? 下手に煽るとこっちが被害被りそうでさ」
「確かに……」
「グレアム相手なら、興奮を抑える色を使った方が身のためかなあと思うわけよ」
「納得出来ますわね」
「あんた、こんなものばっかり作ってたわけ?」
「仕事もちゃんとしてるよー。でも今は工房締める時間になったらさっさと追い出されるからさー」
「「何故?」」
「私に見られるのは困るんだって」
「「?」」
「ああ、まあいいや。当日になればわかるよ。さて、私はどれにしようかな? あ、これなんかどうだろう?」
「それは透けていませんのね」
「その分前ががっつり開いてます。色々とやりたい放題です」
「……そのあけすけな言い方はどうにかなりませんの?」
「なりません。今そういう時期なのよ」
「あ、ああ……」
「何? 何二人で納得してんの」
「まあ君も大人になればわかるよ。……もしかして、まだって事、ないよね?」
「な、何が?」
「そりゃもちろん」
「そこまでになさいな! リンジーも! 下手に口を挟むと先程の比ではない程落ち込む事になりかねませんわよ?」
「う」
「えー、ひどいなー」
「ひどくありません! ……あら? これは何かしら?」
「ああ、それはこうしてこの辺りにつけて、靴下を吊る代物よ」
「「吊る?」」
「そう。実際見せた方が早いね」
「それで何故脱ぐ!?」
「えー? 脱がなきゃ見せられないじゃない」
「まあ、私達もこんな格好ですしね。ここは私の寝室ですから、侍女といえども呼ばねば入ってはきませんわ。朝は別ですけど」
「てか脱ぐの早!」
「えっとね、こんな風に……こうつけて、で、はいた靴下をこう……して止める。ね? 吊ってるでしょ?」
「本当ですわね」
「そんな事して意味あるの?」
「これは意味があるないの問題ではないのだよちびっ子」
「だから!」
「はいはい。何度も言ってるけど、今日持ってきたのは見せる下着だからね。見られてなんぼな代物なのだよ。実用性は二の次なのだ」
「大体見せるって誰に……不潔ー!!」
「えー? またそこ戻るの? まあそのうち流せるようになるでしょ。巨乳ちゃんじゃないけど、本来ならそんな事いうのはもっと子供のうちなんだからね」
「子供扱いするなー!!」
「だったら子供っぽい反応しないようにねー」
「ぐ」
「ああもう! その悔しそうな表情がたまらん!!」
「ちょ! ぎゃー!! ダ、ダイアン助けて!!」
「あらあら、仲の良い事」
「さー、じゃあちびっ子も次の試作品、いってみようかー」
「もうやだ帰るー!!」
※座談会ではないけど、形式が同じなのでこちらに。拍手の時とは一部台詞を変更しています。
巨乳ちゃんが脱ぐのに躊躇しないのは、常に侍女が着替えの支度をするので見られる事にある程度慣れてるから。
ちなみに、ルイザと巨乳ちゃんが着ているのはセクシーランジェリーに分類される代物です。多分ジューンの記憶から。てか何故そんなもの知ってるんだジューン。
ちびっ子が着せられたのはロリータ系のシュミーズとドロワーズ。髪はまたツーテールに結われている模様。
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「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
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【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?
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薄幸ヒロインが倍返しの指輪を手に入れました
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義母と義妹に虐げられてきた伯爵家の長女スフィーナ。
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かくしてスフィーナは義母と義妹に意図せず倍返ししつつ、やがて母の死の真相と、父の長い間をかけた企みを知っていく。
(※黒幕については推理的な要素はありませんと小声で言っておきます)
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