「何気ない日々にちょっとしたスパイスがあると、人生楽しくなると思うけど」

藍月

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 歩きながら三人は、それぞれ買ったものを見せ合いっこした。

 驚いたことに、本と漫画と違うものだが、三人とも同じものを買っていた。もともとは漫画だったものが小説化し、さらに今度映画化する予定の、結構人気の作品だった。気になっていたものだから、僕も買っていた。

 「「おおー!」」
 「あ、一緒だ」

 「やっぱりみんな、これ気になるよね~でも、涼くんもだとは意外だわ~」
 と彼女が興奮したように言った。

 「え、今度映画化するだろ?そしたら、三人で映画見に行こうぜ」
 と清水が言った。

 「さんせーい」

 二人が僕をみる。

 「いや、僕は・・・」

 「もちろん行くよねっ」

 「もちろん行くだろ」

 僕は二人からものすごい圧をかけられた。

 「はい、行きます・・・」

 予定はすぐに決まった。映画を見に行くのは、あと一週間もなかった。それまでに僕は、本を読んでおきたかった。しかし清水に、「先にストーリーを知ってちゃおもしろくない。だから、映画を見る前に読んじゃだめ。これは、みんな、約束だぜ?」と言われたので、読むわけにもいかない。

 来た道を戻り、それぞれ家に帰った。

 「ただいま」

 「あら、おかえり。遅く帰ってくるなんて珍しいわね」
 と母に言われた。

 「まぁね」
 とだけ言って二階にある自分の部屋にむかった。

 一階での母と僕の会話を聞いていたのか、姉の凛花がドアから顔を出した。

 「友達、できたのっ!」

 そう。僕の姉は、僕とは正反対の性格なのだ。根暗な僕に対して、凛花はおしゃべりで、うるさくて、とにかくうるさくて、明るくて、桜木さんに似ていると思う。

 「凛花には関係ない」

 僕は素っ気なく言って、さっさと自分の部屋に行こうとした。すると凛花が、僕の腕を掴んだ。これもいつもの事。その手を振り払って早足で部屋に向かう。

 「待って!あたし、心配して言ってるんだけど」

 「涼があの日からずいぶん変わったってこと、あたしが一番知ってると思う。涼、変に強がって友達いらないってあたしに言ったこと、今でも覚えてる。あたしあの時、もっとちゃんと話を聞くべきだったって後悔してる。友達は大切だよっていえばよかったって。涼が苦しそうだったから取りあえず話を聞いてあげようなんて、軽く思ったあたしがバカだった」

 突然の凛花の告発に、僕はただただ驚いていた。あの明るくてうるさいだけの僕の姉が、そんなことを思っていただなんて、思いもしなかった。

 「友達・・・ではないけど、仲のいい人はできたよ。今度、映画見に行く」

 僕はそう言って自分の部屋に入り、ドアを閉めた。凛花は、もう追ってこなかった。
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