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次の日、僕は学校に着くと、手早く鞄を片付けた。そして、席に着くと、真っ先に昨日見た映画の小説版の本を読み始めた。
僕が読み始めてしばらく経った頃、彼女が来た。
「おはよー。涼くんはやいね。あれ、その本って昨日の・・・」
「うん。そうだよ」
とだけ言って、僕はまた本の世界に入った。本に夢中になっている僕を気遣ってか、彼女は僕に話しかけてこなかった(本当はクラスの人たちとおしゃべりをしていた。もう彼女には、たくさんの友達ができていた)。ここ数日、僕は朝のこの時間に本を読んでいると、彼女が話しかけてきて、なかなか読めなかったのだ。珍しいと思いながら、僕は読書を満喫した。
午前の授業が終わり、昼休みに入った。僕は早々とご飯を食べ、またすぐにあの本を読んだ。
「おい、滝沢。もうすぐ授業だぜ。次は美術だ。美術室に行かないと」
僕は清水に言われるまで、ずっと本に夢中になっていた。
帰りのホームルームが終わった。僕はすぐに家に帰って、またあの本を読むつもりだった。しかし、そうはいかなかった。
「ちょっと涼くん。待って」
彼女に呼ばれて、僕は立ち止まって彼女を振り返った。そこには彼女だけでなく、清水もいた。なぜか嫌な予感がする。
「あのさ、今日葵くんの家で、勉強会しない?テスト近いし」
「今日俺の家、誰もいねぇしよ。ちょうどいいと思うぜ」
何か視線を感じる。やっぱり。嫌な予感は当たった。ふと周りをみると、クラスのほとんどの人が僕たちを見ていた。
この感じ、もし僕がいいよなんて言えば、噂されるのではないだろうか。普段全く喋らず、友達もいなくて、クラスから浮いている僕が、このクラスの明るい中心的な存在の彼らに、一緒に勉強しようと誘われている。本当なら行ってもいいのだが、僕にはこんななかでいいよと言えるような勇気は持ってない。
「誘ってくれてありがとう。でも、いいや。行かない」
クラスの空気がふっと緩んだ。だが、次の彼女の一言で、また空気がピンと張り詰めた。
「えぇー、勉強教えてよ。昨日、三人で一緒に遊びに行った仲じゃん」
そう。クラスの人気者二人と僕。どう考えたって周りからみたらおかしい組み合わせだ。
「遊びになんて行ってないけど」
僕の放った言葉は、人がたくさんいるのに静かな教室に響いた。
「ちょっ・・・!」
僕を呼び止める彼女と清水を無視して、僕は学校を出て、さっさと帰路に就いた。
僕は歩きながら、ずっと考えていた。やっぱり僕は、あの二人と一緒にいるのはおかしいんだ。ちょっと仲良くなったからって、一緒に映画見たり、買い物したり、調子に乗りすぎた。これからはあの二人と関わらないようにしよう。もともと僕だって、今まで最低限でしか誰かと関わっていなかったのだ。それで僕の生活は成り立っていた。面倒ごとにも巻き込まれずに済んだじゃないか。そうだ。それでいい。
考え事に集中していて、前をよく見ながら歩いていなかった。だから、誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
僕はすぐに謝った。
「あぁ?」
この声に、まさかと思いながら顔を上げた。
最悪だ。
僕がぶつかったのは、アイツラの長だった。
僕が読み始めてしばらく経った頃、彼女が来た。
「おはよー。涼くんはやいね。あれ、その本って昨日の・・・」
「うん。そうだよ」
とだけ言って、僕はまた本の世界に入った。本に夢中になっている僕を気遣ってか、彼女は僕に話しかけてこなかった(本当はクラスの人たちとおしゃべりをしていた。もう彼女には、たくさんの友達ができていた)。ここ数日、僕は朝のこの時間に本を読んでいると、彼女が話しかけてきて、なかなか読めなかったのだ。珍しいと思いながら、僕は読書を満喫した。
午前の授業が終わり、昼休みに入った。僕は早々とご飯を食べ、またすぐにあの本を読んだ。
「おい、滝沢。もうすぐ授業だぜ。次は美術だ。美術室に行かないと」
僕は清水に言われるまで、ずっと本に夢中になっていた。
帰りのホームルームが終わった。僕はすぐに家に帰って、またあの本を読むつもりだった。しかし、そうはいかなかった。
「ちょっと涼くん。待って」
彼女に呼ばれて、僕は立ち止まって彼女を振り返った。そこには彼女だけでなく、清水もいた。なぜか嫌な予感がする。
「あのさ、今日葵くんの家で、勉強会しない?テスト近いし」
「今日俺の家、誰もいねぇしよ。ちょうどいいと思うぜ」
何か視線を感じる。やっぱり。嫌な予感は当たった。ふと周りをみると、クラスのほとんどの人が僕たちを見ていた。
この感じ、もし僕がいいよなんて言えば、噂されるのではないだろうか。普段全く喋らず、友達もいなくて、クラスから浮いている僕が、このクラスの明るい中心的な存在の彼らに、一緒に勉強しようと誘われている。本当なら行ってもいいのだが、僕にはこんななかでいいよと言えるような勇気は持ってない。
「誘ってくれてありがとう。でも、いいや。行かない」
クラスの空気がふっと緩んだ。だが、次の彼女の一言で、また空気がピンと張り詰めた。
「えぇー、勉強教えてよ。昨日、三人で一緒に遊びに行った仲じゃん」
そう。クラスの人気者二人と僕。どう考えたって周りからみたらおかしい組み合わせだ。
「遊びになんて行ってないけど」
僕の放った言葉は、人がたくさんいるのに静かな教室に響いた。
「ちょっ・・・!」
僕を呼び止める彼女と清水を無視して、僕は学校を出て、さっさと帰路に就いた。
僕は歩きながら、ずっと考えていた。やっぱり僕は、あの二人と一緒にいるのはおかしいんだ。ちょっと仲良くなったからって、一緒に映画見たり、買い物したり、調子に乗りすぎた。これからはあの二人と関わらないようにしよう。もともと僕だって、今まで最低限でしか誰かと関わっていなかったのだ。それで僕の生活は成り立っていた。面倒ごとにも巻き込まれずに済んだじゃないか。そうだ。それでいい。
考え事に集中していて、前をよく見ながら歩いていなかった。だから、誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
僕はすぐに謝った。
「あぁ?」
この声に、まさかと思いながら顔を上げた。
最悪だ。
僕がぶつかったのは、アイツラの長だった。
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