「何気ない日々にちょっとしたスパイスがあると、人生楽しくなると思うけど」

藍月

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 今日は桜木さんの家で勉強会だ。そして明日は、僕の家で勉強会だ。少し自分の部屋が散らかっていたので、床にある教科書やノートなどを本棚に入れる。夏休みや冬休み、春休みになると、僕の本棚はたくさんの教科書、本でぎゅうぎゅう詰めになってしまう。

 桜木さんの家へ僕は出発した。もう真夏で、とても暑い。自転車を走らせながら僕は額の汗を拭った。自転車を走らせている方に、コンビニを見つけた。飲み物とお菓子を少し買おうと思い、コンビニに入る。

 あの二人が好きそうな飲み物とお菓子を選ぶのに、十五分は優に越えた。やっと決めてそれらを買い、ものすごく暑い外へ出る。自転車の籠に買い物袋を入れようとしたその時、誰かに強い力で腕を引っ張られた。顔を見なくても僕には誰か分かった。アイツラだ。また僕に何かしようとしているに違いない。

 「おい、滝沢!」

 しかし、アイツラではなく、清水だった。こんなに暑いのに、顔が真っ青だ。

 「どうしたの?」

 清水はなぜか、とても怖がっていた。全力で走ったのか、息が切れている。

 「あ、アイツラが・・・桜木がどこにいるか教えろよって・・・はぁ・・・俺が知らないっていったら・・・」

 もうそこで、僕は何が起こったのかを察した。彼女への復讐だ。この前の、アイツラの長へビンタした時の。きっとそうだ。大分時は経ったが、もしかしたら襲うのにちょうど良い時を狙っていたのかもしれない。

 「分かった。今日の勉強会は中止だ。桜木さんに伝えといて。電話でも何でもいいから。あ、直接会いには行くなよ。って・・・清水、僕の自転車に乗って走れ!」

 僕は大きな声で叫んだ。清水の後ろに見えたのは、アイツラがこちらに猛スピードでやってくる姿だった。

 「うおっ!でも、お前はどうするんだよ・・・」

 清水は僕を心配しているのか、そうたずねてきた。僕が思うに、清水は少し怖がりだ。だから、アイツラと面と向かうには清水ではなく、僕の方がまだ良いと思う。

 「いいから。もう行って。僕のことはいいから」

 「う・・・ん。分かった」

 清水は渋々というように僕の自転車に乗り、走り去った。

 「おい。お前、この前のあの女がどこにいるか知ってるだろ?教えろよ」

 アイツラが僕のところに駆けてきて話しかけた。

 「知りませんけど」

 「知らない振りするんじゃねぇよ。知ってるんだろ?昨日お前ら三人が一緒にいたところ見た奴がいるんだよ。それでまたお前ら二人が外にいるということは・・・知ってるだろ?あの女がどこにいるか」

 「僕と彼が外にいるからあの子も一緒に行動するはずだ、っていう推測ですか?馬鹿ですね。たまたまって事もあるのにそんな風に断言できるんですか・・・おかしな話ですね」

 少しアイツラの思考回路がよくわからない。いや、少しどころではないかもしれない。

 「馬鹿なのはお前の方だぜ。さっきの奴に最初、これからどこ行くのかって聞いたら勉強会行くんだって言ったぜ。昨日もやったって言ってたぜ。ということは・・・」

 僕は少なからず驚愕した。清水、君は馬鹿なのか。もしかして、このくらいの情報なら何にもならないと思ったのか。そもそもアイツラに何か話すこと自体間違っている。
 アイツラの長がニンマリと不気味な笑みを浮かべた。

 「さぁ、教えてもらおうか。あの女の居場所を。言わないと痛い目みるぞ」

 「知らないっていったら知らないさ」

 「そうかそうか・・・じゃあ仕方ないな・・・」
 などと言いながらアイツラは僕に近づいてきていた。僕は後ずさりした。背中にコンビニの壁があたった。ここはコンビニの裏。どう考えたって誰かが僕たちの存在に気づくはずがない。
 ここは逃げるしかない。しかし、僕の目の前にはアイツラの長、両脇にはアイツラがいる。どうするんだ、僕。

 「分かった、分かった。彼女の居場所を教えよう。僕についてきて」

 もちろん僕は彼女の本当の居場所を教えるつもりは無い。彼女の家からとことん遠い場所にアイツラを案内しよう。そして、人通りの多い場所でネタばらしだ。人がたくさんいれば、手を出されてもなんとかなる可能性が高くなる。僕は、この状況でこの計画を企てられた自分自身を心の中でほめた。
 足早に歩く僕の後ろをアイツラはぞろぞろとついてきた。
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