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アイツラの長はズカズカと僕に歩み寄り、僕の目の前で立ち止まった。僕は自分より少し上にある顔を見つめる。
「こんな所で会うなんて奇遇だな。さてと・・・ちょっと、そこを退いてもらおうか」
「嫌です」
僕は即答した。後ろには彼女がいるのだ。彼女はアイツラの長をビンタして、その後は何も仕返し、というものをされていない。つまり、恨みを買っていたとしても不思議ではないのだ。というか、これは断言できる。アイツラは、彼女に仕返しをしようと考えているだろう。
「何だよ、また殴られてぇのか?」
アイツラの長が手を組んでポキポキと手を鳴らしながら僕を睨みつけてきた。それでも僕が無表情でアイツラの長を見ていると、アイツラのうちの誰かが声を上げた。
「ちょっと長田(おさだ)さん。ここは店内ですよ。止めましょう」
「へぇー!お前、長田っていうんだ?まさに長みたいだから長田?おもしろいねぇー!」
能天気な声が響いた。その場にいた全員がぎょっとしたような顔で声の主を探す。もちろん僕も。
コツコツと足音がして、姿を現したのは――悠、だった。
「も、百瀬?」
清水が物凄く小さな声で呟いた。悠はその声にきちんと反応し、軽く笑った。
「なんか聞き覚えのある声するなーって思って盗み聞きしてたけど、だいぶ面倒くさい事に巻き込まれてそうだったから来たわけ」
悠はゆっくりと僕に近づくと、僕の肩を掴んで後ろに下がらせた。僕の真後ろにいた彼女も後ろに下がる。そして悠は僕がさっきまで立っていた場所に立ち、腕を組んで長田を見た。
「で?何か言いたい事あるなら俺に言って?」
「はっ。お前に言ったって何も変わりゃしねぇよ。俺はそいつらと話してんだよ。引っ込んでな」
「残念。で?何があったの、涼」
悠は長田ではなく、僕に対して訊いてきた。僕はちらりと彼女と清水を見る。彼女は僕を見ると軽く頷いた。僕も頷き返して、ことの発端、彼女が長田をビンタしたところあたりからぽつぽつと話し始めた。悠は聞き終えるとアイツラを一瞥してふんっと鼻で笑った。
「あほくさー。ガキかよ」
先ほどから思っていたが、悠のいつものしゃべり方とは程遠い。今は相手を挑発するような、そんなニュアンスが含まれている。僕はハラハラして長田の顔を盗み見る。長田の顔には明らかに不快、という二文字が刻んであった。嫌な予感がする。
嫌な予感は当たった。長田が手を素早くあげる。僕の足は、無意識に動いていた。
「涼、来るな!」
悠が叫んだ。僕は咄嗟に止まり、近くにいた彼女を寄せて長田の近くから遠ざけた。
その後の状況は、ゆっくりと、まるでスローモーションを見ているかのようなものだった。
長田の拳が空をきる。悠はそれをこちらが驚くほど綺麗な動きで避ける。長田も驚いたようで、目を見開いた。その動揺を見逃さず、悠は素早く長田から離れた。一連の動作は本当に綺麗で、思わず僕は見とれてしまった。
「力で解決するんじゃなくて、話で解決すれば?」
悠はそう言い捨ててその場を去っていった。その場に取り残された僕たちは、根が生えたように突っ立っていた。やがて長田はチッと舌打ちをして仲間たちと共に去っていく。僕のそばを通り過ぎる時、長田は、別に彼らの行く先を塞いでいたわけでもないのにわざわざ僕の肩に肩をぶつけた。
「こんな所で会うなんて奇遇だな。さてと・・・ちょっと、そこを退いてもらおうか」
「嫌です」
僕は即答した。後ろには彼女がいるのだ。彼女はアイツラの長をビンタして、その後は何も仕返し、というものをされていない。つまり、恨みを買っていたとしても不思議ではないのだ。というか、これは断言できる。アイツラは、彼女に仕返しをしようと考えているだろう。
「何だよ、また殴られてぇのか?」
アイツラの長が手を組んでポキポキと手を鳴らしながら僕を睨みつけてきた。それでも僕が無表情でアイツラの長を見ていると、アイツラのうちの誰かが声を上げた。
「ちょっと長田(おさだ)さん。ここは店内ですよ。止めましょう」
「へぇー!お前、長田っていうんだ?まさに長みたいだから長田?おもしろいねぇー!」
能天気な声が響いた。その場にいた全員がぎょっとしたような顔で声の主を探す。もちろん僕も。
コツコツと足音がして、姿を現したのは――悠、だった。
「も、百瀬?」
清水が物凄く小さな声で呟いた。悠はその声にきちんと反応し、軽く笑った。
「なんか聞き覚えのある声するなーって思って盗み聞きしてたけど、だいぶ面倒くさい事に巻き込まれてそうだったから来たわけ」
悠はゆっくりと僕に近づくと、僕の肩を掴んで後ろに下がらせた。僕の真後ろにいた彼女も後ろに下がる。そして悠は僕がさっきまで立っていた場所に立ち、腕を組んで長田を見た。
「で?何か言いたい事あるなら俺に言って?」
「はっ。お前に言ったって何も変わりゃしねぇよ。俺はそいつらと話してんだよ。引っ込んでな」
「残念。で?何があったの、涼」
悠は長田ではなく、僕に対して訊いてきた。僕はちらりと彼女と清水を見る。彼女は僕を見ると軽く頷いた。僕も頷き返して、ことの発端、彼女が長田をビンタしたところあたりからぽつぽつと話し始めた。悠は聞き終えるとアイツラを一瞥してふんっと鼻で笑った。
「あほくさー。ガキかよ」
先ほどから思っていたが、悠のいつものしゃべり方とは程遠い。今は相手を挑発するような、そんなニュアンスが含まれている。僕はハラハラして長田の顔を盗み見る。長田の顔には明らかに不快、という二文字が刻んであった。嫌な予感がする。
嫌な予感は当たった。長田が手を素早くあげる。僕の足は、無意識に動いていた。
「涼、来るな!」
悠が叫んだ。僕は咄嗟に止まり、近くにいた彼女を寄せて長田の近くから遠ざけた。
その後の状況は、ゆっくりと、まるでスローモーションを見ているかのようなものだった。
長田の拳が空をきる。悠はそれをこちらが驚くほど綺麗な動きで避ける。長田も驚いたようで、目を見開いた。その動揺を見逃さず、悠は素早く長田から離れた。一連の動作は本当に綺麗で、思わず僕は見とれてしまった。
「力で解決するんじゃなくて、話で解決すれば?」
悠はそう言い捨ててその場を去っていった。その場に取り残された僕たちは、根が生えたように突っ立っていた。やがて長田はチッと舌打ちをして仲間たちと共に去っていく。僕のそばを通り過ぎる時、長田は、別に彼らの行く先を塞いでいたわけでもないのにわざわざ僕の肩に肩をぶつけた。
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