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1章
19:地竜が斬れません
しおりを挟むキンッ!キンッ!キンッ!
金属がぶつかる音が響く。地下にある室内で魔力に覆われた拳と魔力に覆われた剣がぶつかり合う。人影が目にも留まらぬ速度でぶつかり合う。
ぶつかり合う影は片方は金の魔力を、片方は銀の魔力を、時折体の所々から見て取れる。拳と剣は常に覆われているが。
何故このように魔力が所々で、さらに消えたり見えたりするのかというと、それは2つの人影の身体強化が高い練度にあるからだ。身体強化による身体への負担を減らし、効率を上げた結果があの様な形になっているのだ。もし、魔力で全身を覆うならば使わない所で魔力の無駄な消費が出てしまう。さらに全身を覆うのは無駄がある上に魔力の操作を誤ると魔力が拡散しやすくなってしまうのだ。そして、身体にかかる負担も大きい
その点、2つの影が行っているものであれば身体への負担は少なく、万が一魔力が拡散してしまっても少ない上に全身を強化するのとは効果が団地かだ。勿論、どこをどのように強化すれば効率や効果が高いと言う物を学ばねばならないのだが。それに今戦闘を行っている2つの影はその極小強化とも言うべき身体強化を並列で使っていたりするのでさらに効果が高い。
銀の魔力を纏った人影が剣を振り下ろすが金の魔力を纏った人影に拳で逸らされる。金の人影は続けて中段突き、横殴り、振り下ろしと攻撃を連続して放つ。銀の人影は剣を逸らされても体勢は崩さずに金の人影から次々と繰り出される攻撃を躱し、剣でいなし、逸らしと冷静に対応しながら蹴りや剣でカウンターを放つ。
金の人影が一瞬溜めを作るように拳を止めると拳が炎を纏う。炎を纏った拳を銀の人影に突き出す。炎を纏った拳が唸りを上げて迫ってくるのを地を這うようにして銀の人影は躱す。炎は拳を離れ、飛んでいく。地に這うような形になった銀の人影は先程の金の人影のようにこちらは剣に風を纏わせ、飛び上がるように剣を金の人影に振り上げる。金の人影は風を纏った剣に対抗するように右足に風を纏わせて剣へと足を振り抜く。
風を纏った剣と足がぶつかり合い、金の人影が宙に飛ばされる。銀の人影の足下を見ると土によって固定されていた。
銀の人影が宙に浮いた金の人影目掛けて跳躍し、距離を瞬く間に詰める。そして、銀の人影が剣を上から振り下ろそうとし、金の人影がそれを迎え撃つように拳を握り魔力を纏わせる。そして、銀の人影が振り下ろすかに見えた瞬間、銀の人影は金の人影の前から姿を忽然と消した。
それを視認した瞬間に金の人影は攻撃せずに何もない宙を蹴り横へと跳躍する。
すると、金の人影がいた所を剣が通り過ぎる。
「はっ!やっぱその魔法反則みてぇなやつだな!」
金の人影が言う
「まあ、強力な事は確かだね。でも、もう慣れてきたんじゃない?」
それに銀の人影が軽い感じで返す
「まぁな、最初の方は散々にやられちまったからな」
「でも最近は決着がつかないんだよね」
「今日こそ俺が勝つ!」
「俺も負ける気はないよ!」
そうして再び金と銀の人影はぶつかり合う
~~~~~~
ソウマとの朝の鍛錬を終えて昼食や軽くシャワーで汗を流すなどを終えて、今日も昨日に引き続き塔型のダンジョン21階へとやってきた
「そういや、クウガ。今の感触は?」
21階へとたどり着いてソウマが聞いてきた。感触とは恐らく斬ることについてだろう
「中々上手くいかないね。昨日は1回だけ上手くいったんだけど、ちゃんと掴めてないんだ」
「そうなのか。俺も剣やってみようかな~」
「ギュル爺に頼めば直ぐ教えてくれると思うよ」
「うーん、でもな~。剣てなんかちがう気がすんだよな~」
「なんかって何?」
「ん?わからん」
そういって笑う。ソウマは時々こんな感じがある。なんか違うとか、なんかあるとか言葉に出来ないが勘が働くのだ。
「まあ、取り敢えず始めようか」
話ながら歩いていたが地竜があらわれたので切り替える
「んじゃ、今日もナキアにプレゼントする為に頑張りますか!」
あいつはどんだけ高い物を買うつもりなのだろうか
そんな風にソウマのナキア王女への贈り物が気になるのだった
剣を両手で正眼に構えて地竜との距離を詰めていく。迫る爪を躱すか受け流すたり、逸らしたりして隙を探す。今は剣に魔力を纏わせていないので只の鉄鉱石から作られた普通の剣だ。地竜の攻撃を真正面から打ち合った弾いたりは出来ない。そんなことをすれば1発で剣は粉々になってしまうだろう。
振り下ろされる左足を剣で受け流し、続けて放たれる右足の横薙ぎを下を潜って躱す。地竜はそのままの勢いで回転し尻尾を振り抜いてきた。しゃがんだ体勢から俺は剣を尻尾に向かって剣の柄を握りしめて思いっきり振り上げる。
ザンッ!
俺は瞬時に剣と切断面を確認すると
「お!」
本日6体目の地竜で昨日と合わせて2回目の綺麗な切断だ
しかし、これといって今までと変わったことはやっていないはずたし、1回目と違い力も大分込めた。強いて言えば柄を気持ち握りしめたくらいか?
そんな風に振り返っていると痛みから復帰した地竜が攻撃してきたので躱す
「もっかいだな、まだ掴めてない」
俺は先程の感触を思い出しながら再度繰り出された地竜の前足の横薙ぎを地竜の方に躱し、一息に地竜の首の横に入り込む。柄を握りしめて首目掛けて振り上げる!
ギィン!
だが、振り上げた剣は地竜の首の途中で止まってしまった。地竜が暴れたので剣をそのままに離脱し、再度思考する。
なんでだ。さっきみたいに柄を握りしめね、振り上げる動作も同じだったはずだ。
ダメだ、行き詰まってる。最初から考えてみよう。何故俺は綺麗に切断できた。勢いか?違うな。威力か?これも違う。速さか?これも違うだろう。となるとやはり握りか?だがどうして握りによって変わる?
考えながら俺は地竜を見て、剣が途中で止まってしまっている首の傷が目に入る。
ん?あれは、斬り込んだ所から刃先がずれているのか?
それは僅かなものだった。普通の冒険者や剣を扱う者は気にしないようなそんな些細な物だった。
今、クウガが会得しようとしている技術はこの世界では主流ではない。普通は綺麗な切断面など求めないし、魔力で覆えばある程度の実力者ならできないことはない。更に言えばマジックアイテムといった物でも可能となるだろう。
だが、クウガはそれを己の技術で、しかも鉄剣でやろうとしているのだ。この世界広しと言えど出来るのはギュル爺と他数名いるかどうかだろう。
そして、クウガは今正解へ至ろうとしている
つまり、あの綺麗な切断面はブレがないということ?いやだが俺はそれなりに身体制御は頑張ってきたし、師匠からお墨付きも貰っている。なら意識していない所で何かあるのか?
身体制御といってもそれは自分が意識して動かして、初めて意味をなす物だ。それをクウガは少し忘れていたのだ。
綺麗な切断面となったのは力を込めすぎなかった時と、握りを強くした時、これらをする事で起こることはなんだ?
この2つがブレないことに関係している気がする。そもそもなんでブレるんだ……
斬る対象のせいか?いや、これは違うな。それならギュル爺がこんなことをさせる筈がない。
てことは俺に原因があるということ。つまり何だ?力?速さ?姿勢?ん、姿勢って確か師匠がなんか言ってた気が。
あ!そうだ、姿勢で思い出した!型だ!それと力のコントロールだ!
そうだよ、姿勢がちゃんとしていなければ型が崩れて技が意味をなさなくなると師匠が言っていた。それに力を入れすぎたりすると、余計な力が別の場所にかかってしまうんだ。
剣を振る時に型にそって振るっても力の配分がダメだったら台無しになってしまう。だから、1回目に力を抜いた時にそれがベストな力配分だったんだ。そして、握りだ。これは恐らく握りを強くしたことによってブレを抑えれたんだ。だけどさっきのは力を込めすぎて余計な力がかかっていたのだろう。
よし!そうと分かれば実践するのみ!
俺は未だに剣が首に食い込んで暴れている地竜に近づき、勁を使い拳を頭に叩き込む。衝撃が内部に伝わるように打ち込んだ為に脳が破壊され地竜はその場に崩れ落ちる。
そして俺は首から剣を抜き、時戻しで剣を修復して分かったことを反芻しながら次の獲物を探す
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