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1章
44:精神鍛錬なのですか?
しおりを挟む只今、31階への階段を登っているのだが問題が発生した。
「くせぇ~、鼻がもげる」
ソウマが顰めっ面で言った事が全てを物語っている。ラキア達召喚獣は俺の中へと既に退避している。俺の中なら臭いを完全に遮断できるからね。
それにしても臭い。本っ当に臭い。これは嗅がねば絶対に分からないだろう。もうね、涙が出てくるほどなんだよ。
しかしだ、臭くてキツイが臭いの元は明らかに31階なのだ。ダンジョンを攻略するためには乗り越えねばならない。鼻を押さえて口だけで呼吸していても臭い。もうこれは攻撃と呼んでも良いのでは無いだろうか。
そんな感じで階段を登りきったのだが、予想違わず臭いの元は31階にいた。
階段を登って見た光景は通路に腐ったゾンビが溢れかえっている光景だった。
ゾンビは13階で既に出て来ているので、階が変われば一部の例外を除き同じ魔物が出て来ないというここのダンジョンの造りからしてただのゾンビでは無いだろう。てか臭いがまず段違いだ。そんな所を強化しなくても良いのに
ゾンビの上位種は2種類いるのだが、片方はグール、もう片方はハイゾンビ。グールは人に匹敵するような知能を持ち、腐肉を好んで食べるが本人達の体は腐らないという魔物なので今回のはこれではない。
ハイゾンビ、知能を持つことでゾンビの時は走ったりすることのできなかった奴らが走ったり攻撃をしっかりとしてくるようになる。しかし、グールよりは低いので倒すのは割と簡単だ。
だが!最大のポイントはそこでは無い。今も俺達を苦しめるこの臭いだ!
こいつらはグールと違って体は腐ったままだ。そのせいで臭いがひどい。
というか、ここを通って行かないと行けないのか。
臭いな~、辛いな~、もうお家帰りたいな~
まあ、そんな事を思っていても何も解決などしないのだからさっさと行動しよう。
「ソウマ、全力全開で走り抜けるよ」
【感雷】を使い、さらに【魔纏】で風と雷を纏う
「こんなとこ早く抜けてぇもんな!あ、何だったら競争しようぜ!」
「お、ソウマのくせに中々良いこと言うじゃん」
「ソウマのくせに、なんて言うなよ!」
「まあまあ、そんな事は置いといて何かける?」
「え、置いとくの?はあ、まあ良いや。そんじゃあ今日の晩飯のメインでとうだ!」
「いいね!乗ったよ!妨害はなしね!」
「ああ、それで良いぜ!」
「それじゃあ、よーい・・・どん!」
光の線が駆け抜けた。
通路は幅が5mほど。そこにゾンビがびっしりと居たのだが、2条の光の線がその通路に走ると光の跡にはゾンビなどは居らず、綺麗に道が出来ていた。
やっぱり全力疾走は爽快だな~。まあ、景色は最悪なんだけどさ。
ゾンビを【感雷】の雷と【魔纏】で纏った雷と風によって消し炭にして吹き飛ばしながら駆ける。曲がり角は減速などせずに力にモノをいわせて直角に曲がる。ソウマとの距離は全く開かない。俺の敏捷は龍人という上位種のお陰でかなり高い。そんな俺にソウマがついてこれているのには理由がある。獣人の中でも敏捷の高い狼であること、さらにその狼獣人の中でも能力の高い金狼という事が理由である。それにレベルが殆ど変わらないのも大きい。
そんな訳でこのままではメインのおかずをゲットすることは叶わない。ではどうするか。こんな時こそ魔術の出番!
風魔術でふくらはぎの外側に横向きの筒を左右で3つずつ生成し、その中で火魔術による爆発を起こす。風の筒によって炎と爆発に指向性を持たせ、爆発の勢いを貰いスピードに変える。それを【縮地】にあわせて発動することにより更にスピードを上げる。
ドンッ!という音を響かせて移動した次の瞬間、俺の視界には壁が迫っていた。慌てて壁に対し、手と足で着地する。念の為にと思って長めの直線通路で試したのだが、あの距離では足らなかった様だ。てか、【縮地】が余計だったな。
これによってソウマとの距離が開いた。
だが、ソウマも馬鹿ではなかった。離れていた距離が、俺が走るのを再開しようとした時には無くなりソウマが俺の隣に移動していた。そして、さりげなくドヤ顔を決めてまた消えた。
半端なくイラっときたが、俺は見逃さなかった。ソウマが身に纏う雷の色が増えていたことに。【感雷】の赤、雷魔法の黄色、そして黒色だ。
そして俺は理解した。ソウマが雷魔法の重複発動を行った事であれだけの速さを手にしたことを。今まで気付かなかったのは情けないし、あのソウマが気付いたことに気付けなかった事にまたイラっときたが置いておこう。俺の考えが正しければ色や特性を変えずとも重複発動は可能なはずだ。
早速やってみたのだが、結果から言うと出来た。しかしだ、これは今まで以上に繊細な魔力操作が必要になる。ソウマが出来ないと判断したのはこの為だろう。何故特性を変えれば出来たのかは恐らく別物として扱われたのだと思う。まあ、そんな事は今は良い集中による思考速度の上昇や【高速思考】によって短い時間で今までの事を成したが早くしなければソウマに更に距離を放されてしまう。
ここはソウマを超える為にもう1つ頑張ろうかな。
俺は2つ発動させている雷魔法に加えて更にもう1つ発動した。
うーん、2つ発動させる時をデュアル、3つの時をトリプルとしようか。
それじゃ、一気に追い抜きますかね!
~~~~~~
ふっふっふっ。見たかクウガ!これぞ俺の新しい技よ!これで今晩のメインは2倍だー!
いやー、まじでさ、この2つの雷魔法を身に纏うってのは苦労したんだぜ~。普通に2つ目かけようとしたら出来なかったんだけど色々と試してこの特性を変えるって考えにたどり着く為に3日は要したからな~。思いついた時は我ながら天才かと思ったぜ!
ソウマにドヤ顔もかましてきてやったから、今頃は悔しがっているだろう。
凄まじい速度でゾンビ溢れる通路を突っ切りゾンビを蹴散らしながら進む。
お!階段発見!これで今日のメインが増え
バチチチチチチチチチチ!
ん?今物凄い音を立てて何かが横を通り抜けた様な?
そして、俺は階段に辿り着いた。
しかし、しかしだ!そこには既にクウガの野郎が居やがった。
お、俺の今晩のメインが……
~~~~~~
トリプルは途轍もなく強力だった。ソウマの速さは相当だったが、使っている俺が五月蝿いと思うほどの音を立てているのは伊達ではないらしく階段前辺りでビュバン!って感じで無事にソウマを抜かし、俺の勝利となった。
俺を確認してそんな馬鹿なと言いながらorzの体勢をとったソウマを見て思う。
今日の晩御飯が楽しみだ!
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