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2章
79:深夜の出来事
しおりを挟む深夜。異常を感じて目が醒める
即座にベッドから跳び起きて、装備を整える。装備はアイテムボックスの応用で思考だけで着れる
ラキアとソウマも起きて、準備を終えたようだ。ソウマの場合はマジックアイテムの効果で早着替えだ
目が醒めた理由は突然、異質で強大な魔力が寮の何処かに現れたのだ。その魔力を俺は知っている
これは
「エルーンか?」
「ピンポーン!」
背後に唐突に現れた気配とその存在から掛けられた陽気な声を聞きながら手にしていたアギスで背後に反転しながら斬りつけた
ブンッ!
だが、アギスは宙を斬るのみ
「危ない危ない。ヒヒヒッ」
そうおちゃらけた様子でいる男を分析する。見た感じは俺と同じくらいの身長と紫の髪、髪型は少し長めな髪が全て逆立っている
そして、体の至る所に刻まれた紋様。それは、ある者の特徴だ
堕神
それは元神だった者の成れの果て
大罪を犯した者、精神が可笑しくなった者など理由は様々であれど彼等彼女等は堕ちた者達。必ず負の方向に向かう。だから人々には生きる災厄の1つとして知られている
目の前の堕神もそんな中の1人だ
それで何故俺がこいつの事を知っているのかといえば、こいつを1度殺したからだ
切っ掛けは、ミネラで知り合いとなった冒険者に頼まれた頼み事からだった
そこから何やかんやあって、エルーンと戦い、殺したのだ。当時は物凄い苦戦した。ソウマやラキアなど全員でやってギリギリ勝てたようなものだ。何かを間違えていたら死んでいたかもしれない
まあ、それでもあの時は勝った
だけど、神は復活するのだ。どういう理屈でそうなるのかなんてのは分からないが、復活するのだ
当時の俺は初めて神と戦ったことでその事を知らなかったが、こいつを殺した時に残した言葉が気にかかり、調べた結果と直接他の堕神に聞いた結果分かった事だ
だからこそエクストラスキルにあんな物が有るわけだが
それもこれも当時の話だ。今はもう違う
「今度こそてめぇ等を殺してやる!手足を捥いでお前等の前で女を犯して殺してからだけどな!ヒャヒャヒャヒャ」
相変わらずの屑っぷりだが強さは本物だ。ならばこそ一瞬で終わらせる。その思慮のや足りなさを後悔しろ
なお笑い続けるエルーンを見据え、次元の位相を変更し、切り札も使った全力の一歩を踏み込んだ
スキルを発動させながら、魔力の循環率を上げ、身体強化を発動して距離を詰める
移動の最中スキルの発動に伴って、俺の頭から足までの全身をピッタリと覆う銀色の鎧と宙に浮かぶ10の剣のようなものと1振りの刀に似た長剣が顕現する。その中の一本を左手で掴み取り、右手にアギスを、左手にはその現れた剣を握る
周りの景色を一瞬で置き去りにして驚愕をその顔に浮かべるエルーンの前へ
何もさせる気は無い
今度こそ完璧に消し去ってやる
【魂葬】を発動しながら両手に持つ2本の剣に殺気を乗せて瞬きの間に数多の斬撃を繰り出した
唐竹割りに、袈裟懸けに、逆袈裟に、横薙ぎに、両手に持つ剣を振るった。エルーンの体に刻まれる斬線。腕が飛び、髪が散り、体がずれ、血が吹き出る
斬り飛ばされた部分が【魂葬】によって青白い炎に燃やされながら消滅する
「ぎゃあああああああ」
ほぼ痛みを感じない筈の奴が悲鳴をあげながら崩れ、焼滅していく
「な、何で再生しないんだよー!」
縦に割れた顔を苦痛に歪め、本来なら再生する筈の己の体を見ながらその強靭な生命力によって直ぐ様消滅出来ないエルーン
神ほどの高位の生命体となれば自己の再生など当たり前だ。復活なんてするんだから当然か
だけどそれが治らない
これは俺の持つスキルが関係している
エクストラスキルの【神殺し】と【魂葬】、更に言うと〈称号〉の神殺しも関係している
通常、堕神などの神に属する者に対しては傷やダメージを与えるのは非常に困難だ。けれども俺の【神殺し】のスキルはそのハードルを下げ、更に付けた傷を治り難くさせる効果もある。〈称号〉の神殺しによっても難度は下げられている。そして、先程からエルーンの体が青白い炎によって焼滅していっているのは【魂葬】の効果だ。これは、魂を葬るスキル。魂を消し去ることで存在を消し、神ならば復活が出来なくなるものだ
「あああああぁぁぁぁ……」
エルーンの体が消えていき、悲鳴が段々と小さくなり、エルーンの完璧な消滅と共に部屋には静寂が訪れた
「ふう」
完全に消し去った事をスキルと己の感覚で確信して息を吐き緊張を解く
エルーンが当時の傲慢な、ある意味神の堕神のままでいた事で余計な被害などを出さずに済んだ。そこに関しては幸運だったと言えるだろう。それにエルーンと戦ったのがそれなりに前で【魂葬】も持っていなかったことも良い方向に働いた
「お疲れ様です、マスター」
「お疲れさん。俺の出番は無かったな」
「うん。まあ、エルーンだったからね。当時は苦戦したもんだったけど、強くなったってことだね」
ソウマにそう返しながら強くなれている事実を認識するも、まだ目標には足りないだろうと気を引き締める
「そう言うことだな。でもまだ足りないだろ?」
「ああ、まだ足りない」
「頑張るしかねぇな。じゃあ、とっとと寝ようぜ。まだ寝足りねえよ」
欠伸をしながら寝巻きへと着替え、布団に潜るソウマ
「そうだね」
変えていた次元の位相を元に戻してから、俺も寝巻きに手早く着替えて布団に入る。ラキアも人の姿になって一緒の布団に入り、何時ものように抱きついてくる。明日、いや、もう今日か。今日もまたフレッドと一緒にダンジョン攻略だしっかりと睡眠を取らないとね。コルクさんには明日報告しに行けばいいや
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