22 / 29
安田夫婦関連
ジョーの災難おまけ(橘家)
しおりを挟む
「ただいまぁ」
「お帰り。お疲れさん」
がちゃりとドアが開いて彩乃の声が聞こえた瞬間、俺と一緒に食卓に料理を並べていた息子たちが駆け出した
「お母さんおかえりー!」
「ただいま悠人」
「今日ねぇ悠人ご飯作るの手伝ったんだよ!」
「健人も手伝った!」
「ほんとぉ偉いわねぇ~」
わいわい騒ぎながらリビングへと入って来た彩乃は手を伸ばす末娘を抱き上げる。小柄な彼女もそうしているとしっかり母親らしく見える。仕事中はきりりとした風格も、子どもの前では力が抜けている。
「はあ、いいにおい。お腹空いたぁ」
「今できたとこだから、手洗って来いよ」
「はぁい。ありがとう」
彩乃は荷物を台に置いて、手を洗いに行った。子どもたちもわらわらついて行って、賑やかに今日あったことを話している。
戻って来た彩乃の顔を見ていたら、気づいて首を傾げた。
「どうしたの?人の顔、じっと見て」
「いや、別に」
俺は微笑んで、ふと湧いたいたずら心に、彩乃の頬に片手を伸ばす。
彩乃がたじろいで目を泳がせた。
「ご、ごはん」
「うん」
「こ、子どもたちが」
「うん」
伸ばした手を首後ろへと滑らせると、頭一つ下にある額に口づけた。
「悠人もちゅー」
「健人もー」
息子たちが彩乃の手を引っ張り、かがませたところで頬に口づける。
俺は笑った。
「人気者だな」
「人生最大のモテ期かも」
笑った彩乃は、改めて俺を見る。
「で、どうしたの?」
「うん?あー、いや」
俺は苦笑した。
正直、名取さんが周囲に遠慮なく色気を放出するところを初めて見たので、さすがにうろたえたのだが、それを言うのは憚られた。ただでさえ自分に色気がないと気にしている妻だ。
「やっぱり彩乃が一番だなと思っただけ」
彩乃は目を丸くして、頬を赤らめた。
「な、何よもう、急に。いただきますっ。ほら、悠人と健人も。礼奈も食べようね」
「うんっ、いただきまーす!」
「いただきまーす」
家族が思い思いに食べはじめたのを見ながら、俺も手を合わせて食べ始める。不意に彩乃が言った。
「わ、私だって、……そう思ってるよ」
料理をつつく手を止めず、さりげなさを装ったらしいが、その顔は真っ赤になっている。
「お、お父さんのご飯美味しいしいねー!悠人たちは何手伝ったの?」
「玉ねぎむいたー!」
「健人野菜洗ったー!」
自分のことを見てもらおうと、子どもたちが自己主張を始める。
彩乃はそれに相づちを打ちながら、幸せそうに笑っていた。
今日も、我が家は平和だ。
「お帰り。お疲れさん」
がちゃりとドアが開いて彩乃の声が聞こえた瞬間、俺と一緒に食卓に料理を並べていた息子たちが駆け出した
「お母さんおかえりー!」
「ただいま悠人」
「今日ねぇ悠人ご飯作るの手伝ったんだよ!」
「健人も手伝った!」
「ほんとぉ偉いわねぇ~」
わいわい騒ぎながらリビングへと入って来た彩乃は手を伸ばす末娘を抱き上げる。小柄な彼女もそうしているとしっかり母親らしく見える。仕事中はきりりとした風格も、子どもの前では力が抜けている。
「はあ、いいにおい。お腹空いたぁ」
「今できたとこだから、手洗って来いよ」
「はぁい。ありがとう」
彩乃は荷物を台に置いて、手を洗いに行った。子どもたちもわらわらついて行って、賑やかに今日あったことを話している。
戻って来た彩乃の顔を見ていたら、気づいて首を傾げた。
「どうしたの?人の顔、じっと見て」
「いや、別に」
俺は微笑んで、ふと湧いたいたずら心に、彩乃の頬に片手を伸ばす。
彩乃がたじろいで目を泳がせた。
「ご、ごはん」
「うん」
「こ、子どもたちが」
「うん」
伸ばした手を首後ろへと滑らせると、頭一つ下にある額に口づけた。
「悠人もちゅー」
「健人もー」
息子たちが彩乃の手を引っ張り、かがませたところで頬に口づける。
俺は笑った。
「人気者だな」
「人生最大のモテ期かも」
笑った彩乃は、改めて俺を見る。
「で、どうしたの?」
「うん?あー、いや」
俺は苦笑した。
正直、名取さんが周囲に遠慮なく色気を放出するところを初めて見たので、さすがにうろたえたのだが、それを言うのは憚られた。ただでさえ自分に色気がないと気にしている妻だ。
「やっぱり彩乃が一番だなと思っただけ」
彩乃は目を丸くして、頬を赤らめた。
「な、何よもう、急に。いただきますっ。ほら、悠人と健人も。礼奈も食べようね」
「うんっ、いただきまーす!」
「いただきまーす」
家族が思い思いに食べはじめたのを見ながら、俺も手を合わせて食べ始める。不意に彩乃が言った。
「わ、私だって、……そう思ってるよ」
料理をつつく手を止めず、さりげなさを装ったらしいが、その顔は真っ赤になっている。
「お、お父さんのご飯美味しいしいねー!悠人たちは何手伝ったの?」
「玉ねぎむいたー!」
「健人野菜洗ったー!」
自分のことを見てもらおうと、子どもたちが自己主張を始める。
彩乃はそれに相づちを打ちながら、幸せそうに笑っていた。
今日も、我が家は平和だ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
色づく景色に君がいた
松丹子
現代文学
あの頃の僕は、ただただ真面目に日々を過ごしていた。
それをつまらないと思っていたつもりも、味気なく思ったこともない。
だけど、君が僕の前に現れたとき、僕の世界は急激に色づいていった。
そして「大人」になった今、僕は彼と再会する。
*タグ確認推奨
関連作品(本作単体でもお楽しみ頂けます)
「明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)」(妹・橘礼奈)
「キミがいてくれるなら(you are my hero)」(兄・橘悠人)
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる