爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい!

松田丹子(まつだにこ)

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第四章 曇天をさらう暴風雨 (ヒメ/阿久津交互)

05 急展開

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「ヒメちゃん、すごくご機嫌ね。彼氏でもできた?」
 職場の人に問われた私は、にこりと笑って首を傾げた。
 スマホ片手にニヤニヤしているのは自覚していた。極力言葉少なに送ったメッセージに、端的な返事が返って来るのがまた阿久津さんらしい。
 私の送ったメッセージ、どんな顔して見てくれてるんだろう。
 どんなことを考えながら、返事を送ってくれてるんだろう。
 少なくても、この一言を書いているときには、私のことを考えてくれていたに違いない。
 そう思うだけで満たされる自分がいて、そこのとに驚く。
 私は、歴代の彼氏に言わせると“意外とドライ“なんだそうだ。自分にそういう自覚はないのだけど。
 今までの恋愛を考えると、私はだいたい、「この人、私のこと好きなのかな?」って気づいてから気になりはじめる。
 そういう意味では、自分のことを好きになってくれている人を好きになっただけだったのかもしれない。
 けど、阿久津さんについては違う。今までもこれからも、私のことを好きになってくれるかなんてわかんない。けど、何もせずに諦めるなんて嫌だった。
 阿久津さんが言うように、ムキになっているのかと考えてはみたこともあるけど、やっぱりそうではないみたい。
 最初は一目ぼれだったけど、彼の不器用な優しさと、男らしさにドキドキする。
 想像するだけでドキドキして、見かければもっとドキドキして……
 これを恋と言わずして何を恋と言う!
 ネバーギブアップ。願えば叶う。行動あるのみ。あとは……あとは……
 私を勇気づけてくれそうなステキ格言を思い出そうとしていたら、またスマホがブルブルと鳴った。
【今日の夜の予定は?】
「えええええ!」
 私は思わず立ち上がる。周りのみんなが驚きの目で私を見てきた。
「ど、どうしたの?」
「いや、えと、えええええ!?」
 ニヤニヤする頬を両手で挟みつつ、ロッカーに入っている自分の服を思い出した。今日は黄色のワンピースと白いカーディガン。まあデートには悪くないか。
 っていうか、朝も会ってるんだからいまさらか。
 それよりも、早く返さなきゃ!
【何もありません!】
 送ったとき、壁にかかった時計が1時を回り、動物の人形たちが曲に合わせて踊り出した。
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