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第十二章 彦星は夜の訪れが怖い(阿久津視点)
04 提案
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そんなある日、結婚情報誌を持って俺の家に来たヒメは、真剣な顔をしながらのたまった。
「光彦さん的には、先に同棲ってありですか?」
「はっ?」
思わず間の抜けた声を出すと、ヒメは一人頷きながら話しはじめた。
「私が仕事続けるとしても、子育て終わってから働くとしても、やっぱり子どもは早い方が、金銭的に不安がなくていいですよね」
俺は黙ったまま、これ以上ないくらい真剣なヒメの横顔を見ている。
「できれば二人くらい欲しいし、でももし今妊娠しても、産まれるのは光彦さんが41でしょ。65まで働いてもらうとしても、二人とも大学卒業まで行くには、あんまり時間がない」
へえ。お前、そういう算段できる奴だったのな。
知らなかった一面を見た思いでぼんやりしていると、不意にヒメが眼差しをこちらに向けた。
「でも一年くらいは何も気にせず二人でイチャイチャ過ごしたいんです。だってずっとお預けだったんだもん。でも結婚式場は一年くらい先しか予約取れないし。となったら、先に同棲しておいて、結婚式して、新婚旅行行って、で、妊娠する。それで年子覚悟で二人産めば、光彦さんが65までに大学卒業、行ける!」
……そんな簡単に妊娠できるもんか?
両拳を握って大きく頷いたヒメに、俺は曖昧な相槌を返した。その左薬指には、俺が贈ったエンゲージリングがきらりと輝いている。小柄な彼女に似合うよう、あえて石は小粒のものを選んだ。その代わり、リングをぐるりと囲うようにダイヤがついている。俺がぼんやりその輝きを見ていると、
「……どうでしょう?」
と、いつもの丸い目に戻ってこてんと首を傾げる。
先ほどのやたら真剣な顔とのギャップに、俺は喉の奥でう、と呻いた。
くっそ可愛い。
つい目を反らし、ソファに背中を預ける。
「まあ、いいんじゃないの」
「ほんとですかー!?」
目を輝かせたヒメが、俺の上にダイブするように抱き着いて来た。
受け止めてその頭を撫でる。胸に頬を添え、ヒメがくすぐったそうに笑った。
「じゃあ、両親にも聞いてみます。光彦さんは?」
「まあ聞いてもいいけど、うちは文句ないと思うぞ」
結婚式が1年後だということすら、うちの両親は遅いんじゃないかと心配しているくらいだ。主に逃げられるんじゃなかろうか、ということだろうが。
「それなら、問題はうちの親ですね。がんばって説得します。光彦さんも協力してくれる?」
俺は苦笑した。
「そりゃできるならするけど」
「わぁい」
相変わらず喜びを身体中顔中で表現して、ヒメは俺の首に抱き着いた。
じっと俺の目を見つめ、唇に軽いキスを落とす。
「……まだ、しないの?」
「仕方ねぇなぁ」
笑いながら俺はその髪を撫で、首筋に手を添えた。
どちらからともなく重なった唇が、角度を変える度に濃度を増し、絡み合う。
「ん、ふ、んん」
少しずつ、ヒメは俺に翻弄されるだけではなくなってきた。俺に感じて欲しいからとときどき健気に動く舌先に任せてみると、小さな舌を懸命に伸ばし、俺の口内をまさぐってくる。
その刺激そのものに感じるというよりも、多分その気持ちに反応して、下腹部に血が集まっていくのを感じる。
俺はキスを繰り返しながら、ヒメの豊かな胸を服の上からゆっくりと揉む。セックスアピールとしてだけでなく、感度も良好なのか、ヒメは胸に触られるのが好きらしい。ときどき頂きをこすってみたり、全体をゆすってみたりーーしているうちに、俺の方が我慢できなくなって胸に顔を埋める。
「ふふ」
俺の頭をかき抱いて、ヒメが嬉しそうに笑う。
俺の額にキスを落とし、耳を舐めてリップ音をさせると、
「光彦さんが私の子どもになったみたい」
「子どもがこんなことするかよ」
言いながら、スカートの中に手を差し込み、ショーツ越しに溝をさぐる。ヒメの口から甘い吐息が漏れた。
「ベッド行くか?」
「ううん、ここでする」
ヒメの頬は紅潮し、潤んだ目が俺をとらえる。
少女じみた顔に浮かぶ欲情の色を見ると、なんとなくインモラルなことをしている気分になり、俺をそそる。
俺はヒメのトップスをたくし上げると、ブラジャーのカップをずり下げた。ピンクに色づいた頂きに吸い付くと、もうそこは固くなっている。
「はぅん」
一層の嬌声を漏らし、ヒメが腰を浮かす。俺はショーツの横から指を差し入れ、片手で入口をやわやわとほぐし、もう一方はショーツ越しに蕾を刺激する。与えられる刺激に興奮してか、そこも硬度を増してツンとしていた。
くちゅくちゅとあえて水音をたててやると、ヒメは恥ずかしがって益々濡れる。とろりとした愛液をこすりつけ、蕾も直接指先で往復すると、ぴくんぴくんと腰が揺れた。
その度、俺の眼前にある豊かな膨らみもまた揺れる。
俺は喉の奥で笑って、胸を下から舐めあげた。
「ぁあ……」
「一回イッとけ」
「んっ……」
俺はヒメの腰をかかえるようにして、ソファにゆっくりと横たえる。乱れた服からちらりと見える胸と、紅潮した顔が俺の欲情をかきたてた。ショーツを下ろし、スカートの中に頭を突っ込む。
ヒメはこういうプレイが好きなのだ。風呂に入ったのにわざわざこんな格好をしているのも、だからだろうと察している。
ツンと尖った蕾を舌先で探り当て、吸い上げるとヒメの声が聞こえた。
「光彦さぁん」
甘えた声が俺の名を呼び、俺の後頭部にヒメの手が添えられる。やわやわと髪に指を絡めて来る。
俺は舌先でそこをちろちろと舐めながら、指は乱暴なほどズコズコと奥をまさぐる。
愛液があふれそうになると音を立てて吸い上げ、ヒメはその度に興奮していく。
「ぁ、あ、あ、イッちゃう、イッちゃうーー」
「イけよ」
ぐちゃぐちゃぴちゃぴちゃと音が続き、ヒメの身体が小さな悲鳴と共にぎゅっと収縮した。
「ん、ぁあ!」
俺は動きを緩め、指を抜き、流れ落ちそうな愛液を舐めとる。俺がどこかに触れる度に、ヒメはぴくんぴくんと反応する。その様が可愛くてつい微笑む。
スカートから顔を出すと、ヒメが潤んだ目で俺を見た。
「気持ち、よかった……」
「うん、よかった」
言いながら、濡れた指を舐めとる。それを見てヒメが顔を赤らめた。
「や、やだ、もう」
「何で? お前が感じた証拠だろ」
ヒメは恨めしげに俺を見たが、その目はこの先の期待に燃えている。俺は笑ってヒメの頬に口づけた。
「ちょっと待ってろ」
行ってゴムを手に戻って来る。ズボンを下ろしてそれをつける間、ヒメがそわそわしながら膝を抱えて座っていたが、不意に立ち上がって俺を見上げた。
「……どうした?」
「き、今日は、私が上なの!」
真っ赤な顔のまま、俺に座れと示す。俺は一瞬の間の後噴き出し、ソファに座った。
すっかり硬度を増した俺自身が、狂暴にそそり立っている。
「じゃあ、どうぞ」
「え、う、あ、はい」
頷くが、なかなか勇気が出ないのか、じっと俺のそれを見ている。
「あんまり見られてると萎えそう」
「えっ」
一度、萎えてしまって終わりになったこともあった。ヒメが慌てたように俺を見る。俺は笑って両手を広げた。
「おいで、ヒメ」
こんな王子的な振る舞いは、本来進んでするわけじゃない。ヒメが好きだと知っているからするだけだ。正直恥ずかしいが、二人のときだけだからと自分に言い聞かせている。
案の定、ヒメは頬を染めて、ショーツをその場に脱ぐとゆっくり俺にまたがった。潤った入口に先っぽをあてて少し腰を下げ、上げて、下げて、を繰り返すうちに、滑らかに出入りするようになってくる。
だいぶ慣れてはきた俺だが、それでも、狭い。
つぅか、苦しい。動きたい。思いっきり下から突き上げたい。早く彼女の中に自身の全てを突き立て、乱暴に揺さぶってその胸を吸い上げ、俺自身で達してほしい。
思うが、今日は自分でと決めているのだろう彼女にそう言う訳にもいかず、少しずつ深くなる挿入に、ぐ、と喉を鳴らす。
「っ……ヒメ……早く、してくれ……」
「へっ? あ、つ、辛いですか?」
「……辛い。下から突いていい?」
「え、あ、ええと、」
はい、と頷く気配を見た瞬間に、堪えられずその腰に両手を添えて一気に突き上げる。瞬間、はだけた胸が大きく揺れた。ヒメの嬌声が上がった。その姿にも声にも俺自身がまた反応し、硬度を増す。腰を数度打ち付けると、ヒメが慌てて俺の肩に手を添えた。
「ま、ぁあん、待って、待ってよぅ」
「何だよ」
「今日は私が動くのぉ」
俺はちっと舌打ちをして、一度動きを止めた。とりあえず全てを包み込んでもらうに至ったので、多少は気持ちが違う。
でも最後には思い切り楽しませてもらおう、と思いつつ、ヒメに動きを任せる。
ヒメは息を吐き出しながら自らに俺を沈め、ゆっくりと抜き出す、ことを繰り返した。彼女のそれを使ってのゆるやかな愛撫に吐息が漏れる。ああ、これがスローセックスってやつか。満たされる心を感じつつ、ヒメの頬に手を添える。
微笑んだヒメが、俺に口づける。ヒメが局部の愛撫をするなら、俺は口中を担当すればいいと気づいて舌を絡めた。
ヒメの鼻腔から満足げな吐息が漏れる。その間も、ゆっくりとした出し挿れは続く。俺の高ぶりが奥まで包まれる度、俺からも吐息が漏れた。ヒメはそれを聞き取って嬉しそうに微笑む。
重ねていた唇を離すと、ヒメが首に抱き着いた。
柔らかな二つの膨らみが、俺の顎先に当たる。
「好き、光彦さん、大好き」
その間もゆるゆると動くのは止めない。
「はぁ、ああ、気持ちいい」
「うんーー気持ちいいな」
「ほんと? 光彦さんも、気持ちぃ?」
俺の言葉に、きゅんとヒメの中が締まった。俺が感じているのがそんなに嬉しいのかと微笑む。
「気持ちいいよ」
またヒメの内側が締まる。照れ臭そうな微笑みに唇を近づけ、また唇を重ねた。
「ーーでも、そろそろ……動いていい?」
「うんーー」
頷きを見届けて、腰を下ろしたタイミングを見計らって俺が突き上げる。
少しずつ、ヒメの動きは早くなり、俺の動きも乱暴さを増していく。
肌と肌の重なる音と水音、互いの息遣いが部屋に満ち、ときどきあがる嬌声に、互いの中心が疼く。
「あ、あ、あ、あ、ーー」
「ヒメーー、っ、く」
「ぁあ、ああっ」
「ヒメ」
「ああ!」
強く腰を打ち付け、愛しい名前を耳元で囁くと、ヒメが一際大きくあえぐ。
同時に締まった膣の搾り取るような動きに、俺は吐精した。
「光彦さん的には、先に同棲ってありですか?」
「はっ?」
思わず間の抜けた声を出すと、ヒメは一人頷きながら話しはじめた。
「私が仕事続けるとしても、子育て終わってから働くとしても、やっぱり子どもは早い方が、金銭的に不安がなくていいですよね」
俺は黙ったまま、これ以上ないくらい真剣なヒメの横顔を見ている。
「できれば二人くらい欲しいし、でももし今妊娠しても、産まれるのは光彦さんが41でしょ。65まで働いてもらうとしても、二人とも大学卒業まで行くには、あんまり時間がない」
へえ。お前、そういう算段できる奴だったのな。
知らなかった一面を見た思いでぼんやりしていると、不意にヒメが眼差しをこちらに向けた。
「でも一年くらいは何も気にせず二人でイチャイチャ過ごしたいんです。だってずっとお預けだったんだもん。でも結婚式場は一年くらい先しか予約取れないし。となったら、先に同棲しておいて、結婚式して、新婚旅行行って、で、妊娠する。それで年子覚悟で二人産めば、光彦さんが65までに大学卒業、行ける!」
……そんな簡単に妊娠できるもんか?
両拳を握って大きく頷いたヒメに、俺は曖昧な相槌を返した。その左薬指には、俺が贈ったエンゲージリングがきらりと輝いている。小柄な彼女に似合うよう、あえて石は小粒のものを選んだ。その代わり、リングをぐるりと囲うようにダイヤがついている。俺がぼんやりその輝きを見ていると、
「……どうでしょう?」
と、いつもの丸い目に戻ってこてんと首を傾げる。
先ほどのやたら真剣な顔とのギャップに、俺は喉の奥でう、と呻いた。
くっそ可愛い。
つい目を反らし、ソファに背中を預ける。
「まあ、いいんじゃないの」
「ほんとですかー!?」
目を輝かせたヒメが、俺の上にダイブするように抱き着いて来た。
受け止めてその頭を撫でる。胸に頬を添え、ヒメがくすぐったそうに笑った。
「じゃあ、両親にも聞いてみます。光彦さんは?」
「まあ聞いてもいいけど、うちは文句ないと思うぞ」
結婚式が1年後だということすら、うちの両親は遅いんじゃないかと心配しているくらいだ。主に逃げられるんじゃなかろうか、ということだろうが。
「それなら、問題はうちの親ですね。がんばって説得します。光彦さんも協力してくれる?」
俺は苦笑した。
「そりゃできるならするけど」
「わぁい」
相変わらず喜びを身体中顔中で表現して、ヒメは俺の首に抱き着いた。
じっと俺の目を見つめ、唇に軽いキスを落とす。
「……まだ、しないの?」
「仕方ねぇなぁ」
笑いながら俺はその髪を撫で、首筋に手を添えた。
どちらからともなく重なった唇が、角度を変える度に濃度を増し、絡み合う。
「ん、ふ、んん」
少しずつ、ヒメは俺に翻弄されるだけではなくなってきた。俺に感じて欲しいからとときどき健気に動く舌先に任せてみると、小さな舌を懸命に伸ばし、俺の口内をまさぐってくる。
その刺激そのものに感じるというよりも、多分その気持ちに反応して、下腹部に血が集まっていくのを感じる。
俺はキスを繰り返しながら、ヒメの豊かな胸を服の上からゆっくりと揉む。セックスアピールとしてだけでなく、感度も良好なのか、ヒメは胸に触られるのが好きらしい。ときどき頂きをこすってみたり、全体をゆすってみたりーーしているうちに、俺の方が我慢できなくなって胸に顔を埋める。
「ふふ」
俺の頭をかき抱いて、ヒメが嬉しそうに笑う。
俺の額にキスを落とし、耳を舐めてリップ音をさせると、
「光彦さんが私の子どもになったみたい」
「子どもがこんなことするかよ」
言いながら、スカートの中に手を差し込み、ショーツ越しに溝をさぐる。ヒメの口から甘い吐息が漏れた。
「ベッド行くか?」
「ううん、ここでする」
ヒメの頬は紅潮し、潤んだ目が俺をとらえる。
少女じみた顔に浮かぶ欲情の色を見ると、なんとなくインモラルなことをしている気分になり、俺をそそる。
俺はヒメのトップスをたくし上げると、ブラジャーのカップをずり下げた。ピンクに色づいた頂きに吸い付くと、もうそこは固くなっている。
「はぅん」
一層の嬌声を漏らし、ヒメが腰を浮かす。俺はショーツの横から指を差し入れ、片手で入口をやわやわとほぐし、もう一方はショーツ越しに蕾を刺激する。与えられる刺激に興奮してか、そこも硬度を増してツンとしていた。
くちゅくちゅとあえて水音をたててやると、ヒメは恥ずかしがって益々濡れる。とろりとした愛液をこすりつけ、蕾も直接指先で往復すると、ぴくんぴくんと腰が揺れた。
その度、俺の眼前にある豊かな膨らみもまた揺れる。
俺は喉の奥で笑って、胸を下から舐めあげた。
「ぁあ……」
「一回イッとけ」
「んっ……」
俺はヒメの腰をかかえるようにして、ソファにゆっくりと横たえる。乱れた服からちらりと見える胸と、紅潮した顔が俺の欲情をかきたてた。ショーツを下ろし、スカートの中に頭を突っ込む。
ヒメはこういうプレイが好きなのだ。風呂に入ったのにわざわざこんな格好をしているのも、だからだろうと察している。
ツンと尖った蕾を舌先で探り当て、吸い上げるとヒメの声が聞こえた。
「光彦さぁん」
甘えた声が俺の名を呼び、俺の後頭部にヒメの手が添えられる。やわやわと髪に指を絡めて来る。
俺は舌先でそこをちろちろと舐めながら、指は乱暴なほどズコズコと奥をまさぐる。
愛液があふれそうになると音を立てて吸い上げ、ヒメはその度に興奮していく。
「ぁ、あ、あ、イッちゃう、イッちゃうーー」
「イけよ」
ぐちゃぐちゃぴちゃぴちゃと音が続き、ヒメの身体が小さな悲鳴と共にぎゅっと収縮した。
「ん、ぁあ!」
俺は動きを緩め、指を抜き、流れ落ちそうな愛液を舐めとる。俺がどこかに触れる度に、ヒメはぴくんぴくんと反応する。その様が可愛くてつい微笑む。
スカートから顔を出すと、ヒメが潤んだ目で俺を見た。
「気持ち、よかった……」
「うん、よかった」
言いながら、濡れた指を舐めとる。それを見てヒメが顔を赤らめた。
「や、やだ、もう」
「何で? お前が感じた証拠だろ」
ヒメは恨めしげに俺を見たが、その目はこの先の期待に燃えている。俺は笑ってヒメの頬に口づけた。
「ちょっと待ってろ」
行ってゴムを手に戻って来る。ズボンを下ろしてそれをつける間、ヒメがそわそわしながら膝を抱えて座っていたが、不意に立ち上がって俺を見上げた。
「……どうした?」
「き、今日は、私が上なの!」
真っ赤な顔のまま、俺に座れと示す。俺は一瞬の間の後噴き出し、ソファに座った。
すっかり硬度を増した俺自身が、狂暴にそそり立っている。
「じゃあ、どうぞ」
「え、う、あ、はい」
頷くが、なかなか勇気が出ないのか、じっと俺のそれを見ている。
「あんまり見られてると萎えそう」
「えっ」
一度、萎えてしまって終わりになったこともあった。ヒメが慌てたように俺を見る。俺は笑って両手を広げた。
「おいで、ヒメ」
こんな王子的な振る舞いは、本来進んでするわけじゃない。ヒメが好きだと知っているからするだけだ。正直恥ずかしいが、二人のときだけだからと自分に言い聞かせている。
案の定、ヒメは頬を染めて、ショーツをその場に脱ぐとゆっくり俺にまたがった。潤った入口に先っぽをあてて少し腰を下げ、上げて、下げて、を繰り返すうちに、滑らかに出入りするようになってくる。
だいぶ慣れてはきた俺だが、それでも、狭い。
つぅか、苦しい。動きたい。思いっきり下から突き上げたい。早く彼女の中に自身の全てを突き立て、乱暴に揺さぶってその胸を吸い上げ、俺自身で達してほしい。
思うが、今日は自分でと決めているのだろう彼女にそう言う訳にもいかず、少しずつ深くなる挿入に、ぐ、と喉を鳴らす。
「っ……ヒメ……早く、してくれ……」
「へっ? あ、つ、辛いですか?」
「……辛い。下から突いていい?」
「え、あ、ええと、」
はい、と頷く気配を見た瞬間に、堪えられずその腰に両手を添えて一気に突き上げる。瞬間、はだけた胸が大きく揺れた。ヒメの嬌声が上がった。その姿にも声にも俺自身がまた反応し、硬度を増す。腰を数度打ち付けると、ヒメが慌てて俺の肩に手を添えた。
「ま、ぁあん、待って、待ってよぅ」
「何だよ」
「今日は私が動くのぉ」
俺はちっと舌打ちをして、一度動きを止めた。とりあえず全てを包み込んでもらうに至ったので、多少は気持ちが違う。
でも最後には思い切り楽しませてもらおう、と思いつつ、ヒメに動きを任せる。
ヒメは息を吐き出しながら自らに俺を沈め、ゆっくりと抜き出す、ことを繰り返した。彼女のそれを使ってのゆるやかな愛撫に吐息が漏れる。ああ、これがスローセックスってやつか。満たされる心を感じつつ、ヒメの頬に手を添える。
微笑んだヒメが、俺に口づける。ヒメが局部の愛撫をするなら、俺は口中を担当すればいいと気づいて舌を絡めた。
ヒメの鼻腔から満足げな吐息が漏れる。その間も、ゆっくりとした出し挿れは続く。俺の高ぶりが奥まで包まれる度、俺からも吐息が漏れた。ヒメはそれを聞き取って嬉しそうに微笑む。
重ねていた唇を離すと、ヒメが首に抱き着いた。
柔らかな二つの膨らみが、俺の顎先に当たる。
「好き、光彦さん、大好き」
その間もゆるゆると動くのは止めない。
「はぁ、ああ、気持ちいい」
「うんーー気持ちいいな」
「ほんと? 光彦さんも、気持ちぃ?」
俺の言葉に、きゅんとヒメの中が締まった。俺が感じているのがそんなに嬉しいのかと微笑む。
「気持ちいいよ」
またヒメの内側が締まる。照れ臭そうな微笑みに唇を近づけ、また唇を重ねた。
「ーーでも、そろそろ……動いていい?」
「うんーー」
頷きを見届けて、腰を下ろしたタイミングを見計らって俺が突き上げる。
少しずつ、ヒメの動きは早くなり、俺の動きも乱暴さを増していく。
肌と肌の重なる音と水音、互いの息遣いが部屋に満ち、ときどきあがる嬌声に、互いの中心が疼く。
「あ、あ、あ、あ、ーー」
「ヒメーー、っ、く」
「ぁあ、ああっ」
「ヒメ」
「ああ!」
強く腰を打ち付け、愛しい名前を耳元で囁くと、ヒメが一際大きくあえぐ。
同時に締まった膣の搾り取るような動きに、俺は吐精した。
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