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第十三章 マイスイートホーム(ヒメ視点)
05 アクシデント
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ある夜、光彦さんに電話がかかってきた。
『グーテンターク!』
「うるっせぇ! アキ、酔ってんのか?」
『なーに言ってんですかぁ。そっちが夜でもこっちはまだ午後一時ですよぉ。ランチのビール一杯しか飲んでませんって』
にぎやかなアルトの声が軽快に笑った。通話は隣にいる私にもはっきり聞こえて、光彦さんは思わずスマホを少し離して持っている。
『いやぁそれにしても、もっと早く連絡くださいよー。予定入ってたらどうしてくれたんですか、一生呪ったところですよー』
「……予定が入ってることを祈りながら送ったんだがな」
会話から、ああ、これが結婚式に呼ぼうという例の後輩かと思い当たる。
『まったまたー、つれないこと言っちゃってー。私がいないと寂しいくせに。あっ、寂しくて泣いてませんか? 会社でこっそり泣いてたり』
「するわけあるか! もう切るぞ!」
「……光彦さん、私お風呂、入ってくるね」
こっそり言ったつもりだったけど、向こうにも声が聞こえてしまったらしい。一瞬の沈黙の後、げらげらと笑い声が返って来る。
『み、みつ、光彦さ……』
「おいこらアキ、笑いすぎだ。窒息するぞ」
『ってーかあれですか、もしかして先に同棲しちゃってるんですか? 未成年にすら見える、抱き潰しそうで怖いって言ってた子でしょ』
光彦さんが渋面になった。私は聞かないふりで風呂場へと向かう。
「アキ、失礼だぞ」
『え? え? もしかして彼女に聞こえてた?』
「……お前なぁ、その音量で話しておいて、何言ってんだ」
会話はとめどなく流れていく。私との会話よりも軽やかに、光彦さんは憎まれ口をたたき、彼女は笑い、ときどきつられて光彦さんも笑った。
脱衣所からも、その気配は伝わった。光彦さんは邪険に扱っているようで、その実彼女を信頼しているのがわかる。私よりも、断然長い時間を共に過ごした人。
思わず左手のプラチナリングを見る。お風呂のときには怖くて外している婚約指輪。キラキラと、まっすぐに光を反射してくる石の輝きは、光彦さんの愛の証ーーのはず。
ドキドキと動悸は高鳴って、なかなか落ち着かない。泣きそうになっている自分に気づいた。
嫉妬、だろうか。わからない。わからないけど、その楽しそうな会話の気配を感じていたくなくて、急いで服を脱いだ。
袖がリングに引っ掛かり、するりと指輪が抜ける。はっとしたときにはすでに遅く、カツンとどこかに落ちる音がした。
下着だけを身にまとったまま、私は左手の薬指を見る。
あっけなく私から離れてしまった指輪。
ーーどこ?
血の気が引いて寒さすら感じる。服を振ったけど、ない。カツンと音がしたのだから、服にからまっていることはないだろうと思い直す。乱暴に服を放り、まずは排水溝の中を確認する。ない。
ほっとしたいところだけれど、それもためらわれた。ほとんど可能性はないけれど、指輪は排水溝の荒い網目をぎりぎり通過しそうな大きさだ。自分の指の細さに苛立つ。
床に四つ這いになって、角から順に落ちていないか探す。平坦な床ならキラリと光ってすぐにわかりそうなものだが、見つからない。
乱暴に放った服を引き上げて、その下も探す。ない。
この頃になると泣きそうだった。泣いてしまおうか、とも思った。ドアを隔てた隣の部屋では、まだ彼女と光彦さんの楽しげな会話が続いている。一見喧嘩越しにも聞こえるけれど、それは光彦さんが心を許しているからこそだ。私にだってこんなにリラックスした憎まれ口は叩かない。口にすることはあっても、途中ではっとして、反省したような苦いような顔をするのだ。それなのに、彼女はそれを、平気で受け流し、軽口で返している。
指輪がスマホのように、着信を受けて鳴ってくれたら。自分はここにいると、主張してくれたら。そしたらすぐにわかるのに。こんなにせまい場所なのに、どこに行っちゃったの。
焦れば焦るほど、目が潤んで来る。婚約までして、同棲までして、もうすぐに彼の妻になれるというのに、どうして今さら動揺するんだろう。自信がなくなるんだろう。後輩を呼んでいいかと聞かれたときにも、私は何のためらいも疑いもなく、もちろん、と笑顔で返したのに。だって、彼の大切な友達を招くのに、何の遠慮がいるだろうって、そう思ったのに。
私は床にないらしいと踏むや、立ち上がって周囲を見渡す。洗面台の横には歯ブラシなどが入る棚があり、表は戸がしまっていてつるんとしている。窓枠を見るが、ここにもなさそうだ。
なら、この戸棚の上?
光彦さんなら手を伸ばせば上をさらうことができるだろうけれど、背の低い私には背伸びをしても上に届かない。悔しさに歯がみする。踏み台になるものは隣の部屋にしかないけど、光彦さんの楽しそうな話し声はまだ続いている。一通りの憎まれ口が終わったらしい会話は、普通の楽しげな会話に変わっているようだった。
私はまた込み上げた涙に歯を食いしばって堪え、浴室を覗く。浴室用の椅子を見つけて救われた思いがした。これだ、と思って持って出て、それを踏み台代わりに棚に手を伸ばす。
手前は届いたけれど、奥までは届かない。
その高さだと、私は絶対に目が届くまでにはいたらないので、手探りで確認するしかない。背伸びをして、片手を洗面台へつっぱり、手を思い切り伸ばしてーー
椅子が動いて、悲鳴をあげた。どうにか洗面台を避けて転がったけど、足首を捻って呻く。
足元に放った服の上に、椅子が少し乗っていたのだと、転んでから気づく。
「どうした!?」
慌てたような光彦さんの声がして、ドアが開いた。
ダイニングからの光が、下着姿で転がる私を照らす。
『え、どうかしたんですか? 大丈夫?』
「ああ、ちょっとアキ、悪いけど切る」
『わ、わかりました。すみません。彼女によろしく』
「ああ」
端的に通話を済ませて、光彦さんは転がったままの私に近づいてきた。
私は情けなさに膝を抱き寄せる。
「どうしたんだよ、そんな恰好でーーこの椅子は?」
私は涙目を見られたくなくて、抱えた膝に顔を隠し、首を左右に振った。
光彦さんは困惑した様子で、スマホを窓枠に置き、ん? と何かを手にした。
「お前、こんなとこに指輪置いてたの? いつもそっちに入れてなかったっけ」
きらり、と輝くのは、私が必死で探していた婚約指輪で。
私は泣きながら、その指輪を手にしようとし、足の痛みに顔を引き攣らせた。
「な、何だよ。大丈夫か? どうしたんだ」
私は痛めた片足に体重を乗せないようにしながら、手を差し出す。光彦さんが指輪をその手に乗せた。涙がぼろぼろあふれて止まらない。どこにあったんだろうと窓枠を見やると、光彦さんは錠前のところを示した。
「ここに引っ掛かってたけど」
そこは彼の目線の高さだと視界に入るけれど、私の高さでは意識しないところだ。
はぁ、と安堵の吐息が漏れる。手の甲でぐちゃぐちゃになった顔を拭って、指輪を愛おしいもののように撫でると、そっと薬指にはめなおした。
左手の薬指に、石が輝く。
まるでそれが私を勇気付けてくれるように感じて、少し気持ちが落ち着いた。
「……ヒメ?」
困惑しきりの光彦さんが、私に呼びかける。
私は目を合わせられないまま、また指輪を外し、そっと布ばりの小物入れに置いた。
「お風呂、入る」
「でも……足、痛いんだろ?」
「うん、大丈夫」
言って、風呂場用の椅子を持ち上げ、足の位置をそのままに風呂場へと置く。
ぴょこん、と一歩風呂場へ近づいて、振り向いた。
「入るから、出てって」
「……ヒメ」
「出てって」
言って、ブラのホックを外す。
光彦さんは困惑しながら、脱衣所を出て行った。
自分で言っておきながら、出て行かれたことに腹が立つ。
知らない、もう。
知らない。
光彦さんなんか、知らない。
唇を尖らせ、頬をふくらませてみる。
無意味な強がりに、ぼろぼろとまた涙があふれた。
『グーテンターク!』
「うるっせぇ! アキ、酔ってんのか?」
『なーに言ってんですかぁ。そっちが夜でもこっちはまだ午後一時ですよぉ。ランチのビール一杯しか飲んでませんって』
にぎやかなアルトの声が軽快に笑った。通話は隣にいる私にもはっきり聞こえて、光彦さんは思わずスマホを少し離して持っている。
『いやぁそれにしても、もっと早く連絡くださいよー。予定入ってたらどうしてくれたんですか、一生呪ったところですよー』
「……予定が入ってることを祈りながら送ったんだがな」
会話から、ああ、これが結婚式に呼ぼうという例の後輩かと思い当たる。
『まったまたー、つれないこと言っちゃってー。私がいないと寂しいくせに。あっ、寂しくて泣いてませんか? 会社でこっそり泣いてたり』
「するわけあるか! もう切るぞ!」
「……光彦さん、私お風呂、入ってくるね」
こっそり言ったつもりだったけど、向こうにも声が聞こえてしまったらしい。一瞬の沈黙の後、げらげらと笑い声が返って来る。
『み、みつ、光彦さ……』
「おいこらアキ、笑いすぎだ。窒息するぞ」
『ってーかあれですか、もしかして先に同棲しちゃってるんですか? 未成年にすら見える、抱き潰しそうで怖いって言ってた子でしょ』
光彦さんが渋面になった。私は聞かないふりで風呂場へと向かう。
「アキ、失礼だぞ」
『え? え? もしかして彼女に聞こえてた?』
「……お前なぁ、その音量で話しておいて、何言ってんだ」
会話はとめどなく流れていく。私との会話よりも軽やかに、光彦さんは憎まれ口をたたき、彼女は笑い、ときどきつられて光彦さんも笑った。
脱衣所からも、その気配は伝わった。光彦さんは邪険に扱っているようで、その実彼女を信頼しているのがわかる。私よりも、断然長い時間を共に過ごした人。
思わず左手のプラチナリングを見る。お風呂のときには怖くて外している婚約指輪。キラキラと、まっすぐに光を反射してくる石の輝きは、光彦さんの愛の証ーーのはず。
ドキドキと動悸は高鳴って、なかなか落ち着かない。泣きそうになっている自分に気づいた。
嫉妬、だろうか。わからない。わからないけど、その楽しそうな会話の気配を感じていたくなくて、急いで服を脱いだ。
袖がリングに引っ掛かり、するりと指輪が抜ける。はっとしたときにはすでに遅く、カツンとどこかに落ちる音がした。
下着だけを身にまとったまま、私は左手の薬指を見る。
あっけなく私から離れてしまった指輪。
ーーどこ?
血の気が引いて寒さすら感じる。服を振ったけど、ない。カツンと音がしたのだから、服にからまっていることはないだろうと思い直す。乱暴に服を放り、まずは排水溝の中を確認する。ない。
ほっとしたいところだけれど、それもためらわれた。ほとんど可能性はないけれど、指輪は排水溝の荒い網目をぎりぎり通過しそうな大きさだ。自分の指の細さに苛立つ。
床に四つ這いになって、角から順に落ちていないか探す。平坦な床ならキラリと光ってすぐにわかりそうなものだが、見つからない。
乱暴に放った服を引き上げて、その下も探す。ない。
この頃になると泣きそうだった。泣いてしまおうか、とも思った。ドアを隔てた隣の部屋では、まだ彼女と光彦さんの楽しげな会話が続いている。一見喧嘩越しにも聞こえるけれど、それは光彦さんが心を許しているからこそだ。私にだってこんなにリラックスした憎まれ口は叩かない。口にすることはあっても、途中ではっとして、反省したような苦いような顔をするのだ。それなのに、彼女はそれを、平気で受け流し、軽口で返している。
指輪がスマホのように、着信を受けて鳴ってくれたら。自分はここにいると、主張してくれたら。そしたらすぐにわかるのに。こんなにせまい場所なのに、どこに行っちゃったの。
焦れば焦るほど、目が潤んで来る。婚約までして、同棲までして、もうすぐに彼の妻になれるというのに、どうして今さら動揺するんだろう。自信がなくなるんだろう。後輩を呼んでいいかと聞かれたときにも、私は何のためらいも疑いもなく、もちろん、と笑顔で返したのに。だって、彼の大切な友達を招くのに、何の遠慮がいるだろうって、そう思ったのに。
私は床にないらしいと踏むや、立ち上がって周囲を見渡す。洗面台の横には歯ブラシなどが入る棚があり、表は戸がしまっていてつるんとしている。窓枠を見るが、ここにもなさそうだ。
なら、この戸棚の上?
光彦さんなら手を伸ばせば上をさらうことができるだろうけれど、背の低い私には背伸びをしても上に届かない。悔しさに歯がみする。踏み台になるものは隣の部屋にしかないけど、光彦さんの楽しそうな話し声はまだ続いている。一通りの憎まれ口が終わったらしい会話は、普通の楽しげな会話に変わっているようだった。
私はまた込み上げた涙に歯を食いしばって堪え、浴室を覗く。浴室用の椅子を見つけて救われた思いがした。これだ、と思って持って出て、それを踏み台代わりに棚に手を伸ばす。
手前は届いたけれど、奥までは届かない。
その高さだと、私は絶対に目が届くまでにはいたらないので、手探りで確認するしかない。背伸びをして、片手を洗面台へつっぱり、手を思い切り伸ばしてーー
椅子が動いて、悲鳴をあげた。どうにか洗面台を避けて転がったけど、足首を捻って呻く。
足元に放った服の上に、椅子が少し乗っていたのだと、転んでから気づく。
「どうした!?」
慌てたような光彦さんの声がして、ドアが開いた。
ダイニングからの光が、下着姿で転がる私を照らす。
『え、どうかしたんですか? 大丈夫?』
「ああ、ちょっとアキ、悪いけど切る」
『わ、わかりました。すみません。彼女によろしく』
「ああ」
端的に通話を済ませて、光彦さんは転がったままの私に近づいてきた。
私は情けなさに膝を抱き寄せる。
「どうしたんだよ、そんな恰好でーーこの椅子は?」
私は涙目を見られたくなくて、抱えた膝に顔を隠し、首を左右に振った。
光彦さんは困惑した様子で、スマホを窓枠に置き、ん? と何かを手にした。
「お前、こんなとこに指輪置いてたの? いつもそっちに入れてなかったっけ」
きらり、と輝くのは、私が必死で探していた婚約指輪で。
私は泣きながら、その指輪を手にしようとし、足の痛みに顔を引き攣らせた。
「な、何だよ。大丈夫か? どうしたんだ」
私は痛めた片足に体重を乗せないようにしながら、手を差し出す。光彦さんが指輪をその手に乗せた。涙がぼろぼろあふれて止まらない。どこにあったんだろうと窓枠を見やると、光彦さんは錠前のところを示した。
「ここに引っ掛かってたけど」
そこは彼の目線の高さだと視界に入るけれど、私の高さでは意識しないところだ。
はぁ、と安堵の吐息が漏れる。手の甲でぐちゃぐちゃになった顔を拭って、指輪を愛おしいもののように撫でると、そっと薬指にはめなおした。
左手の薬指に、石が輝く。
まるでそれが私を勇気付けてくれるように感じて、少し気持ちが落ち着いた。
「……ヒメ?」
困惑しきりの光彦さんが、私に呼びかける。
私は目を合わせられないまま、また指輪を外し、そっと布ばりの小物入れに置いた。
「お風呂、入る」
「でも……足、痛いんだろ?」
「うん、大丈夫」
言って、風呂場用の椅子を持ち上げ、足の位置をそのままに風呂場へと置く。
ぴょこん、と一歩風呂場へ近づいて、振り向いた。
「入るから、出てって」
「……ヒメ」
「出てって」
言って、ブラのホックを外す。
光彦さんは困惑しながら、脱衣所を出て行った。
自分で言っておきながら、出て行かれたことに腹が立つ。
知らない、もう。
知らない。
光彦さんなんか、知らない。
唇を尖らせ、頬をふくらませてみる。
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