33 / 368
.第2章 高校2年、夏休み
30 地区大会(1)
しおりを挟む
私たちの出番は午後の部だ。前の学校が演奏している間、舞台の袖でじっと待つ。暗い舞台袖から見ると、舞台に反射した照明がひどく眩しい。
あと数分で、あそこに立つのだ。熱を帯びた照明に照らされ、音が壁に吸い込まれていくような広いホールで、知らない大人やライバル校の生徒たちに見つめられ、2曲を演奏する。
心臓が喉のあたりで動いているような気がした。
「キンチョーする……」
ナーガが、人、という字をてのひらに書いては口に持っていく。昔ながらのおまじないにすがる姿を見て、トランペット仲間同士笑った。
「あーっ。ナルナルも緊張しすぎ。落ち着けー」
コアラに肩を叩かれたナルナルは、びくり、と身体を震わせた。その手が震えている。
「楽譜落とすなよー。そんなに手、震えてたら、めくりそびれるぞー」
「コアラ……そういう不安を煽るようなこと……」
本番を前にして言うべきじゃない、と言いかけたとき、コアラの手も震えているのに気づいた。彼女も彼女なりに緊張していて、周りを茶化して落ち着こうというのだろう。
私ははしもっちゃんと顔を見合わせて苦笑した。
「礼ちゃんは落ち着いてるよね」
「そうでもないよ。緊張してるよ」
よく知った人には「本番に強いタイプ」と言われるけれど、自分ではそうとは思っていない。ただ、一番実力が発揮できる緊張感、というのは感覚的に知っている。
場を楽しむ。全部出し切る。空気に飲まれるんじゃなくて、空気を飲みに行くくらいの気持ち。
やるしかない。だって、もう、戻ることはできないのだから。
私はナルナルの袖を引いた。ナルナルが揺れる目で私を見返す。
「大丈夫。楽しもう」
前の学校の演奏は、ちょうどサビのところだ。フレーズが繰り返される中に、雑音が混ざる。
上手い学校の後でなくてよかった。
内心そんなことを思う。
「ナルナルも楽しんでね」
ナルナルは微笑んで頷いた。手はまだ震えていたけど、少しは落ち着きを取り戻したようだ。
前の学校の演奏が終わる。下手の袖から、急いで舞台から掃けろと手ぶりで指示を出す生徒が見えた。持ち時間が残りわずかなのだろう。時間をオーバーすると、それだけで失格となる。
ーー12分。
練習してきた数百日を、何時間もの成果を、そんなに短い時間に出し切らなくてはいけないーー
前の学校は舞台を去った。
いざ、本番。
武者震いに似た緊張が身体を走る。腰の横で拳を握る。
アナウンスが私たちの高校名と、演奏する曲名を告げた。部員がぞろぞろと舞台へ上がっていく。みんな、緊張している。当然だ。
楽譜を譜面台に広げながら、舞台から客席を眺めた。ホールの定員は300人と言ったか、400人と言ったか。予想以上に人で埋まった客席は、緊張のまま始まって終わった去年よりも、少し近く感じた。
舞台だけにつけられた照明が、客席に座る人の目に映り、そこだけがぽつりぽつりと浮き上がって見えた。舞台上のパイプ椅子に腰掛けたとき、出入口が一度開く。入ってきたのは、一人のサラリーマンだった。
その人は、出入りする人のために、そのままドアを支えている。
すらりとした長身、スマートな身のこなしーー
あれってーー
いや、でも、まさか。
戸惑ったとき、ナルナルが舞台に出てきた。お辞儀をし、私たちに向き直る。
ーーた、の、し、も、う。
口を大きく開閉して、ナルナルが言った。みんなが頷く。私ももう、客席を気にしている余裕はない。
つるりとしたトランペットの表を撫でる。
細い指揮棒を持った手が挙がった。その先端が、照明を受けて光る。
ーー私たちの時間の始まりだ。
指揮棒と左手が空を切る。みんなが息を吸う音がした。
***
楽譜通りに弾くべき課題曲は、気持ち早めのリズムで演奏した。これは作戦通りだ。文化祭では手間取ったこともあり、1分近く時間をオーバーしてしまったので、余裕を持って自由曲を演奏しようということになったのだ。
課題曲を終えて自由曲に移ろうとしたとき、バタン、と音がした。トロンボーン担当の1年生が楽器を譜面台にぶつけて倒してしまったらしい。
慌てて直そうとして、隣の譜面台も倒しそうになる。隣の子がとっさに手で押さえて事なきを得たけれど、当人はちょっとした混乱状態になってしまっているらしい。
ナルナルは「大丈夫だから、落ち着いて」と息だけで声をかけた。1年生は涙を浮かべて、泣きそうになっている。
落としてしまった楽譜をもう一度広げ直そうとしているけど、慌てているからうまくいかない。
「大丈夫だよ」
ナルナルよりも、私の方が近い。そう判断して小声でかけた声は、どうにか当人に届いたらしい。許しを乞うような目で見られて微笑み返し、ナルナルを見るよう促す。
いつも通り穏やかなナルナルの微笑がそこにあった。頷くナルナルに頷き返し、どうにか楽譜を広げ直す。
オッケー?
ナルナルが口の動きで問う。みんなが頷いて、ナルナルはまた両手を掲げた。
各学校の持ち時間は12分。
今のできごとで、貴重な数十秒を使ってしまった。
リズムを速めれば間に合うけれど、いつも通りでは間に合わなくなるかもしれない。
脳裏をそんな計算がよぎったのは、私だけではなかっただろう。
ナルナル、どうする?
そう心の中で問うたけれど、空を切るナルナルの手の動きはいつもと変わらない。
内心、ほっとした。
同時に、腹をくくる。
ーーこれが最後の演奏だ。
トランペットに反射する照明が、より一層眩しく見えた。
***
ナルナルは徹底していつも通りの指揮をした。
みんなが解釈をぶつけ合った自由曲は、結局今日に至るまで、噛み合った感覚が得られていない。
一番気持ち良くみんなの音がかみ合ったのは、文化祭のあの一度きりだ。
みんなが奏でる音が、ホールの隅々から反響して戻って来る。私の目には、ナルナルの指揮と、キラキラ輝くトランペットしか映らない。照明の熱で頬がほてる。手の内側には汗をかいているのに、指先は冷たく、緊張で震えている。息を吸うタイミングは合っている。音の重なりも悪くない。
あともうちょっと。あとーー
サビに入る直前、音が重なった。
ナルナルの目が輝く。唇を引き結ぶ。それでも、文化祭のときのような動揺はない。指揮は走らず、着実にリズムを刻む。
行ける。このまま。このままーー
最後までそのまま、演奏をしきった。小さなミスもあったけど、何より、みんなの音が、心が、重なっている感覚があった。気持ちがよかった。
演奏が終わった。ナルナルが壇上を下りてお辞儀をする。舞台を照らし出す照明が、楽器や客席の何かに反射していた。
乱れた息を吐き出す。こめかみがわずかに汗ばんでいる。
舞台にちらばる光がぼやけて見えた。
涙が落ちないよう唇を引き結び、楽器や楽譜、譜面台を手に立ち上がる。
拍手は、心なしか前の学校よりも大きく聞こえた。
少しは、残せただろうか。私たちの音を。ナルナルの指揮を。客席の人たちの心に。
私たちの曲が始まる前に入ってきた例のサラリーマンは、出入口の横に腕組みをして立っている。
表情までは見えないけど、多分、微笑んでいるんだろう。いつだって余裕しゃくしゃくなあの人なら。
ーーどうして急に、このホールに現れたのかは分からないけど。
全員が舞台袖へ引っ込んだとき、ストップウォッチを持っている係員が言った。
「12分24秒です」
みんなは視線を交わさないまま、舞台袖から廊下へ、静かに滑り出た。
あと数分で、あそこに立つのだ。熱を帯びた照明に照らされ、音が壁に吸い込まれていくような広いホールで、知らない大人やライバル校の生徒たちに見つめられ、2曲を演奏する。
心臓が喉のあたりで動いているような気がした。
「キンチョーする……」
ナーガが、人、という字をてのひらに書いては口に持っていく。昔ながらのおまじないにすがる姿を見て、トランペット仲間同士笑った。
「あーっ。ナルナルも緊張しすぎ。落ち着けー」
コアラに肩を叩かれたナルナルは、びくり、と身体を震わせた。その手が震えている。
「楽譜落とすなよー。そんなに手、震えてたら、めくりそびれるぞー」
「コアラ……そういう不安を煽るようなこと……」
本番を前にして言うべきじゃない、と言いかけたとき、コアラの手も震えているのに気づいた。彼女も彼女なりに緊張していて、周りを茶化して落ち着こうというのだろう。
私ははしもっちゃんと顔を見合わせて苦笑した。
「礼ちゃんは落ち着いてるよね」
「そうでもないよ。緊張してるよ」
よく知った人には「本番に強いタイプ」と言われるけれど、自分ではそうとは思っていない。ただ、一番実力が発揮できる緊張感、というのは感覚的に知っている。
場を楽しむ。全部出し切る。空気に飲まれるんじゃなくて、空気を飲みに行くくらいの気持ち。
やるしかない。だって、もう、戻ることはできないのだから。
私はナルナルの袖を引いた。ナルナルが揺れる目で私を見返す。
「大丈夫。楽しもう」
前の学校の演奏は、ちょうどサビのところだ。フレーズが繰り返される中に、雑音が混ざる。
上手い学校の後でなくてよかった。
内心そんなことを思う。
「ナルナルも楽しんでね」
ナルナルは微笑んで頷いた。手はまだ震えていたけど、少しは落ち着きを取り戻したようだ。
前の学校の演奏が終わる。下手の袖から、急いで舞台から掃けろと手ぶりで指示を出す生徒が見えた。持ち時間が残りわずかなのだろう。時間をオーバーすると、それだけで失格となる。
ーー12分。
練習してきた数百日を、何時間もの成果を、そんなに短い時間に出し切らなくてはいけないーー
前の学校は舞台を去った。
いざ、本番。
武者震いに似た緊張が身体を走る。腰の横で拳を握る。
アナウンスが私たちの高校名と、演奏する曲名を告げた。部員がぞろぞろと舞台へ上がっていく。みんな、緊張している。当然だ。
楽譜を譜面台に広げながら、舞台から客席を眺めた。ホールの定員は300人と言ったか、400人と言ったか。予想以上に人で埋まった客席は、緊張のまま始まって終わった去年よりも、少し近く感じた。
舞台だけにつけられた照明が、客席に座る人の目に映り、そこだけがぽつりぽつりと浮き上がって見えた。舞台上のパイプ椅子に腰掛けたとき、出入口が一度開く。入ってきたのは、一人のサラリーマンだった。
その人は、出入りする人のために、そのままドアを支えている。
すらりとした長身、スマートな身のこなしーー
あれってーー
いや、でも、まさか。
戸惑ったとき、ナルナルが舞台に出てきた。お辞儀をし、私たちに向き直る。
ーーた、の、し、も、う。
口を大きく開閉して、ナルナルが言った。みんなが頷く。私ももう、客席を気にしている余裕はない。
つるりとしたトランペットの表を撫でる。
細い指揮棒を持った手が挙がった。その先端が、照明を受けて光る。
ーー私たちの時間の始まりだ。
指揮棒と左手が空を切る。みんなが息を吸う音がした。
***
楽譜通りに弾くべき課題曲は、気持ち早めのリズムで演奏した。これは作戦通りだ。文化祭では手間取ったこともあり、1分近く時間をオーバーしてしまったので、余裕を持って自由曲を演奏しようということになったのだ。
課題曲を終えて自由曲に移ろうとしたとき、バタン、と音がした。トロンボーン担当の1年生が楽器を譜面台にぶつけて倒してしまったらしい。
慌てて直そうとして、隣の譜面台も倒しそうになる。隣の子がとっさに手で押さえて事なきを得たけれど、当人はちょっとした混乱状態になってしまっているらしい。
ナルナルは「大丈夫だから、落ち着いて」と息だけで声をかけた。1年生は涙を浮かべて、泣きそうになっている。
落としてしまった楽譜をもう一度広げ直そうとしているけど、慌てているからうまくいかない。
「大丈夫だよ」
ナルナルよりも、私の方が近い。そう判断して小声でかけた声は、どうにか当人に届いたらしい。許しを乞うような目で見られて微笑み返し、ナルナルを見るよう促す。
いつも通り穏やかなナルナルの微笑がそこにあった。頷くナルナルに頷き返し、どうにか楽譜を広げ直す。
オッケー?
ナルナルが口の動きで問う。みんなが頷いて、ナルナルはまた両手を掲げた。
各学校の持ち時間は12分。
今のできごとで、貴重な数十秒を使ってしまった。
リズムを速めれば間に合うけれど、いつも通りでは間に合わなくなるかもしれない。
脳裏をそんな計算がよぎったのは、私だけではなかっただろう。
ナルナル、どうする?
そう心の中で問うたけれど、空を切るナルナルの手の動きはいつもと変わらない。
内心、ほっとした。
同時に、腹をくくる。
ーーこれが最後の演奏だ。
トランペットに反射する照明が、より一層眩しく見えた。
***
ナルナルは徹底していつも通りの指揮をした。
みんなが解釈をぶつけ合った自由曲は、結局今日に至るまで、噛み合った感覚が得られていない。
一番気持ち良くみんなの音がかみ合ったのは、文化祭のあの一度きりだ。
みんなが奏でる音が、ホールの隅々から反響して戻って来る。私の目には、ナルナルの指揮と、キラキラ輝くトランペットしか映らない。照明の熱で頬がほてる。手の内側には汗をかいているのに、指先は冷たく、緊張で震えている。息を吸うタイミングは合っている。音の重なりも悪くない。
あともうちょっと。あとーー
サビに入る直前、音が重なった。
ナルナルの目が輝く。唇を引き結ぶ。それでも、文化祭のときのような動揺はない。指揮は走らず、着実にリズムを刻む。
行ける。このまま。このままーー
最後までそのまま、演奏をしきった。小さなミスもあったけど、何より、みんなの音が、心が、重なっている感覚があった。気持ちがよかった。
演奏が終わった。ナルナルが壇上を下りてお辞儀をする。舞台を照らし出す照明が、楽器や客席の何かに反射していた。
乱れた息を吐き出す。こめかみがわずかに汗ばんでいる。
舞台にちらばる光がぼやけて見えた。
涙が落ちないよう唇を引き結び、楽器や楽譜、譜面台を手に立ち上がる。
拍手は、心なしか前の学校よりも大きく聞こえた。
少しは、残せただろうか。私たちの音を。ナルナルの指揮を。客席の人たちの心に。
私たちの曲が始まる前に入ってきた例のサラリーマンは、出入口の横に腕組みをして立っている。
表情までは見えないけど、多分、微笑んでいるんだろう。いつだって余裕しゃくしゃくなあの人なら。
ーーどうして急に、このホールに現れたのかは分からないけど。
全員が舞台袖へ引っ込んだとき、ストップウォッチを持っている係員が言った。
「12分24秒です」
みんなは視線を交わさないまま、舞台袖から廊下へ、静かに滑り出た。
0
あなたにおすすめの小説
先生
藤谷 郁
恋愛
薫は28歳の会社員。
町の絵画教室で、穏やかで優しい先生と出会い、恋をした。
ひとまわりも年上の島先生。独身で、恋人もいないと噂されている。
だけど薫は恋愛初心者。
どうすればいいのかわからなくて……
※他サイトに掲載した過去作品を転載(全年齢向けに改稿)
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
サクラブストーリー
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。
しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。
桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。
※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
ズボラ上司の甘い罠
松丹子
恋愛
小松春菜の上司、小野田は、無精髭に瓶底眼鏡、乱れた髪にゆるいネクタイ。
仕事はできる人なのに、あまりにももったいない!
かと思えば、イメチェンして来た課長はタイプど真ん中。
やばい。見惚れる。一体これで仕事になるのか?
上司の魅力から逃れようとしながら逃れきれず溺愛される、自分に自信のないフツーの女子の話。になる予定。
義妹のミルク
笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。
母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。
普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。
本番はありません。両片想い設定です。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる