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6.同志 大輝side
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俺と涼香ちゃんの出会いは最悪だった。
お互いに騙されて無理やり連絡先まで交換された。何が、美味しいイタリアンだ……野郎同士で行くところじゃないことに気づくのが遅かった。
洋介はいつも「彼女いないのか?早く作れ」という。気持ちは有難いが本当にその気がないと伝えるがその時はいい、だが数ヶ月後にまたお節介の虫が蠢くようだ。
洋介は俺が心配らしい……そこは本当に感謝したい。
木村涼香という人物は茶色のボブに耳に小さなピアスをしている。仕事帰りの割に普通の会社員に比べるとラフな服装だった。IT企業の名が出てなるほどと納得した。
大きな奥二重の瞳が印象的だ。彼女は笑うと瞳が細くなる。笑顔が似合う子だなと思った。出会った日はあまり目を合わさなかったのでよくわからなかったが居酒屋の時にまさかのイカ同盟を組むことになり、その時の笑顔がかなり印象に残っている。
涼香ちゃんは、話せば話すほど俺に似ている。同じ歳で同じ時代を生きてきたこともあるが、他の女性よりも好みが男性に近く、話していて心地よかった。
そして、重要なことは過去の恋を引きずっていることだ。
そんなところまで似なくてもいいが……気持ちが分かり合える気がして、たまに二人ご飯に食べに行くようになった。お互いに心に誰かがいるので気兼ねない関係だ。
涼香ちゃんは時折元彼のことを思い出しているようだ。まるで俺を見ているような気持ちになる。
店のBGMが変わった時……。
前を歩く男性の後ろ姿をじっと見ている時……。
酔っ払った男の笑い声……。
いつだったか、「たけと」という名にも反応した。
涼香ちゃんは二年前から心が囚われている。俺と同じように……。まるで俺の片割れ、分身を見ているようだ。
この子に幸せになってほしい、俺の分まで──。そう思うのに時間はそうかからなかった。
俺の愛した彼女はもうこの世にいない。あの日から俺はただ生きている。
目覚めて、仕事して、食べて、寝る。
唯一彼女に会えるのは夢の中だけだ。夢の中の彼女は優しく微笑み俺を抱きしめる。そして俺は彼女を抱く。抱いた後現実の世界に戻され、ベッドの余った部分のシーツが冷たいままなのに気づき……泣く。
今でもベッドの端に寄る癖は治らない。真ん中に寝てしまえば希の存在をなくしてしまいそうだった。
希の荷物は殆ど実家に送ったが希にあげた指輪だけは、手元に置いてある。
女々しい……忘れてあげるのも大切なことだとどこかの心理学者かスピリチュアルの先生が言っていたが、そんなことわかってる──簡単に忘れられたら、苦労しないんだ。
そんな事誰だってわかってる。それができないから苦しんでいるんだ。涼香ちゃんも俺も、いつかそんな日が来たらいい。前を向ける日が……。
お互いに騙されて無理やり連絡先まで交換された。何が、美味しいイタリアンだ……野郎同士で行くところじゃないことに気づくのが遅かった。
洋介はいつも「彼女いないのか?早く作れ」という。気持ちは有難いが本当にその気がないと伝えるがその時はいい、だが数ヶ月後にまたお節介の虫が蠢くようだ。
洋介は俺が心配らしい……そこは本当に感謝したい。
木村涼香という人物は茶色のボブに耳に小さなピアスをしている。仕事帰りの割に普通の会社員に比べるとラフな服装だった。IT企業の名が出てなるほどと納得した。
大きな奥二重の瞳が印象的だ。彼女は笑うと瞳が細くなる。笑顔が似合う子だなと思った。出会った日はあまり目を合わさなかったのでよくわからなかったが居酒屋の時にまさかのイカ同盟を組むことになり、その時の笑顔がかなり印象に残っている。
涼香ちゃんは、話せば話すほど俺に似ている。同じ歳で同じ時代を生きてきたこともあるが、他の女性よりも好みが男性に近く、話していて心地よかった。
そして、重要なことは過去の恋を引きずっていることだ。
そんなところまで似なくてもいいが……気持ちが分かり合える気がして、たまに二人ご飯に食べに行くようになった。お互いに心に誰かがいるので気兼ねない関係だ。
涼香ちゃんは時折元彼のことを思い出しているようだ。まるで俺を見ているような気持ちになる。
店のBGMが変わった時……。
前を歩く男性の後ろ姿をじっと見ている時……。
酔っ払った男の笑い声……。
いつだったか、「たけと」という名にも反応した。
涼香ちゃんは二年前から心が囚われている。俺と同じように……。まるで俺の片割れ、分身を見ているようだ。
この子に幸せになってほしい、俺の分まで──。そう思うのに時間はそうかからなかった。
俺の愛した彼女はもうこの世にいない。あの日から俺はただ生きている。
目覚めて、仕事して、食べて、寝る。
唯一彼女に会えるのは夢の中だけだ。夢の中の彼女は優しく微笑み俺を抱きしめる。そして俺は彼女を抱く。抱いた後現実の世界に戻され、ベッドの余った部分のシーツが冷たいままなのに気づき……泣く。
今でもベッドの端に寄る癖は治らない。真ん中に寝てしまえば希の存在をなくしてしまいそうだった。
希の荷物は殆ど実家に送ったが希にあげた指輪だけは、手元に置いてある。
女々しい……忘れてあげるのも大切なことだとどこかの心理学者かスピリチュアルの先生が言っていたが、そんなことわかってる──簡単に忘れられたら、苦労しないんだ。
そんな事誰だってわかってる。それができないから苦しんでいるんだ。涼香ちゃんも俺も、いつかそんな日が来たらいい。前を向ける日が……。
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