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第二章 王宮尚書官編
45話 国璽紛失事件
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そして事件は唐突に起こった。
私が賢人会議の書記を承ったその翌日の早朝の事だ。
「大変よデレアさん、起きて!」
そう言って私の部屋のドアをドンドンと乱暴に叩くその声はナザリー先輩のものだった。
「んー……どうしたんですか、こんな朝早くに」
「リアンナ様が……と、とにかく一緒にすぐ来て! 簡単な説明は話しながらするわ!」
私はすぐさま外着に着替え、ナザリー先輩と共にリアンナ長官の部屋へと走って向かう。
リアンナ長官がいるその尚書長官室は、尚書官業務室と呼ばれる部屋の一角にレンガの壁と扉で仕切られた個室だ。
そしてその室内にて、私は信じ難い光景を目にする事となる。
「ナザリーさん、デレアさんを呼んできてくれたのね」
リアンナ長官が慌てた様子で私たちに近寄ってきた。
「これは……」
話には聞いていたが、私も目の前の状況を見て息を飲む。
何故なら長官室内が異様なほどに荒らされていたからだ。
本や机、ペンや書類。椅子や飾り物のアンティーク。果ては花瓶やいけてあった花まで。
それらが乱雑に床へとぶちまけられていたのである。
まるで大嵐が通り過ぎて行ったかのように。
だがしかし、ここに微かな違和感を覚える。
「私もさっき長官室に来たらこんな事になってて、とりあえずナザリーさんに尚書官のみんな呼んでもらったの」
リアンナ長官の言う通り、荒らされた長官室の中にはミャル先輩、ヤリュコフ先輩の二人もすでに集められていた。
「おはよう、デレアちゃん」
「……おはようデレア」
淡いピンク色の短髪で凛々しい顔立ちをした大人の女性感を漂わせる、五人の尚書官の中では最年長で私を唯一ちゃん付けで呼ぶミャル先輩。
体格が実に大きく、強面で三白眼の鋭い目つきが特徴的なヤリュコフ先輩。
その二人が私の顔を見て挨拶をしてくれたので、私も「おはようございます」と言ってぺこりと頭を下げる。
「みんな揃ったから改めて説明するわね」
カリン先輩は帰省していて王宮にはいないので、尚書官のメンバーはこれで全員だ。
「と言っても、見たままの通り。私が今朝、長官室に来たらもうこの有り様だったわ。それでひとまずは尚書官の皆を集めてから話を聞こうと思ったの」
そう説明するリアンナ長官の言葉に違和感を覚える。
「……何故、私たちから集めたんですか?」
「何故ってどういう事? デレアさん」
「普通に考えればこれは物取り、つまり賊だろうと考えます。もし私の自室がこのような状況になっていたら、いの一番に衛兵に報告しますが」
「ああ……うん、そうね。デレアさんの言う通りよ。普通なら、ね」
これは何かあるな?
「これは出来るなら公にはしたくないと判断したから私はまずあなたたちだけを呼んだの」
リアンナ長官が神妙な面持ちで口元に手を当てる。
「もう先にミャルさんとヤリュコフくんには話してあるんだけど、とても大切な物が無くなっているのよ」
「大切な物……?」
私が怪訝な顔で尋ねると、
「外交文書や国の重要書類に押印する、国を象徴する国宝、国璽だ」
今度はヤリュコフ先輩が難しい顔をしながら代わって応えてくれた。
国璽とはヤリュコフ先輩の言う通り、国の重要書類などに押印する国を象徴する印鑑の事で、国の証とも言われる超重要で唯一無二の物だ。
これはこのヴィクトリア王国内でもたったのひとつしか存在せず、その複製も無い、とてつもなく重要な印鑑なのである。
「国璽は尚書長官のリアンナ様がいつも責任を持って管理しておられる。魔導黒鉄製の金庫の中へ厳重に保管してな」
ギロリ、とヤリュコフ先輩はリアンナ長官の方を睨む。
「そうなの。その特別製の金庫は暗号化された魔力で封印してあるから、普通には開く事はできないわ」
リアンナ長官の言葉を聞いて私は辺りを見回す。
「……なるほど。もしかしてその金庫ごと持って行かれているという事ですか?」
「その通りよデレアさん。金庫は私の机があるその右手側に置いてあったの。それがそっくりそのまま無くなっているの」
私も見覚えがある。
リアンナ長官の部屋の隅に紫色の魔導紋様印が施された漆黒の金庫が確かにあった。
「あの金庫、そもそもかなりの大きさと重さじゃないですか? あんなもの持っていけるものでしょうか?」
「それ以前にあの金庫ごと持って行ったとしても、決して壊す事も開ける事もできないのだ。仮に金庫を破壊できるほどの魔法か兵器を使えば中身も同時に粉々になる」
ヤリュコフ先輩は相変わらず鋭い目つきでリアンナ長官を見据えたまま、そう口を挟む。
「そうなの。色々とおかしいのよ、この物取りは」
確かに不審な点だらけだ。
無駄に荒らされた室内。
開ける事は絶対に不可能な金庫を持ち去る賊。
そして……。
「色々おかしい、か。はは、さすがはリアンナ長官だ」
「それ、どういう意味かしらヤリュコフくん?」
そう。先程から妙に敵意を剥き出しなヤリュコフ先輩だ。
私が尚書官として就任した日に挨拶をした時は、ヤリュコフ先輩も他の先輩も皆、リアンナ長官を慕って敬っているように見えたのだが、今日の彼の態度は何か妙だ。
「長官、はっきり言います。私は見損ないましたよ。まさか長官が国璽を奪って隠蔽するなんてね」
「え? な、何言ってるのヤリュコフくん。私が盗るわけないでしょう? だいたい私が盗るならわざわざ皆を呼ぶ必要もないし」
「ありますよ。物取りのように見せるには証言者が必要ですからね。我々尚書官四名が証言者だ。これが賊の仕業だというね」
「違うわ。私は皆にも聞きたい事があって呼んだの。何か知らないかと思って」
「なんですって? じゃあ長官は我々の誰かを犯人に仕立て上げようという魂胆なんですか? なんと恐ろしい人だ」
「だからそうじゃなくて、この荒らされた長官室に何か心当たりがないか聞こうと思っただけよ!」
「長官。あなたは自分でも言いましたよね。金庫は暗号化された魔力で封印してるって。その暗号を知っているのは長官とマグナクルス国王陛下だけのはず。つまり盗まれたフリをして国璽を悪用しようと企んでるのはリアンナ長官、あなたしかありえないんですよ」
確かにヤリュコフ先輩の言い分は間違っていないし、国璽ほどの貴重品はリスクを負ってでも盗む価値のある品だ。
リアンナ長官が何かの悪巧みを画策してそういう悪事を働いたとしても不思議ではない。
「違うわ! 本当に私じゃ……皆、信じて!」
ナザリー先輩もミャル先輩も口を閉じてリアンナ長官を見ている。
すっかり場の雰囲気はリアンナ長官が犯人だと言わんばかりで、しばし息の詰まる空気が流れた。
だが。
「違いますよ。リアンナ長官は犯人じゃ無いです」
私はそう言った。
私が賢人会議の書記を承ったその翌日の早朝の事だ。
「大変よデレアさん、起きて!」
そう言って私の部屋のドアをドンドンと乱暴に叩くその声はナザリー先輩のものだった。
「んー……どうしたんですか、こんな朝早くに」
「リアンナ様が……と、とにかく一緒にすぐ来て! 簡単な説明は話しながらするわ!」
私はすぐさま外着に着替え、ナザリー先輩と共にリアンナ長官の部屋へと走って向かう。
リアンナ長官がいるその尚書長官室は、尚書官業務室と呼ばれる部屋の一角にレンガの壁と扉で仕切られた個室だ。
そしてその室内にて、私は信じ難い光景を目にする事となる。
「ナザリーさん、デレアさんを呼んできてくれたのね」
リアンナ長官が慌てた様子で私たちに近寄ってきた。
「これは……」
話には聞いていたが、私も目の前の状況を見て息を飲む。
何故なら長官室内が異様なほどに荒らされていたからだ。
本や机、ペンや書類。椅子や飾り物のアンティーク。果ては花瓶やいけてあった花まで。
それらが乱雑に床へとぶちまけられていたのである。
まるで大嵐が通り過ぎて行ったかのように。
だがしかし、ここに微かな違和感を覚える。
「私もさっき長官室に来たらこんな事になってて、とりあえずナザリーさんに尚書官のみんな呼んでもらったの」
リアンナ長官の言う通り、荒らされた長官室の中にはミャル先輩、ヤリュコフ先輩の二人もすでに集められていた。
「おはよう、デレアちゃん」
「……おはようデレア」
淡いピンク色の短髪で凛々しい顔立ちをした大人の女性感を漂わせる、五人の尚書官の中では最年長で私を唯一ちゃん付けで呼ぶミャル先輩。
体格が実に大きく、強面で三白眼の鋭い目つきが特徴的なヤリュコフ先輩。
その二人が私の顔を見て挨拶をしてくれたので、私も「おはようございます」と言ってぺこりと頭を下げる。
「みんな揃ったから改めて説明するわね」
カリン先輩は帰省していて王宮にはいないので、尚書官のメンバーはこれで全員だ。
「と言っても、見たままの通り。私が今朝、長官室に来たらもうこの有り様だったわ。それでひとまずは尚書官の皆を集めてから話を聞こうと思ったの」
そう説明するリアンナ長官の言葉に違和感を覚える。
「……何故、私たちから集めたんですか?」
「何故ってどういう事? デレアさん」
「普通に考えればこれは物取り、つまり賊だろうと考えます。もし私の自室がこのような状況になっていたら、いの一番に衛兵に報告しますが」
「ああ……うん、そうね。デレアさんの言う通りよ。普通なら、ね」
これは何かあるな?
「これは出来るなら公にはしたくないと判断したから私はまずあなたたちだけを呼んだの」
リアンナ長官が神妙な面持ちで口元に手を当てる。
「もう先にミャルさんとヤリュコフくんには話してあるんだけど、とても大切な物が無くなっているのよ」
「大切な物……?」
私が怪訝な顔で尋ねると、
「外交文書や国の重要書類に押印する、国を象徴する国宝、国璽だ」
今度はヤリュコフ先輩が難しい顔をしながら代わって応えてくれた。
国璽とはヤリュコフ先輩の言う通り、国の重要書類などに押印する国を象徴する印鑑の事で、国の証とも言われる超重要で唯一無二の物だ。
これはこのヴィクトリア王国内でもたったのひとつしか存在せず、その複製も無い、とてつもなく重要な印鑑なのである。
「国璽は尚書長官のリアンナ様がいつも責任を持って管理しておられる。魔導黒鉄製の金庫の中へ厳重に保管してな」
ギロリ、とヤリュコフ先輩はリアンナ長官の方を睨む。
「そうなの。その特別製の金庫は暗号化された魔力で封印してあるから、普通には開く事はできないわ」
リアンナ長官の言葉を聞いて私は辺りを見回す。
「……なるほど。もしかしてその金庫ごと持って行かれているという事ですか?」
「その通りよデレアさん。金庫は私の机があるその右手側に置いてあったの。それがそっくりそのまま無くなっているの」
私も見覚えがある。
リアンナ長官の部屋の隅に紫色の魔導紋様印が施された漆黒の金庫が確かにあった。
「あの金庫、そもそもかなりの大きさと重さじゃないですか? あんなもの持っていけるものでしょうか?」
「それ以前にあの金庫ごと持って行ったとしても、決して壊す事も開ける事もできないのだ。仮に金庫を破壊できるほどの魔法か兵器を使えば中身も同時に粉々になる」
ヤリュコフ先輩は相変わらず鋭い目つきでリアンナ長官を見据えたまま、そう口を挟む。
「そうなの。色々とおかしいのよ、この物取りは」
確かに不審な点だらけだ。
無駄に荒らされた室内。
開ける事は絶対に不可能な金庫を持ち去る賊。
そして……。
「色々おかしい、か。はは、さすがはリアンナ長官だ」
「それ、どういう意味かしらヤリュコフくん?」
そう。先程から妙に敵意を剥き出しなヤリュコフ先輩だ。
私が尚書官として就任した日に挨拶をした時は、ヤリュコフ先輩も他の先輩も皆、リアンナ長官を慕って敬っているように見えたのだが、今日の彼の態度は何か妙だ。
「長官、はっきり言います。私は見損ないましたよ。まさか長官が国璽を奪って隠蔽するなんてね」
「え? な、何言ってるのヤリュコフくん。私が盗るわけないでしょう? だいたい私が盗るならわざわざ皆を呼ぶ必要もないし」
「ありますよ。物取りのように見せるには証言者が必要ですからね。我々尚書官四名が証言者だ。これが賊の仕業だというね」
「違うわ。私は皆にも聞きたい事があって呼んだの。何か知らないかと思って」
「なんですって? じゃあ長官は我々の誰かを犯人に仕立て上げようという魂胆なんですか? なんと恐ろしい人だ」
「だからそうじゃなくて、この荒らされた長官室に何か心当たりがないか聞こうと思っただけよ!」
「長官。あなたは自分でも言いましたよね。金庫は暗号化された魔力で封印してるって。その暗号を知っているのは長官とマグナクルス国王陛下だけのはず。つまり盗まれたフリをして国璽を悪用しようと企んでるのはリアンナ長官、あなたしかありえないんですよ」
確かにヤリュコフ先輩の言い分は間違っていないし、国璽ほどの貴重品はリスクを負ってでも盗む価値のある品だ。
リアンナ長官が何かの悪巧みを画策してそういう悪事を働いたとしても不思議ではない。
「違うわ! 本当に私じゃ……皆、信じて!」
ナザリー先輩もミャル先輩も口を閉じてリアンナ長官を見ている。
すっかり場の雰囲気はリアンナ長官が犯人だと言わんばかりで、しばし息の詰まる空気が流れた。
だが。
「違いますよ。リアンナ長官は犯人じゃ無いです」
私はそう言った。
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