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49話 浅はかな義母
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「少し身体を麻痺させてもらうわ」
私はミゼリアの手首を掴んだまま、闇属性魔力を練り上げ、そのまま神経麻痺毒の魔法を生成し、彼女へと流し込んだ。
「きゃあああッ! い、痛いッ!」
「はーい、騒がないでくださいねー。少しの我慢ですよー」
神経麻痺毒の魔法は注入直後は結構な痛みが走る。が、それもじきに慣れてくるとそのうち首から下の四肢が思うように動かなくなる。
「うん、効いてきたわね」
私はそろそろ頃合いだと判断し、ミゼリアを彼女のベッドへと放り投げた。
「う、うぐ……ぐ……」
「今はもう痛くはないでしょう? 手足は一切動かせないだろうけど。そのまま少しお話しをしましょうか」
「な、何をしたの……?」
「単なる麻痺の魔法よ。ま、そんなことはどうでもいいわ。これからは私の質問だけに答えなさい」
「小娘が……何を偉そうに!」
身体は麻痺してても気位の高さはいまだ変わらず、ね。
「ふう、仕方ない。ミゼリア、あなたどの指が一番使わない?」
「何を言ってるの!?」
「もう一回しか聞かないから、心して答えて。どの指が一番使わないの? その指だけ、まずは骨を折ってあげる」
「ば、馬鹿なこと言わないで! 使わない指なんか……!」
「あ、そう。じゃあ右手の親指からでいいや」
私は彼女の右手親指を握って、少し力を込めて関節とは真逆の方向へ指を、ゴキンッと勢いよくひん曲げた。
「え……? え……?」
自分の親指がありえない方向に曲がっている様子を見てミゼリアは顔を青ざめさせている。今は神経麻痺の魔法のせいで幸い痛みはないだろうから余計に困惑している様子だ。
「はい、まずは一本。それ、私の魔法が切れたらめちゃくちゃ痛くなるけど覚悟しといてね? さて、これで言うこと聞く気になったかしら?」
「あ、あなた一体何を……!?」
「ねえ、私の質問にだけ答えろって言ってんのよ。次、私の意にそぐわない答えを返したらまた一本折るわよ」
私が少しトーンを落とした口調で脅すと、
「う、わ、わかったわ、答えるわよ……」
ようやく素直に返事をしてくれた。
「さて、それじゃ質問ね。どうして今日私を殺そうとしたのかしら?」
「あ、あなたが私たちの言うことを聞かずにリアンと結婚するなんて言うからよ!」
「なるほど。でもなんで今日?」
「別にそんなのどうだっていいでしょう?」
「はあ……」
私はこの馬鹿に言ってもわかってもらえないと思い、仕方なくもう一本、右手の人差し指の骨も根本からゴキンッと折ってあげた。
「ひ……」
「ね? わかったミゼリア? あなたね、いつまでも自分の立場が上だなんて勘違いをしないで? あなたの立場なんて最初から最後まで地の地なの。ゴミクズ以下なの。わかる? わかってくれたなら返事が欲しいな」
「ひ、ひぃ、わ、私の指が……ッ」
「聞こえなかった? 返事」
「は、はい!」
「よろしい。さて、それじゃ続きね。どうして今日私の命を狙ったの?」
「今日は……その……わ、私の借金の返済が……もうすぐ期限で……。取り立ての人にあと数日でなんとかしろって脅されて……それで、リ、リアンが王女様とくっつけばリアンに頼み込んで王家のお金をちょろまかしてもらえる算段だった、のよ……」
「そうだったのね。だから邪魔な私を殺してリアン様をなんとしても王女様の婿にしようと?」
「そ、そうよ! そうすればなんの問題もなかったのに……!」
「なんの問題も、ねえ。でもそのことを言ったところでリアン様が王女様にお金の無心なんてするのかしら?」
「するわ。だって最初あの子からそう言ってきたんだもの!」
「それはどういうこと?」
「あの子が、お母様の借金はこっそり僕が王女様からお金を貰って返済してあげるって言ってくれてたのよ! それがあなたと婚約してからリアンはちっとも私のもとに来なくなって……それで私は、焦ったの……」
「ふーん、そういうことね。でもここで本当に私を殺したその後のことはどうするつもりだったの?」
「あ、あなたをこっそり山にでも埋めて、それで行方不明ってことにしようとしたの……そうすればリアンもまた王女様とくっつくと思って……」
なんて愚かで浅はかなのかしら。
脳みそを完全にギャンブルと酒で焼かれているようね。
って焼いたのはヴァンなんだっけ。
まあこの女はどのみちギャンブルや酒じゃなくても借金苦になるらしいけれど。
私はミゼリアの手首を掴んだまま、闇属性魔力を練り上げ、そのまま神経麻痺毒の魔法を生成し、彼女へと流し込んだ。
「きゃあああッ! い、痛いッ!」
「はーい、騒がないでくださいねー。少しの我慢ですよー」
神経麻痺毒の魔法は注入直後は結構な痛みが走る。が、それもじきに慣れてくるとそのうち首から下の四肢が思うように動かなくなる。
「うん、効いてきたわね」
私はそろそろ頃合いだと判断し、ミゼリアを彼女のベッドへと放り投げた。
「う、うぐ……ぐ……」
「今はもう痛くはないでしょう? 手足は一切動かせないだろうけど。そのまま少しお話しをしましょうか」
「な、何をしたの……?」
「単なる麻痺の魔法よ。ま、そんなことはどうでもいいわ。これからは私の質問だけに答えなさい」
「小娘が……何を偉そうに!」
身体は麻痺してても気位の高さはいまだ変わらず、ね。
「ふう、仕方ない。ミゼリア、あなたどの指が一番使わない?」
「何を言ってるの!?」
「もう一回しか聞かないから、心して答えて。どの指が一番使わないの? その指だけ、まずは骨を折ってあげる」
「ば、馬鹿なこと言わないで! 使わない指なんか……!」
「あ、そう。じゃあ右手の親指からでいいや」
私は彼女の右手親指を握って、少し力を込めて関節とは真逆の方向へ指を、ゴキンッと勢いよくひん曲げた。
「え……? え……?」
自分の親指がありえない方向に曲がっている様子を見てミゼリアは顔を青ざめさせている。今は神経麻痺の魔法のせいで幸い痛みはないだろうから余計に困惑している様子だ。
「はい、まずは一本。それ、私の魔法が切れたらめちゃくちゃ痛くなるけど覚悟しといてね? さて、これで言うこと聞く気になったかしら?」
「あ、あなた一体何を……!?」
「ねえ、私の質問にだけ答えろって言ってんのよ。次、私の意にそぐわない答えを返したらまた一本折るわよ」
私が少しトーンを落とした口調で脅すと、
「う、わ、わかったわ、答えるわよ……」
ようやく素直に返事をしてくれた。
「さて、それじゃ質問ね。どうして今日私を殺そうとしたのかしら?」
「あ、あなたが私たちの言うことを聞かずにリアンと結婚するなんて言うからよ!」
「なるほど。でもなんで今日?」
「別にそんなのどうだっていいでしょう?」
「はあ……」
私はこの馬鹿に言ってもわかってもらえないと思い、仕方なくもう一本、右手の人差し指の骨も根本からゴキンッと折ってあげた。
「ひ……」
「ね? わかったミゼリア? あなたね、いつまでも自分の立場が上だなんて勘違いをしないで? あなたの立場なんて最初から最後まで地の地なの。ゴミクズ以下なの。わかる? わかってくれたなら返事が欲しいな」
「ひ、ひぃ、わ、私の指が……ッ」
「聞こえなかった? 返事」
「は、はい!」
「よろしい。さて、それじゃ続きね。どうして今日私の命を狙ったの?」
「今日は……その……わ、私の借金の返済が……もうすぐ期限で……。取り立ての人にあと数日でなんとかしろって脅されて……それで、リ、リアンが王女様とくっつけばリアンに頼み込んで王家のお金をちょろまかしてもらえる算段だった、のよ……」
「そうだったのね。だから邪魔な私を殺してリアン様をなんとしても王女様の婿にしようと?」
「そ、そうよ! そうすればなんの問題もなかったのに……!」
「なんの問題も、ねえ。でもそのことを言ったところでリアン様が王女様にお金の無心なんてするのかしら?」
「するわ。だって最初あの子からそう言ってきたんだもの!」
「それはどういうこと?」
「あの子が、お母様の借金はこっそり僕が王女様からお金を貰って返済してあげるって言ってくれてたのよ! それがあなたと婚約してからリアンはちっとも私のもとに来なくなって……それで私は、焦ったの……」
「ふーん、そういうことね。でもここで本当に私を殺したその後のことはどうするつもりだったの?」
「あ、あなたをこっそり山にでも埋めて、それで行方不明ってことにしようとしたの……そうすればリアンもまた王女様とくっつくと思って……」
なんて愚かで浅はかなのかしら。
脳みそを完全にギャンブルと酒で焼かれているようね。
って焼いたのはヴァンなんだっけ。
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