蒼い月に照らされて 〜この先ずっと愛し続けたい〜

颯斗

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何気ない日々の中で

はじめ

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「係長。大変です。係長のお立場もあるとは思いますが、人事部に人を入れてもらわないと、ぼくたち過労死しますよ。働き方改革だって、世の中言ってるのに。聞いてますか?」
ここは医療法人青月会。本部機能のあるとあるビル。このビルの中に、50人近くの本部職員が日々奮闘しながら働いている。
ドクターの職員集めの人事部、看護師の職員を集める人事部、理学療法士などのコメディカル職員を集める人事部、それ以外の職員を集める人事部の人事部は4つにわかれていて、成田遙人(はると)は看護師の職員を集める部署に所属している。
病院は、3病院あり、老人施設も含めると、全部で1000床以上ベッド数になる法人である。昨今、看護師不足で、なかなか求人を出しても良い人財が入職してくれないのが現状。
ぼくの絶対的な尊敬する存在でもある、蒼井常務の口癖で、人事は営業と同じで、営業ができないと人事はできないって何度も何度も言われているが、駒が少ないんやから、人財を確保するのは困難を極める。そんな状態なんだ。
駒を集めなきゃいけないが、人事は面接もしなきゃ行けない。人を探し、面接をしてるとあっという間に夕方になり、1日が終わる。仕事はそればかりではない。入職した職員のケアもしなきゃいけないので、メンタルヘルスケアの研修にも行き、一通り学んだ。身体がいくつあっても足らないそんな日々を過ごしている。

「成田。ちょっといいか?若葉病院の、1A病棟の山本師長さんが、少し時間が欲しいと言ってたぞ。今日昼1で走ってくれへんか?」
「はい。日出課長わかりました。じゃあ行ってきます。なんでしょうかね?大体話の内容は読めますけどね」
たわいない人事での会話。なかなか看護師や介護士の人員が増えてこず、3病院ともに、看護師の人員配置がギリギリの状態であるが、青月若葉病院は、急性期病院で、高度救命救急室もあり、450床のベット数がある病院。青月会の本院で、ここを軸に動いている。
「成田さん。常務からの指示で、明日、10時半から事務職に応募してきた人の面接をして欲しいんです。久しぶりに、常務の眼をクリアしましたよ」
人事部クラークの岸は、そう言って履歴書を見せてきた。
人事部クラークの岸が持ってきた履歴書に目を通していた。36歳の女性。『舞浜美雪』大学を卒業して保育士の資格を取得して、保育園で勤務してたとのこと。退職してからしばらくブランクがあるから、おそらく結婚後、子育てをして、ひと段落ついたんだろう。目力も悪くない。なんか女優の鈴木京香に似てるかな。
「岸さん。この履歴書を常務が持ってきた時、なんか言ってた?」
蒼井常務との目線や考えとか、どこか似てるところがあり、意気投合することがしばしばある。ぼくはこの履歴書を見る限りでは、先ずは問題なく、クリアすると思われる。履歴書から読み取れるものは、申し分ない。あとは、会ってみて色々と話しを聞いてジャッジをすればいいと判断する。
おそらく、常務もそのように終わられてるだろう。
「成田主任。特にはありませんが、久しぶりに良い印象を、受けるような人財が来た感があるっておっしゃってましたよ。主任もそんな感じやないんですか?」
ほらきた。そんなことだろうと思っていた。とりあえずは、会ってみよう。
「岸さん。その通りですな。常務と一緒で、なかなかな案件やと思う。明日やね?面接は」
「はい。そうです。でも、その方が入ってくると、少し人事も楽になりますか?」
「そりゃ、1人増えるわけやから。楽になると思うよ。まぁ、でもしばらくはあれかなぁ。人事の経験はないからね。しばらくは教えなきゃ。あっ、この人、事務希望やけどどこに配属になるのか、まだ決まってなかったよね?」
「はい。まだそういやぁ決まってません。主任。うちに絶対必要な人財になりますから、常務にアピールしてくださいよ」
「もちろん、こんな人申し分ないからね。アピールするよ」
もちろん、本人をこの目でみなきゃ、なんとも言えない。実際に会ってみて、イメージと違うことも、過去に
何回かあった。常務と目を疑うこともあった。その度に自分の目や感覚は研ぎ澄ましてきたはず。自分の感覚を信じたいとおもう。どんな、人が現れるのか待ちたい。
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