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貴女のいる時間の中で
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「もちろんですよ。そこは精進します。昨日、若葉病院で山本師長から宿題をだされたので、そこを成果出さないといけませんでしたので、舞浜さんにも一緒に考えてもらいます。僕にはない目線で良いヒントをいただけそうです。」
「そうだね。まずは、成田くんの後ろで当面はニコイチで、動くと良いよ。採用するために、面接をしてそれでおわりではないところを見せないといけないしね。じゃあ月曜日、石田専務に話してみるよ」「はい。ありがとうございます。益々頑張らないとですね。」
「よろしく頼むよ。成田くんを専務に推したのも、私だからね。益々がんばっていってください」
こうして、舞浜美雪の面接は終わった。あと、残り看護師1人の面接も終わり、看護師の面接した方も、良い方であったので、次の看護部長の最終面接に進む形となった。余程のヘマをしない限り、採用となるだろう。3Bの病棟の看護師が年末に退職するので、そこにあてたいと考えている。蒼井常務もそれでいいだろうとのことであった。
昨日の夜からいろいろあったが、ようやく業務が終わり、休日出勤の面接が終了した。
本部を出て、すぐにスマホを取り出して、電話をかける。1コール、2コール、3コール…。なかなか出ない。疲れて寝てるのか。一度電話を切り、再度電話をかけようとすると、着信が入る。淳子さんだった。
「遥人さん。お疲れさまでした。面接はうまくいって無事に終わりましたか?」
とても明るい声で淳子さんはスマホの向こうで話していた。
「はい。無事に終わりました。いま、本部を出たところです。淳子さん。いまどこですか?」
「もうすぐしたら出れます。あれから寝てしまって少し前に起きたところです。お腹が減って目が覚めました。もう出ますので、先にお店に行っていてください。」
「そうなんですね。わかりました。では先に魚陽へ行ってますね。」
「少し遅くなってしまってごめんなさいね。」
「全然いいですよ。」
お腹を空かせて、先に魚陽は行くと、どようびということもあり店内は空いていた。
「こんにちは。どうもでーす。」
先に、魚陽へ行くと、板長が笑顔で受け入れた。昨日の今日なので、少し照れてしまい、ニヤニヤしながら頭を下げた。
「板長。昨日はごちそうさまでした。最後もバタバタで。昨日の勘定も出来てないままでした。申し訳ありません」
「全然大丈夫だよ。それより、淳子ちゃんはあれから大丈夫だったの?」
「はい。しばらくはあの状態でしたので、ご自宅まで送りました。」
昨晩のあれからの様子を話すかどうか迷ってしまった。淳子さん家で、夜を過ごしたこと。ずっと一緒だったことも。
だか、この機能と同じ服装だとバレるのも時間の問題であるし、板長は、板場にでて、カウンターに座るお客さんとの会話するので、洞察力は営業マンより鋭い。なので、本人が気づかないところまで気付いて、本人がびっくりすることさえある。
「そうなんだな。それでかぁ。昨日と同じシャツだもんね。昨夜は家に帰ってないんだな。」
ほら、きた。自分が言う前に気付いている。板長の洞察力や。観察力には脱帽である。まぁ。何もかも話す必要はないわけだし、あれからまた、お酒飲んで、朝迎えたって言っておけば。その辺は察してくれるだろう。信頼できる人だしね。
「さすが、板長ですね。見るところはしっかり見てますね。淳子さんをご自宅まで送り届けた時、電車はなかったのと、もう一度飲み直したので。そのまま寝かせてもらいました。ホントに淳子さん。おさけすきですよ。あ、淳子さんも、昼ごはん食べにこられます。待ち合わせしてまして。ぼくは午前中休日出勤してました。」
「成田くん、土曜日にランチ食べにきてくれるの初めてだったよね。淳子ちゃんもきてくれるんだな。じゃあ少し、サービスしなきゃな。ランチ何しますか?洋食、和食、限定のお刺身、なんでも今日はあるよ。洋食のメインは中津唐揚げ、和食のメインは塩鯖の焼きです。お刺身は、いつもの3種盛り合わせになってますが。いかがしたしましょ」
「ぼくはでは中津唐揚げで。彼女はもうすぐきますので。少し待っててください。ぼくのも、彼女がきてからでいいですよ。」
限定のお刺身定食は、平日は人気で、ないときの方が多くなかなかお目にかからない。多分、淳子さんはお刺身昨日おいしいと言って食べてたから多分、お刺身定食になるのかな。
「板長。昨日の勘定払いますよ。幾らですか?」
「お、成田くんおごりなんだな。太っ腹だな。昨日はこれだけでいいよ。」
そういうと、昨日の領収書を見せてくれた。なんか値引きしてくれている。板長の粋な計らいをいつもしてくれている。いつもありがたい。
「またこんなんでいいんですか?」
他のお客がいてることもあり、板長の耳のそばでヒソヒソと話してみたが、板長は首を縦に振り、肩をポンと叩いて、中に入っていった。
その昨日の分を昼間のパートの方に渡した。
「板長にいつもご馳走様って言っておいてくださいね。」
店内に入ってからどれくらいたっただろう。夜中の淳子さんとのやりとりや会話や、温もりや、匂いの余韻に浸りながら、Facebookを見ていた。今年年明けに中学校の同窓会をして、ずいぶんFacebookのフォローが増えた。同窓会の時も、仲の良かった当時の友だちらの話を聞いていた。
半分くらいのヤツらが、シングルになっていた。理由は様々。それぞれの相手が浮気をしてそれがきっかけで離婚したパターン。結婚したものの、性格の不一致とかで離婚したパターン。病気で亡くしてしまったパターン。元々未婚でシングルになってるパターン。内縁状態で、籍を入れていないパターン。様々だ。淳子さんは、シングルだということであったが、どのパターンなのだろう。あんなに明るくて、細かいところに気がついてそっと手を差し伸べてくれる人に浮気はないだろう…。今度聴けるなら聞いてみようか…。うちも、どうなるかわからない。会話が多いわけでもない。あまり干渉もしなくなった。どうなっていくのか…。
一人になったら。どうなんだろう。今は家に帰ると、子どもたちがいて、部屋に電気が付いている。これが、離婚してしまえば、当然部屋は真っ暗で誰も居ない。この季節は寒いだろう。だか、些細なことで喧嘩もない、細かいことも言われなくなる。家に帰るのも億劫になることもないだろう。良いこともあれば、そうでもないこともあるだろう。
次から次へといろんなことを考えてしまっていた。でも。1人になれば、寂しくなるだろう。確実に。
「そうだね。まずは、成田くんの後ろで当面はニコイチで、動くと良いよ。採用するために、面接をしてそれでおわりではないところを見せないといけないしね。じゃあ月曜日、石田専務に話してみるよ」「はい。ありがとうございます。益々頑張らないとですね。」
「よろしく頼むよ。成田くんを専務に推したのも、私だからね。益々がんばっていってください」
こうして、舞浜美雪の面接は終わった。あと、残り看護師1人の面接も終わり、看護師の面接した方も、良い方であったので、次の看護部長の最終面接に進む形となった。余程のヘマをしない限り、採用となるだろう。3Bの病棟の看護師が年末に退職するので、そこにあてたいと考えている。蒼井常務もそれでいいだろうとのことであった。
昨日の夜からいろいろあったが、ようやく業務が終わり、休日出勤の面接が終了した。
本部を出て、すぐにスマホを取り出して、電話をかける。1コール、2コール、3コール…。なかなか出ない。疲れて寝てるのか。一度電話を切り、再度電話をかけようとすると、着信が入る。淳子さんだった。
「遥人さん。お疲れさまでした。面接はうまくいって無事に終わりましたか?」
とても明るい声で淳子さんはスマホの向こうで話していた。
「はい。無事に終わりました。いま、本部を出たところです。淳子さん。いまどこですか?」
「もうすぐしたら出れます。あれから寝てしまって少し前に起きたところです。お腹が減って目が覚めました。もう出ますので、先にお店に行っていてください。」
「そうなんですね。わかりました。では先に魚陽へ行ってますね。」
「少し遅くなってしまってごめんなさいね。」
「全然いいですよ。」
お腹を空かせて、先に魚陽は行くと、どようびということもあり店内は空いていた。
「こんにちは。どうもでーす。」
先に、魚陽へ行くと、板長が笑顔で受け入れた。昨日の今日なので、少し照れてしまい、ニヤニヤしながら頭を下げた。
「板長。昨日はごちそうさまでした。最後もバタバタで。昨日の勘定も出来てないままでした。申し訳ありません」
「全然大丈夫だよ。それより、淳子ちゃんはあれから大丈夫だったの?」
「はい。しばらくはあの状態でしたので、ご自宅まで送りました。」
昨晩のあれからの様子を話すかどうか迷ってしまった。淳子さん家で、夜を過ごしたこと。ずっと一緒だったことも。
だか、この機能と同じ服装だとバレるのも時間の問題であるし、板長は、板場にでて、カウンターに座るお客さんとの会話するので、洞察力は営業マンより鋭い。なので、本人が気づかないところまで気付いて、本人がびっくりすることさえある。
「そうなんだな。それでかぁ。昨日と同じシャツだもんね。昨夜は家に帰ってないんだな。」
ほら、きた。自分が言う前に気付いている。板長の洞察力や。観察力には脱帽である。まぁ。何もかも話す必要はないわけだし、あれからまた、お酒飲んで、朝迎えたって言っておけば。その辺は察してくれるだろう。信頼できる人だしね。
「さすが、板長ですね。見るところはしっかり見てますね。淳子さんをご自宅まで送り届けた時、電車はなかったのと、もう一度飲み直したので。そのまま寝かせてもらいました。ホントに淳子さん。おさけすきですよ。あ、淳子さんも、昼ごはん食べにこられます。待ち合わせしてまして。ぼくは午前中休日出勤してました。」
「成田くん、土曜日にランチ食べにきてくれるの初めてだったよね。淳子ちゃんもきてくれるんだな。じゃあ少し、サービスしなきゃな。ランチ何しますか?洋食、和食、限定のお刺身、なんでも今日はあるよ。洋食のメインは中津唐揚げ、和食のメインは塩鯖の焼きです。お刺身は、いつもの3種盛り合わせになってますが。いかがしたしましょ」
「ぼくはでは中津唐揚げで。彼女はもうすぐきますので。少し待っててください。ぼくのも、彼女がきてからでいいですよ。」
限定のお刺身定食は、平日は人気で、ないときの方が多くなかなかお目にかからない。多分、淳子さんはお刺身昨日おいしいと言って食べてたから多分、お刺身定食になるのかな。
「板長。昨日の勘定払いますよ。幾らですか?」
「お、成田くんおごりなんだな。太っ腹だな。昨日はこれだけでいいよ。」
そういうと、昨日の領収書を見せてくれた。なんか値引きしてくれている。板長の粋な計らいをいつもしてくれている。いつもありがたい。
「またこんなんでいいんですか?」
他のお客がいてることもあり、板長の耳のそばでヒソヒソと話してみたが、板長は首を縦に振り、肩をポンと叩いて、中に入っていった。
その昨日の分を昼間のパートの方に渡した。
「板長にいつもご馳走様って言っておいてくださいね。」
店内に入ってからどれくらいたっただろう。夜中の淳子さんとのやりとりや会話や、温もりや、匂いの余韻に浸りながら、Facebookを見ていた。今年年明けに中学校の同窓会をして、ずいぶんFacebookのフォローが増えた。同窓会の時も、仲の良かった当時の友だちらの話を聞いていた。
半分くらいのヤツらが、シングルになっていた。理由は様々。それぞれの相手が浮気をしてそれがきっかけで離婚したパターン。結婚したものの、性格の不一致とかで離婚したパターン。病気で亡くしてしまったパターン。元々未婚でシングルになってるパターン。内縁状態で、籍を入れていないパターン。様々だ。淳子さんは、シングルだということであったが、どのパターンなのだろう。あんなに明るくて、細かいところに気がついてそっと手を差し伸べてくれる人に浮気はないだろう…。今度聴けるなら聞いてみようか…。うちも、どうなるかわからない。会話が多いわけでもない。あまり干渉もしなくなった。どうなっていくのか…。
一人になったら。どうなんだろう。今は家に帰ると、子どもたちがいて、部屋に電気が付いている。これが、離婚してしまえば、当然部屋は真っ暗で誰も居ない。この季節は寒いだろう。だか、些細なことで喧嘩もない、細かいことも言われなくなる。家に帰るのも億劫になることもないだろう。良いこともあれば、そうでもないこともあるだろう。
次から次へといろんなことを考えてしまっていた。でも。1人になれば、寂しくなるだろう。確実に。
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