御伽の国の聖女様! 婚約破棄するというので、聖女の力で結界を吸収してやりました。精々頑張ってください、私はもふもふと暮らします

地鶏

文字の大きさ
62 / 72
三章 龍の花嫁

90 準備をしましょう

しおりを挟む
 助けに行くと一言で言っても、無闇矢鱈に行方の分からない勇者を探す訳にも行きません。

 まずは悪魔たち主導の元、国の警備を強化します。

「あの気配ごと消してしまう魔道具の対策は可能ですかね?」

 あの魔道具がたくさんあったとすると、国の防衛どころではありません。

 国にいた専門家と、魔界から助っ人としてラムさんを会議に呼んでいます。

「確認ですが、魔法ではなく魔道具だったんですよね?」
「はい。魔法を使った気配はないのに、いきなり現れていきなり消えましたから」

 私の魔力を消したのも魔道具でしたし、気配を消していたのも魔道具でしょう。

「……それほどの魔道具となると、現代の技術で作ったものではなく、古代のものでしょう。魔道具の技術は失われたものが多く、古ければ古いほど強い効果を持っていますから」

 なるほど。現代のものじゃないとなると、使われた魔道具の詳細を調べるのは困難ですね。

 ラムさんは何か知らないでしょうか。魔族の寿命は長いですし、人間にとって昔でも魔族にとってはついこの前の事って可能性もあります。

「そうですね……それだけの魔道具となれば、名のある魔道具士の逸品でしょうし、特定は難しいですね」
「となると、使い方から欠点や封印解除の方法を探すのは難しいですね」
「そうですね。ただ……魔道具を使えなくするのならば、色々と方法はありますよ。ほら、マーガレットさんお得意のあれですよ」

 あれ? どれのことですか?

 私が得意なこと……惰眠を貪ること、あとはフェンをもふもふする事……。

 あと私の得意なこと……あ!

「結界を貼ればいいということですね?」
「聖女なのですから、得意分野ですよね?」

 得意ですとも。生まれた時から結界の管理をしてきましたから。

 ただ、魔力がない今、結界を貼ることはできません。

 管理は出来ますし、結界の作りに関して手を加えることもできます。ただ、結界そのものは誰かにやってもらわなきゃいけませんね。

「……それなら、私たちがやるわよ」
「スヤリス達が?」

 天使たちが名乗り出てくれました。たしかに、天使たちならば実力的にも、魔力量的にも問題はなさそうです。

「じゃあ、お願いします。さっそく結界を作りましょう」

 外に出て、結界を作る準備をします。

 早速、4人の堕天使が国を囲むようにして立ち、結界を作り上げていきます。

 私は結界の中心でそれを操作しましょう。まずは、魔道具の侵入を防ぐようにしましょうか。

 次は、魔道具の使用制限です。現在国で使われている魔道具が使えなくなってしまうのは困るので、禁止するのは一定の力を持つ魔道具に絞ります。

 人の移動まで制限してしまうと、国としての取引や、商人、冒険者の移動も出来なくなってしまうのでそこは何も加えません。

 勇者とフォーレイの魔力は覚えているので、そのふたつの反応は拒むようにしています。

「あ、マーガレットさん。ちょっと手を加えてもいい?」
「ナオキ? いいですよ」
「ありがとう。それじゃあ……あの勇者の周りの馬鹿女たちも入れないようにしとくね。あいつらの魔力ははっきり覚えてるから」

 ナオキ、笑っていますがかなり恨んでますね。まぁ奴隷の首輪をかけられたらそりゃ恨みも募るでしょう。

「よし、勇者に関しては侵入を拒むだけじゃなくて電撃と呪いがかかるようにしておいたよ。……多分弾かれるけど」
「より強固になりましたね、ありがとうございます、ナオキ」

 堕天使達、そしてナオキの手伝いもあってなんとか結界は完成しました。

 あとは維持ですが、一切の魔力がない私だけだと修復が出来ません。なのでアナスタシアさんを助けに行くのとは別に、国に残ってもらう人たちも必要ですね。

「なら、私達が残るわよん」
「いいんですか?」
「もちろんよ。国を守るの任せて頂戴。私達もこの国の一員だもの! しっかり守ってみせるわ!」

 ありがとうございます、スヤリス。アラエル、ソロネ、サキエルさん。

「あとは、金髪主導で国の防衛戦力にはブッチャー団を残しましょうか」

 悪魔たちも残しますが、アナスタシアさん奪還にも戦力がいるので、できるだけ多くの悪魔を連れていきたいんですよね。

 ただ、金髪達だけだと少し不安です。スズキさん、ホープも残ると言っていますが……スズキさんは武闘派では無いですし、ホープもずば抜けた強さがある訳じゃありません。

「他に戦力を残すとなると……うーん……」
「あのオカマはどうなんだ? 助けてくれそうだぜ」

 金髪が急に口を挟んできました。防衛準備はどうしたんです? あ、もう終わったんですか。お疲れ様です。

「オカマという言い方はどうかと思いますが
……ジッキンデンさんのことですよね?」
「そうそう、あいつなら助けてくれるだろ。強いだろうし」

 たしかに、いい案ですね。手紙を書いておきましょう。

「防衛はばっちり。次はアナスタシアさん救出メンバーですね。これは作戦も含めて細かく決めていかなくちゃ行けません」

 草案をつくりましょうか。

 まず、アナスタシアさん救出においての問題が3つあります。

 1つ目はかなり大きな問題なのですが、勇者たちの居場所が分からないと言うところです。

 ただ、足跡や手がかりまで消える訳では無いので、細かく探せばある程度の当たりはつくでしょう。

 2つ目の問題は龍の里についてです。龍の花嫁がいつまでも来ないとなった時に、龍の里がどう出るかわかりません。

 もともと、人類との関わりは龍の花嫁しかない場所ですから……花嫁が来ないとなって、諦めるのか、はたまた怒りのままに人類を滅ぼしにかかるのか、検討がつきません。

 最後の問題は、勇者たちによる妨害です。間違いなく戦闘になることが予想されます。

 腐っても勇者ですからね……フォーレイもいますし、生半可な面子では危険です。

 それを踏まえて、考えた救出部隊の内訳がこれです。

勇者捜索部隊

フェン
シラユキ
ナオキ

 これは捜索特化のメンバーですね。フェンとシラユキは狩りの能力が高いことから、そしてナオキは勇者の行動から分かることがあるかもしれないという理由から選びました。

龍の里訪問部隊


ルールー
シルフィ

 もし交渉になった時のためのメンバーです。

対勇者・フォーレイ部隊

アーさん
バレンタイン
ヤニム
マトン君
悪魔たち

 戦闘のための部隊です。捜索部隊も、見つけ次第ここに加わりますから戦力的には大丈夫なはず……です。かなり心配ですが、みんなのことを信じます。

 よし、こんな感じでみんなに発表しましょう!

「こんな感じでどうですか!」
「「「「却下!」」」」

 ……声を揃えて反対されました。なんででしょう?



しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。