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1巻

1-2

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「なにをやっているのだ、にしてもどうやって家を作る?」
「考えがあります。まずは土地の確保と資材の確保です。アーさん、そこら辺の木を切ってきてください」
「おやすい御用だ」

 そう言うとアーさんは指を鳴らして魔法を発動させます。
 風の刃が木を切り倒し、残った切り株ごと土地がならされていきます。

「おぉ……さすがですね。素晴らしい魔法です」
「……我は悪魔公デーモンロードだからな」

 褒められて嬉しそうです、アーさん。

「じゃあ、私の指示に従って木材を加工、設置してください!」
「うむ」

 私の指示でどんどん資材が積み上がっていきます。いいですね! この調子なら一瞬でできそうな感じです。
 そう、思ったんですが、現実はそこまで甘くないようです。

「また崩れましたね」
「また崩れたな」

 私とアーさんは崩れた木材の山を見つめます。挑戦を始めたのは、朝。それなのにもう夜になりそうです。
 何度挑戦しても崩れてしまいます。うーん、やはり私の建築力は死んでいるようです。ちなみに昼頃に起きたフェンはご飯を獲りに行きました。そろそろ帰る頃でしょう。

「どうします? アーさん」
「洞窟に住むか、建築の知識がある者を探すしかないのではないか?」

 知識のある者を探す……また魔界から呼びましょうか?
 そんなことを考えていると、フェンが戻ってきました。ですが、様子がおかしいです。大きい。フェンがとても大きいです。
 家一つ分くらいまで大きくなったフェンの背中に、耳の長い女性が十人近く乗っています。

「おかえりなさい、フェン」
「ただいまだ、あるじ。食料を見つけたぞ」

 食料ってまさか……いやいや、いくらフェンが魔界の生き物だからといって決めつけてはいけません。この人たちが食料だと言っているのではないかもしれませんから。
 おそるおそる確認してみます。

「まさか……上に乗っている方々ですか?」

 フェンがすごい勢いで首を横に振ってますね……。どうやら食料として連れてきたわけではないようです。

「違う違う、食料として見つけてきたのは魔物だ。こいつらはエルフだそうだぞ」
「エルフ? 王国では見かけませんでしたね」

 話を聞いたことはありますけど、エルフを見たことはありません。
 エルフといえば、森に住み、自然との調和を大切にしている種族らしいです。

「なぜか森で倒れていた」
「助けたのですか? 偉いですね、フェン」

 人命救助というやつですね。褒めてあげます、もふもふー。
 フェンの上に乗っかっているエルフのみなさんにも挨拶をしようと思いましたが、なぜかみんな身を寄せ合って怯えています。

「あの、エルフの人たちはなぜそんなに怯えてるんですか?」

 そう尋ねると、一人のエルフがおそるおそる指を伸ばします。その指がさす方向にはアーさんがいました。

「……アーさんが怖いのではないか?」

 フェンがぽつりと呟きます。

「我か!?」

 エルフの人たちがアーさんの声にびくびくしています。あー、これは間違いなくアーさんを怖がってますね。

「ごめんなさいアーさん、少し離れていてください」
「……」

 アーさんは悲しそうにしながらフェンが獲ってきた獲物を持って飛び立ちます。ごめんなさいアーさん、夕ご飯、楽しみにしてます。
 アーさんがいなくなるとエルフの人たちも落ち着いてきて、少しずつ話をしてくれるようになりました。

「私はエルフのシルフィ。この者たちの代表をしております」

 十人ほどのエルフが次々に挨拶してくれます。正直、シルフィ以外はすぐに覚えられません。全員が素晴らしく美形なので私が男であれば天にも昇る気持ちだったでしょうが……私は女なのでその美貌とスタイルに劣等感しか湧きませんね。

「それで、この森でなにを?」
「里が人間に襲われ、奴隷として運ばれていたところだったのですが……途中、魔物に襲われ、逃げ出すことができました。ただ、行き場もなく放浪していたところでフェン様に助けられまして……」
「フェン様」

 フェンが様付けされていて、思わず笑ってしまいます。なにせフェンは今、子犬サイズになって、私の膝ですやすやと眠っていますから。
 小さいモードだとこんなこともできます。というか、寝るの早すぎじゃないです?

「ちなみに、帰るところは?」
「里はほろびましたからありません、ぜひともあなた様のところに置いていただきたく」
「私のところといっても、なにもないですよ」

 謙遜けんそんではなく、本当になにもないです。家もなければ甲斐性かいしょうもありません。

「お願いします、なんでもしますので」
「んー、あ。家作れたりします?」
「家、ですか? 里ではよく作業をしていたので作り方はわかりますが……」
「おお!」

 これは思わぬ展開です。魔界から呼ばなくとも知識がある人に出会えました。

「では、家を作ってもらえますか? 私たちの住む家と、あなた方の住む家」
「わかりました! 資材は……」
「アーさん――さっきの悪魔が用意してくれます。怖いのはわかりますが、いい子なので仲良くしてあげてください」
「……わかりました」

 ちょっと不安そうですが、仲良くしてくれることを祈りましょう。

「では、そういう方向で」

 私に甲斐性かいしょうはないので、守ったりやしなったりするのではなく、共存を目指します。
 アーさんとの共同作業ということで、エルフのみなは最初かなり怯えていましたが、アーさんの方から積極的に話しかけたのが功を奏したのか、作業が終わる頃には普通に話すようになっていました。

「できました」
「おお……! 家ですね!」

 三日ほどのんびり過ごしていると、エルフたちが家を完成させてくれました。あ、ちなみにエルフたちは服も作れるし、調味料の入手方法も知っていたので生活の質が劇的に上昇しました。幸せです。フェンをもふもふしましょう。もふもふー。

「凄まじい技術力だな」

 そうですね。完成した家はエルフならではの意匠が施されているので独特な雰囲気がありますが、王都にあっても不思議ではないくらい立派です。

「アーさんとエルフのおかげですね」

 間違いありません。あと、フェンも食料調達ありがとうございました。あれ? 私、なにもしていない? まぁ、なにもしなくても生活ができるのは素晴らしいことです。はい。

「……我は資材を用意しただけだ」
「そんなことありませんよ、アーさん」

 エルフたちが次々にアーさんを褒め称えます。
 エルフとアーさんは仲良くなってますね。アーさんの態度は冷たいですが、内心満更でもなさそうです。作業中も積極的に話しかけていましたし。

「では、みんなで我が家に入りましょう。フェン、アーさん、ただいまって言うんですよ」
「なぜだ?」

 フェンもアーさんも不思議そうな顔をします。

「いいから、言うんです」
「「……ただいま」」
「はい、おかえりなさい! フェン、アーさん!」

 これが言いたかったのです。



   第二章 人と悪魔と魔物と


 家ができてからというもの、のんびりとした日々が続いています。

「平和ですねぇー」

 エルフたちが作ってくれた家の中は、暖炉があってとても暖かいです。フェンに至っては家にいる間は暖炉の前から動きません。王国を追放されたのが秋でしたから、そろそろ冬が迫ってきていますね。
 アーさんはエルフたちと行動することが多いです。調味料探しや服作りなんかもやっているみたいです。
 私? なにもしてないですよ、毎日のんびり過ごしてます。定期的に王国と魔界を繋ぐゲートを作って、あまり強くない悪魔さんを送り込むという嫌がらせをしているくらいです。

「なぁあるじよ。暇そうだな」
「暇ですよ。時間を持て余しています」

 なにもしなくていいというのは素晴らしいことですよ、フェン。王国にいた頃は、誰が褒めてくれるわけでもないのにせわしなく働いていましたから。

「エルフの手伝いをするのはどうだ?」
「んー、もう少しダラダラしたいですねー」

 けど、あまりにダラダラしているせいか、少し罪悪感みたいなものはあります。そろそろ働かねば。書類仕事とかはお手のものなんですけどねー。今必要な仕事は力仕事が多いですから。

「まったく……狩りに行ってくる」
「いってらっしゃい、フェン」

 さぁ、私は惰眠だみんをむさぼりましょう。



   SIDE フェン


 まったく、あるじには呆れる。こうなる前は身を粉にして働いていたらしいので、仕方がない部分もあるだろう。だが働かざるもの食うべからずだ。あるじの行動をいさめるのもしもべの役目。いずれはあるじに小言のひとつでも言う必要があるのかもしれないな。
 だがまあ、あるじが働かないぶんは我が働こう。それもまた、仕える者の役目だ。

「フェン様、あちらに」
「うむ」

 エルフの娘の指示に従い、獲物を追い詰める。だが、なぜか今日は獲物を狩りづらい。
 まるでなにかに怯えているように、みな一目散に逃げるのだ。普段の様子とあまりに違いすぎるな。これはなにか嫌な予感が……

「――フェン様!」

 エルフの娘が悲鳴に近い声を上げる。

「む!?」

 とっさに身をかわす。直前まで我がいた場所には、真っ黒な魔力でできた槍が突き刺さっている。

「ふはははは、よく避けたな、魔狼よ!」

 幼い声。この槍を投げた者にしてはチグハグな印象だが……。魔族特有の黒く不気味な翼に、短いつの。幼い外見に似合わぬ強力な魔力。そして魔力でできた槍……おそらくこいつは――

魔槍姫まそうひめか」
「そうだとも! 私は魔槍姫、バレンタイン!」

 魔槍姫といえば、魔界でも有名な存在だ。四天王ほどではないが、実力者として名を知られている。魔槍を操り、戦いと破壊を楽しむ邪悪な性格をしているらしい。
 我では勝てん! 逃げねば……いや、我が逃げればエルフの娘が死ぬ。
 ……やるしかあるまい。

「ガァァァァァァ!」
「ん? やる気か、魔狼! いいだろう、私が遊んでやる!」

 魔槍など、一撃でも喰らえば我にとっては致命傷だ。だから、身体を小さくし速度で圧倒する!

「おぉ、速いな!」

 この森ならば、多少なりとも勝手のわかる我の方が有利!

「だが、速いといっても私ほどではないな」
「なにっ!?」

 凄まじい速度だ。次になにが起こったのかは我にもわからない。鼻っぱしらに凄まじい圧力がかかったと思ったら、次の瞬間には地面に叩きつけられていた。か、身体が動かん……

「フェン様!」
「く、来るな……」

 エルフの娘よ。来たら死ぬぞ。

「くくく、魔界の生命がエルフとたわむれるか。面白い、面白いが……死んでしまえ!」

 くっ、せめてエルフの娘だけは! 動け、動くのだ。我の身体!

「フェン様ぁぁぁぁぁ」

 ……
 ……ん? なにも起こらない?
 ゆっくりと目を開けると、魔槍姫の放った攻撃は我に届く直前で、魔力の壁によって防がれていた。

「私のフェンになにしてるんですか。泣かせますよ? ちびっ子」

 魔槍姫と我の間に、果物を頬張るあるじが立っていた。


   ◆◆◆


 なにやら森の方で大きな魔力を感じたので来てみると、ちびっ子がフェンをいじめていました。

「む? 人間か。くはは! 人間に守られる魔狼など、いてたまる――ぬぉ!?」

 おしいですね。魔力のかたまりをぶつけようとしたのですが。

「避けましたか」
「避けるわ! 当たったら痛いどころか消滅するほどの魔力だったぞ!」

 ちびっ子がぎゃーぎゃーと騒いでます。まったく、大袈裟おおげさですよ。少し魔力を込めただけです。

あるじ……」
「大丈夫ですか、フェン。エルフの人も」
「大丈夫だ。それよりもあるじ、あれば魔界の実力者、魔槍姫だ。いくらあるじといえど、勝てる相手ではない、逃げよう」

 フェンが珍しく弱気です。尻尾も下がっています。よく見れば、鼻のあたりから血も出ていますし、あちこち傷がついているじゃないですか。

「ぬ、あるじ……? これは、温かい……」
「私の魔法です。フェンはそこで休んでいてください」

 聖女ですから、傷を治すのはお手のものです。ついでにフェンとエルフの人を守る結界も張りました。

「さて、ちびっ子。泣かされる覚悟はできてますか?」
「ふん、少し魔力があるからって調子に乗るな、人間! 私は魔槍姫だぞ! お前など……これですり潰してやるわ!」

 そう言ってちびっ子はたくさんの魔力でできた槍を宙に浮かべます。ちびっ子にしては上手な魔法です。まぁ、私には関係ないですけど。

「喰らえ!」

 大量の槍が飛んできますが、魔力で壁を張ってすべて止めます。

「子供は好きですけど、フェンを傷つけ、エルフを怖がらせたのはダメです」
「なっ、すべて受け止めた!?」
「おしおきです。ちびっ子」

 受け止めた槍を、私の魔力で塗り替えます。するとあら不思議、槍は全部私の支配下に置かれました。

「や、やめ……」

 死にはしないでしょう。フェンいわく、強いらしいですし。さあ、ちゃんと受け止めてくださいね?

「おりゃ!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」


「ずびばぜんでじだ……」
「謝るのは私にじゃないですよ。フェンに謝ってください」
「ごめんなざぁぁぁぁぁい」

 有言実行、泣かせました。槍をね返しただけでは泣かなかったので、色々とやった結果、泣きました。

「えげつない戦いだったな……出した槍をすべてへし折られるとは」

 途中でアーさんも駆けつけてくれました。やっぱり優しいです。

「しかも、最後には素手で魔槍を折ってたからな……あれは心が折れる」

 なかなか諦めなかったからですよ。それにしてもフェンの怪我が心配ですね。

「フェン、改めて大丈夫ですか? どこも怪我してません?」
「大丈夫だからモフモフするのをやめてくれ」
「拒否します」

 やっぱり、戦うのはあまり好きではないです。フェンやアーさん、エルフのみんなを守るためならいくらでも戦いますが、正直こうしてモフモフしているのが一番です。もふもふー。

「ぐすっ……私はどうすればいいんだ?」
「魔槍姫か。喧嘩を売る相手を間違えたな」
悪魔公デーモンロードか……、なんだあの人間。異次元すぎるぞ……ぐすっ」

 アーさん、ちびっ子と仲良くなるのが早いですね。というか、ちびっ子はどういう目的でここに来たのでしょうか。

「なにはともあれ、解決です。さぁ戻りますよ、みんな。私はお腹がすきました」

 運動しましたからね。

「マーガレット、魔槍姫はどうする?」
「泣いてるちびっ子を放置するのもあれですし……とりあえず連れて帰りましょうか」

 帰る途中で暴れられると困るので見張っていましたが、泣いてるだけで大人しいままでした。
 とりあえず、戦って体力を使いましたし、お腹が減りました。エルフの人たちに料理をお願いしましょう。メニューですか? もちろんお肉でお願いします。
 料理が届いたところで、食べながら魔槍姫の話を聞くとしますか。だいぶ泣きやんできたみたいですし、大人しく席についていますから、今更暴れることもないでしょう。

「ぐすっ……私はただ、今までは結界があって入れなかった場所に入れるようになったから、みんなが行こうって盛り上がってて、私も行ってみようかなって思っただけで……」
「ふむふむ」

 このお肉、おいしいですね。味付けがとても私好みです。このメニューを多めに出すようエルフのみなさんに伝えておきましょう。

「聞いてないだろ、私の話!」
「聞いていますよ。というかあなたも食べてください。せっかくのおいしい料理が冷めてしまいますよ」
「わ、わかった……」
「いただきますは言いましたか?」

 いきなり食べようとしましたね、ちびっ子。ダメですよ、ちゃんといただきますって言わなきゃ。せっかくエルフの人たちが作ってくれたんですから、こういう挨拶は大事です。

「い、いただきます」
「はい、どーぞ!」

 今日の料理を作ってくれたエルフが笑顔でちびっ子に返事をします。ちびっ子はこういうのに慣れていないのか、少し照れてますね。子供らしくて可愛いです。

「……! おいしい」

 おそるおそるという様子で一口目を食べたちびっ子ですが、どうやら口に合ったみたいです。子供らしく、バクバクと食べていきます。いい食べっぷりですね。この様子だと食べ終わるまで話の続きは聞けなそうです。
 私も、今はおいしい料理に集中しましょうか。


「「ごちそうさまでした」」

 とてもおいしかったです。運動したぶん、お腹が減ってましたので、いつもよりもたくさん食べてしまいました。

「よし、それじゃあ話を聞きましょうか。ちびっ子」
「ちびっ子じゃない! 魔槍姫、バレンタインだ!」
「……わかりましたよ。バレンタイン、あなたはなにしに来たんです?」
「だーかーら! みんなが楽しそうだったから私もこっちに来たんだってば!」
「それで出会ったフェンに対して攻撃したんですか?」

 見境みさかいなさすぎませんか?

「だって、私は戦いが好きだから……」
「好きだからといって、なにしてもいいわけじゃないですよ」
「魔界ではそれしかなかったんだ!」

 バレンタインが少し泣きそうになりながら立ち上がります。フェンも、アーさんも否定しないあたり魔界では力が最重要事項だというのは間違いないのでしょう。

「魔界ではそうなのかもしれませんが、ここは魔界じゃありません。特に、私はみんなで仲良く暮らしたいんです」

 仲良く、のんびりと暮らす。それが私の目標ですから。

「だから、ここでそれを学んでください。いいですね?」
「え、私、ここにいていいのか?」
「え、逆にここに残らないんですか?」

 完全にここに残るものだと思っていました。なんで? と言われると自分でもよくわかりませんが……。なんででしょう、この子、魔界という環境で育っただけで案外いい子そうだからでしょうか?
 なんか、魔界に戻っても友達いなそうっていうのもあります。

「……残ってもいいなら、残ってみたい」
「どうぞ。ただみんなを傷つけたら怒りますから」
「わかってる、もう泣かされたくないから戦うのは我慢する」

 たしかに、またみんなを傷つけたら泣かします。
 バレンタインはシルフィに連れられ、ここでの生活の仕方ややらなければならない仕事などの説明を受けに行きました。

「……なぜ、魔槍姫をここにいさせるのだ? あるじ

 バレンタインがいなくなったタイミングでフェンが聞いてきます。

「一人ぼっちの子供は可哀想でしょう」

 フェンはあの子の強い姿しか見ていないから、あの子が子供だということを忘れているんです。魔界で指折りの実力者だとしても、子供であることに変わりはありません。
 そして、一人ぼっちの子供は寂しいんですよ。私も子供の頃、友達と呼べる人がいなかったし、作らせてもらえなかったのでよくわかります。

「フェンとアーさんは嫌かもしれませんが……」
「いや、あるじの決めたことだ。我は従う」
「魔槍姫がみなを攻撃しないのならば、マーガレットの決めたことに文句はない」
「ありがとうございます。二人とも。あ、そういえばアーさん。王国って今どうなってます?」

 定期的に嫌がらせをしてきましたが、現状どうなっているかはわかりません。久々にあの国の様子を聞いてみましょう。

「王国はたび重なる魔界からの襲撃にだいぶ困っているようだぞ」

 なるほど。全部私のやったことですけど。
 少し前に魔界と王国を繋ぐゲートを作りました。定期的に開くように作ったゲートなので、悪魔とかがちょこちょこ王国に訪れているはずです。

「だが、騎士団と軍、そして勇者の活躍で国民に被害は出ていないようだ」
「勇者?」

 そんなのいましたっけ。

「我が王国で暴れたときにはいなかったからよくわからん。だが、魔界の者たちの話を聞く限り相当強いようだ」
「へー、そんなのいるんですねぇ。ですが、そんな強い人がいるんなら嫌がらせも大して効かないかもしれませんね」
「それは、マーガレットが王国と魔界を繋ぐゲートに制限をかけているからだろう?」

 たしかに、魔界と王国を繋ぐゲートは、あまり強い存在が通れないようにしています。やりすぎると国民にまで大きな被害が出ますから。ほとんどの人は王家をあがめていますが、中には私が聖女だということを信じてくれた人もいたのです。


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