【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏

文字の大きさ
10 / 10

10

しおりを挟む
「まだやってるの?」
「も、もとはと言えばお前のせいだアリシア!」 
「そ、そうよ!お姉様が悪いのよ!」
「何を言ってるのよこの馬鹿共が。リアムの所業でたぶん家はとり潰し。あなたがたも一族まとめて処刑ってことになるかもね」

 アリシアがそう言うと、ライアとメリッサの顔から血の気が引く。そして同じタイミングで気を失い倒れた。

「あはははは」

 その様子がまたツボに入ったのか王子はテーブルに突っ伏して笑い声をあげる。

「む……無理……君たち面白すぎるよ……」
「笑いすぎですよ、王子」
「そ、そうだね……これ以上笑うと死んでしまいそうだ。……さて、アリシアはこの二人をどうしたい?」
「私が決めるのですか?」

 アリシアの疑問に、王子はもちろんと言わんばかりに頷く。

「僕が決めてもいいけど、それだと処刑になっちゃうからね」
「処刑……」

 アリシアの中で、婚約破棄という形で裏切られたことに対しての復讐心はもう満足していた。侯爵家はもう前通りには行かないだろうし、家ごと取り潰される可能性も高い。リアムは間違いなく処刑であるし、ライアとメリッサも社交界には二度と戻って来れないような仕打ちを受けた。
 処刑をしてしまったら、これからの人生の中で後悔する日が来る、アリシアはそんな思いを持っていた。

「……王国から、遠い場所へ」
「追放だね。わかった、そう手を回しておくよ」
「ありがとうございます」

 王子はあっけらかんにアリシアの判断を受け入れると、素早く兵士に指示をしてライアとメリッサの身柄を確保する。

「さて、侯爵家は取り潰し。その財産の多くはきみの父が横からかっさらって行くだろう。今回の喧嘩は君の家の圧勝というわけだ」

 王子はそう言うとにっこり笑う。王子の笑顔には裏があることがほとんどない。素直に嬉しいという感情を表に出していた。


「君と僕の協力関係も終わりってことだね、残念だよ」
「……ありがとうございました。ファリス様」
「お、珍しく名前で呼んだね」

 アリシアが頭をあげると、顎に手を当てて何かを考え込んでいるファリス王子と目が合う。

「なんです?」
「いや……アリシア、よかったら僕の婚約者にならない?」
「嫌です」

 アリシアは即答する。顔はいいし、権力もあるものの、王子の性格は貴族の中ではかなり浮いている。アリシアもそこが好きになれなかった。

「即答だね! やっぱり面白いよ、僕が婚約を申し込んだら普通は即答で受けてもらえるんだけどね」

 王子は断られたのに、より嬉しそうにしながらうんうんと頷く。

「なにを頷いてるんです?」
「いやー、僕もそろそろ父上から婚約者を決めるよう言われててね。ようやくその気になったというわけだ!」
「……頑張ってください」

 アリシアは王子から距離を取り心にもない応援の言葉を口にする。

「アリシア! 僕は諦めないぞー!」
「諦めてください!」

 


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 かくして、アリシアとライアの婚約破棄騒動は終了した。アリシアを裏切ったライアとメリッサは遠い遠方の地に追放され、侯爵家は取り潰しとなる。
 アリシアには王子というあらたな災難が生まれたのだが……二人がこの先どうなったのか、それは誰にも分からない。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。

四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」 突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

【完結】「婚約者は妹のことが好きなようです。妹に婚約者を譲ったら元婚約者と妹の様子がおかしいのですが」

まほりろ
恋愛
※小説家になろうにて日間総合ランキング6位まで上がった作品です!2022/07/10 私の婚約者のエドワード様は私のことを「アリーシア」と呼び、私の妹のクラウディアのことを「ディア」と愛称で呼ぶ。 エドワード様は当家を訪ねて来るたびに私には黄色い薔薇を十五本、妹のクラウディアにはピンクの薔薇を七本渡す。 エドワード様は薔薇の花言葉が色と本数によって違うことをご存知ないのかしら? それにピンクはエドワード様の髪と瞳の色。自分の髪や瞳の色の花を異性に贈る意味をエドワード様が知らないはずがないわ。 エドワード様はクラウディアを愛しているのね。二人が愛し合っているなら私は身を引くわ。 そう思って私はエドワード様との婚約を解消した。 なのに婚約を解消したはずのエドワード様が先触れもなく当家を訪れ、私のことを「シア」と呼び迫ってきて……。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

元カノが復縁したそうにこちらを見ているので、彼の幸せのために身を引こうとしたら意外と溺愛されていました

おりの まるる
恋愛
カーネリアは、大好きな魔法師団の副師団長であるリオンへ告白すること2回、元カノが忘れられないと振られること2回、玉砕覚悟で3回目の告白をした。 3回目の告白の返事は「友達としてなら付き合ってもいい」と言われ3年の月日を過ごした。 もう付き合うとかできないかもと諦めかけた時、ついに付き合うことがてきるように。 喜んだのもつかの間、初めてのデートで、彼を以前捨てた恋人アイオラが再びリオンの前に訪れて……。 大好きな彼の幸せを願って、身を引こうとするのだが。

【完結】「『王太子を呼べ!』と国王陛下が言っています。国王陛下は激オコです」

まほりろ
恋愛
王命で決められた公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢との婚約を発表した王太子に、国王陛下が激オコです。 ※他サイトにも投稿しています。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 小説家になろうで日間総合ランキング3位まで上がった作品です。

夫で王子の彼には想い人がいるようですので、私は失礼します

四季
恋愛
十五の頃に特別な力を持っていると告げられた平凡な女性のロテ・フレールは、王子と結婚することとなったのだけれど……。

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

【完結】そんなに好きなら、そっちへ行けば?

雨雲レーダー
恋愛
侯爵令嬢クラリスは、王太子ユリウスから一方的に婚約破棄を告げられる。 理由は、平民の美少女リナリアに心を奪われたから。 クラリスはただ微笑み、こう返す。 「そんなに好きなら、そっちへ行けば?」 そうして物語は終わる……はずだった。 けれど、ここからすべてが狂い始める。 *完結まで予約投稿済みです。 *1日3回更新(7時・12時・18時)

処理中です...