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理解
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『統合失調症』の診断を受け三日過ごしたその事を久しく連絡を取っていない佑樹に言ってみようと夕食後、スマートフォンのSNSの通話機能を使って電話を掛けた。どんな反応をするだろう?心配はしてくれるのだろうか?それとも嫌悪の言葉が返ってくるのだろうか?カタカタとスマートフォンを持つ手が震えた。
「えーい!当たって砕けろだ!」
~♪~♪~ガチャ
『もしもし琉生!どうした?』
「佑樹、ちょっと良いか、話したいことがあって」
『なんだ?彼女出来たとかか?』
電話口で明るい声が聞こえる自分には眩しい世界。いや。眩しすぎた世界。もう自分の心はその場所に無い。
『最近。ごめんな?部活忙しくて昼練もあってさ、保健室行けてねーんだ』
「いや、それは良いよ。俺さ病気療養するから休学することにした」
『マジか?』
「マジだよ」
『休学』という決断は昌太郎の提案だった。学校は通いたいと言う琉生の意思はあったが、昌太郎曰く今は病気と診断され次の日はさすがに休んだが薬も飲み始めてまだ日が浅く効いているのかさ不透明なままでストレスが掛かる生活に戻すと更に善くないのでは?と言う家族会議の結果だった。
『大丈夫か?』
「今は薬飲んでる、でも効いているのかはよく分からないんだ」
『無理すんなよ?愚痴とかあったらなんでも聞くから!なんでも話せよ?』
「うん。佑樹が居てくれて良かったよ、俺はまだここに居場所があるんだな」
声が震えた。なんだか久しく聞く親友の声はとても温かく電話して良かったと思った。
『琉生。なんの病気か分からねーけど。お前が悩んできた事実は変わらないから、それに関することなんだろ?』
「うん。まぁ精神的なやつ」
『だろ?お前は優しいから人一倍傷つくのにそれを隠そうとする。佑依の時も色々言われたんだろ?』
まぁ色々言われたがそんなに大したことはないが確かにあの時から何となく責任感を感じているのは心の隅には在る。
「佑依ちゃんが元気ならそれで良いよ」
『よくねーだろ!琉生が傷ついているのを見ると佑依もまた傷つく。琉生が元気なら佑依も元気になるし俺も嬉しい!』
ああ。無知って怖い。
「佑樹。俺は今なにも背負いたくない、疲れたんだそういう気の使うことだから佑依ちゃんの事は心配だけど、俺も気を使って欲しい訳じゃないけど。少し学校とかストレスから解放されたい。だから休学するんだ」
『ごめん。無神経なこと言ったわ』
あ。謝らせてしまった。そう言うことを伝えたいんじゃない!
「ごめん。俺。佑樹に謝って欲しいわけなじゃないんだ・・・・・・」
『分かっている、そんなの言わなくても分かる!何年親友やっていると思ってんだ?気にすんなよ!』
「佑樹。悪いな・・・・・・俺まだ、頭がよく回らなくて。適当な答えが見つからないんだ。ただ佑樹には話しておきたくて」
『そうだろうな、俺もずっと気に掛けていたよ。部活で忙しくても、琉生が居たから学校行きたかったし。沢山琉生に頼って沢山傷つけた俺だから、今度はお前が元気になるまで生きたいと思わせてやる!』
「恋人かよ」
『なんとでも言え!』
なんだか佑樹は変わらなかった。生きよう。今はそれが佑樹のためだしなによりの親孝行だとそう思わせてくれた。
「サンキュ」
『どうってこと無い!大丈夫だ。琉生は琉生の場所で琉生の戦うべきモノと戦えば良い!俺は俺の場所で目の前のモノと戦う!今は甲子園で優勝する!』
「佑樹。無理すんなよ?」
『琉生は琉生のペースで良いからな?』
佑樹には何も背負って欲しくないと思った。でも言えなくて。『頑張れ』も自分が言われるとしんどくて言いたくないと思ってしまった。特に無知の『頑張れ』。責任感の無い『頑張れ』は特にしんどいと思ってしまった。
『琉生!病気に負けそうになったらいつでも電話寄越せ出れるときしか聞いてあげれねーけど。ちゃんと聞くから!』
「分かった。ありがとな」
『じゃあな!俺風呂行くから!』
ーーープツっ
切れた。なんだか言いたいことしか伝えられなかったけど。もう少し積もる話しもしたかったがまぁ向こうは二年でレギュラーなのだから忙しいだろう。こちらは時間を持て余しているのに、向こうは時間が切り詰めなければ持てないのかもしれないと思うと胸がチクリと痛んだ。
自分の時間は無限の様なもので佑樹の時間は価値のある有限なものに感じたからだ。自分のあり余す時間には何の価値の無いものと思えてしまった。
「俺って生きてて良いのかな?」
どんどん明るく世の中の全てが明るく見えてくる自分の進む道には何の灯りなんて無いような真っ暗な闇に突き進む気がした。
「善くなるのかな?」
ベッドの隣に置いてある時計を見ると午後の十一時になっていた。そろそろ寝なきゃと思い。病院から貰ってきた、薬を飲み横になる。
「これ飲んでも寝られねーんだよなぁ」
多少なりとも虫が這う不快感のはなくなったが、なんだか今度は幻聴のようなものが聴こえてくるような気がする。
『死ね』
『おまの価値なんて無い』
耳元でそう聴こえてくる。
「うーん・・・・・・っくそ!」
寝られないことに苛立ちを覚え誰も居ないはずの部屋で聴こえてくる声に自分の存在を否定されている気がして本当に不快で仕方ない。暗い部屋で払う動作を何度もする。そしてあって向いたり、こっち向いたり。ゴロゴロしてやっと少し眠気が来るのは東の空が明るくなり始める辺り。
「琉生?ご飯よ?」
杏子がドアをノックする。しかし琉生は熟睡して聞こえない。
「琉生?どうしたの?入るよ?」
「スースー」
「寝てるのか~まぁ良いか」
***
「朝!」
目が覚めるのはいつも昼ご飯の頃。
「また昼かよ・・・・・・」
寝ない方がいいんだろうか?とも思ったが、睡眠薬の効き方がおかしい、遅効性なのかなとも思う程だ。
部屋を出て、洗面所で歯を磨きうがいをしてダイニングへ歩いていくすると咲愛が昼ご飯の準備をして居た。
「琉生。今呼びに行こうと思っていたの」
「琉生。朝起きれないのか?」
咲愛と昌太郎から声を掛けられる。咲愛も昌太郎も琉生が起きてこないことを決して責めなかった。少し責めてくれた方が反発することも出来たのだが、なにもかも受け入れモードな両親は琉生にとって少し重たい感じがした。
「夜、寝れなくてさ。毎日朝に寝ているだ。だから遅くなる・・・・・・ごめん」
「いいのよ?気にしないで休んでなさい」
「琉生。薬合っていないのかもしれないな、なに飲んでいるんだ?お薬手帳あるか?」
「あるよ、持ってくる」
一旦部屋に戻り。自分の鞄からお薬手帳を手に取り昌太郎の元へと戻り、渡す。
「これ借りて良いか?」
「いいよ」
「ありがとう」
お礼を告げると昌太郎はリビングを後にして自分の部屋に籠った。
「どうしたの?父さん」
「琉生が起きてこないから心配していたのよ。そうめんだけど食べる?」
「うん。父さんは食べたの?」
「父さんは~・・・・・・先に食べてしまいましょ?待っていても遅くなるだけだから」
あ、集中しているから邪魔しないようにってことね。と、納得した。
ズルズルと二人でそうめんを啜る。最近食欲が出てきてなにかを食べていると安心して、口が何か入っていないと寂しく感じることが増えてきた。それに無性に喉が渇く。寝る前にペットボトルのお茶をホルダーに入れて枕元に置くようになったのも薬を飲み始めた時期と重なった。前余り食べなかったお菓子を食べることも少しずつ増えてきた気がする。何となく自覚はあるが辞められる感じではなかった。
「琉生。最近よく食べてくれて嬉しい!」
「そうなんだよね~、なんか口寂しくて食べてたいっていうのかな?」
前は食欲がなくどんどん痩せていき体重もガタガタ落ちていたのでここ数日で少し増えたかなっと思っている咲愛は嬉しそうな顔をするので、自分でもいいことなのかな?なんて思っていた。
「ご馳走さま」
結局大盛りのそうめんを平らげてしまった。お腹いっぱいで鼻とか耳から麺が出てきそうな気がする。
「ちゃんと薬飲むのよ」
「うん」
朝食後の薬を飲むようにお茶を冷蔵庫から持っていく、まぁ幸いなことに昼食後の薬がないから何となく起きて食べた後の薬が朝食後化しているが仕方ない寝れないし起きれないのだから。勝手に寝れない事と起きれない事を正当化するしか逃げる術がなかった。
部屋に戻り薬の袋をガサガサとさせ朝食後の薬を取り出す。
「これなんか効いているのかな?」
何個か口に含みお茶で流してやる。口内で溶けるのもあり、激マズではないが美味しいとも思えない。甘いだけ良いか、と思うしかないと思っていたこれを朝と夕の二回だ。
「すげー喉渇くんだよなぁ。この薬飲むようになってから食欲出て来ている気がするし、良いことなのかなぁ?」
***
「咲愛」
「あなた、どうしたの?」
「琉生、食欲どんな感じ?」
「前よりはある感じはするわね」
昌太郎が自室から戻ってきて咲愛に尋ねる。
「う~ん、効いていない感じなのかな?」
「どうしたの?」
「いや、調べたら体重が増えるって感じの副作用があるって書いてて、嵌まる人は副作用とかそんなに出ないみたいだけど」
「私達が不安になってちゃダメよ。先ずは琉生を理解してあげることなじゃない?」
咲愛が昌太郎に言うと。昌太郎は不安そうだが、これからは家族の理解がどんどん必要になってくるんだよなぁとも思った。
琉生は今病気の心とそれに抗う心で割れているかもしれない。一番辛いのは咲愛でもなく昌太郎でもなく、もちろん杏子でもない。琉生なんだ。琉生が自分の気持ちを自分から話してくれない限りそれは待つしかない。話せる環境を整えていくしかない。琉生が不安にならないように琉生の地盤を固めていこうと思った。
「私達も統合失調症についてしっかり知るべきなのかもしれないわね」
「そうだよね」
琉生が苦しまない世界を作るのも大事だ。精神疾患者はそういう心の拠り所がないと不安になるのだろうとも思えた。
「えーい!当たって砕けろだ!」
~♪~♪~ガチャ
『もしもし琉生!どうした?』
「佑樹、ちょっと良いか、話したいことがあって」
『なんだ?彼女出来たとかか?』
電話口で明るい声が聞こえる自分には眩しい世界。いや。眩しすぎた世界。もう自分の心はその場所に無い。
『最近。ごめんな?部活忙しくて昼練もあってさ、保健室行けてねーんだ』
「いや、それは良いよ。俺さ病気療養するから休学することにした」
『マジか?』
「マジだよ」
『休学』という決断は昌太郎の提案だった。学校は通いたいと言う琉生の意思はあったが、昌太郎曰く今は病気と診断され次の日はさすがに休んだが薬も飲み始めてまだ日が浅く効いているのかさ不透明なままでストレスが掛かる生活に戻すと更に善くないのでは?と言う家族会議の結果だった。
『大丈夫か?』
「今は薬飲んでる、でも効いているのかはよく分からないんだ」
『無理すんなよ?愚痴とかあったらなんでも聞くから!なんでも話せよ?』
「うん。佑樹が居てくれて良かったよ、俺はまだここに居場所があるんだな」
声が震えた。なんだか久しく聞く親友の声はとても温かく電話して良かったと思った。
『琉生。なんの病気か分からねーけど。お前が悩んできた事実は変わらないから、それに関することなんだろ?』
「うん。まぁ精神的なやつ」
『だろ?お前は優しいから人一倍傷つくのにそれを隠そうとする。佑依の時も色々言われたんだろ?』
まぁ色々言われたがそんなに大したことはないが確かにあの時から何となく責任感を感じているのは心の隅には在る。
「佑依ちゃんが元気ならそれで良いよ」
『よくねーだろ!琉生が傷ついているのを見ると佑依もまた傷つく。琉生が元気なら佑依も元気になるし俺も嬉しい!』
ああ。無知って怖い。
「佑樹。俺は今なにも背負いたくない、疲れたんだそういう気の使うことだから佑依ちゃんの事は心配だけど、俺も気を使って欲しい訳じゃないけど。少し学校とかストレスから解放されたい。だから休学するんだ」
『ごめん。無神経なこと言ったわ』
あ。謝らせてしまった。そう言うことを伝えたいんじゃない!
「ごめん。俺。佑樹に謝って欲しいわけなじゃないんだ・・・・・・」
『分かっている、そんなの言わなくても分かる!何年親友やっていると思ってんだ?気にすんなよ!』
「佑樹。悪いな・・・・・・俺まだ、頭がよく回らなくて。適当な答えが見つからないんだ。ただ佑樹には話しておきたくて」
『そうだろうな、俺もずっと気に掛けていたよ。部活で忙しくても、琉生が居たから学校行きたかったし。沢山琉生に頼って沢山傷つけた俺だから、今度はお前が元気になるまで生きたいと思わせてやる!』
「恋人かよ」
『なんとでも言え!』
なんだか佑樹は変わらなかった。生きよう。今はそれが佑樹のためだしなによりの親孝行だとそう思わせてくれた。
「サンキュ」
『どうってこと無い!大丈夫だ。琉生は琉生の場所で琉生の戦うべきモノと戦えば良い!俺は俺の場所で目の前のモノと戦う!今は甲子園で優勝する!』
「佑樹。無理すんなよ?」
『琉生は琉生のペースで良いからな?』
佑樹には何も背負って欲しくないと思った。でも言えなくて。『頑張れ』も自分が言われるとしんどくて言いたくないと思ってしまった。特に無知の『頑張れ』。責任感の無い『頑張れ』は特にしんどいと思ってしまった。
『琉生!病気に負けそうになったらいつでも電話寄越せ出れるときしか聞いてあげれねーけど。ちゃんと聞くから!』
「分かった。ありがとな」
『じゃあな!俺風呂行くから!』
ーーープツっ
切れた。なんだか言いたいことしか伝えられなかったけど。もう少し積もる話しもしたかったがまぁ向こうは二年でレギュラーなのだから忙しいだろう。こちらは時間を持て余しているのに、向こうは時間が切り詰めなければ持てないのかもしれないと思うと胸がチクリと痛んだ。
自分の時間は無限の様なもので佑樹の時間は価値のある有限なものに感じたからだ。自分のあり余す時間には何の価値の無いものと思えてしまった。
「俺って生きてて良いのかな?」
どんどん明るく世の中の全てが明るく見えてくる自分の進む道には何の灯りなんて無いような真っ暗な闇に突き進む気がした。
「善くなるのかな?」
ベッドの隣に置いてある時計を見ると午後の十一時になっていた。そろそろ寝なきゃと思い。病院から貰ってきた、薬を飲み横になる。
「これ飲んでも寝られねーんだよなぁ」
多少なりとも虫が這う不快感のはなくなったが、なんだか今度は幻聴のようなものが聴こえてくるような気がする。
『死ね』
『おまの価値なんて無い』
耳元でそう聴こえてくる。
「うーん・・・・・・っくそ!」
寝られないことに苛立ちを覚え誰も居ないはずの部屋で聴こえてくる声に自分の存在を否定されている気がして本当に不快で仕方ない。暗い部屋で払う動作を何度もする。そしてあって向いたり、こっち向いたり。ゴロゴロしてやっと少し眠気が来るのは東の空が明るくなり始める辺り。
「琉生?ご飯よ?」
杏子がドアをノックする。しかし琉生は熟睡して聞こえない。
「琉生?どうしたの?入るよ?」
「スースー」
「寝てるのか~まぁ良いか」
***
「朝!」
目が覚めるのはいつも昼ご飯の頃。
「また昼かよ・・・・・・」
寝ない方がいいんだろうか?とも思ったが、睡眠薬の効き方がおかしい、遅効性なのかなとも思う程だ。
部屋を出て、洗面所で歯を磨きうがいをしてダイニングへ歩いていくすると咲愛が昼ご飯の準備をして居た。
「琉生。今呼びに行こうと思っていたの」
「琉生。朝起きれないのか?」
咲愛と昌太郎から声を掛けられる。咲愛も昌太郎も琉生が起きてこないことを決して責めなかった。少し責めてくれた方が反発することも出来たのだが、なにもかも受け入れモードな両親は琉生にとって少し重たい感じがした。
「夜、寝れなくてさ。毎日朝に寝ているだ。だから遅くなる・・・・・・ごめん」
「いいのよ?気にしないで休んでなさい」
「琉生。薬合っていないのかもしれないな、なに飲んでいるんだ?お薬手帳あるか?」
「あるよ、持ってくる」
一旦部屋に戻り。自分の鞄からお薬手帳を手に取り昌太郎の元へと戻り、渡す。
「これ借りて良いか?」
「いいよ」
「ありがとう」
お礼を告げると昌太郎はリビングを後にして自分の部屋に籠った。
「どうしたの?父さん」
「琉生が起きてこないから心配していたのよ。そうめんだけど食べる?」
「うん。父さんは食べたの?」
「父さんは~・・・・・・先に食べてしまいましょ?待っていても遅くなるだけだから」
あ、集中しているから邪魔しないようにってことね。と、納得した。
ズルズルと二人でそうめんを啜る。最近食欲が出てきてなにかを食べていると安心して、口が何か入っていないと寂しく感じることが増えてきた。それに無性に喉が渇く。寝る前にペットボトルのお茶をホルダーに入れて枕元に置くようになったのも薬を飲み始めた時期と重なった。前余り食べなかったお菓子を食べることも少しずつ増えてきた気がする。何となく自覚はあるが辞められる感じではなかった。
「琉生。最近よく食べてくれて嬉しい!」
「そうなんだよね~、なんか口寂しくて食べてたいっていうのかな?」
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「ご馳走さま」
結局大盛りのそうめんを平らげてしまった。お腹いっぱいで鼻とか耳から麺が出てきそうな気がする。
「ちゃんと薬飲むのよ」
「うん」
朝食後の薬を飲むようにお茶を冷蔵庫から持っていく、まぁ幸いなことに昼食後の薬がないから何となく起きて食べた後の薬が朝食後化しているが仕方ない寝れないし起きれないのだから。勝手に寝れない事と起きれない事を正当化するしか逃げる術がなかった。
部屋に戻り薬の袋をガサガサとさせ朝食後の薬を取り出す。
「これなんか効いているのかな?」
何個か口に含みお茶で流してやる。口内で溶けるのもあり、激マズではないが美味しいとも思えない。甘いだけ良いか、と思うしかないと思っていたこれを朝と夕の二回だ。
「すげー喉渇くんだよなぁ。この薬飲むようになってから食欲出て来ている気がするし、良いことなのかなぁ?」
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「咲愛」
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「琉生、食欲どんな感じ?」
「前よりはある感じはするわね」
昌太郎が自室から戻ってきて咲愛に尋ねる。
「う~ん、効いていない感じなのかな?」
「どうしたの?」
「いや、調べたら体重が増えるって感じの副作用があるって書いてて、嵌まる人は副作用とかそんなに出ないみたいだけど」
「私達が不安になってちゃダメよ。先ずは琉生を理解してあげることなじゃない?」
咲愛が昌太郎に言うと。昌太郎は不安そうだが、これからは家族の理解がどんどん必要になってくるんだよなぁとも思った。
琉生は今病気の心とそれに抗う心で割れているかもしれない。一番辛いのは咲愛でもなく昌太郎でもなく、もちろん杏子でもない。琉生なんだ。琉生が自分の気持ちを自分から話してくれない限りそれは待つしかない。話せる環境を整えていくしかない。琉生が不安にならないように琉生の地盤を固めていこうと思った。
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