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第四十八話
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冬季休暇が終わり、学院生活が再開されてからも僕は真面目に勉学に励んだ。
冬が過ぎ、春が過ぎ、夏になった。
テストの時期にはマルステンに従弟のノートを貸してもらったりした。
その中で知ったこともある。
マルステンは一月生まれらしい。僕は五月生まれだから、もし彼が本当に僕の異母兄弟ならば僕の方が弟だということになる。
僕の方がお兄ちゃんだったら良かったのにな。マルステンは弟としてならば可愛らしいと思う。
そして夏季休暇前の登校最終日。
僕も誕生日を迎えて十七歳になっている。
今日は修了式だ。僕はエトワールを伴って学院に来ていた。
(今日はご主人様がたくさん褒められる日だ!)
肩の上の定位置にいるエトワールは大雑把に修了式というものを理解していた。心なしかいつもよりキリッとした顔つきをしている気がする。
エトワールももうすっかり大人の猫だ。肩の上に乗せるのも重たくなってきた。
エトワールを肩の上に乗せたままいい姿勢を保つためには身体を鍛えなければならないかもしれない。
修了式では学年ごとに最優秀の学生が表彰される。
だから上手くいけば僕が表彰されることもあるかもしれないが、最優秀はおそらくシャルルくんだろう。
だからエトワールの認識は間違っている。
六年生はもう卒業式を終えて学院にいないとはいえ、学生全員が講堂に一堂に会することはできない。
修了式は四、五年生の部と一、二、三年生の部に分かれる。
僕が参加する修了式は午後開始だった。
一年生が並ぶ席に通され、着席する。
上から見れば一年生の赤のローブと二年生の橙、そして三年生の黄が見事に並んで見えることだろう。
隣にはシャルルくんがいた。
「夏休みが終わったらついに二年生だね」
「うん」
シャルルくんは一年生の総まとめである期末試験では相当根を詰めていた様子だった。
全科目満点を目指していたようで、まるで落第がかかった試験のように一生懸命だったことを覚えている。
シャルルくんはすごい真面目な人なんだなぁ。
僕は自分のことをそんなに真面目だと思ったことはないが、暇さえあれば勉強に取り組んでしまう性質とマルステンから貸してもらったノートによって意図せずしてあらゆる科目で高得点を取得してしまっていた。
落第さえしなければほどほどの成績でいいのにな。
修了式が始まり、まず最初にくどくどと長々しい学院長の挨拶が始まる。
あまりの長さに、エトワールは途中で肩から下りて膝の上で丸くなってしまった。
壇上には各科目の教師が勢揃いしている。
見たことないが、シャルルくんとそっくりなクリーム色の金髪をした先生がいた。あれが占術学を担当しているというシャルルくんのお父さんだろうか。
エルネスト先生の方に視線をやると、目と目が合ってにこりと微笑まれた。こんな時ぐらい自重して欲しい。
それからやっと最優秀学生が表彰される番になった。
一年生から順に名が呼ばれる。
「一年生の最優秀学生は――――ルインハイト・ロイヒヴィッツハイム」
え、なんて言われた?
一番最初に反応したのはエトワールだった。
膝で寝ていた彼が僕の名前が呼ばれたのを耳にするなり目を覚まししゅたっと肩の上に飛び乗った。
エトワールの機敏な反応により、僕は自分の名前が呼ばれたのだと理解できた。
「え……」
驚いているのは隣のシャルルくんも同じだった。
大きく目を見開いて愕然としていた。
それから、シャルルくんははっと壇上を見た。
占術学の講師と思しきシャルルくんに似た男性教師が彼に厳しい視線を送っている。
何故だか、シャルルくんの視線が怯えているように見えた。
その怯えた視線は伯母夫婦に虐められていた頃の僕を思い起こさせた。
シャルルくんは生まれた頃から裕福な家庭で生まれ育ったのだから不自由なことなんて何一つないはずなのに、不思議だね。
僕は肩の上のエトワールと共に壇上に上がり、学院長から賞状を受け取った。
「おめでとう」
会場の皆から拍手をもらう。
一年生の席で呆然と立ち尽くしているシャルルくんがやけに浮いて見えた。
冬が過ぎ、春が過ぎ、夏になった。
テストの時期にはマルステンに従弟のノートを貸してもらったりした。
その中で知ったこともある。
マルステンは一月生まれらしい。僕は五月生まれだから、もし彼が本当に僕の異母兄弟ならば僕の方が弟だということになる。
僕の方がお兄ちゃんだったら良かったのにな。マルステンは弟としてならば可愛らしいと思う。
そして夏季休暇前の登校最終日。
僕も誕生日を迎えて十七歳になっている。
今日は修了式だ。僕はエトワールを伴って学院に来ていた。
(今日はご主人様がたくさん褒められる日だ!)
肩の上の定位置にいるエトワールは大雑把に修了式というものを理解していた。心なしかいつもよりキリッとした顔つきをしている気がする。
エトワールももうすっかり大人の猫だ。肩の上に乗せるのも重たくなってきた。
エトワールを肩の上に乗せたままいい姿勢を保つためには身体を鍛えなければならないかもしれない。
修了式では学年ごとに最優秀の学生が表彰される。
だから上手くいけば僕が表彰されることもあるかもしれないが、最優秀はおそらくシャルルくんだろう。
だからエトワールの認識は間違っている。
六年生はもう卒業式を終えて学院にいないとはいえ、学生全員が講堂に一堂に会することはできない。
修了式は四、五年生の部と一、二、三年生の部に分かれる。
僕が参加する修了式は午後開始だった。
一年生が並ぶ席に通され、着席する。
上から見れば一年生の赤のローブと二年生の橙、そして三年生の黄が見事に並んで見えることだろう。
隣にはシャルルくんがいた。
「夏休みが終わったらついに二年生だね」
「うん」
シャルルくんは一年生の総まとめである期末試験では相当根を詰めていた様子だった。
全科目満点を目指していたようで、まるで落第がかかった試験のように一生懸命だったことを覚えている。
シャルルくんはすごい真面目な人なんだなぁ。
僕は自分のことをそんなに真面目だと思ったことはないが、暇さえあれば勉強に取り組んでしまう性質とマルステンから貸してもらったノートによって意図せずしてあらゆる科目で高得点を取得してしまっていた。
落第さえしなければほどほどの成績でいいのにな。
修了式が始まり、まず最初にくどくどと長々しい学院長の挨拶が始まる。
あまりの長さに、エトワールは途中で肩から下りて膝の上で丸くなってしまった。
壇上には各科目の教師が勢揃いしている。
見たことないが、シャルルくんとそっくりなクリーム色の金髪をした先生がいた。あれが占術学を担当しているというシャルルくんのお父さんだろうか。
エルネスト先生の方に視線をやると、目と目が合ってにこりと微笑まれた。こんな時ぐらい自重して欲しい。
それからやっと最優秀学生が表彰される番になった。
一年生から順に名が呼ばれる。
「一年生の最優秀学生は――――ルインハイト・ロイヒヴィッツハイム」
え、なんて言われた?
一番最初に反応したのはエトワールだった。
膝で寝ていた彼が僕の名前が呼ばれたのを耳にするなり目を覚まししゅたっと肩の上に飛び乗った。
エトワールの機敏な反応により、僕は自分の名前が呼ばれたのだと理解できた。
「え……」
驚いているのは隣のシャルルくんも同じだった。
大きく目を見開いて愕然としていた。
それから、シャルルくんははっと壇上を見た。
占術学の講師と思しきシャルルくんに似た男性教師が彼に厳しい視線を送っている。
何故だか、シャルルくんの視線が怯えているように見えた。
その怯えた視線は伯母夫婦に虐められていた頃の僕を思い起こさせた。
シャルルくんは生まれた頃から裕福な家庭で生まれ育ったのだから不自由なことなんて何一つないはずなのに、不思議だね。
僕は肩の上のエトワールと共に壇上に上がり、学院長から賞状を受け取った。
「おめでとう」
会場の皆から拍手をもらう。
一年生の席で呆然と立ち尽くしているシャルルくんがやけに浮いて見えた。
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