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第一部 リューナジア城編
第五十九話 第一皇子エリオットとの邂逅 ②
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「どうぞ。ボクの魔力で生成した氷のグラスだよ」
「ま、魔力で……!?」
エリオットに差し出されたグラスを受け取ると、ひんやりと冷たかった。
でも冷たすぎて持てないということはないし、手の中で融け出す様子もない。
不思議なグラスだった。
初めて魔法を目の当たりにした。
魔法を使えれば一瞬で飲み水とグラスを作り出すことができるのか。
「驚かせてしまったかな? ボクは水と氷の二重属性なんだよ」
エリオットがにこりと優雅に微笑む。
ダブル・トーンというのが何かは分からないが、自慢げな様子からするときっと凄いことなんだろう。
兄がしかめっ面をしてグラスを睨んでいるので、一応グラスの中の水に口を付けるのはやめておく。
エリオットはウィルフリートお兄ちゃんに向き直った。
「ああ、無実の罪で離宮送りにされてしまった可哀そうなウィル。ボクはもちろんウィルのことを信じていたけど、当時のボクには大人たちを止める力はなかった。皆に疑われてさぞ辛かったろうね。でもこれからは大丈夫だよ。これからはボクが魔力もないお前をこの世の悪意から守ってあげるからね」
エリオットはお兄ちゃんに向かってそっと腕を広げる。
その柔らかな表情からは嘘偽りなく哀れみの感情が感じられた。
でも……何だか少し違和感がある。
「五月蠅い。オレは守られなきゃならないような弱い存在なんかじゃない」
パシリ。
ウィルフリートお兄ちゃんがエリオットの手を叩いて跳ね除けた。
「はは……強がらなくてもいいのになぁウィル。魔力ゼロのウィルはか弱い存在なんだから、遠慮なく周りに甘えていいんだよ? 魔力もないなんて、周りに支えられていないと生きていられないんだから」
眉を下げて微笑むエリオットの顔を見て、違和感の正体に気が付いた。
エリオットはウィルフリートの全てを認めていないのだ。
確かにお兄ちゃんには魔力がないかもしれないけれど、その代わりとても賢くて色々物を作れて、そしてとっても優しいんだ。
エリオットはそのお兄ちゃんの優れているところを何も見ないで、ただお兄ちゃんのことを魔力のない可哀想な人だとしか思っていない。
悪意や敵意はないかもしれないが、憐憫の情でお兄ちゃんを押し潰そうとしている。
魔法で水や氷のグラスを一瞬で作り出せるエリオットからすれば、魔法が使えないなんてこの上なく無力な存在に見えるのかもしれない。
僕も今日初めて魔法を目の当たりにして、これが使えない兄はどれほど不利な中で生きてきたのか痛感した。
それでも……
「そんなことない、おにーちゃんはすっごくすごいんだ!」
この世界でただ一人兄の凄さを知っている僕は叫んだ。
「ま、魔力で……!?」
エリオットに差し出されたグラスを受け取ると、ひんやりと冷たかった。
でも冷たすぎて持てないということはないし、手の中で融け出す様子もない。
不思議なグラスだった。
初めて魔法を目の当たりにした。
魔法を使えれば一瞬で飲み水とグラスを作り出すことができるのか。
「驚かせてしまったかな? ボクは水と氷の二重属性なんだよ」
エリオットがにこりと優雅に微笑む。
ダブル・トーンというのが何かは分からないが、自慢げな様子からするときっと凄いことなんだろう。
兄がしかめっ面をしてグラスを睨んでいるので、一応グラスの中の水に口を付けるのはやめておく。
エリオットはウィルフリートお兄ちゃんに向き直った。
「ああ、無実の罪で離宮送りにされてしまった可哀そうなウィル。ボクはもちろんウィルのことを信じていたけど、当時のボクには大人たちを止める力はなかった。皆に疑われてさぞ辛かったろうね。でもこれからは大丈夫だよ。これからはボクが魔力もないお前をこの世の悪意から守ってあげるからね」
エリオットはお兄ちゃんに向かってそっと腕を広げる。
その柔らかな表情からは嘘偽りなく哀れみの感情が感じられた。
でも……何だか少し違和感がある。
「五月蠅い。オレは守られなきゃならないような弱い存在なんかじゃない」
パシリ。
ウィルフリートお兄ちゃんがエリオットの手を叩いて跳ね除けた。
「はは……強がらなくてもいいのになぁウィル。魔力ゼロのウィルはか弱い存在なんだから、遠慮なく周りに甘えていいんだよ? 魔力もないなんて、周りに支えられていないと生きていられないんだから」
眉を下げて微笑むエリオットの顔を見て、違和感の正体に気が付いた。
エリオットはウィルフリートの全てを認めていないのだ。
確かにお兄ちゃんには魔力がないかもしれないけれど、その代わりとても賢くて色々物を作れて、そしてとっても優しいんだ。
エリオットはそのお兄ちゃんの優れているところを何も見ないで、ただお兄ちゃんのことを魔力のない可哀想な人だとしか思っていない。
悪意や敵意はないかもしれないが、憐憫の情でお兄ちゃんを押し潰そうとしている。
魔法で水や氷のグラスを一瞬で作り出せるエリオットからすれば、魔法が使えないなんてこの上なく無力な存在に見えるのかもしれない。
僕も今日初めて魔法を目の当たりにして、これが使えない兄はどれほど不利な中で生きてきたのか痛感した。
それでも……
「そんなことない、おにーちゃんはすっごくすごいんだ!」
この世界でただ一人兄の凄さを知っている僕は叫んだ。
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