146 / 171
第二部 セルフィニエ辺境伯領編
第百四十六話 ピクニックの時間 ①
しおりを挟む
約束していたピクニックの日。
天気は快晴、絶好のピクニック日和だ。
僕は元気に飛び起きると、メイドさんたちにピクニック用の身軽な格好に着替えさせてもらった。
東の森までは馬車で向かうことになる。
僕はケイスくんとチェルソくんと同じ馬車に乗せてもらうことになった。
「えへへっ、楽しみですね」
馬車が動き出すとワクワクを抑え切れないようにチェルソくんが笑みを零す。
「はい、殿下にも来ていただけて良かったです」
チェルソくんの笑みに答えるのはケイスくんだ。
「そういえばケイスくんは剣術やってるんだよね。弓は使えないの?」
弓を使える年の子は大人たちと一緒に狩りをするというお兄ちゃんの話を思い出してケイスくんに聞いた。
「弓の修行も剣術と一緒に始めたのですが、まだまだ真っ直ぐに矢を飛ばすことすら難しくて……狩りなどとても参加できません」
「そうなんですかぁ……やっぱり弓は難しいんですね」
弓術を物にするにはやはり時間がかかるらしい。
ケイスくんですらまだ無理なのに、僕が狩りに参加できるようになるのはまだまだずっと先のことだろう。
「カレン殿下、森についたら"わたげキノコ"で競争しましょうね!」
チェルソくんが謎の言葉を口にする。
「わたげキノコ?」
「はい、わたげがついたキノコがあって、誰がいちばん遠くまでとばせたか競争するんです!」
チェルソくんがニコニコと教えてくれる。
僕はタンポポのようなキノコを想像した。
「森についたらまずわたげキノコをさがしましょうね!」
「はい!」
僕はすっかり森に着くのが楽しみになった。
お喋りをしていたらあっという間に時間は過ぎ去った。
馬車が止まり、僕たちは下ろされた。
「わぁ……ここが東の森?」
緑の葉が擦れてざわざわと音を立て、新鮮な空気が胸いっぱいに広がる。
僕は鼻をひくひくさせて自然の匂いを嗅いだ。
「領主様、よくぞおいで下さいました」
誰かが森の入口で待っていた。
弓矢を持った辺境伯とバスティアンさんがその人に気安く声をかける。
どうやら森番の人のようだ。
森も貴族の財産なので、管理する人が必要なのだ。
タソトキでは森番の人は森の奥深くまで入ろうとする冒険者のランクを確認して入場料を取ったり低ランクの冒険者は追い返したり、後は貴族が出入りするようなエリアに狂暴な魔物が出たら討伐依頼を出したりといった仕事もしている。
それにしてもバスティアンさんも狩りに参加するなんて意外だな。
それもしっかり弓矢で狩りをするつもりらしく、弓矢を背負っている。
将来魔術師になるつもりの人でも剣術や弓は一通り習わせられるのだろうか。
辺境伯とバスティアンさん、お兄ちゃん。あと見覚えのない大人ももう一人いる。
同じく弓矢を背負っていて立派な身なりをしているからきっと辺境伯のお友達の貴族なんだろう。お兄ちゃんが挨拶している。
狩りをする大人たちチームはこの四人に案内役の森番、それに何人かの従者を引き連れて狩りに行くらしい。
「さ、オレたちはこの辺でわたげキノコを探しましょう!」
一方僕たちはケイスくんとチェルソくん、そしてたくさんの護衛と従者に囲まれて森のほんの入り口の方を散策することになった。
天気は快晴、絶好のピクニック日和だ。
僕は元気に飛び起きると、メイドさんたちにピクニック用の身軽な格好に着替えさせてもらった。
東の森までは馬車で向かうことになる。
僕はケイスくんとチェルソくんと同じ馬車に乗せてもらうことになった。
「えへへっ、楽しみですね」
馬車が動き出すとワクワクを抑え切れないようにチェルソくんが笑みを零す。
「はい、殿下にも来ていただけて良かったです」
チェルソくんの笑みに答えるのはケイスくんだ。
「そういえばケイスくんは剣術やってるんだよね。弓は使えないの?」
弓を使える年の子は大人たちと一緒に狩りをするというお兄ちゃんの話を思い出してケイスくんに聞いた。
「弓の修行も剣術と一緒に始めたのですが、まだまだ真っ直ぐに矢を飛ばすことすら難しくて……狩りなどとても参加できません」
「そうなんですかぁ……やっぱり弓は難しいんですね」
弓術を物にするにはやはり時間がかかるらしい。
ケイスくんですらまだ無理なのに、僕が狩りに参加できるようになるのはまだまだずっと先のことだろう。
「カレン殿下、森についたら"わたげキノコ"で競争しましょうね!」
チェルソくんが謎の言葉を口にする。
「わたげキノコ?」
「はい、わたげがついたキノコがあって、誰がいちばん遠くまでとばせたか競争するんです!」
チェルソくんがニコニコと教えてくれる。
僕はタンポポのようなキノコを想像した。
「森についたらまずわたげキノコをさがしましょうね!」
「はい!」
僕はすっかり森に着くのが楽しみになった。
お喋りをしていたらあっという間に時間は過ぎ去った。
馬車が止まり、僕たちは下ろされた。
「わぁ……ここが東の森?」
緑の葉が擦れてざわざわと音を立て、新鮮な空気が胸いっぱいに広がる。
僕は鼻をひくひくさせて自然の匂いを嗅いだ。
「領主様、よくぞおいで下さいました」
誰かが森の入口で待っていた。
弓矢を持った辺境伯とバスティアンさんがその人に気安く声をかける。
どうやら森番の人のようだ。
森も貴族の財産なので、管理する人が必要なのだ。
タソトキでは森番の人は森の奥深くまで入ろうとする冒険者のランクを確認して入場料を取ったり低ランクの冒険者は追い返したり、後は貴族が出入りするようなエリアに狂暴な魔物が出たら討伐依頼を出したりといった仕事もしている。
それにしてもバスティアンさんも狩りに参加するなんて意外だな。
それもしっかり弓矢で狩りをするつもりらしく、弓矢を背負っている。
将来魔術師になるつもりの人でも剣術や弓は一通り習わせられるのだろうか。
辺境伯とバスティアンさん、お兄ちゃん。あと見覚えのない大人ももう一人いる。
同じく弓矢を背負っていて立派な身なりをしているからきっと辺境伯のお友達の貴族なんだろう。お兄ちゃんが挨拶している。
狩りをする大人たちチームはこの四人に案内役の森番、それに何人かの従者を引き連れて狩りに行くらしい。
「さ、オレたちはこの辺でわたげキノコを探しましょう!」
一方僕たちはケイスくんとチェルソくん、そしてたくさんの護衛と従者に囲まれて森のほんの入り口の方を散策することになった。
49
あなたにおすすめの小説
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる