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冒頭に戻る。

ユーリくんは〈金獅子〉のリーダーと何か話し合っているようだ。
パーティ内の会話を邪魔するのはご法度なので、話が終わるまで待っていよう。

リタも1人用のテーブル席につき、ユーリくんを横目に見ながら装備品を確認していく。

単純に武器や防具に不備が無いか確認するのはもちろん、魔道具のブレスレットやイヤリング等も確認していく。

先日は油断して危うく緋狼に殺されるところだったが、本来ソロである以上石橋の叩きすぎなどない。
慎重に慎重を重ねてしかるべきなのである。


「だからテメェはクビだっつってんだよ!この役立たずが!」


奥から怒鳴り声が聞こえ、思わず肩をびくりと震わせる。
声の主はユーリくんの向かいに座る、〈金獅子〉のリーダーのカインという男だ。


「役立たずなんて...そこまで言わなくてもいいじゃないか。戦闘中だって常にバフとデバフをかけ続けてるし、パーティの雑務だってこなしてる」

「おいおい、バフもデバフも効果は高々数%だろうが。そんな有るか無いかも分からん魔法唱えてるくらいなら、お前の代わりに攻撃魔法士雇った方がマシなんだよ!雑務だって誰でもできることだろう、がっ!」

「グフッ!」


怒鳴り声とともに、カインがユーリくんの腹に蹴りを入れた。
リタはその光景に思わず席を立つ。

カインテメェブッコロス!


「雑務は確かにそうだけど、僕の魔法は他とは違う、数%なんてものじゃないんだって!」

「テメェはいつもそうやって俺らに嘘ついてなぁ、ごちゃごちゃうっせぇんだよ。足でまといだって気づいてねぇのか?ぁあん?」

「...もういいよ。パーティを抜ければいいんだろ」

「最初から素直にそう言ってれば良かったんだよ。じゃあな能無し。さっさと消えろ」


ユーリくんは立ち上がると、フラフラとした足取りで、フンッと鼻を鳴らしてエールを煽り始めたカインを後目にギルドを出ていった。
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