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リタは気持ちよさそうにエールを煽るカインに近づくと珍しくも自分から話しかけた。


「すみませんが、〈金獅子〉のカインさんですよね。さっきのは一体...」

「あぁ、あのユーリってやつ補助魔法士っていうハズレなんだよ。だから解雇したんだ」

「(あんなに強いのに気づいてないの?)彼は今フリーってことですね?」

「それがどうした?」

「あっいえ、お邪魔してすみませんでした」


カインとか言うやつはユーリくんをほんとに解雇する気らしい。

なら、ソロにならない限り彼はパーティを探すことになる。
今ならパーティを組ませてもらえるかもしれない。
善は急げだ、足早にギルドの出口に向かう。
すると今度はカインの方から呼び止められる。


「おいちょっと待て!お前ソロやってるリタだろう。丁度枠が空いたんだ、B級の剣士なら歓迎するぜ」

「いえ、興味無いので。失礼します」

「チッ、まあいいや」


そういうとカインはまたエールを煽る。
飲み過ぎだと思う。


ギルドを出たリタはユーリくんを追った。

向かった方向的に、ユーリくんが拠点にしてる宿屋だろう。

事前に用意しておいた地図を見ながら、大通りから脇道に逸れて古い宿屋の前へ到着する。

この宿屋にユーリくんは帰ってきてるはず。
パーティ勧誘のついでに女狐、もとい看板娘のケネを牽制しなくちゃ。


「いらっしゃい嬢ちゃん。泊まりかい、飯かい?」


扉を開けるとガタイのいいおばちゃんが現れた。
この人はケネじゃない、宿屋の女将さんだ。


「いや、ユーリくんに用事があって...」

「ユー坊ならまだ帰ってないねぇ」

「じゃあ待ってる間に軽めのご飯食べさせてもらってもいいですか」

「あぁいいよ。作らせるからちょっと待ってておくれ。
あんたー!嬢ちゃんに軽めの飯作りな!ユー坊のお客さんなんだから変なもんは作んなよ!」


女将さんは後ろの厨房に怒鳴ると広めの席を勧めてきた。
すると厨房の方から水を持った少女が現れる。

要注意女狐のケネだ。
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