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3話 licenceな七日間1
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魔王様もといラルゴ・アルバーニとパートナーを組んでから一週間。シレーヌは、講義室の机に突っ伏していた。
「シレーヌ、大丈夫?」
黒髪美少女が心配そうにシレーヌを気遣う。シレーヌの友人、フェールは美しくとても聡明だ。そんな彼女とお近づきになりたいという男性は多い。そのためか、フェールに渡してくれと数々の手紙を頼まれるがシレーヌは断っていた。それも疲れるが、今こうしているのは、その手紙のせいではない。
「おい、昨日渡したCDは聴いてきたか?」
「聴いてきたよ、ちゃんと!」
シレーヌがこうして机に突っ伏しているのは、この魔王様が昨日渡してきた50枚ほどのCDを今日までに全て聴いて来いと言ってきたからだ。50枚全てクラッシクで眠ってしまいたくなる本能と戦いつつ聴き終わった頃には太陽が顔を出していた。おかげで一睡も出来ていない。
「じゃあ、ほら出せよ」
「借りたCD?ちょっと待って・・・・・・」
CDの入った紙袋を取り出そうとしたがアルバーニが、はぁ?と声をあげたのでその手は途中で止まってしまった。
「ちげぇよ、曲の感想をまとめて書いて来いって言っただろ」
「なにそれ、聞いてないけど!?」
そもそも、朝と夕方で腹筋・背筋を100回に学校の周りを20周。さらに夜は練習室で発声練習をした後にピアノで音階を確かめる。これをやるだけで寮の消灯時間11時を過ぎるのに感想文など書いている暇はない。
「やってないのか」
アルバーニは、舌打ちすると不機嫌そうに去って行った。紙袋は置いていったままだ。これは、感想文を書いて来いということだろうか。
「怒っていたけど、大丈夫なの?」
「うん、いつものこと。そういえば、今日ラウトは一緒じゃないの?」
朝からずっと彼の姿が見えず疑問に思っていた。すると、フェールの眉が悲しげに下がる。けれども、それは一瞬で何事もなかったように彼女は笑ってみせた。
「今日は、用事があるらしいのよ」
「そうなんだ・・・」
一瞬の悲しげな表情が頭に残って、本当かどうか気になるけれどそれ以上は聞くことができなかった。
全ての講義が終わりパートナー同士の練習時間が設けられる。何をしても自由なのだが、魔王様はきっちりと練習室の使用許可を出していたらしい。いつも通りの練習メニューを終わらせたがアルバーニは、まだきていなかった。
「遅いなー、何しているんだろう」
シレーヌは、暇を持て余し、部屋の窓を開けて外を眺めた。窓の外は深い森が広がっている。その森は、妖精の森といって森に入ってきた人間を妖精がイタズラして迷わせてしまうらしい。今は、日の光を浴びた緑がまるで透けるように輝いている。サァッと心地良い風が吹いて、シレーヌの桜色の髪が風に揺られる。あまりの気持ちよさに思わず目を閉じる。しばらく、そうしていると部屋の扉が開いた。その音に目を開けるとアルバーニが入ってきたところだった。少しばかり疲れているように見えるのは気のせいだろうか。
「理事長に呼ばれた。行くぞ」
「え?また、どうして」
強い力で腕を引っ張られながら、そう聞くが知らんと一蹴される。一週間前にも来た鳥の絵が彫られた扉をノックなしに入室するとニコニコしながら椅子に座っている理事長がいた。
「ノックしてから入ってほしいな」
「・・・・・・用件はなんですか」
理事長の言葉を聞き流し、まるで目の前の人物が敵かのように睨み付けるアルバーニに睨まれた本人は肩をすくめた。机の引き出しから紙を取り出し2人に見るように促す。
「これは、どういうことですか」
紙を見て説明を求める彼にどうしたのだろうかとシレーヌも横から覗き込む。その紙には外出届と書かれていた。ご丁寧にアルバーニとシレーヌの名前がもうすでに書かれている。
「今から一週間、君達2人には講義終了しだい学園の外に出て一緒に行動してもらいたい」
「学園の外に・・・・・・?なぜです」
「いやはや、君達は相当仲が悪いようだね。初めて会った時も今だってまるで他人のように距離がある」
そう指摘され、シレーヌとアルバーニはお互いの立ち位置を見た。横に並んではいるものの、2人の間には3人はおさまるであろう距離ができてしまっている。
「ムリヤリ君達をパートナーにしてしまった私としては君達には仲良くやって欲しいと思っている。その為のサポートは惜しまないつもりさ」
どうやら理事長の言うサポートの第一段階がこの外出命令らしい。アルバーニとは、仲良くするつもりはなかった。きっと彼も必要以上に仲良くするつもりはないだろうと思っているに違いない。2人にとって理事長の今回のサポートは余計なことだった。
「理事長、講義終了後に俺達は2人で練習をしています。外出届けは必要ありません」
「私はね、コミュニケーションを取ってお互いを知りなさいと言っているんだ。これは宝石生成にも関わることだからね」
「宝石生成に・・・・・・?」
シレーヌが思わず呟くと理事長の眉がピクリと動く。
「このことについては“三代目国王陛下と人魚”の話と一緒に最初の頃の講義で習うはずだが・・・・・・?」
三代目国王と人魚の物語と聞いて、あっとシレーヌは思い出した。その講義の時シレーヌが居眠りをして教師に叱られていたなど理事長に言えるはずがない。学びに来ているはずなのに寝ているなどと流石の理事長も怒るであろう。
「・・・・・・その講義の時、ちょうど俺達は理事長に呼ばれまして聞いていないです」
「そうか・・・・・・それはすまなかった。代わりに私が話そう」
「助かります」
アルバーニが頭を下げるのを見てシレーヌも同じく頭を下げた。ちらりと横にいるアルバーニを見る。
(もしかして、かばってくれた?)
たとえ庇ったんじゃなくても、シレーヌにとって伏せていてくれたのはありがたかった。
「立って聞くようなものではないから、座ろうか」
理事長に促されソファに座る。すると、まるで準備していたかのようにメイドさんが紅茶を出してくれた。
「ありがとう。さて、どこから話そうか・・・・・」
それは、まだこの国に奴隷制度があった頃のお話。
人間の傍には人魚という奴隷が存在した。歌や踊りなど芸に秀で見目も美しい人魚は、とても悦ばれた。そんな人魚は外交の交渉事に献上品としてよく遣われることが多く、オラーンド国の王にもそれは遣わされた。その人魚は、とても美しかった。まるで水に覆われているかのように透き通るような水色でウエーブのかかった髪に金色の瞳はまるで宝石のように輝いている。シルクのような白く美しい肌に色鮮やかな赤色の唇が不安げに強く閉ざされている。
王様は、彼女に一目で恋に落ち、まるでどこかの国の姫のように大切にしたという。そんな王様の優しさに触れた人魚は身分違いながらも惹かれていった。
そして、王様は人魚と結婚することを付き人に告げるが賛成する者はおらず、それでも王様と人魚は結婚した。
これを機に王様は奴隷制度の撤廃の命を下し、王様と人魚は仲睦まじく暮らしていた。公務のない時は王様が楽器を弾き人魚はそれに合わせ歌う姿がよく見かけられていた。
そんなある日のこと、人魚は18歳になり寿命の時を迎えることとなった。ベッドに横になる彼女の手を王様は祈るように両手で包む。
「最後のお願いを聞いていただけますか?」
か細い声でそう告げる人魚に王様は何度も力強く頷いた。
「私とあなたのただ一人の娘を大切に愛してあげてください」
そう言って手渡されたのはガラスボールに入れられた小さな卵だった。王はそれを受け取ると愛おしそうに見つめた。
「あぁ、約束しよう。この子は必ず守ると」
「ありがとうございます。それと、もう一度だけあなたの音で歌いたいのです」
その願いに、王は付き人に楽器を持ってこさせた。彼女のために楽器を弾き始める。彼女の音と王様の奏でるメロディーが重なりその場にいた者たちもその音に聴き入っていた。
曲も終盤になったころ人魚の右目から一滴の涙が流れる。その涙がベッドに落ちると同時に人魚は泡になって消えてしまった。王様は彼女が消えてしまったことに嘆き悲しんだ。
枕の傍、ちょうど人魚の涙が落ちた場所にはハート形の赤く輝く宝石が残っていたという。
王様はその宝石を彼女の遺品として常に持ち歩いていた、それに魔力が宿っていることを知るのは先のことである。
人魚の娘は王様に可愛がられて育ったが、彼女もまた人魚の血を継いでいるため18歳までの命だった。王様は、娘を長生きさせようと方法を探したが見つけられなかった。
とうとう娘は倒れてしまった。苦しげな顔をする娘を見た王様は諦めずに最後まで方法を探し続けた。“生きながらえた人魚がいる”そう聞いた王様がその人魚に方法を聞きにいったときにはもう遅かった。
もうこれ以上大切なものを失いたくない、こんな気持ちを他の者にも知って欲しくないと王様は人魚たちのために学院を設立することにした。
だが、人魚を長生きさせる方法はわかったがそう簡単に上手くはいかなかった。
魔宝石をどんなに作っても命を落としていく人魚がいる。原因をつきとめると、みんなパートナー同士で仲が悪かった。どうやら魔宝石の生成には当人同士の気持ちが重要なことがわかった。
「さらに、気持ち次第で色や形が異なることもわかったんだよ。恋人同士ならハート形の赤い宝石が、どちらかが悲しいと思っていると水色のものが・・・・・・」
「じゃあ、失敗するのは?」
「ただ仲が悪いだけか、あるいは不安や不満があると失敗するかな」
シレーヌが思い出したのはラウトとフェールの二人だった。仲が悪いようには見えない・・・ならば、2人の友人として何かできないだろうか。
「まぁ。そんな訳で、私が2人に仲良くなって欲しい理由はわかったかな?」
「わかりましたが・・・・・・具体的にどうしたらいいんですか」
「そんなこと私に聞かれても2人で相談して決めなさい。とりあえず、学園近くで買い物とかしてみたらどうかな?」
なんだかんだと言って案を出してくれる理事長に感謝しつつ2人は理事長室をあとにした。
(2人で買い物かぁ・・・・・・)
隣に立つアルバーニを見ると目があった。ドキリと少しだけ胸が高鳴る。16年間生きてきて男性とどこかに出かけるなど初めてのことで緊張してくる。
「・・・・・・とりあえず、明日までにはCDの感想書いてこいよ」
「・・・・・・はーい」
それでも、アルバーニは変わらず魔王様で鬼でした。
「シレーヌ、大丈夫?」
黒髪美少女が心配そうにシレーヌを気遣う。シレーヌの友人、フェールは美しくとても聡明だ。そんな彼女とお近づきになりたいという男性は多い。そのためか、フェールに渡してくれと数々の手紙を頼まれるがシレーヌは断っていた。それも疲れるが、今こうしているのは、その手紙のせいではない。
「おい、昨日渡したCDは聴いてきたか?」
「聴いてきたよ、ちゃんと!」
シレーヌがこうして机に突っ伏しているのは、この魔王様が昨日渡してきた50枚ほどのCDを今日までに全て聴いて来いと言ってきたからだ。50枚全てクラッシクで眠ってしまいたくなる本能と戦いつつ聴き終わった頃には太陽が顔を出していた。おかげで一睡も出来ていない。
「じゃあ、ほら出せよ」
「借りたCD?ちょっと待って・・・・・・」
CDの入った紙袋を取り出そうとしたがアルバーニが、はぁ?と声をあげたのでその手は途中で止まってしまった。
「ちげぇよ、曲の感想をまとめて書いて来いって言っただろ」
「なにそれ、聞いてないけど!?」
そもそも、朝と夕方で腹筋・背筋を100回に学校の周りを20周。さらに夜は練習室で発声練習をした後にピアノで音階を確かめる。これをやるだけで寮の消灯時間11時を過ぎるのに感想文など書いている暇はない。
「やってないのか」
アルバーニは、舌打ちすると不機嫌そうに去って行った。紙袋は置いていったままだ。これは、感想文を書いて来いということだろうか。
「怒っていたけど、大丈夫なの?」
「うん、いつものこと。そういえば、今日ラウトは一緒じゃないの?」
朝からずっと彼の姿が見えず疑問に思っていた。すると、フェールの眉が悲しげに下がる。けれども、それは一瞬で何事もなかったように彼女は笑ってみせた。
「今日は、用事があるらしいのよ」
「そうなんだ・・・」
一瞬の悲しげな表情が頭に残って、本当かどうか気になるけれどそれ以上は聞くことができなかった。
全ての講義が終わりパートナー同士の練習時間が設けられる。何をしても自由なのだが、魔王様はきっちりと練習室の使用許可を出していたらしい。いつも通りの練習メニューを終わらせたがアルバーニは、まだきていなかった。
「遅いなー、何しているんだろう」
シレーヌは、暇を持て余し、部屋の窓を開けて外を眺めた。窓の外は深い森が広がっている。その森は、妖精の森といって森に入ってきた人間を妖精がイタズラして迷わせてしまうらしい。今は、日の光を浴びた緑がまるで透けるように輝いている。サァッと心地良い風が吹いて、シレーヌの桜色の髪が風に揺られる。あまりの気持ちよさに思わず目を閉じる。しばらく、そうしていると部屋の扉が開いた。その音に目を開けるとアルバーニが入ってきたところだった。少しばかり疲れているように見えるのは気のせいだろうか。
「理事長に呼ばれた。行くぞ」
「え?また、どうして」
強い力で腕を引っ張られながら、そう聞くが知らんと一蹴される。一週間前にも来た鳥の絵が彫られた扉をノックなしに入室するとニコニコしながら椅子に座っている理事長がいた。
「ノックしてから入ってほしいな」
「・・・・・・用件はなんですか」
理事長の言葉を聞き流し、まるで目の前の人物が敵かのように睨み付けるアルバーニに睨まれた本人は肩をすくめた。机の引き出しから紙を取り出し2人に見るように促す。
「これは、どういうことですか」
紙を見て説明を求める彼にどうしたのだろうかとシレーヌも横から覗き込む。その紙には外出届と書かれていた。ご丁寧にアルバーニとシレーヌの名前がもうすでに書かれている。
「今から一週間、君達2人には講義終了しだい学園の外に出て一緒に行動してもらいたい」
「学園の外に・・・・・・?なぜです」
「いやはや、君達は相当仲が悪いようだね。初めて会った時も今だってまるで他人のように距離がある」
そう指摘され、シレーヌとアルバーニはお互いの立ち位置を見た。横に並んではいるものの、2人の間には3人はおさまるであろう距離ができてしまっている。
「ムリヤリ君達をパートナーにしてしまった私としては君達には仲良くやって欲しいと思っている。その為のサポートは惜しまないつもりさ」
どうやら理事長の言うサポートの第一段階がこの外出命令らしい。アルバーニとは、仲良くするつもりはなかった。きっと彼も必要以上に仲良くするつもりはないだろうと思っているに違いない。2人にとって理事長の今回のサポートは余計なことだった。
「理事長、講義終了後に俺達は2人で練習をしています。外出届けは必要ありません」
「私はね、コミュニケーションを取ってお互いを知りなさいと言っているんだ。これは宝石生成にも関わることだからね」
「宝石生成に・・・・・・?」
シレーヌが思わず呟くと理事長の眉がピクリと動く。
「このことについては“三代目国王陛下と人魚”の話と一緒に最初の頃の講義で習うはずだが・・・・・・?」
三代目国王と人魚の物語と聞いて、あっとシレーヌは思い出した。その講義の時シレーヌが居眠りをして教師に叱られていたなど理事長に言えるはずがない。学びに来ているはずなのに寝ているなどと流石の理事長も怒るであろう。
「・・・・・・その講義の時、ちょうど俺達は理事長に呼ばれまして聞いていないです」
「そうか・・・・・・それはすまなかった。代わりに私が話そう」
「助かります」
アルバーニが頭を下げるのを見てシレーヌも同じく頭を下げた。ちらりと横にいるアルバーニを見る。
(もしかして、かばってくれた?)
たとえ庇ったんじゃなくても、シレーヌにとって伏せていてくれたのはありがたかった。
「立って聞くようなものではないから、座ろうか」
理事長に促されソファに座る。すると、まるで準備していたかのようにメイドさんが紅茶を出してくれた。
「ありがとう。さて、どこから話そうか・・・・・」
それは、まだこの国に奴隷制度があった頃のお話。
人間の傍には人魚という奴隷が存在した。歌や踊りなど芸に秀で見目も美しい人魚は、とても悦ばれた。そんな人魚は外交の交渉事に献上品としてよく遣われることが多く、オラーンド国の王にもそれは遣わされた。その人魚は、とても美しかった。まるで水に覆われているかのように透き通るような水色でウエーブのかかった髪に金色の瞳はまるで宝石のように輝いている。シルクのような白く美しい肌に色鮮やかな赤色の唇が不安げに強く閉ざされている。
王様は、彼女に一目で恋に落ち、まるでどこかの国の姫のように大切にしたという。そんな王様の優しさに触れた人魚は身分違いながらも惹かれていった。
そして、王様は人魚と結婚することを付き人に告げるが賛成する者はおらず、それでも王様と人魚は結婚した。
これを機に王様は奴隷制度の撤廃の命を下し、王様と人魚は仲睦まじく暮らしていた。公務のない時は王様が楽器を弾き人魚はそれに合わせ歌う姿がよく見かけられていた。
そんなある日のこと、人魚は18歳になり寿命の時を迎えることとなった。ベッドに横になる彼女の手を王様は祈るように両手で包む。
「最後のお願いを聞いていただけますか?」
か細い声でそう告げる人魚に王様は何度も力強く頷いた。
「私とあなたのただ一人の娘を大切に愛してあげてください」
そう言って手渡されたのはガラスボールに入れられた小さな卵だった。王はそれを受け取ると愛おしそうに見つめた。
「あぁ、約束しよう。この子は必ず守ると」
「ありがとうございます。それと、もう一度だけあなたの音で歌いたいのです」
その願いに、王は付き人に楽器を持ってこさせた。彼女のために楽器を弾き始める。彼女の音と王様の奏でるメロディーが重なりその場にいた者たちもその音に聴き入っていた。
曲も終盤になったころ人魚の右目から一滴の涙が流れる。その涙がベッドに落ちると同時に人魚は泡になって消えてしまった。王様は彼女が消えてしまったことに嘆き悲しんだ。
枕の傍、ちょうど人魚の涙が落ちた場所にはハート形の赤く輝く宝石が残っていたという。
王様はその宝石を彼女の遺品として常に持ち歩いていた、それに魔力が宿っていることを知るのは先のことである。
人魚の娘は王様に可愛がられて育ったが、彼女もまた人魚の血を継いでいるため18歳までの命だった。王様は、娘を長生きさせようと方法を探したが見つけられなかった。
とうとう娘は倒れてしまった。苦しげな顔をする娘を見た王様は諦めずに最後まで方法を探し続けた。“生きながらえた人魚がいる”そう聞いた王様がその人魚に方法を聞きにいったときにはもう遅かった。
もうこれ以上大切なものを失いたくない、こんな気持ちを他の者にも知って欲しくないと王様は人魚たちのために学院を設立することにした。
だが、人魚を長生きさせる方法はわかったがそう簡単に上手くはいかなかった。
魔宝石をどんなに作っても命を落としていく人魚がいる。原因をつきとめると、みんなパートナー同士で仲が悪かった。どうやら魔宝石の生成には当人同士の気持ちが重要なことがわかった。
「さらに、気持ち次第で色や形が異なることもわかったんだよ。恋人同士ならハート形の赤い宝石が、どちらかが悲しいと思っていると水色のものが・・・・・・」
「じゃあ、失敗するのは?」
「ただ仲が悪いだけか、あるいは不安や不満があると失敗するかな」
シレーヌが思い出したのはラウトとフェールの二人だった。仲が悪いようには見えない・・・ならば、2人の友人として何かできないだろうか。
「まぁ。そんな訳で、私が2人に仲良くなって欲しい理由はわかったかな?」
「わかりましたが・・・・・・具体的にどうしたらいいんですか」
「そんなこと私に聞かれても2人で相談して決めなさい。とりあえず、学園近くで買い物とかしてみたらどうかな?」
なんだかんだと言って案を出してくれる理事長に感謝しつつ2人は理事長室をあとにした。
(2人で買い物かぁ・・・・・・)
隣に立つアルバーニを見ると目があった。ドキリと少しだけ胸が高鳴る。16年間生きてきて男性とどこかに出かけるなど初めてのことで緊張してくる。
「・・・・・・とりあえず、明日までにはCDの感想書いてこいよ」
「・・・・・・はーい」
それでも、アルバーニは変わらず魔王様で鬼でした。
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