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第三章 鉱山都市マリザン
3-4 地下
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ギルドマスターの部屋を出ると、最初に対応してくれた受付嬢のマリーが、この先を案内してくれた。部屋に来た時とは違う廊下へ出て、少し薄暗い階段を下りていく。
やがて窓が無くなり、左右にはランプが点々と設置されていた。これがなければここは真っ暗闇だろう。
セインたちは、いつのまにか地下へ移動してきた。
「地下? どこまで降りるんだろう……」
てっきり診療所へ向かっているものだと思っていたので、無意識にそう呟いていた。
「申し訳ありません。まだ正式な手続きをしておりませんので、犯罪奴隷に準ずる対応をさせてもらっています」
治療はきちんとしておりますので、と付け加えて、マリーはさらに下に降りていく。
階段の次は、狭い通路を渡って、やっと明るい場所に出た。扉があり、そこには見張りらしき男が立っている。マリーなにやらカードのようなものを見せると、扉を開けてくれる。身分証のようなものだろう。
「こちらです」
扉を開けてすぐのところに、テーブルや椅子が置いてあり、看守らしき者がマリーに鍵を渡している。独房がずらりと並んでおり、一つ一つに鉄格子が付いている。
「こんなところに……」
「も、申し訳ありません……規則ですので」
さすがにそう言われては文句は言えない。
犯罪奴隷には危険な者も多くいるし、なにより前提として身分が一番低い。奴隷にもランクがあり、犯罪奴隷はいわゆる規格外に相当する。
もちろん格下という意味で。
「この房です」
すぐ手前の場所だったので、歩くこともなかった。一応怪我人だということで、看守の目の届くところに収容されたのだという。
幾分錆がついた鉄格子の向こうで、うつ向いた子供が据え付けの粗末なベッドに座っていた。
いたるところに白い包帯が巻かれて痛々しい姿である。服はここで用意された、丈の長い筒衣を着ていた。もし、このまま犯罪奴隷として主人を待つのだとしたら、もっとひどい環境に置かれることは想像に難くない。
「……」
もともと、万一にも損害を訴えらないようにと手を打ったのが始まりだ。あの場ではあれが最善で、そのおかげで下手な言いがかりをつけられることもなかった。
所有権を放棄させるのが目的で、飽くまでセインは応急措置として預かっただけである。
なので、ここでセインが罪悪感を覚える必要はない。
――はずなんだけど、な。
その時、セインの上着のフードからひょこっとコウキが飛び出した。
「えっ、あ、セイン様!? 火が、お洋服が燃えております!」
ぴょんぴょんと、肩口に移動したそれをみて、マリーは盛大にテンパった。この暗がりで、コウキの炎はさぞ明るく、そして大きく見えたに違いない。
びっくりするような素早さで、身をひるがえして看守の椅子をひったくり、それを高く持ち上げた。もしかしたら、コウキを魔物の一種だと思ったのかもしれない。
「ま、まっ待って! マリーさん、大丈夫だから!」
そんなもので殴られたら、セインまでひとたまりもない。
ギルドに着いて以降、コウキはずっとフードの中で眠っていたので、あえて誰にも紹介してなかったのが仇になってしまった。
「あ……、あの時の」
そんな最中、囁くような小さな声がした。
さすがにこの騒ぎで顔を上げ、固いベッドに座っていた彼女がセインに気が付いたのである。
やがて窓が無くなり、左右にはランプが点々と設置されていた。これがなければここは真っ暗闇だろう。
セインたちは、いつのまにか地下へ移動してきた。
「地下? どこまで降りるんだろう……」
てっきり診療所へ向かっているものだと思っていたので、無意識にそう呟いていた。
「申し訳ありません。まだ正式な手続きをしておりませんので、犯罪奴隷に準ずる対応をさせてもらっています」
治療はきちんとしておりますので、と付け加えて、マリーはさらに下に降りていく。
階段の次は、狭い通路を渡って、やっと明るい場所に出た。扉があり、そこには見張りらしき男が立っている。マリーなにやらカードのようなものを見せると、扉を開けてくれる。身分証のようなものだろう。
「こちらです」
扉を開けてすぐのところに、テーブルや椅子が置いてあり、看守らしき者がマリーに鍵を渡している。独房がずらりと並んでおり、一つ一つに鉄格子が付いている。
「こんなところに……」
「も、申し訳ありません……規則ですので」
さすがにそう言われては文句は言えない。
犯罪奴隷には危険な者も多くいるし、なにより前提として身分が一番低い。奴隷にもランクがあり、犯罪奴隷はいわゆる規格外に相当する。
もちろん格下という意味で。
「この房です」
すぐ手前の場所だったので、歩くこともなかった。一応怪我人だということで、看守の目の届くところに収容されたのだという。
幾分錆がついた鉄格子の向こうで、うつ向いた子供が据え付けの粗末なベッドに座っていた。
いたるところに白い包帯が巻かれて痛々しい姿である。服はここで用意された、丈の長い筒衣を着ていた。もし、このまま犯罪奴隷として主人を待つのだとしたら、もっとひどい環境に置かれることは想像に難くない。
「……」
もともと、万一にも損害を訴えらないようにと手を打ったのが始まりだ。あの場ではあれが最善で、そのおかげで下手な言いがかりをつけられることもなかった。
所有権を放棄させるのが目的で、飽くまでセインは応急措置として預かっただけである。
なので、ここでセインが罪悪感を覚える必要はない。
――はずなんだけど、な。
その時、セインの上着のフードからひょこっとコウキが飛び出した。
「えっ、あ、セイン様!? 火が、お洋服が燃えております!」
ぴょんぴょんと、肩口に移動したそれをみて、マリーは盛大にテンパった。この暗がりで、コウキの炎はさぞ明るく、そして大きく見えたに違いない。
びっくりするような素早さで、身をひるがえして看守の椅子をひったくり、それを高く持ち上げた。もしかしたら、コウキを魔物の一種だと思ったのかもしれない。
「ま、まっ待って! マリーさん、大丈夫だから!」
そんなもので殴られたら、セインまでひとたまりもない。
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「あ……、あの時の」
そんな最中、囁くような小さな声がした。
さすがにこの騒ぎで顔を上げ、固いベッドに座っていた彼女がセインに気が付いたのである。
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