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第三章 鉱山都市マリザン
3-12 嬉しくない再会
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ブノワ商会の、彼は会長の息子でボダンと名乗ったが、とともに鉱山に入ると、ロッゾは勝手知ったるとばかりに、下り階段をさっさと下りて行った。
「ギルド推奨の実力はともかく、まだビギナーランクだということで、セインくんは浅い階層を頼む。ロッゾさんには、新しく掘り進めた場所の調査と、穢れ払いをやってもらうから」
ロッゾはとうにいなかったが、ボダンは苦笑交じりにそう言った。
「できれば、今日明日中に全部の階層を終わらせたいので、追加で人員を追加するつもりだから、君は気にせず上から順に進めてくれればいいよ」
その後の説明で、今回の穢れ払いが、通常の定期的なそれと違うのを知った。最近掘り進めた場所が、なにかと事故が多発したので、臨時で追加の調査と、更なる穢れ払いの依頼を出したというのだ。
ロッゾはさっさと持ち場に行ってしまったので、その件を聞いていたのかどうかわからないが、慣れている様子だったので余計な心配というやつだろう。
ともかく、セインのすることは決まっていた。依頼のとおりの仕事をこなすまでである。
「サキ、足元悪いから気を付けて」
セインの言葉に、サキははにかむような笑顔でコクリと頷く。もっとも、サキにこのアドバイスは正直なところ必要ない。何しろ、垂直な崖でさえちょっとの足場があれば、なんなく登っていけるスキルを持っている山羊獣人だ。
とはいえ、サキはちょっと嬉しそうであったけれど。
ということで、まずは鉱員たちの休憩所のスペースを経て、第一階層からチェックを始めることにした。
「うーん……」
休憩スペースを見回り、その先へと警戒しながら進み、すでに採掘が終わっている場所まで到達する。その間、札を使った枚数は五枚。それも、お守りの意味ではなく、きっちり穢れ払いの用途でだ。さらに、奥に一枚、休憩スペースに一枚、穢れ避けのお守りの札を貼った。
「ここって商業鉱山だよな……しかも浅い場所で?」
安全な商業鉱山の仕事だと聞いていたのでサキを同行させたが、これはどうにもキナ臭い。
「瘴気に当てるのは、まだよくないからな……サキ、具合は悪くないか」
「大丈夫、ご主人様の近くなら平気」
――ゆらの存在が多少の穢れを防ぐし、いざとなったらコウキもいるからよっぽど大丈夫、だとは思うけど。
どちらにしても、こちらの世界の知識が浅いセインは、これが異常なのか正常なのか判断がつかなかった。これくらいの穢れは、果たして日常茶飯事なのか。
先ほどのボダンの説明でも、事故が多発しているので、穢れが発生しているかもしれないと言っていたし、更なる事故を未然に防ぐための穢れ払いなのだろう。
「それなら多少の穢れはあって当然なのか……だとしたら、サキを戻しておくか」
まだ少し穢れに敏感になっているサキを、このまま同行させるのが心配だったセインは、地上で待機しているボダンのもとへ報告がてら戻ることにした。
サキは一緒に行きたいようだったが、もうちょっと元気になってからでも遅くない。
「うわっ……眩し」
地上に出ると、雲一つない日差しが目に飛び込んできた。セインは、思わず手で庇を作って顔を上げた。
「……っ! な……」
すると、驚きに息を呑むような、声にならない悲鳴のような呻きが聞こえた。続けて「な……んで、ここに」と絞り出したような言葉が続く。
何度か瞬きして、その声の主をようやく見ることができたセインは、途端に白けたような顔になった。
――ロルシー家縁者の術者……、ね。
そこには、呆然として棒立ちになっているベンの姿があった。
「ギルド推奨の実力はともかく、まだビギナーランクだということで、セインくんは浅い階層を頼む。ロッゾさんには、新しく掘り進めた場所の調査と、穢れ払いをやってもらうから」
ロッゾはとうにいなかったが、ボダンは苦笑交じりにそう言った。
「できれば、今日明日中に全部の階層を終わらせたいので、追加で人員を追加するつもりだから、君は気にせず上から順に進めてくれればいいよ」
その後の説明で、今回の穢れ払いが、通常の定期的なそれと違うのを知った。最近掘り進めた場所が、なにかと事故が多発したので、臨時で追加の調査と、更なる穢れ払いの依頼を出したというのだ。
ロッゾはさっさと持ち場に行ってしまったので、その件を聞いていたのかどうかわからないが、慣れている様子だったので余計な心配というやつだろう。
ともかく、セインのすることは決まっていた。依頼のとおりの仕事をこなすまでである。
「サキ、足元悪いから気を付けて」
セインの言葉に、サキははにかむような笑顔でコクリと頷く。もっとも、サキにこのアドバイスは正直なところ必要ない。何しろ、垂直な崖でさえちょっとの足場があれば、なんなく登っていけるスキルを持っている山羊獣人だ。
とはいえ、サキはちょっと嬉しそうであったけれど。
ということで、まずは鉱員たちの休憩所のスペースを経て、第一階層からチェックを始めることにした。
「うーん……」
休憩スペースを見回り、その先へと警戒しながら進み、すでに採掘が終わっている場所まで到達する。その間、札を使った枚数は五枚。それも、お守りの意味ではなく、きっちり穢れ払いの用途でだ。さらに、奥に一枚、休憩スペースに一枚、穢れ避けのお守りの札を貼った。
「ここって商業鉱山だよな……しかも浅い場所で?」
安全な商業鉱山の仕事だと聞いていたのでサキを同行させたが、これはどうにもキナ臭い。
「瘴気に当てるのは、まだよくないからな……サキ、具合は悪くないか」
「大丈夫、ご主人様の近くなら平気」
――ゆらの存在が多少の穢れを防ぐし、いざとなったらコウキもいるからよっぽど大丈夫、だとは思うけど。
どちらにしても、こちらの世界の知識が浅いセインは、これが異常なのか正常なのか判断がつかなかった。これくらいの穢れは、果たして日常茶飯事なのか。
先ほどのボダンの説明でも、事故が多発しているので、穢れが発生しているかもしれないと言っていたし、更なる事故を未然に防ぐための穢れ払いなのだろう。
「それなら多少の穢れはあって当然なのか……だとしたら、サキを戻しておくか」
まだ少し穢れに敏感になっているサキを、このまま同行させるのが心配だったセインは、地上で待機しているボダンのもとへ報告がてら戻ることにした。
サキは一緒に行きたいようだったが、もうちょっと元気になってからでも遅くない。
「うわっ……眩し」
地上に出ると、雲一つない日差しが目に飛び込んできた。セインは、思わず手で庇を作って顔を上げた。
「……っ! な……」
すると、驚きに息を呑むような、声にならない悲鳴のような呻きが聞こえた。続けて「な……んで、ここに」と絞り出したような言葉が続く。
何度か瞬きして、その声の主をようやく見ることができたセインは、途端に白けたような顔になった。
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そこには、呆然として棒立ちになっているベンの姿があった。
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