57 / 137
第三章 鉱山都市マリザン
3-19 報酬2
しおりを挟む
鉱山からの帰り、ギルドで報酬を受け取ると、セインは宿屋へ帰った。
今回の事件のことで、ギルドマスターが会いたいとのことだったが、後日改めて伺う旨を伝えた。さすがのセインも、これほど予定外のことが続いては、ちょっとばかり小休止が欲しかった。
「初報酬ですね、ご主人様」
「ああ、そうだな。金額的には大したことないが、結構嬉しいな」
サキに答えつつ、セインはベッドの上に、銀貨一枚、銅板三枚を並べた。これは一日分の報酬なので、通常三日ほどかかる調査なら銀貨四枚は貰える仕事だ。贅沢をしなければ、宿屋に一週間ちょっと滞在できる計算だ。
確かに、ほぼ見回りと、お守り札を貼るだけなら悪くない仕事である。
――うん、いいな。結構、得意分野だし、この分なら割と効率がいい。それに慣れてきたら、未開鉱山の開拓済みエリアの採集とかも面白いかも。
調査中の未開鉱山でも、徐々にマップが作られ、魔物討伐が終わったエリアがある。開拓が終わった場所での採掘活動は禁止されているが、植物や湧き水などの採集に限って許されている。もちろん稀に魔物が出ることもあるし、穢れも発生することも多く、必ずしも安全とは言えない。
だが、魔物が存在することで成長する植物や、変化する水などもあるので、そういった採集依頼には一定の付加価値がついたりもするのだ。
「それと、コレ」
そして、例のデコボコした金鉱石をその横に置く。
「あ、最後に貰った……石?」
「加工しないと、金は取り出せないし、見かけは石だね。でも、変な形してるな。なんだろう……これ、見ようによっては動物に見えなくもないかな」
手に取って、縦にしたり横にしたりして、こぶし大の石を眺めた。
『なにか、独特の波動を感じます。かなりの金が含まれているようです。セイン様、これは使えるのではないでしょうか?』
「……ん? あ! そうか。そうだね」
恥ずかしながら、当初の目的を忘れかけていたセインだった。もともとは、白虎の形代になる金を手に入れるためにハンターになったのだ。
白虎の復活を忘れたわけではなく、手段が目的になってしまっていた。
護衛ハンターを雇うための資金をためる、という手段が、最終目標のつもりになっていたのだ。
――金鉱石が手に入ったのなら、それで御の字。もうハンターをする必要は、ない……か。
もちろん、さっそく手に入ったのは嬉しい。けれど、金を取り出す工程がある。なんだか妙に愛嬌のある石の形状が気に入ったこともあり、それを金に加工することが躊躇われた。
セインは、ベッドサイドの小さな丸いテーブルに、それを置いた。
――焦って決めることもないか。これがうまく形代になるかどうかもわからないし、せっかくここまで来たのに一日で帰るとか、ちょっともったいない気もするし。
正直なところ、もうちょっといろいろな経験がしたいと考えていた。ある意味で、今日の仕事は前世で普通にやっていた仕事と何ら変わらない。
ましてや不愉快な人物との遭遇もあって、セインのテンションは駄々下がりで、すっかり不完全燃焼だった。
「……コウキ、たまごじゃないぞ」
テーブルに置かれた石の上に、コウキはうずもれるように乗っかっていた。ひよこなのにタマゴを温めるとか、ちょっと微笑ましくも滑稽な姿である。
――明日はどのみちギルドに行かないといけないし、これからのことはまたゆっくり考えよう。
今回の事件のことで、ギルドマスターが会いたいとのことだったが、後日改めて伺う旨を伝えた。さすがのセインも、これほど予定外のことが続いては、ちょっとばかり小休止が欲しかった。
「初報酬ですね、ご主人様」
「ああ、そうだな。金額的には大したことないが、結構嬉しいな」
サキに答えつつ、セインはベッドの上に、銀貨一枚、銅板三枚を並べた。これは一日分の報酬なので、通常三日ほどかかる調査なら銀貨四枚は貰える仕事だ。贅沢をしなければ、宿屋に一週間ちょっと滞在できる計算だ。
確かに、ほぼ見回りと、お守り札を貼るだけなら悪くない仕事である。
――うん、いいな。結構、得意分野だし、この分なら割と効率がいい。それに慣れてきたら、未開鉱山の開拓済みエリアの採集とかも面白いかも。
調査中の未開鉱山でも、徐々にマップが作られ、魔物討伐が終わったエリアがある。開拓が終わった場所での採掘活動は禁止されているが、植物や湧き水などの採集に限って許されている。もちろん稀に魔物が出ることもあるし、穢れも発生することも多く、必ずしも安全とは言えない。
だが、魔物が存在することで成長する植物や、変化する水などもあるので、そういった採集依頼には一定の付加価値がついたりもするのだ。
「それと、コレ」
そして、例のデコボコした金鉱石をその横に置く。
「あ、最後に貰った……石?」
「加工しないと、金は取り出せないし、見かけは石だね。でも、変な形してるな。なんだろう……これ、見ようによっては動物に見えなくもないかな」
手に取って、縦にしたり横にしたりして、こぶし大の石を眺めた。
『なにか、独特の波動を感じます。かなりの金が含まれているようです。セイン様、これは使えるのではないでしょうか?』
「……ん? あ! そうか。そうだね」
恥ずかしながら、当初の目的を忘れかけていたセインだった。もともとは、白虎の形代になる金を手に入れるためにハンターになったのだ。
白虎の復活を忘れたわけではなく、手段が目的になってしまっていた。
護衛ハンターを雇うための資金をためる、という手段が、最終目標のつもりになっていたのだ。
――金鉱石が手に入ったのなら、それで御の字。もうハンターをする必要は、ない……か。
もちろん、さっそく手に入ったのは嬉しい。けれど、金を取り出す工程がある。なんだか妙に愛嬌のある石の形状が気に入ったこともあり、それを金に加工することが躊躇われた。
セインは、ベッドサイドの小さな丸いテーブルに、それを置いた。
――焦って決めることもないか。これがうまく形代になるかどうかもわからないし、せっかくここまで来たのに一日で帰るとか、ちょっともったいない気もするし。
正直なところ、もうちょっといろいろな経験がしたいと考えていた。ある意味で、今日の仕事は前世で普通にやっていた仕事と何ら変わらない。
ましてや不愉快な人物との遭遇もあって、セインのテンションは駄々下がりで、すっかり不完全燃焼だった。
「……コウキ、たまごじゃないぞ」
テーブルに置かれた石の上に、コウキはうずもれるように乗っかっていた。ひよこなのにタマゴを温めるとか、ちょっと微笑ましくも滑稽な姿である。
――明日はどのみちギルドに行かないといけないし、これからのことはまたゆっくり考えよう。
0
あなたにおすすめの小説
天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない
戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――!
現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、
中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。
怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として
荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。
だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、
貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。
『良領主様』――いや、『天才王子』と。
領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、
引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい!
「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく!
――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚!
こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています
是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい
学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。
さら
恋愛
いじめていた女と一緒に異世界召喚された私。
聖女として選ばれたのは彼女で、私は無能扱いされ追放された。
だが、辺境の村で暮らす中で気づく。
私の力は奇跡を起こすものではなく、
壊れた世界を“元に戻す”本物の聖女の力だった。
一方、聖女として祭り上げられた彼女は、
人々の期待に応え続けるうち、
世界を歪め、災厄を呼ぶ魔女へと変わっていく――。
超能力者なので、特別なスキルはいりません!
ごぢう だい
ファンタジー
十歳の頃に落雷の直撃を受けた不遇の薫子は、超能力に目覚める。その後十六歳の時に二度目の落雷により、女神テテュースの導きにより、異世界へ転移してしまう。ソード&マジックの世界で、薫子が使えるのは超能力だけ。
剣も魔法も全く使えない薫子の冒険譚が始まる……。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
筑豊国伝奇~転生した和風世界で国造り~
九尾の猫
ファンタジー
亡くなった祖父の後を継いで、半農半猟の生活を送る主人公。
ある日の事故がきっかけで、違う世界に転生する。
そこは中世日本の面影が色濃い和風世界。
しかも精霊の力に満たされた異世界。
さて…主人公の人生はどうなることやら。
俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる