晴明、異世界に転生する!

るう

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第六章 守り神

6-3 穢れ札

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「なるほどね、穢れ札による呪病だったのか……」

 セインたちは再び現場に戻って来た。二つに割けて天にそびえる大樹の痛々しい姿を目を眇めて見上げた。
 祓い札には、正規のものと非正規のものがある。これはよし悪しの前に、ロルシー家、および帝国のお墨付きがあるかどうか、というものだ。
 ロルシー印の札には特殊な加工がしてあり、穢れに触れた札には格子柄の透かしが浮かぶ。これは一般人にも一目で札の状態が分かるようにとの配慮だ。
 一度使ったものが必ずしも効果がなくなるわけではないが、価値を下げないためにも、事故を防ぐためにも、再利用はしないようにと注意喚起されているのだ。
 一般家庭で使われている札は、かなり安価に設定されている。税を納めている領民への、補助の一環でもあるし、特権ともいえる。
 そして当然、流民であるハンターにはその特権はない。しかも、彼らが使うのは安価な家庭用ではなく、プロ用としての付加価値の付いた値段で売買されている。確かに値段に見合う効果があり、大規模な魔獣討伐や、重篤な穢れなどにも対応できるものだ。
 加えていうなら、領民が買う札は転売禁止で、それを破ると最悪の場合は市民権を失うことになるという。

『とはいえ、正規の札しか使ってはならん、とはならないのじゃな』
「そうだね、札を作れるのはなにもロルシー家だけではないし。ただ、帝国が品質を保証して、しかも補助金を出しているのはロルシー製だけってこと」

 モグリの札でも、効果があれば問題はない。
 問題なのは、正規品と違って再利用しても依頼主はもちろん、肝心の使用者にもわからないということなのだ。

『それなりの術者ならわかるかもしれんが、少なくとも一般のハンターなんぞに判別できるとは思えぬ。それを見越してなら、かなり悪質じゃな』
「デオル兄上が調査に動いているけど……」
 
 足が付かない行商とか、闇市とかでの取引だと思われた。ただでさえ、近頃は祓い札の粗悪品が出ているとのことだったが、それに加えて中古品の流通とは。
 とても偶然とは思えないが、今は目の前のことを何とかすることが先決だった。

「新しい苗木を植えることも考えたけど、この広大な穀倉帯を守護するには力が足りない」

 そして、たくさん植えればいいというものでもない。守護樹と土地は相互に成長する。土地が枯れれば、守護樹も枯れ、その反対もまたしかりである。

『このコもまだ生きてるし、ここの土も死んでないよ』

 大樹のそばにしゃがんだテンが、見上げるように首だけをセインに向けた。
 テンが言うには、二つに割けて、上部が吹っ飛んだのは、むしろ悪いところを自分で切り捨てたのだという。双子の狐火がダメ押しだったのか、根から穢れが引いたタイミングで大樹が自ら行った外科手術のようなものだったらしい。

「それじゃ双子の暴走も、まるきり大失敗というわけでもなかったのか……」

 ――いや、どうかな。たまたまのような気がする。あえて教えなくてもいい情報だな、きっと。

「だけど、深刻な状態には変わりがないよね。穢れ払いするだけじゃ、元に戻らない気がするんだけど」
『たぶん、無理。オイラが土に恵みを与えるとしても、あと、なにかもう一押しが必要だと思う』
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