晴明、異世界に転生する!

るう

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第六章 守り神

6-20 初めての国外へ

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 慣れない潮の香り、より近く感じる照り付ける太陽。
 なにより、とんでもない人の数に圧倒された。

「国境を越えてすぐだから、距離的には近いはずだけど、本当に外国って気がするね」

 セインたちは、隣国ピスコ王国の港町マリンに来ていた。国境を越える許可が下りるまでの時間、通信にてマリザンの穀倉帯の現状の連絡を受けた。あれから無事ウーセが到着して、穢れ払いの式典が行われたという。
 本当の意味で解決はしていないが、守護樹は呪い状態からは解放され、なんとか収穫まで持ちそうとのこと。
 ただ守護樹に無理をさせたままだし、このままでは次の種は植えられない。
 引き続き調査をするように、とのことだった。
 ちなみに、この世界の遠距離通信は、早馬と伝書魔鳥が使われている。王侯貴族のみが使える、上位魔獣クラスの魔核を使った通信魔具もあるが、ロルシー侯爵家でも、当主のみが限定的に使える代物だ。
 そこでセインは、式神を使った通信の術をこの世界に合わせてアレンジした。簡単に言えば手紙を紙飛行機で飛ばすような仕組みで、ある程度の妖力があれば作ることが出来る。
 ただし、決まった相手にしか読めないようロックしたり、より遠くへ飛ばすのには、それなりの妖力や技術がいるので、穢れ祓いの札と同じように、修業と訓練が必要だった。
 セインは、こういう繊細な術こそ得意分野なので、いろいろ改良するのは楽しかった。余談ではあるが、この通信の技法と、使いきりの汎用式神は、のちにロルシー家の新たな稼ぎ頭となった。
 貴重な魔核や、魔獣の管理、飼育が必要ないので、庶民にも手軽な通信手段として瞬く間に浸透することになる。もちろん文書の量や、秘匿性など、使用する式神によりピンキリとなるので、重要な秘密文書などには、これまで同様、魔核を使った通信は必要となるだろう。
 ともかくそれは、少し先のことだ。今現在、式神を使えるのは直接伝授した家族のみである。

「よし、とりあえずの心配事は一つ減ったな。でも、それほど猶予がないのも事実だね」
『そうじゃな、このままでは収穫のあとの土地の滋養も不十分じゃ。来期の収穫に確実に影響するからの』

 ツクの言葉に頷いて、セインは改めて港町を眺めた。
 とにかく潮の香がものすごい。内陸育ちのセインはちょっと慣れないが、人々に活気がある雰囲気はとても気分が上がる。

「ここはそれほど大きな町じゃないけど、確かハンターギルドや商業組合の支部があるって言ってたな」

 町の大きさは、オアシスの町フラムとそれほど変わらない。けれど、ここは各地への玄関口でもあり、また鉱山都市を有するロルシー領への入り口にもなっているため、ハンターや旅商人たちが行き交う活気ある港町でもあった。
 ピスコ王国は、この港町から肉眼でも見える位置にある大きな島に王都を置く海洋国家である。帝国の属国になるという条件で、この港町を所有することを許されているのだ。

『この港の海底のどこかに、こけら族の集落への道があるのですね』

 ゆらが、ふわふわと海の方を眺めて浮いている。彼女にとって、海は属性と深い関わりを持つので、特別に感慨深いのだろう。

「まあ、すべてが噂程度の情報だけどね。ともかく今は、こけら族のことより、ここに拠点を置く準備をしよう」

 周りにはゆらの声は聞こえないので、ほとんどセインの独り言のように聞こえただろう。そして、そんな何気ない言葉に、群衆のひとりが小さく反応した。それは、雑踏のほんのささやかな動きで、実際にセインが気が付くことはなかった。
 唯一、セインのフードからコウキがぴょこっと顔出し、身体を伸ばして首に巻きついていたハクも頭を出して、二匹が同時に小さく首を傾げただけである。
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