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異変

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「そ、そういえば、君はなんでここにいるんすか?」

「……家出」

男は下を向く。
家出とはまた大変だ。
理由を聞きたくても聞けれない
そして、俺っちは聞いた

「名前は?」

「アヌビス」

その名前を聞いてはエジプトの神様だと気付く
何故そんな神様が?
それに神様に家出なんてあるのか!?
なんて思っていた。
神様は人を見守ってくれていたりする方々なはず。
そんな神様が家出とは、天界ではなく、しっかり家があるんだと実感した。

「何か欲しいのあるっすか?」

「プリン」

「え?」

思わず、聞いてしまう

「プリン」

この男は変だ。
本当に神様か?
そう思うと男が来た

「アヌビス、大丈夫か」

がっちりした体格の男。
俺っちなら絶対負けるくらい。
しかも、

「ひぃっ……!」

ヤクザ。
こんなやつの男に話しかけてたのかと思うと怖かった。

「なんだ?見ない顔だな」

そのヤクザは俺っちをみては目を細める。
ヤクザはプリンをアヌビスに渡すとアヌビスはお構い無しにプリンを貪る。

「えと、す、すみませんっす!」

と謝ると、ヤクザは、は?というような顔をする

「俺は×××。」

と名前を言われても全然名前が何言ってるか聞き取れない。
俺っちは首を傾げると、男は疑問に思ったのか、通じるように言った。

「……神麻 正治(ジンマ セイジ)。警察官だ」

警察官と聞くとさらにびっくりする。
ヤクザはそう名乗った。
青に少し黒が混ざった髪の色にそれと同じ色の瞳、
左の俺っちから見て左上のまゆげ上から、右下にかけて頬まで傷の入った
紺色のスーツ姿の男。

華奢で学生の平凡な俺っちからしたら怖い


ちなみに俺っちは
つり目の黒縁メガネ、三日月チョーカー。
髪も目もオレンジの含んだ茶色。
ピアスはその頃からバチバチにあけてる。
……変っすかね。いや、こんなゆるい学校なんて無いか。

上軟骨と耳たぶにあるピアスは、ピアス1つも無い正治もびっくり。

「最近の若い男は大変だな」

「え?」

と男が言う言葉にまた聞き返してしまう。
それにしても
アヌビスも正治もイケメンだ。
これは、そういう世界なのか!?
モブみたいな俺っちが居ても良いのだろうか。

「……名前、教えて」

アヌビスが聞くと

「鳴門 樹好っす!」

「……キヨシ。キヨシは、何しにこの国へ来たの?……貧困の国だよ?」

貧困の国。アヌビスは分かっていた。
こんな砂漠の多い国が、確かに俺っちから見ても貧困そうにみえた
失礼かもだけど。

「せーじはたまに俺に会いに来る。……キヨシ、せーじについて行ったら?」

「……え!?俺っちそんな……」

と遠慮をすると、正治は頷いた

「そうだな。キヨシ、これから色んな世界に案内しよう。アヌビスも来い。」

「行く」

アヌビスは嬉しそうについて行った。





◇◇◇_______________◇◇◇



1人の国の男が城の中でじっと水晶なのか綺麗な欠片を見る。
その中には先程橋を渡っていた鳴門樹好の姿。
男は顎に手を置き、こう言う

「これは大変なことになりそうですね。」

足を組み、見つめていると、扉が開き近付いた気配を感じた。

『王子!』

「なんでしょうか。」

仲間だった

『現在、人間界が災害で溢れていると、仲間から連絡がありました!』

「……!」

足を組むのをやめて、立ち上がる。

「行きましょう。嫌な予感がします。」

白い手袋を持って手袋をつけながら歩いていく

『はい。』

兵士であるその仲間は王子の後に続いた。

「ブレイヴに連絡は不要です。彼らの本拠地に回ると厄介なことになります。」

と王子は喋ると後ろで兵士が返事をする。

「貴方は優秀な兵です。人間界に改めて入ります。貴方が行きなさい。僕は……とある人に用があります」

『かしこまりました。王子……』

そう言うと、王子は反応する。

「どうされましたか」

『くれぐれも気を付けて。』

「こちらこそ。僕達でできる限り致しましょう。……嫌な予感が来る前に対処します。」

『はい。こちらも何かあればご報告致します』

そして2人は外へ出た。
王子はそして、命を下す

「これよりこの国の立ち入りは禁止とします。ですが、例外でこの男が着き次第、僕にすぐ連絡してください。僕は」

と説明していくと、最後に

「……吸血鬼の国へ行ってきます」

と告げた。その言葉にザワつく国。

『ま、待ってください王子!吸血鬼の国に何故!?』

他の兵が聞く。
王子は目を細め、眼鏡をクイッとあげた。

「嫌な感じがしたんです。僕の勘が鋭いのは貴方もご存知でしょう。それに、この狭間の世界の頂点に連絡しないのは僕の礼儀としてなってないと思ったからです」

『通信を使うのは何故……』

「質問が多いですね。まぁ仕方ないでしょう。」

ため息がつく。兵は

『も、申し訳ございません』

そう、吸血鬼の国へ行く時や連絡はこの国では緊急で危ない時のみだと知らせているからだ。
吸血鬼の国から来る時は普通な時があるが、自分から行く時は殆ど無い。

「×××王、彼と関係をしているような気がするのです。彼なら予感に気付いている事でしょう。」

魔王への連絡はその先だ。
最初にする事はそれぞれの柱の頂点である吸血鬼の国。
そこには、強力な兵。
そして……この中でおそらく最強の力を持つ王とその父。
全く違う力を持つ親子。
そして王は異名、【青い瞳の血塗れた王子】
王子の頃に起こしたある事件からの名がある。

「僕の報告が来るまで、全力でやりなさい」

『はい!』

と兵達の声と、他の兵から、マントを渡される。

「ありがとうございます。行ってきます」

マントを貰ってつけるとフードを被り顔を隠しては兵たちとは別の方向へ向かって歩いていった。
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