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第六章 さよならと笑顔
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しおりを挟む「はいどうもこんにちは、こちらゴッチと」
「タクヤジェネレーションです!」
「お前それ!俺の名前やないかい!」
「はい、ということで」
「なにがということ、やねん」
「今回は少し重い話、行かせてもらいやしょうか」
「お。急にくるねゴッチさん」
「ええ。だって緊急会見ですからね、緊急会見。時間かけたところでなんだよそんなことかって思われたくねーもん」
「はいそういうことですねー。ま、とりあえず画面の向こうの君達。今回はね、マジな話なんです」
「いつもマジだろマジ」
「まあね。俺達、マジでいつも生きてるんで」
「「うぇーい」」
「ま、それで。タクヤさんが持ってきた話題なんです今回。滅多にないからね、滅多に」
「滅多にっておい!ま、だから心して聞いてちょ」
時間は少し前に遡る。
「何度も言うが、これは警察としてではなく、個人的にお願いしたい。だから、やってくれるかどうかは君達の意思によるもの。OK?」
「くどいっすよ。わかりましたって」
「…面目ないね。お願いしている手前だけど」
「全然。むしろ、連絡もらえるなんて思ってなかったし。いや、まあ、その。市民の安全のための仕事の手助けができるなら、喜んでやりますよ」
そう言って胸をはる若者…ゴッチは、隣に座るタクヤに目配せをする。隠そうにも、口の端にうっすらと浮かぶ笑みはそのままである。
「君達レベルなら、視聴者の数も多いだろう」
「まあ、そうなんですかね」
「世間を楽しませるプロってことだ」
太田原のような中年男性に、お世辞でも褒められることはあまりないだろう。故に、ゴッチは嬉しそうに鼻の穴を広げる。
対する太田原の心境は不安だった。
果たして、うまくいくのか。
先日会った動画配信者に深青を探させるなんて。
「警察官として、倫理的にどうなんだろうな」
彼らと別れた後、太田原はをついた。
「倫理?」
「モラルの問題だよ」
「いや。言葉の意味は知ってます」
「それじゃあ」
「私は倫理よりも犯人逮捕、続けて被害者を出さないやり方をとる方が優先されるものだと思っています」
はきはき、淡々とした口ぶり。上の奴らがこいつを評価する理由が少しばかりわかったような気がした。
「その後で僕を懲戒処分にするなら、どうぞ」
「ま。そうなるなら一緒にだな」
「一緒に?」
「お前にそれほどの覚悟があるっていうなら、付き合ってやるよ」
太田原はにやりと笑みを浮かべた。中津は心なしか、ほっとしたような表情になった。
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