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「だから、また会えるって言っただろ?」
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ピンポーン…♪
そんなことを話して琉生の朝食がちょうど終わったタイミングで、インターホンが鳴った。
出ようとすると、俺が、と制された。
そのあいだに紗奈は空いた皿を慌てて片付け、テーブルを拭いた。
「ハル、よく来たな」
玄関先で話す琉生の声が聞こえて、紗奈は思わず動きを止めた。
その名前に敏感に反応してしまう自分は、あの日のことを忘れてないからだ。
ハル――琉生はそう言った。
でもそれは愛称で、ハル、という名前じゃないかもしれないし、もし仮にハルだったところであの羽琉と同一人物なわけがない。
……そう、思いたかった。
「兄貴、ワガママ言ってごめんな」
なのに、耳に入ってくる声は聞き覚えのあるもので、ジンと体が疼いた。
あの夜、紗奈の名前を甘く呼んだ時と違うものの、でも同じ声だった。
……違う。
琉生の弟が羽琉のわけがない。
一夜を共にしたのが琉生の弟だなんて、そんなことあってはならない。
旅先で会ったのが、セックスをしたのがまさか琉生の家族だったなんてそんなこと。
違う違う、と紗奈は頭を振り、羽琉じゃないと言い聞かせる。
ただ声が似ているだけで、名前が同じだけで、あの羽琉とは別人。
そうじゃなきゃダメで、そうあってほしいと切に願った。
「紗奈、紹介する。弟の羽琉」
だけど、琉生に連れられるようにしてリビングに入ってきたのは、見間違うはずがない、あの夜に何度も体を重ねた羽琉に違いなかった。
どういうことなの、弟なんて。
あの日、羽琉に言われてスマートフォンに入っていた琉生との写真を見せた。
だから、琉生の彼女だってこと、彼は知っていたはずなのに。
知っててホテルに誘って、あんなにも激しく抱いたっていうの。
「よろしくお願いします、紗奈さん」
あの時とは違う顔。
でも、今目の前にいるのは、間違いなく羽琉だ。
大学生らしい顔つきで見つめてくる瞳もまっすぐで、この彼が紗奈を抱いた男だとは思えないほどとても爽やかだった。
だけど、見え隠れする意地悪そうな瞳は、あの時とまったく変わらない。
初めまして、と羽琉は言わなかった。
それはあの日のことを、あの夜のことを覚えているからに違いない。
一夜とはいえ、あんなにも抱き合ったんだから覚えてないわけがない。
「……うん。よろしくね」
紗奈は無理やりに笑みを浮かべてそう言うのに精一杯だった。
まだ頭は追いついていなくて、この現実を受け入れるのがきつかった。
初めて見た時、自分より年下だと思った。
でもまさか大学生だったなんて、そんなこと思いもしなかった。
あまり年が変わらないとはいえ、まだ学生の子と関係を持ったなんて今でも信じたくない。
「…あ、コーヒー淹れるねっ」
紗奈は逃げるようにして、キッチンのほうへ体を潜ませた。
気持ちを落ち着かせるように息を吐き、インスタントコーヒーを用意する。
――落ち着け…。
こんな形で再会なんて思ってもみなかったけど、きっと大丈夫。
もうあんなことにはならないし、琉生の弟ならなおさら無理だ。
なにもなかったかのように普通に振る舞えるはず。
あの夜は旅先で羽目を外しすぎた――そう、ただそれだけのこと。
いくらあの時のセックスがよかったといっても、もう忘れなきゃ。
琉生の弟と、羽琉と体を重ねたことは絶対に知られちゃいけない。
そんなことを話して琉生の朝食がちょうど終わったタイミングで、インターホンが鳴った。
出ようとすると、俺が、と制された。
そのあいだに紗奈は空いた皿を慌てて片付け、テーブルを拭いた。
「ハル、よく来たな」
玄関先で話す琉生の声が聞こえて、紗奈は思わず動きを止めた。
その名前に敏感に反応してしまう自分は、あの日のことを忘れてないからだ。
ハル――琉生はそう言った。
でもそれは愛称で、ハル、という名前じゃないかもしれないし、もし仮にハルだったところであの羽琉と同一人物なわけがない。
……そう、思いたかった。
「兄貴、ワガママ言ってごめんな」
なのに、耳に入ってくる声は聞き覚えのあるもので、ジンと体が疼いた。
あの夜、紗奈の名前を甘く呼んだ時と違うものの、でも同じ声だった。
……違う。
琉生の弟が羽琉のわけがない。
一夜を共にしたのが琉生の弟だなんて、そんなことあってはならない。
旅先で会ったのが、セックスをしたのがまさか琉生の家族だったなんてそんなこと。
違う違う、と紗奈は頭を振り、羽琉じゃないと言い聞かせる。
ただ声が似ているだけで、名前が同じだけで、あの羽琉とは別人。
そうじゃなきゃダメで、そうあってほしいと切に願った。
「紗奈、紹介する。弟の羽琉」
だけど、琉生に連れられるようにしてリビングに入ってきたのは、見間違うはずがない、あの夜に何度も体を重ねた羽琉に違いなかった。
どういうことなの、弟なんて。
あの日、羽琉に言われてスマートフォンに入っていた琉生との写真を見せた。
だから、琉生の彼女だってこと、彼は知っていたはずなのに。
知っててホテルに誘って、あんなにも激しく抱いたっていうの。
「よろしくお願いします、紗奈さん」
あの時とは違う顔。
でも、今目の前にいるのは、間違いなく羽琉だ。
大学生らしい顔つきで見つめてくる瞳もまっすぐで、この彼が紗奈を抱いた男だとは思えないほどとても爽やかだった。
だけど、見え隠れする意地悪そうな瞳は、あの時とまったく変わらない。
初めまして、と羽琉は言わなかった。
それはあの日のことを、あの夜のことを覚えているからに違いない。
一夜とはいえ、あんなにも抱き合ったんだから覚えてないわけがない。
「……うん。よろしくね」
紗奈は無理やりに笑みを浮かべてそう言うのに精一杯だった。
まだ頭は追いついていなくて、この現実を受け入れるのがきつかった。
初めて見た時、自分より年下だと思った。
でもまさか大学生だったなんて、そんなこと思いもしなかった。
あまり年が変わらないとはいえ、まだ学生の子と関係を持ったなんて今でも信じたくない。
「…あ、コーヒー淹れるねっ」
紗奈は逃げるようにして、キッチンのほうへ体を潜ませた。
気持ちを落ち着かせるように息を吐き、インスタントコーヒーを用意する。
――落ち着け…。
こんな形で再会なんて思ってもみなかったけど、きっと大丈夫。
もうあんなことにはならないし、琉生の弟ならなおさら無理だ。
なにもなかったかのように普通に振る舞えるはず。
あの夜は旅先で羽目を外しすぎた――そう、ただそれだけのこと。
いくらあの時のセックスがよかったといっても、もう忘れなきゃ。
琉生の弟と、羽琉と体を重ねたことは絶対に知られちゃいけない。
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