ワンナイトラブの相手は彼氏の弟でした

羽月咲羅

文字の大きさ
36 / 82
「それ、誘ってるふうにしか見えねえよ?」

(7)

しおりを挟む
「……は、る…」

 名前を呼ぶと、ん、と返ってくる声。
 紗奈はまた同じように名前を繰り返して、そっと足を開いてしまった。
 そうしてしまったらもう最後、後戻りはできっこない。

「羽琉、挿れて」

 目の前にいる人間の皮を被った狼から逃げることはどうしてもできなくて、甘い欲望という名の誘惑に乗せられてその罠に嵌ってしまった。

 羽琉にうまく転がされてる気がする。
 それでもいい、中途半端な欲求を満たしてくれるならなんでも。
 あの日の夜みたいに、たくさん気持ちよくさせてもらえるなら。

「ふ、いい子。望みどおりシてやるよ」

 羽琉に見られるとそれだけで体が疼いて止まらなくなるけど、好きでもない男を求めてる自分を素直に受け入れるのも抵抗があった。
 この体はもう既に羽琉を求め、こんなにも濡らしてるというのに。
 にもかかわらず反発したくなるなんて、心と体が矛盾してる。

「か、勘違いしないで! 羽琉がシたいって言うからするだけで、私は別に…!」
「ふうん?」
「そのままだと羽琉がキツいと思ったから、だから――」

 その先の言葉を塞ぐように、強引に唇を重ねられて舌を絡み取られた。
 もう他のことを考える余裕もなくなり、キスを受け入れるだけ。

「もう黙れよ」

 羽琉はそう言うと着ていたシャツを脱ぎ捨て、紗奈の腰を掴んで奥深くまで自分を沈めた。
 羽琉が動くたびに、繋がった部分から蜜が溢れて水音が響く。
 グチュッ、とした音が耳を貫くたびに恥ずかしくなるけど、もう気にしていられない。
 体に走る快楽、羽琉の感覚に狂いそうになってしまう。

「紗奈ん中、すげえ気持ちいー」

 恍惚に顔を歪める羽琉を見るだけで胸の奥が高鳴る。
 好きでもないのに自分に感じてくれているのが嬉しくて、紗奈は甘い声を上げながら目の前の羽琉に抱き着く。
 中途半端に服を着た状態なのに、それも全然気にならないなんて。
 服が汚れるとかシワになるとか、そういう考えはどこかへ追いやられた。

「ぁ、やぁっ…!」

 あの日と同じ、……それ以上の快楽。
 琉生への後ろめたさや罪悪感がないわけじゃないけど、それが快楽に拍車を掛ける。
 挿れる前も挿れた後も、羽琉がすることはいちいち気持ちよすぎる。

「……んっ」

 セックスをしながらも落とされるキスは、とにかく甘すぎる。
 そのまま体を揺さぶられたらもう我慢するのもやっとで、羽琉のモノで子宮がいっぱいで、高みへ昇りそうなのを抑えるのに精一杯だ。
 セックスがこんなにも気持ちいいものだって、羽琉とするまで知らなかった。

「紗奈、すっごいエロい顔。そんなに気持ちいいんだ?」
「…っ」
「もっと俺ので感じて、もっと乱れろよ。俺しか見えなくなるくらいに」

 雨が窓を打ちつける音が聞こえるけど、それもBGMのようだった。
 それよりも部屋に響くイヤらしい音、漏れる吐息に意識が持っていかれる。
 好きじゃないのに、今この瞬間は確かに満たされる感覚がした。

「紗奈、俺だけを見ろよ」

 なんでそんなこと言うの。
 抱きながら、そんな勘違いしてしまうようなことを。

「…はっ……あぁ…っ」

 すっと体を起こされたと思うと、座った状態で腰を動かされる。
 慣れない体勢で恥ずかしいのに、そんなことを考える余裕もなくなるほど感じさせられてしまう。
 ギュッと羽琉に抱き着き、温もりと快楽に溺れた。

「自分で腰振ってる。そんなシたかった?」
「…っち、違…!」
「俺はシたかったけどね、紗奈と。だから、今すげえ嬉しい」

 またそうやって思わせぶりなことを言う。
 期待してるわけじゃないけど、自惚れるわけじゃないけど、セックスしながら甘い言葉を吐くのは本当に勘弁してほしい。
 慈しむような瞳で、そっと優しくキスするのもやめてほしい。

「あの夜も思ったけど、俺に感じてる紗奈、エロくて可愛すぎ」

 苦手な『可愛い』の言葉も、羽琉の口から出ると違う言葉みたいに聞こえた。
 胸が高鳴ったぶんだけ、快楽が強くなるようだった。

「悪い。もうイキそうなんだけど、いい?」

 吐息交じりに言われて、うん、と頷く。
 我慢できないのは自分も同じで、今にも意識が飛びそうになる。
 羽琉とのセックスは気持ちよすぎて自分を見失いそうになって、だからこそ癖になって抱いてほしくてたまらなくなるんだ。
 琉生の弟となんてイケナイって、頭ではわかっているのに。

 羽琉はまた紗奈の体を布団に沈めて、手をギュッと握りながら律動を繰り返す。
 体に走る刺激が強くて、もうどうやっても快楽の波に逆らうことはできそうになかった。

「……紗奈」

 求めるように名前を呼ばれて胸の奥がきゅんと鳴ったのは、きっと気のせい。
 自分を抱く羽琉を愛しく思ってしまうのも、雰囲気に飲まれているだけに違いない。
 そして、薄い膜越しに羽琉が熱を吐き出したのと同時に紗奈も果てた。
 ふっと目が合うと、羽琉は口元を柔らかく緩めて微笑んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺にお前の心をくれ〜若頭はこの純愛を諦められない

ラヴ KAZU
恋愛
西園寺組若頭、西園寺健吾は夕凪由梨に惚れた。 由梨を自分の物にしたいと、いきなり由梨のアパートへおしかけ、プロポーズをする。 初対面のヤクザにプロポーズされ、戸惑う由梨。 由梨は父の残した莫大な借金を返さなければいけない。 そのため、東條ホールディングス社長東條優馬の婚約者になる契約を優馬の父親と交わした。 優馬は女癖が悪く、すべての婚約が解消されてしまう。 困り果てた優馬の父親は由梨に目をつけ、永年勤務を約束する代わりに優馬の婚約者になることになった。 由梨は健吾に惹かれ始めていた。でも健吾のプロポーズを受けるわけにはいかない。 由梨はわざと健吾に嫌われるように、ある提案をした。 「私を欲しいなら、相手になります、その代わりお金頂けますか」 由梨は健吾に囲われた。 愛のないはずの優馬の嫉妬、愛のない素振りをする健吾、健吾への気持ちに気づいた由梨。 三人三様のお互いへの愛。そんな中由梨に病魔が迫っていた。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

離宮に隠されるお妃様

agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか? 侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。 「何故呼ばれたか・・・わかるな?」 「何故・・・理由は存じませんが」 「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」 ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。 『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』 愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

お見合いから本気の恋をしてもいいですか

濘-NEI-
恋愛
元カレと破局して半年が経った頃、母から勧められたお見合いを受けることにした涼葉を待っていたのは、あの日出逢った彼でした。 高橋涼葉、28歳。 元カレとは彼の転勤を機に破局。 恋が苦手な涼葉は人恋しさから出逢いを求めてバーに来たものの、人生で初めてのナンパはやっぱり怖くて逃げ出したくなる。そんな危機から救ってくれたのはうっとりするようなイケメンだった。 優しい彼と意気投合して飲み直すことになったけれど、名前も知らない彼に惹かれてしまう気がするのにブレーキはかけられない。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

処理中です...