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「もし兄貴に捨てられたら、俺が拾ってやるよ」
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それから、数日後のことだった。
紅音がわざとらしく髪を耳にかけた瞬間、耳たぶに光るピアスが見えたのは。
それは知ってる。
前に琉生の鞄に入っていたガーネットのピアスに違いなかった。
やっぱりあのピアスは紅音にあげるものだったんだと確信させられた。
そのことに多少の悲しさを覚えながらも、それだけしか感じない自分がいる。
心のどこか奥底で二人の関係が特別だと、そうであればいいと思っていたのかもしれない。
「……ピアス、綺麗ですね」
紗奈はなんの気なしにそう言った。
紅音はそっと自分の耳に触れて、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
そのことに少しの苛立ちを覚えるも、ただそれだけ。
「でしょ? もらったの」
紗奈は手を握りしめて、二人の関係を知ろうとして「彼氏ですか」と聞いた。
でも紅音は、そのことに否定も肯定もせずに笑っただけだった。
付き合ってるならそう言ってくれたらいい。
琉生が好きなら、琉生が欲しいならはっきりとそう言えばいい。
だけど彼女はいつも回りくどくて、匂わせ投稿をしたり不信感を煽ることばかりして。
琉生をどう思ってるのか、ちゃんとしたことはなにも言わない。
琉生もそう、『好き』なんて言葉で誤魔化そうとして丸め込もうとして。
こんなにも怪しいことばかりしてるくせして、見せ掛けの言葉で取り繕って。
琉生も紅音も信用していたのに、こんなことが続くと疑心暗鬼に陥るばかりだ。
「紗奈ちゃんはもらったりしないの? 七瀬くんから、プレゼントとか」
自分はもらったからって、そんなことを聞くの?
琉生と仲は良くても、それは別にうまくいってるわけじゃない。
もしかしたら、セックスもしない関係だと彼女は知ってるのかもしれない。
琉生が好きなのは私なのよ、とでも言われてるような気になる。
「たまにはもらいますよ、記念日とか。でも私はプレゼントが欲しいわけじゃないんです。なくてもいいんです」
「えっ?」
「琉生が私のために時間を作ってくれるのが嬉しいんです。なにもくれなくても『好き』って言ってくれるので、それだけでいいんです」
あざとい言い方だったかもしれない。
でも、そう思われても琉生の彼女は自分だって牽制を掛けておきたかった。
自分の琉生への気持ちが薄れないように、揺るがないように。
羽琉への曖昧な想いで掻き消されないように、改めて刻み込むように。
そうやって琉生が好きな気持ちを無理やりにでもちゃんと持って、紅音と対峙した。
「……へえ、七瀬くんって気持ちとかあまり言わないと思ってたのに言うんだ?」
無表情にそう聞いてくる紅音を見つめ返して、「はい。だいたい毎日」と答えた。
ちょっとした強がりに気付かれないように、無理やり笑顔を作った。
「……紅音さん」
静かな声でそう呼ぶと、なに、と言うような目で見つめられる。
その眼光はいつもよりも鋭くて、怯みそうになるのをなんとか抑えた。
「琉生が戻ってくるのは私のところなんです。内緒で誰かと会っていても他の人になにをあげても、です」
「………」
「プレゼントだけが愛の形じゃないんです。そんなものがなくても、私と琉生にしかない思い出がたくさんあります」
「……知ってるわよ。なんで、わざわざそんなこと言うの?」
「深い意味はないです。ただ、紅音さんはわかってない気がしたので」
琉生とのあいだに愛なんてなくて、もう崩れているのかもしれない。
ただそう思い込みたくて、『好き』の気持ちに執着しようとしてるだけかもしれない。
以前に羽琉が言ってたように、きっと琉生と過ごした日々が無駄になるのが怖いんだ。
恋愛なんて、無駄になるかもしれない時間の中で愛や絆を深めていくものなのに。
紅音がわざとらしく髪を耳にかけた瞬間、耳たぶに光るピアスが見えたのは。
それは知ってる。
前に琉生の鞄に入っていたガーネットのピアスに違いなかった。
やっぱりあのピアスは紅音にあげるものだったんだと確信させられた。
そのことに多少の悲しさを覚えながらも、それだけしか感じない自分がいる。
心のどこか奥底で二人の関係が特別だと、そうであればいいと思っていたのかもしれない。
「……ピアス、綺麗ですね」
紗奈はなんの気なしにそう言った。
紅音はそっと自分の耳に触れて、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
そのことに少しの苛立ちを覚えるも、ただそれだけ。
「でしょ? もらったの」
紗奈は手を握りしめて、二人の関係を知ろうとして「彼氏ですか」と聞いた。
でも紅音は、そのことに否定も肯定もせずに笑っただけだった。
付き合ってるならそう言ってくれたらいい。
琉生が好きなら、琉生が欲しいならはっきりとそう言えばいい。
だけど彼女はいつも回りくどくて、匂わせ投稿をしたり不信感を煽ることばかりして。
琉生をどう思ってるのか、ちゃんとしたことはなにも言わない。
琉生もそう、『好き』なんて言葉で誤魔化そうとして丸め込もうとして。
こんなにも怪しいことばかりしてるくせして、見せ掛けの言葉で取り繕って。
琉生も紅音も信用していたのに、こんなことが続くと疑心暗鬼に陥るばかりだ。
「紗奈ちゃんはもらったりしないの? 七瀬くんから、プレゼントとか」
自分はもらったからって、そんなことを聞くの?
琉生と仲は良くても、それは別にうまくいってるわけじゃない。
もしかしたら、セックスもしない関係だと彼女は知ってるのかもしれない。
琉生が好きなのは私なのよ、とでも言われてるような気になる。
「たまにはもらいますよ、記念日とか。でも私はプレゼントが欲しいわけじゃないんです。なくてもいいんです」
「えっ?」
「琉生が私のために時間を作ってくれるのが嬉しいんです。なにもくれなくても『好き』って言ってくれるので、それだけでいいんです」
あざとい言い方だったかもしれない。
でも、そう思われても琉生の彼女は自分だって牽制を掛けておきたかった。
自分の琉生への気持ちが薄れないように、揺るがないように。
羽琉への曖昧な想いで掻き消されないように、改めて刻み込むように。
そうやって琉生が好きな気持ちを無理やりにでもちゃんと持って、紅音と対峙した。
「……へえ、七瀬くんって気持ちとかあまり言わないと思ってたのに言うんだ?」
無表情にそう聞いてくる紅音を見つめ返して、「はい。だいたい毎日」と答えた。
ちょっとした強がりに気付かれないように、無理やり笑顔を作った。
「……紅音さん」
静かな声でそう呼ぶと、なに、と言うような目で見つめられる。
その眼光はいつもよりも鋭くて、怯みそうになるのをなんとか抑えた。
「琉生が戻ってくるのは私のところなんです。内緒で誰かと会っていても他の人になにをあげても、です」
「………」
「プレゼントだけが愛の形じゃないんです。そんなものがなくても、私と琉生にしかない思い出がたくさんあります」
「……知ってるわよ。なんで、わざわざそんなこと言うの?」
「深い意味はないです。ただ、紅音さんはわかってない気がしたので」
琉生とのあいだに愛なんてなくて、もう崩れているのかもしれない。
ただそう思い込みたくて、『好き』の気持ちに執着しようとしてるだけかもしれない。
以前に羽琉が言ってたように、きっと琉生と過ごした日々が無駄になるのが怖いんだ。
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