ワンナイトラブの相手は彼氏の弟でした

羽月咲羅

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「こんな大事な日を、俺が知らないわけねえだろ?」

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「紗奈、クリームついてる」
「え? どこ?」
「そっちじゃなくて、こっち」

 ペロリ、と羽琉は舌で紗奈の頬についたクリームを舐め取った。
 その行動に驚いて何度か瞬きすると、その隙に今度は唇にキスを落とされた。
 ふっと目を細めて笑う羽琉を見て、自分の中でなにかが切れたような音がした。
 気付けば顔を寄せて唇を重ね、そのまま羽琉を押し倒していた。

「……紗奈?」

 目の前の瞳が揺らぐ。
 なんだか無性に羽琉に触れたくなって、抱いてほしくなった。
 こういう日に一緒にいてくれるからそう思うのか、羽琉だからなのか。

「え? 俺、襲われるの?」
「ダメ?」
「まさか、大歓迎。でも、これじゃ俺へのプレゼントみたいじゃん」

 後頭部を掴むように引き寄せられ、そのまま舌を絡み取られた。
 それがやっぱり気持ちよくて、羽琉のこと以外は見えなくなった。

「…今日は羽琉の部屋でシたい」

 いつもは紗奈と琉生の部屋だけど、今日はそれが嫌だった。
 ほんの少しでも琉生の存在を感じるのが嫌で、羽琉だけを感じたかった。
 羽琉の匂いに包まれた部屋で、彼とひとつに繋がりたかった。
 今日は、今日だけは琉生のことを頭から追い出したかった。
 こんなふうに思うのは、琉生が誕生日のことを覚えてなかったから?

「いいけど、ケーキ食い終わってからね。はい」

 羽琉は少し体を起こすと、皿に残っていたケーキのクリームを指で取ってそれを紗奈のほうに向けてくる。
 え、と戸惑いの声を上げると、急かすように「ほら舐めて」と言う。
 どうしようかと迷いながらも、羽琉に見つめられると嫌だなんて言えなくて言われるままに舐めた。

 なんか、すごく恥ずかしい。
 今まで何度も体を重ねて、羽琉のを舐めたことだってあるのに。

「ふ、舐め方とかエロ」

 羽琉がそうさせたくせに言うなんて、こういうとこが意地悪だ。
 でも、こうされて余計にそういう気持ちになってしまう自分のほうがどうしようもない。
 指じゃないものを舐めてるような変な気分になって、体が熱くなっていく。

「まだ食う?」
「………」
「もういらない? じゃあ、今度は俺が食う番ね。紗奈、食わせて?」

 言われるままにフォークであげようとしたら、即座に止められた。
 まさか羽琉がしたのと同じように手であげろって、そういうこと?
 彼が相手だとどうも抵抗できなくて、言われるままに動いてしまう。
 ケーキをつけた指を向けると、羽琉の舌がゆっくりと這っていく。

「……んっ」

 指を舐められてるだけなのに、変な声が出てしまった。
 それに恥ずかしくなるけど、くすぐったいような気持ちいいような感覚に襲われてされるがまま。
 指のあいだまでも舐められて、そのたびにピクッと反応した。

「指舐めてるだけなのにそんな声出して、すっげ煽ってくんね」
「そ、んなこと…っ」
「ふうん、でも物欲しそうな顔してるよ? そんな顔されたらクるなぁ」

 そのまま耳や首筋に羽琉の唇が落ちてきて、口から息が漏れる。
 その吐息はどこまでも甘く、彼がすることにいちいち反応してしまう。
 そんな紗奈の様子を見て笑う羽琉の顔は、やっぱり意地悪だった。
 楽しんでるのがわかり、でもそれが全然嫌なんかじゃない。
 むしろもっと触れてほしいと、願ってしまうほど。

「ここで最後までしちゃいそうになるから、部屋行こっか? 紗奈も我慢できなくなってきただろ?」

 なにか言うよりも前に抱き抱えられて、声が出た。
 自分より年下とはいえやっぱり男、その腕の逞しさにドキドキしてしまった。
 抱っこされるのが恥ずかしくて、「自分で歩くから…っ」と言っても羽琉は聞き入れてくれなかった。
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