【完結】運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~

らんか

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王立学園編~後編

45.魔法大会⑨

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 試合会場に名前を呼ばれたオリバーと私が入って行く。
 
 笛の音で試合が始まった。
 
 
 オリバーは無言で私を見詰めた後、詠唱を唱える。
 
「エアーインパクト」
 
 強烈な空気弾が勢いよく、私に向かって弾き飛ばされる。
 
 すぐにシールドを展開して防いだ。
 そして、光球でこちらも応戦する。
 
 オリバーも風圧で光球を弾き、軽く防いでいた。
 
「ウインドブレス」
 
 今度は上から風圧が掛けられ、一気に空気が重くなる。
 圧がかかっている範囲の空気を、空間魔法で一瞬無にし、風圧を無くすと同時にアイテムボックスから槍を出し、私の前で光エネルギーを纏わせた槍を回しながら、光レーザーを広範囲にオリバーに向かって飛ばしていく。
 
 光レーザーは風圧で作られたシールドをも突き抜け、オリバーに命中していった。
 
 
「うわぁ!」
 
 シールドが破られ、光レーザーが直撃したオリバーは思わず声を発する。身体中に当たったレーザーにより、立っているのがやっとの状態のオリバーが、話しかけてきているのか、独り言なのか分からないような小さな声で言葉を発する、
 
「俺はどうなってるんだ? 自分の気持ちが分からない……教えてくれ……。何かが変なんだ……」
 
 
 縋るような目でオリバーが私を見てくる。
 
 オリバーのその真剣な表情に動揺し、私はそのまま攻撃出来ずにボーッと突っ立っていた。
 
 
 
「棄権します」
 
 
 
 しばらくして、オリバーが急にそう言って試合会場を後にする。
 
 
 その場にいた私はもちろん、試合を見ていた観客や審判も、何がなんだか分からずに困惑したが、オリバーが去ってしまったので、改めて棄権と見なされた。
 
 
「勝者、エマ・ベルイヤ!」
 
 
 勝敗は決まったが、オリバーの様子がおかしかったのが気になり、素直に喜べない。
 もちろん会場内もザワついていた。
 
 
 
 しかし、決勝戦進出はこれでアステルと私に決まった。
 
 
 
 
 
 
 控え室に戻ると、レイラが駆け寄ってくる。
 
「おめでとうございます!」
 
「ありがとう?」
 
 素直にお礼が言えなくて、つい語尾が上がってしまう。
 
「エマ様、何かされたのですか? 
 確かにオリバー様は押されていましたが、まだ戦えそうなのに急に棄権するからビックリしましたもの」
 
「人聞きの悪い……。こっちがビックリしたのよ?」
 
 
 レイラの言葉にやや拗ねてしまったが、多分みんなそう思ったに違いない。
 その証拠に、案の定というかやはり、アステルが不愉快そうに詰め寄ってきた。
 
 
「おい! オリバーに何した!?」
 
 
 はぁっと大きなため息をこれ見よがしに吐く。
 
 
「こちらが聞きたいほどです、第1王子殿下」
 
 
「誤魔化しても後ですぐに分かる事だ!
 次の決勝で化けの皮を剥がしてくれる!」
 
 
 私はもう返事をする気にもなれず、そっぽ向く。
 化けの皮って……。
 私は妖怪か魔物扱いなのか?
 
 いくら王子とはいえ、あまりにも無礼な態度に腹が立つ。
 
「おい! 聞いているのか!?」
 
 
 余りにもキャンキャン煩いので、殿下の声音を遮断した。
 
 
 
 もうすぐ決勝だ。
 
 その前に昼休憩が入り、決勝は午後からとなる。
 
 
 
「レイラ、お昼ご飯食べに行こう」
 
 
 そう言って闘技場の外に出ると、セリーヌやグレイが待ってくれていた。
 
 セリーヌに、闘技場で仲良くなったとレイラの事を説明すると、
「もちろん、大歓迎ですわ! わたくしも貴女の闘いは観ておりましたのよ! とても素晴らしくて、ファンになりましたの! ぜひ、わたくしともお友達になって頂きたいですわ!」
 
 そう言って、喜んでセリーヌはレイラを仲間に迎えてくれる。
 
 4人で昼休憩を取り、つかの間の休息を楽しんだ。
 
 
 
 
 
 
 昼休憩が済み、また特設闘技場に戻る。
 
 控え室ではすでにアステルが仲間と共に居たが、当然無視した。
 
 
「貴様の運もこれまでだな。女とて容赦はしないぞ」
 
 
 アステルがこちらを見てそう言ってきた。
 
 あれがこの国の王子とは……。
 
 
「見下げ果てた発言をどうも」(望むところです)
 
 
「なんだと!?」
 
 
 
 あ、頭の中での返答をそのまま言っちゃった。
 
 
 
「申し訳ありません。望むところですって言う予定でしたが、つい頭の中の言葉が出てしまいました」
 
 
 
 そう言った私に、ますます頭に血が上っているアステルは今にも殴り掛かってくるような勢いだが、周りに抑えられている。
 
 
 
 そうしている間に決勝戦の開始時間となり、私とアステルの名前が呼ばれた。
 
 
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