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32ヒロイン視点
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舞踏会は楽しかった。みんなから羨望や尊敬の眼差しを一心に受け、周り全てがキラキラと輝いて見えた。
でも最近は……。
なんか、思っていたのと違う気がする。
始めは聖女様聖女様って崇められていただけだったのに、舞踏会が終わったあと、教皇様から聖女の仕事を聞かされた。
教皇様曰く、聖女の最も重要な仕事は、国全体を覆う結界の修復だと。そして、その他にも、日々病で苦しんでいる人々を癒やし、怪我を治癒すること。時には魔物のスタンピード時は駆けつけ、魔物を聖なる力で一掃するなどなど。また、教会にて毎日神に祈りを捧げ、国の安寧を祈ることも必要であると説明された。
ふざけないでよ。そんなに色々をたった1人の聖女に押し付けるなんて! この国の人達は聖女に何でもかんでも押し付けるから、なかなか後任の聖女が現れないんじゃないの⁉︎
私は学園があるからと、学生の本分は学業であると力説し、なんとか週末にだけ聖女の仕事をするようにした。
そして、週末の1日で救護院の仕事に音を上げた。
何⁉︎ この患者の数は! だからふざけるんじゃないわよ! タダで病気や怪我を治してもらおうなんて、甘いのよ! 前世の日本でも病院行ったら治療費がかかるのよ! 何で聖女だからって、一人でこの人数を無料で治さなきゃなんないのよ。
決めた! 私が治療する人は、治療費を払ってもらうわ。こういう事はちゃんと決めて置かないと、何でもかんでも聖女任せになってしまうもの。変な風潮は改善していかなきゃね。
そんな事を考えていた時、教皇様が
「たった15人で音を上げるとは……。いにしえの聖女様は1日に100人以上治療していたと史書に記述されていたのに」
と、ぽつりと溢した。
うるさい! 自分は出来ないくせに文句だけ言うんじゃないわよ!
別の週末には、結界に小さな穴が空いており、このままでは広がって魔物が入り込んでくる恐れのある場所に連れていかれた。丸一日かけて馬車でその場所に行き、身体がクタクタになって休みたいのに、すぐに聖なる力を使って直してほしいと頼まれ、渋々行うも、なかなか修復されず。疲れているから力が出ないと、一旦休憩をもらって仮眠と食事を済ませたあと、再度力を使用したが、やっぱり修復出来ない。周りが疑心暗鬼になっているのを感じ、必死になってようやく修復出来たのに。
後ろで見ていた同行者の官僚の1人が
「ミーシャ嬢のほうが、よっぽど早く上手に修復出来るな……」と、つぶやいた。
は?
聞いてないわよ? 何でここであのモブ女の名前が出るの?
えっ? あのモブ女、聖なる力が使えるの?
どこまでバグってんのよ! バグは早く消去しなきゃじゃない!
そう思うも、あのモブ女強いのよね。暗殺者雇って、狙っても返り打ちにされそう。
毒薬を使用する? いやいや、あの女、薬草にも強かったはず。きっと私より詳しいわ。
あぁ全然消去できないじゃない! どうすればいいの? あの女を利用して功績を私のものにする? いや、あの女気が強いって元側近のダラオが言ってたじゃない。思う通りに動くわけないよね。
なんでモブのくせに、こんなに手強いのかしら。
シオン様もあの女の事を気にしてるし、そういえば最近はアズレンまであの女と一緒にいることがある。
何もかも思う通りにいかない。
でも大丈夫よね。私はヒロインなんだから。もっと聖なる力を使いこなして国中の結界を修復して、ゆくゆくはシオン様と結婚して王妃になるのよ!
でも最近は……。
なんか、思っていたのと違う気がする。
始めは聖女様聖女様って崇められていただけだったのに、舞踏会が終わったあと、教皇様から聖女の仕事を聞かされた。
教皇様曰く、聖女の最も重要な仕事は、国全体を覆う結界の修復だと。そして、その他にも、日々病で苦しんでいる人々を癒やし、怪我を治癒すること。時には魔物のスタンピード時は駆けつけ、魔物を聖なる力で一掃するなどなど。また、教会にて毎日神に祈りを捧げ、国の安寧を祈ることも必要であると説明された。
ふざけないでよ。そんなに色々をたった1人の聖女に押し付けるなんて! この国の人達は聖女に何でもかんでも押し付けるから、なかなか後任の聖女が現れないんじゃないの⁉︎
私は学園があるからと、学生の本分は学業であると力説し、なんとか週末にだけ聖女の仕事をするようにした。
そして、週末の1日で救護院の仕事に音を上げた。
何⁉︎ この患者の数は! だからふざけるんじゃないわよ! タダで病気や怪我を治してもらおうなんて、甘いのよ! 前世の日本でも病院行ったら治療費がかかるのよ! 何で聖女だからって、一人でこの人数を無料で治さなきゃなんないのよ。
決めた! 私が治療する人は、治療費を払ってもらうわ。こういう事はちゃんと決めて置かないと、何でもかんでも聖女任せになってしまうもの。変な風潮は改善していかなきゃね。
そんな事を考えていた時、教皇様が
「たった15人で音を上げるとは……。いにしえの聖女様は1日に100人以上治療していたと史書に記述されていたのに」
と、ぽつりと溢した。
うるさい! 自分は出来ないくせに文句だけ言うんじゃないわよ!
別の週末には、結界に小さな穴が空いており、このままでは広がって魔物が入り込んでくる恐れのある場所に連れていかれた。丸一日かけて馬車でその場所に行き、身体がクタクタになって休みたいのに、すぐに聖なる力を使って直してほしいと頼まれ、渋々行うも、なかなか修復されず。疲れているから力が出ないと、一旦休憩をもらって仮眠と食事を済ませたあと、再度力を使用したが、やっぱり修復出来ない。周りが疑心暗鬼になっているのを感じ、必死になってようやく修復出来たのに。
後ろで見ていた同行者の官僚の1人が
「ミーシャ嬢のほうが、よっぽど早く上手に修復出来るな……」と、つぶやいた。
は?
聞いてないわよ? 何でここであのモブ女の名前が出るの?
えっ? あのモブ女、聖なる力が使えるの?
どこまでバグってんのよ! バグは早く消去しなきゃじゃない!
そう思うも、あのモブ女強いのよね。暗殺者雇って、狙っても返り打ちにされそう。
毒薬を使用する? いやいや、あの女、薬草にも強かったはず。きっと私より詳しいわ。
あぁ全然消去できないじゃない! どうすればいいの? あの女を利用して功績を私のものにする? いや、あの女気が強いって元側近のダラオが言ってたじゃない。思う通りに動くわけないよね。
なんでモブのくせに、こんなに手強いのかしら。
シオン様もあの女の事を気にしてるし、そういえば最近はアズレンまであの女と一緒にいることがある。
何もかも思う通りにいかない。
でも大丈夫よね。私はヒロインなんだから。もっと聖なる力を使いこなして国中の結界を修復して、ゆくゆくはシオン様と結婚して王妃になるのよ!
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