34 / 43
34
しおりを挟む
色々とあった学園内も徐々に落ち着きを取り戻し、ミーシャはいつもの通り、ティナと一緒にガゼボで昼食を楽しんでいると、そこにシオンとアズレンがやって来た。
「やぁ、こんにちは。僕たちも昼食を一緒に摂ってもいいかな?」
にこやかに各自のお弁当を持っており、ユージュもにこやかな表情で、多めのお弁当を持っている。
「ご機嫌よう。歓迎いたしますわ」
「ええ、もちろんです」
ミーシャとティナもすぐに承諾し、5人で昼食を楽しむ。
ここ最近は、野外演習メンバーとユージュの5人で、昼食を共にする事が恒例となりつつあった。
「そういえば、お聞きになりました? 聖女様、最近あまり評判がよろしくないようですわよ」
ティナが食後のお茶を楽しんでいる時に、話をふってきた。
「どうして?」
私が聞き返すと、
「どうも、高額の治療費を取るらしくて。しかも、高位貴族の方を中心に少数しか治療魔法を使わないらしくて、平民は全く相手にしてないとか」
困惑した様子でティナが話す。
「王宮にもその知らせは入っているよ。官僚たちも困惑してるらしい。
ダミアンが間に入って、色々と聖女の事に関して制約を設けたんだとか。聖女は1人しかいないのに、力を行使させすぎだと。
確かに聖属性魔法が使える人は王国内に数人程度だし、使えても微々たるもので、とても何人もの治療が行えるものではないから、どうしても聖女に期待してしまうからね。
だからダミアンの意見も一理あると、提案を受け入れざるをえなかったんだよな」
シオンはミーシャに何か言いたげな表情をしながら話した。
(シオン様、なんでそんな顔でこっちを見るんですか。治癒魔法まで使えるって疑われてるよね、これ。
───まぁ、実際使えるから罪悪感が半端ないんですけど)
ミーシャは素知らぬフリをしながら、
「聖女様って、大変なんですねー」
と、やや棒読みで言ってしまう。
それを聞いたシオンがフッと笑いをこぼした。
「でもさ、実際教会としては、困ってるんだよね。聖女様を教会が面倒見ることになってるから、それなりの作法や儀式の仕方なんかも覚えてほしいのに、ダミアン様が全て制限かけてくるしさ」
アズレンが溜息をつきながら溢す。
アズレンは、リセラ達から距離を置いているため、教会の中でも関わらないようにしているが、父である教皇がいつもリセラの事で頭を悩ませている。
自分では何も力になれず、歯痒く思ってはいても、今更アズレンの言葉を素直に聞いてくれるとも思わず、リセラが自分の思う通りに好き放題に暮らしていることを苦々しく思っていた。
「ミーシャ嬢」
昼休憩が終わり、教室にみんなで戻る途中、シオンから声を掛けられた。
振り返ったミーシャに、
「どうやら君が結界修復が出来る事を、聖女殿が何処かで小耳に挟んだようだ。
もしかしたら、その事で君に何か言ってくるかもしれない。気をつけておいてくれ」
と、小声で伝えてきた。
(えー。また、何か絡まれる予感しかしない。誰よ、その事を漏らしたのは。
極秘扱いにするっていう条件で、王家に協力してるのに……)
「……分かりました。そのように心づもりをしておきます」
ミーシャは、溜息が出そうなのをグッと堪えながら、そう答えた。
「やぁ、こんにちは。僕たちも昼食を一緒に摂ってもいいかな?」
にこやかに各自のお弁当を持っており、ユージュもにこやかな表情で、多めのお弁当を持っている。
「ご機嫌よう。歓迎いたしますわ」
「ええ、もちろんです」
ミーシャとティナもすぐに承諾し、5人で昼食を楽しむ。
ここ最近は、野外演習メンバーとユージュの5人で、昼食を共にする事が恒例となりつつあった。
「そういえば、お聞きになりました? 聖女様、最近あまり評判がよろしくないようですわよ」
ティナが食後のお茶を楽しんでいる時に、話をふってきた。
「どうして?」
私が聞き返すと、
「どうも、高額の治療費を取るらしくて。しかも、高位貴族の方を中心に少数しか治療魔法を使わないらしくて、平民は全く相手にしてないとか」
困惑した様子でティナが話す。
「王宮にもその知らせは入っているよ。官僚たちも困惑してるらしい。
ダミアンが間に入って、色々と聖女の事に関して制約を設けたんだとか。聖女は1人しかいないのに、力を行使させすぎだと。
確かに聖属性魔法が使える人は王国内に数人程度だし、使えても微々たるもので、とても何人もの治療が行えるものではないから、どうしても聖女に期待してしまうからね。
だからダミアンの意見も一理あると、提案を受け入れざるをえなかったんだよな」
シオンはミーシャに何か言いたげな表情をしながら話した。
(シオン様、なんでそんな顔でこっちを見るんですか。治癒魔法まで使えるって疑われてるよね、これ。
───まぁ、実際使えるから罪悪感が半端ないんですけど)
ミーシャは素知らぬフリをしながら、
「聖女様って、大変なんですねー」
と、やや棒読みで言ってしまう。
それを聞いたシオンがフッと笑いをこぼした。
「でもさ、実際教会としては、困ってるんだよね。聖女様を教会が面倒見ることになってるから、それなりの作法や儀式の仕方なんかも覚えてほしいのに、ダミアン様が全て制限かけてくるしさ」
アズレンが溜息をつきながら溢す。
アズレンは、リセラ達から距離を置いているため、教会の中でも関わらないようにしているが、父である教皇がいつもリセラの事で頭を悩ませている。
自分では何も力になれず、歯痒く思ってはいても、今更アズレンの言葉を素直に聞いてくれるとも思わず、リセラが自分の思う通りに好き放題に暮らしていることを苦々しく思っていた。
「ミーシャ嬢」
昼休憩が終わり、教室にみんなで戻る途中、シオンから声を掛けられた。
振り返ったミーシャに、
「どうやら君が結界修復が出来る事を、聖女殿が何処かで小耳に挟んだようだ。
もしかしたら、その事で君に何か言ってくるかもしれない。気をつけておいてくれ」
と、小声で伝えてきた。
(えー。また、何か絡まれる予感しかしない。誰よ、その事を漏らしたのは。
極秘扱いにするっていう条件で、王家に協力してるのに……)
「……分かりました。そのように心づもりをしておきます」
ミーシャは、溜息が出そうなのをグッと堪えながら、そう答えた。
295
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。
皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」
そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。
前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。
父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。
使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。
え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……?
その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……?
あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ!
能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。
【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。
婚約者は無神経な転生悪役令嬢に夢中のようです
宝月 蓮
恋愛
乙女ゲームのモブに転生したマーヤ。目の前にいる婚約者はそのゲームの攻略対象だった。しかし婚約者は悪役令嬢に救われたようで、マーヤそっちのけで悪役令嬢に夢中。おまけに攻略対象達に囲まれている悪役令嬢も転生者で、何だか無神経発言ばかりで少しモヤモヤしていしまうマーヤ。そんな中、マーヤはゲームには関係ない隣国の公爵令息と仲良くなり……!?
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった
木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。
今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。
せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。
床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。
その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。
他サイトでもアップしています。
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?
ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」
建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。
だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。
「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」
宝石代、夜会費、そして城の維持費。
すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。
「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」
暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。
下着同然の姿で震える「自称・聖女」。
「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」
沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる